サソリモドキ(ビネガロン)

ページ名:サソリモドキ_ビネガロン_

登録日:2012/01/20(金) 16:58:54
更新日:2023/12/08 Fri 13:50:38NEW!
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(画像跡)



サソリモドキとは… 



節足動物門鋏角亜門蛛形綱有鞭目(ゆうべんもく:ウデムシの無鞭目と対になっているのに注目!)に分類される一群で世界に1科(サソリモドキ科のみ)90種ほどが知られている。 


……ざっくばらんにいうと、サソリともクモともつかない形容し難い虫である。


「モドキ」と付く生き物で本物と似ているためしはない(←言い過ぎ)が、サソリモドキもサソリとはまるで異なる生き物である。 


確かに胴体のシルエットや、1対のハサミ(触肢)に4対の足(歩肢)、尾を持つ点などはサソリに似てなくもないが、それらとはまるで異質である。 


頭胸部と腹部とが一体化し、無骨な長方形状のサソリとは異なり、頭胸部と腹部とが括れて、美しいシグメント曲線を創り出しているサソリモドキの胴体。 
短足のサソリに比べて、ウデムシにも少し似た(第一歩脚が特に長い)細く長くエレガントなサソリモドキの足。 
強大さと頑丈さに特化したサソリのハサミに対し、時にはボクサーのグローブのように丸く、時には沃野を為す鋤に鋭く、形態の実験室のようなサソリモドキのハサミ。 
そして、凶凶しい毒針を備えるサソリの尾に対し、潔い鞭状のサソリモドキの尾。


サソリが力強い印象ならば、サソリモドキはどこか繊細で女性的、実に愛らしく手にとって愛でたくなるような印象がある。 


故に世界三大奇虫の一角となるのも当然で、さしずめ奇虫界のレディといった雰囲気である。 


ただし、綺麗な薔薇には刺があるというのはよく言ったもので、この愛らしい虫は扱いに多少の注意が必要なのである。


項目名にもあるビネガロンとはこの虫の英名のVinegarone(またはVinegaroon)のことであり、Vineger、即ち酢のことである。何故に酢なのかと言えば…… 


肛門腺(肛門ではない)から酢酸(+蟻酸や蓚酸も)を発射するから。 


霧状になってそれは発射されるが、はっきりいって人体には大したことは無く、追記者はよく鼻先でその芳醇なかほり(都こんぶと、ブルゴーニュ産の白ワインのようななんとも懐かしいかほりである)を堪能するが、取り立て不都合は生じたことはない。 
とは言え、アレルギーやアトピー持ちの方には何らかの影響も考えられるのと、眼に入った時はさすがに染みて痛く、サソリモドキに関しては「」扱いも詮方ないところである。



さてさて、他の二名と比べると少し地味で、何やらマイナス点もあるサソリモドキであるが、他の二名とは歴然の差がつくところがある。 


日本国内に分布しているのだ。 


日本国内に分布しているのだ。 


日本国内に分布しているのだ。 



大事なことなので三回 


ウデムシ様のお姿を拝見したい!」とか、「ヒヨケムシ嬢に謁見を!」などと思っても、前者なら近場でタイ、遠ければタンザニアやブラジル、後者に至っては近くともパキスタン辺りにまで参上仕らなければお会いすることは叶わない。当然ながら時間の余裕とそれなりの費用が必要不可欠なのである。更に不幸なことに、「大自然を満喫!サファリツアー」などという旅行ツアーは珍しくないが「ウデムシやオオムカデを堪能!奇虫ツアー」などというのは聞いたことがない(←追記者が無知なだけなのかもしれない)。よって、現地にたどり着いても、ベースキャンプを張ったり、移動・採集を計画したりと、全て自分で行わねばならず、かなりの手間になる。


そこでサソリモドキなのだが、これは日本国内にも分布しており、観察するのは意外にも容易い。 
具体的には屋久島から徳之島、飛び地で渡嘉敷島にかけてにアマミサソリモドキ(学名:Typopeltis stimpsonii)、八重山諸島にタイワンサソリモドキ(学名:Typopeltis crucifer)が自然分布しているのである。 
生息環境もちょっとした山裾の倒木の下だとか、水抜き用の側溝の隙間だとか、民家の庭先の石の下だとか、割と簡単に出向ける場所に潜んでいるものなのである。 
石をどけた時に、「きゃっ!眩しい///」と言わんばかり(件の如く夜行性である)に慌てて逃げていく姿は何とも可憐で、追記者ならば悶絶ものである。
また「自然分布で」と書いたように、実は、アマミサソリモドキは街路樹や観葉植物の移植に伴って(根と根の間なんかに潜んでいることによって)意外にあちこちでみかける。 
具体的には伊豆半島や八丈島や神戸港近辺や紀伊半島や国東半島や天草半島などなど……その気になれば、「サソリモドキたん、くんかくんかしたいおっ!」などと言う紳士諸兄はその日の内にご対面も叶う。 
ただし、天草半島などでは、県の天然記念物扱いとなっていることもあるので、下調べを怠らないのは紳士の努めだろう。


それでも、相見えることが叶わない方には、ペットとしてお付き合いするという方法もある。 
国産2種はペットとしても流通しており、時には非常に安価で売られている(英世一枚で買えるほど)こともある。また、数は少なく、かなり高価(諭吉二人程になることも)ではあるものの、メキシコやジャワ島産など、海外の種も流通することがある。 
飼育自体は乾燥と低温に注意すればかなり容易で、数年に渡って、生活を共に出来る。 


当然ながら、一度飼育を始めたもの野外放すのは厳禁!紳士ならばその辺りは弁えていただきたい。 


追記・修正(画像提供も)宜しくお願いします。



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  • 変態だーッ! -- 名無しさん (2017-12-26 11:51:46)
  • 酸だー!!! -- 名無しさん (2018-04-27 13:24:02)
  • 子育てについて書いてないな。卵から孵化した幼虫の群れはある程度育つまで母親の身体にわしゃわしゃくっついて過ごすという習性がある。虫に耐性のない人は決して画像検索しないことを勧める -- 名無しさん (2021-04-02 09:23:35)

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