登録日:2012/10/07(日) 09:05:47
更新日:2023/11/20 Mon 11:55:00NEW!
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荒木飛呂彦 週刊少年ジャンプ 西部劇 ポーカー デビュー作 漫画 読み切り 衝撃の結末 大どんでん返し 名作 ゴージャス☆アイリン 火炎瓶 漁夫の利 武装ポーカー
ポーカーのおもしろいところはかけ金を
自分の札と相手の顔色を見ながら
たがいにどんどんつりあげて
いくところにあります…
それははったりをかまして
相手をゲームからおろさせたり……
ときにはかけ金をとんでもない
額までつりあげたりもします
それではお話しましょう
武装ポーカーです……
1980年に手塚賞を準入選、同年に週刊少年ジャンプに掲載された荒木飛呂彦の読切作品でデビュー作。
後にゴージャス☆アイリンに収録される。
【概要】
元々持ち込んだ「砂漠を舞台としたサバイバル物」が没をくらい、その半年後に制作した西部劇の漫画。
執筆にあたり、とにかく映画を研究し100ページ位の内容を31ページに圧縮したという。
映画の造詣の深さは当時の審査員だった手塚治虫からも称賛を受けた程。
ちなみにこの時担当した椛島良介氏は、ジョジョの奇妙な冒険3部の終了まで荒木の編集を務めている。
ジャンルが西部劇なのはクリント・イーストウッドが好きだからで、後にイーストウッド氏本人と対談する程の大物漫画家になるとは間違いなく誰も、荒木氏本人すらも思ってなかっただろう。
独学でやってきたこともあってか、本作から既に週刊少年ジャンプらしからぬ内容、独特な擬音が特徴的。
そのギャグ漫画にも見える作風を否定せず、むしろマイナーなジャンルの作品を奨めた椛島氏がいなければ今の荒木氏はいなかったと言える。
◆登場人物
- 老紳士
本作の語り手。オシャレな服を着こなす恰幅の良い男性。
無法者だらけの町で行われたポーカーについて話す。
- ドン・ペキンパー
「おれはもっとすばやいしかしこいんだ!」
どんな悪事にも手を染め、27人もの人数を殺してきた太眉男。
生死を問わず1万ドルの賞金を懸けられた「生まれながらの大悪党」だが、金はきちんと払う。
不意討ちにも動じず逆に返り討ちにする度胸と知恵、そして銃の腕前を持つ。カードさばきもかなりの物。
賭けをしていく内に金額がつり上がり遂には拳銃を賭けていく。
何故か太臓もて王サーガの人気投票で1票が入っていた。
- マイク・ハーパー
「1体1(サシ)でやりましょうか」
ペキンパーのいる町に着き早速酒場へ足を運んだ賞金首。
見た目はスピードワゴンっぽいが口調は丁寧。賞金はペキンパーと同じく1万ドルで銃とカードの実力も互角。
ペキンパーとサシでポーカーで勝負する。
どこから来たかは忘れたが、昨晩の食事はビーフシチューと覚えているユーモアの持ち主。
- 浮浪者
太り気味でみすぼらしい風貌のアル中。
ペキンパーにいつも金をせがんでいたが、今回はポーカーの最中(しかも劣勢)なので口の中にグラスを突っ込まれてしまう。
◆以下、ストーリーのネタバレ
たまたま知り合ったペキンパーとハーパー。
ポーカーを進めるうちに賭け金がどんどん跳ね上がり、仕舞いには互いの拳銃まで賭けの対象にする。
周りのならず者達がざわめく。
常に命を狙われる悪党2人にとって、それは「死」を意味していた。
そして最後の勝負。
3のフォアカードのペキンパー、8のフォアカードのハーパーで、勝負はハーパーの勝ち…と思いきや、
先に札を見せたペキンパーの役は何故かQのフォアカードになっていた。
なんて汚いヤツだ、ドン・ペキンパーという男は!
彼はイカサマをやったのだ!
誰にもわからない方法で3のフォアカードをQのフォアカードにすり替えたのだ!
何がプライドがレフェリーだ!
それを見たハーパーは、酷く動揺する。自分が負けたことにではない。
実はハーパーもイカサマで同じくQのフォアカードにしていたため、札を出すのを躊躇してしまっていたのだ。
そこを確認した浮浪者が「どちらかがイカサマをした」と叫び、それを引き金に二人は同時に銃を向け合う。
このときをまっていたっ!
くらえ!火炎ビンだァ~~!!
なんとその隙に浮浪者が火炎ビンを二人に投げ、一網打尽にする。
実は浮浪者の正体は本作の語り手だった老紳士であり、ペキンパー逮捕のためにわざわざ浮浪者に変装し、潜入した保安官でもあったのだった。*1
いくら強くとも、散々悪事に手を染め、自身のプライドをねじ曲げてイカサマをした者に、「勝利の女神」は微笑まなかった。
苦労の末大悪党2人を逮捕し、2人合わせて2万ドルの賞金を得た保安官の老紳士は、自身の「勝利の女神」である妻を連れて久々の休暇を楽しむのだった…。
なお、余談だが今作の火炎ビンは後に銃夢と競演を果たす。
さあ!あなたン、もうピクニックはおしまいよ!
新しいお洋服買いに連れてってくれる約束でしょ?
ああ、覚えているとも。
ところであなたのお手柄、新聞に載ってたわよ。
悪者を2人もやっつけたんですって?すごいわ!
でも大変ね、保安官の仕事って…。
Wiki篭りをまっていたっ!
くらえ!項目編集だァ~~!!
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▷ コメント欄
- 当時の手塚賞の各評論漫画家からべた褒めされているんだよな、これ -- 名無しさん (2014-10-02 12:05:59)
- 少年ジャンプにこういう角度で切り込んでくる新人なんて最近どころか当時ですらいねえよwww!! -- 名無しさん (2014-10-02 12:11:26)
- マイクの声はCV:塩沢兼人で脳内再生される -- 名無しさん (2015-11-17 09:57:28)
- 荒木飛呂彦の漫画術は是非読むべき。本作がいかに工夫を盛り込んでいたかがよくわかる -- 名無しさん (2015-11-17 15:38:37)
- まさか、そんなオチが待っているとはッ!! -- 名無しさん (2015-11-17 18:26:13)
- 編集社に興味持たれるため 異色を意識してかなり考え計算して描いた作品なんだよね -- 名無しさん (2015-11-20 09:34:21)
- アイリンが表題の短編集には各作品に作者から「当時どんなふうに考えて描いたか」があって、これのはとにかく最後まで読んでもらうためにグイグイ引っ張る事を意識して描いたとあったが、自分がトランプほとんど知らないせいか中盤が訳分からなくて全く頭に入らないため飛ばし読みしてしまう -- 名無しさん (2021-03-30 07:19:55)
- ↑5 個人的にペキンパーの声は田中亮一氏、おっさんは富田耕生氏のイメージかな -- 名無しさん (2021-10-13 19:43:11)
- 最後逮捕なのか? デッドオアアライブの、前者の方な気がするが…… -- 名無しさん (2022-05-05 07:20:31)
- ↑火だるまになっただろうけど、生きてはいただろう。でもどっちみち二人共死刑には違いないだろうけどね。 -- 名無しさん (2022-05-05 08:18:25)
- のちのスティールボールランかもしれない -- 名無しさん (2022-09-09 20:05:07)
- いま読んでも色褪せない面白さ 読み切り群に混じってたら出色になるだろう -- 名無しさん (2022-09-10 22:06:33)
- 何気に保安官のおっちゃん、賞金首2人を抱えて周りのハイエナ共から逃げおおせたってのも凄いよな。 -- 名無しさん (2022-12-12 16:50:39)
- 筒井康隆が褒めたのも分かる「プライドがレフェリーだ!」とか言語センスが既に飛び抜けてる。 -- 名無しさん (2023-02-04 21:06:26)
- サム・ペキンパーはすぐ分かるけどマイク・ハーパーの元ネタが分からない -- 名無しさん (2023-04-15 16:41:56)
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