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【概要】
日本国政府とは、その名の通り我が国の行政府である。
広義的には立法府たる国会、司法府である裁判所、その他国家統治機関すべてをさす。
内閣を頂点とし、民主的統制がなされている。
公権力たる三権の内の一つで、行政を司る。
行政法学上では、「行政」とは国家権力から立法作用と司法作用を取り除いたもの全てとされている説(控除説)が支配的。*1
あくまで三権の一角だが、国民にとって最も「国家権力」として認知されている機構である。
税金を取りたてに来る国税調査官も、その辺の林を調査する林野庁職員も、災害時に活動する自衛官も、全て日本国政府の関係者である。
【官僚とは】
大臣などの政治的任用を除いた事務職員は、その殆どが国家公務員試験を経て採用されている。
この試験では「国家総合職/旧Ⅰ種」(俗に言う「キャリア」)、
「国家一般職/旧Ⅱ種」(「ノンキャリア」「準キャリア」)などの区分が存在し、通った試験によって、将来の出世が左右される。
主にノンキャリアが実働部隊、キャリアが指揮官という認識で概ね間違いは無い。
特に本省勤務の国家公務員を「官僚」と呼び、総合職の者は「キャリア官僚」と呼ばれる。
課長職以上を「官僚」と呼ぶ使い方も多い。
しかし、そうなると「キャリア官僚」や「ノンキャリア官僚」という用法は矛盾していることになる。
まああくまで言葉なので明確に決まってはいない。
元々は明治時代の高等文官試験という、山県有朋にまで遡る試験制度で、実は法律には全く書かれていない仕組み。
また、東京大学ないし京都大学法学部出身者がキャリアに採用される事が非常に多く、その選民的にも見える制度が批判されることもあり、早稲田大学や慶應義塾大学の出身者も若干増えている。
一部を除いて、政府機関の本省・本庁は殆どが東京都千代田区霞ヶ関に存在し、
「霞ヶ関」とは単なる地名としてだけではなく「政府(で働く役人)そのもの」「官僚的で閉鎖的なお役所」を揶揄する隠語としても用いられる。
ちなみに、殆どの省庁が地方支分部局を抱えており、各ブロック毎の採用も行っている。採用されれば、地方で働く国家公務員になることができる。
【日本の中央省庁】
現在の日本国政府は1府12省庁をメインに据えた体制で動いている。
省のトップは国務大臣だが、事務を担当する事務次官が実質的なトップ。
民間企業で言うなら「政治状況で変更される会長」と「生え抜きの社長」と言ったところか。
先述のキャリア官僚はこの「事務次官」を目指して出世競争し、最後に残った者がこの座に就くことが出来る。
総務省から防衛省は国家行政組織法、更に○○省設置法といった順番で規定されるが、
内閣官房(内閣法)、内閣法制局(内閣法制局設置法)、国家安全保障会議(国家安全保障会議設置法)、人事院(国家公務員法)、内閣府(内閣府設置法)、宮内庁(宮内庁法)、公正取引委員会(独占禁止法)、国家公安委員会/警察庁(警察法)、個人情報保護委員会(個人情報の保護に関する法律)、金融庁(金融庁設置法)、消費者庁(消費者庁及び消費者委員会設置法)、会計検査院(日本国憲法及び会計検査院法)はそれぞれ独自の法律を根拠とする。
そのため、内閣府の外局等は他省庁の外局よりも上位に位置し、内閣官房、内閣府、法制局、NSC、人事院、検査院は国家行政組織法に規定された機関よりも(実際の権勢はともかく)位置づけが高い。
内閣
内閣総理大臣(首相)を長とした行政の最高意思決定機関。内閣の会議を閣議と呼ぶ。
帝国時代には天皇の輔弼機関で、憲法上の規定は存在しなかったうえ、総理大臣も同輩中の首席に過ぎなかった。
そのため、大臣の罷免権も持たず、軍部の独走を招いてしまった。
国務大臣の過半数は国会議員であり、各大臣が担当する省庁を指導・管理する。
実は毎年施行される法律の殆どは内閣が提出している(国会からの法律は1割程度)。
これは官僚側が担当大臣に頼んで閣議決定という形で通して貰っているからである。
「行政機関である内閣が立法して良いのか?」という疑問もあるが、「国務大臣の過半数は国会議員だからセーフ」という見解になっている。
実際問題、基本的に法律の専門家ではない議員に法案を作る能力があるかと言われるとなかなか難しい。*2
フィクションで登場した場合は無能集団か権力の亡者に描かれる事が多い。
が、稀にめちゃくちゃ有能な時もある。
- 復興庁
東日本大震災からの復興政策を所掌する組織。
内閣の下に置かれ、当初は2021年3月31日まで機能する予定の時限的設置が定められていたがその後更に10年延長された。
内閣官房
実務的な指導は内閣官房長官が行うが、主任の大臣はあくまで内閣総理大臣。
全ての官僚機構の上位にして国家中枢位置する行政機関。
特に、総理や官房長官、補佐官や秘書官等の最高幹部周辺の力学作用を建物に準えて「官邸」と呼ぶ。
「政府」といえば国民はこのページに乗ってる国家機関をイメージするが、官僚の中で「政府」といえば、内閣官房を指しているらしい。
日本の情報機関の代表である「内閣情報調査室」もここの部局。
官房というのは君主の隣室にある仕事部屋のことで、内閣官房は内閣の事務局と捉えて間違いない。
三人居る内閣官房副長官の内、事務担当の副長官は全国家公務員の頂点に立つ官僚のトップである。
- 内閣広報室
内閣広報官を長とする政府の広報部局。広報官は外務官僚の指定席。
内閣府政府広報室と一体となって運用されている。
- 内閣情報調査室
内閣情報官を長とする中央情報機関。通称「内調」。詳細は公安警察を参照。
情報官は警察官僚の指定席。
- 内閣総務官室
内閣総務官を長とする内閣運営の要。国会質問の担当省庁振り分けなどを担当するほか、内閣総理大臣官邸の管理も行っている。
総務官は旧内務省系官庁出身者の指定席。
- 内閣人事局
政治主導の政治、縦割り行政の打破のために作られた各省庁の幹部人事を統括する部局。
設置法自体は2008年の段階で作成されていたが、当時の政治混乱、のちの政権交代もあり2014年に新たな設置法案が提出されるまで設置されなかった。
内閣法制局
内閣が提出した法案をチェックする部署。
「憲法の番人」は最高裁判所だが、憲法の番人の前にこちらが憲法違反でないかをきつくチェックするので、裁判所が実働することは少ない(ということになっている)。
近年では集団的自衛権行使の見解で政権と衝突し、長官が更迭されたのが記憶に新しい。
なお、国会の法案をチェックするのは衆議院法制局と参議院法制局である。
ここの「参事官」が各省庁の法令を審査するが、「法案の一条に三時間掛ける」などと揶揄されることも。
キャリアは独自採用せず、各省庁から優秀な人員を集めている。ただし、内閣法制局への出向は次官レースからの脱落を意味する場合もあるので、当人からすれば必ずしも喜ばしいことではない。
法務省からの出向者の場合は事情が異なり、内閣法制局に出向しても検事総長や法務事務次官に就任している例がある。
国家安全保障会議
国家の重大な緊急事態について審議する会議。
内閣総理大臣、総務大臣、外務大臣、財務大臣、
経済産業大臣、国土交通大臣、防衛大臣、内閣官房長官、国家公安委員長がメンバー。
フィクションでは、かわぐちかいじの『空母いぶき』に登場している。
- 国家安全保障局
国家安全保障会議の事務局。略称はNSS。
外務省、警察庁、防衛省・自衛隊からの出向者で構成されており、防衛省からは制服組の出向者も多い。
防衛大綱や中期防は、NSSが主導権を握る形で作成される。
初代局長は元外務事務次官となり、主導権は外務省が握っている。
二代目の局長には、警察庁出身の前内閣情報官が就任した。
人事院
国家公務員試験や人事を担当する機関。また、労働基本権に制約のある国家公務員に代わり、給与や勤務待遇の改善を内閣に勧告するなど労組的役割を果たしている。*3
内閣から一定の距離を持っており、官僚の人事を「政治的に左右されない」ようにしている……が、官僚主導の政治から政治家主導に政治への転換を求める世論、政治の動きによって各省の幹部人事は内閣が一括して行うことになりその役割は揺らいでる。
GHQ民政局によって創設されたかなり闇の深い組織であり、55年体制を築いてきた某与党や内閣官房、内閣府とは非常に仲が悪い。
人事官と呼ばれる3人の最高幹部(この内一人が人事院総裁)と事務総局によって構成されるが、これは独立機関である会計検査院(後述)をモデルにしている。
内閣府
官房を除けば1府12省庁の筆頭。
「内閣官房を助ける」行政機関。内閣を助けるわけではない。ややこしい。
広範で雑多な事務を担当する何でも屋、時の内閣の重要政策に対応して組織を拡充してるため組織が肥大化していることが問題になっている。
内閣官房との違いが分かりにくい(なんなら庁舎まで一緒)。
かつての旧総理府で、内閣官房が「内閣」の組織なら、こちらは「内閣総理大臣」の組織といえるだろう。
勲章もここの所管。
数多く存在する「内閣府特命担当大臣」もここの所属である。
- 宮内庁
天皇と皇族の国事行為を担当する機関。内閣府の外局「等」であり、外局ではない。
本庁も霞ヶ関ではなく皇居の中。新人職員が森で迷うのが通過儀礼らしい。
戦前は宮内省だったが、諸々の理由で格下げされてしまった哀しき省庁。ただし入庁すればお出ましの時に両陛下にお声を掛けていただけるかもしれない。悪霊に対処する神霊班があるとかないとか。
「宮内庁御用達」は戦前はステータスだったが、今は宮内庁に納められていれば皇室が全く使っていなくて、宮内庁職員食堂で出していても宮内庁御用達を名乗れる。
昔は宮内省警衛局として皇宮警察も有していたが、戦後にこちらは警察庁の附属機関となった(ただし皇宮護衛官は宮内庁職員も併任している)。
- 公正取引委員会
「経済の憲法」である独占禁止法違反の企業を摘発する行政機関。
以前は「咆えない番犬」とも揶揄されたが、近年は国内大企業だけでなく、ゲイツや入ってるにも噛み付くなど大活躍している。政府の契約書には大体公取と独占禁止法の文言がお決まりのように入っている。
外務省、会計検査院に次いで名称が変わっていない。
- 国家公安委員会/警察庁
国家公安委員会は内閣府の外局。国務大臣である国家公安委員長を長とする警察の管理機関。
分かりづらいが委員長は「警察大臣」と考えればイメージしやすいかもしれない。ただし、公安委員会はあくまで警察組織がも民主主義的・中立的運営をしているか監督する存在であり、個々の案件に対し指揮権を持ちえない。
警察庁は国家公安委員会の特別の機関。長は階級外の警察官トップである警察庁長官。
警視庁を始めとした、各都道府県の警察本部とは同一の組織系統にあるわけではないが、警察庁が実質的な人事権や予算配分を行っているため、絶大な影響力を持つ。特に都道府県警内の警備警察部局(いわゆる公安警察)は警察法で予算が国庫から、つまり警察庁から直接でており実質的に警察庁の支配下にある。そのため、都道府県警本部長ですら何をしているかわからないということもある。
キャリア志望の学生に人気のある省庁で、東大法学部出身者が多い。
ちなみに「庁」は「省」の下に置かれる小規模な組織であり、
内部組織も「局」より小さい「部」を置くのが普通だが、警察庁は局制で、規模も省並み。
警察庁長官の待遇も事務次官と同格である。
内務省復活論者が多いとされ、これまでにも中央省庁再編や行政改革の際に何度か仕掛けている。
- カジノ管理委員会
特定複合観光施設区域整備法に基づいて設置された内閣府の外局。
俺達のカジノ規制はまだ始まったばかりだ!
- 金融庁
銀行の監督を行う中央省庁。『半沢直樹』にもここの役人が出ていたのは記憶に新しいだろう。
元々銀行の監督は大蔵省だったが、MoF担とよばれる銀行員による接待が問題となり、金融機関の監督部門は金融監督庁として切り離され、現在の金融庁となった。
近年は、赤字経営ましっぐらの地銀再編を迫ったり、『半沢直樹』で有名になった検査方法の抜本的な見直しを図るなど、大胆な金融改革に乗り出している。
警察庁と同じく、こちらも「庁」だが局制を採用している。金融庁長官は警察庁長官と同様、事務次官と同格である。
これは、内閣府特命担当大臣(金融担当)が置かれているためだと思われる。
- 消費者庁
消費者の利益擁護を主任務とする内閣府外局。
公正取引委員会や警察OBを取り入れて立ち入り検査も行っているらしい。
- デジタル庁
史上初の2020年代に発足した省庁。
アナログそのものと揶揄されてきたお役所の仕事のデジタルトランスフォーメーションの旗振り役として期待されているが、さて……。
- こども家庭庁
2023年4月に発足したばかりの、同年現在最も新しい省庁。
これまで各省庁がバラバラに担当していたこども関係の様々な事務の一本化を目的としている。
スローガンは「こどもまんなか」。
総務省
官房と内閣府を除いた場合の「筆頭省庁」。
かなり複雑な経緯を辿って発足した組織で、元を辿れば戦前の最強官庁「内務省」に行き着く。
内務省がやり過ぎたために総務省という名前を名乗っているが、英名を直訳すると「内務・通信省」。
地方行政や通信、選挙などの重要政策を担っており、大きな影響力を持つ。ふるさと納税もここの所管。キャッチコピーは「ここにも総務省」。
各都道府県庁に若手官僚を出向者として送り込んでおり、幹部ポストを奪われる地方上級の公務員からは目の敵にされているらしい。
基本的な主任務は地方自治、情報通信、行政評価。ほか、政府全体に関わる制度の調整も担当することがある。
- 消防庁
全国の自治体消防庁を監督する機関。長官は総務省のキャリアで、消防官が就任することはない。しかし総務キャリアにとっては、自治大学校と並んで左遷先の一つ。
法務省
かつての司法省。帝国時代は明確な三権分立ではなかったので、大審院(今の最高裁)は司法省の管轄にあった。
法務省はキャリアよりも検事の方が力が強く、幹部職の殆どを検事が占めている。
また、官僚のゴールも法務事務次官ではなく、下部組織である検察庁のトップ、検事総長である。
戦後から色々な役所の業務も移管され、法整備や検察のみならず、出入国管理や刑務所、団体規制に人権擁護もここが担当している。
- 検察庁
法務省の特別の機関。先述の通りこっちの方が本省よりも権勢が強いという謎の機関。
東京地検特捜部を始め、重大な政治犯罪を扱う作品には必ず登場する。
- 出入国在留管理庁
旧内部部局・入国管理局を格上げして発足した官庁。前身よりも不法滞在への対策を強化したらしい。
- 公安調査庁/公安審査委員会
共に法務省の外局。公安調査庁は情報機関。主導権は法務省から異動してきた検事が握っている。
過激派や極右、テロリストの監視・情報収集を行い、上にあげるのが仕事。
『ブラッディ・マンデイ』とかに登場している。北朝鮮に関する情報は随一だとか。
公安審査委員会は公安庁の情報を元に、破壊活動防止法に基づいて違法団体に解散処分を下すか審議する機関。
ただし、当時の公安審査委員会委員長(弁護士出身)の意向により、オウム真理教にすら解散命令が出されなかったことから、破壊活動防止法の実効性を疑問視する声も多いが。
警察庁(公安警察)からは、公安庁の杜撰な情報管理(機密情報が全て北朝鮮に筒抜け!)や、組織の貧弱さを批判され、橋本行革ではリストラ官庁候補の筆頭格であった。
そのため法務省の盲腸とも揶揄される。
外務省
外交を主任務とする機関。明治の創設以来、一度も名前が変わっていない。
名門官庁の一つで、かつては外交官試験という独自試験でキャリアを採用していた。入省後の研修でどの言語を選ぶかで将来が変わる。
「アメリカン・スクール」や「チャイナ・スクール」などの派閥があり、時の政権が親米か親中かで、省内のパワー・バランスが激変するとか。
外務事務次官ではなく、駐米大使がキャリアのゴールとなるケースが多い。
財務省
国家の財政を担当する省庁。旧名は大蔵省といい、この名称はなんと奈良時代から使われていたもの。
戦前のライバル、内務省が消え去ってからは「官庁の中の官庁」として君臨するお役所。
国民から嫌われる省庁の筆頭だが、キャリア官僚志望者からは警察庁や総務省(自治)と並ぶ大人気官庁。
ただし想像を絶する激務なため、飛び降り自殺者が出ない用に窓に鉄格子が用意されている。闇が深い。
また中央省庁の中で唯一戦前建てられた建物を本館として使っているので、老朽化もひどく何度も建て替えの話が持ち上がっているが、税を担当する省庁ということもあって国民感情に配慮して立ち消えになっている(耐震化は済んでいる)。
バブル崩壊に対応できなかったとして、橋本行革で金融監督権限を剥奪され、名称も財務省に変更された(英訳名は以前と同じ)*4
それでも予算配分権を持っているため、強大な権力を未だに有している。財布を握る者こそ勝者ということ。
税収を確保せずに、選挙目当てのバラマキ政治をしたがる政治家に対する不信感が根強く、その反動として政治的な動きが多い。
- 国税庁
税金政策を担当する財務省の外局。自営業者の敵で、脱税者が最も恐れる国家権力の尖兵。脱税なんかしなければ恐れなくて済む話なんだが。
東京国税局査察部のマルサは、実働部隊の中でも最強と称される。
文部科学省
国家の教育政策や文化維持・発展を行う省庁。旧文部省が科学技術庁と合併する形で発足。
全国の国立大学法人も監督しており、様々な科学技術もここが担当。
スポーツ事業にも関わっており、近年は2020年東京オリンピックの件で色々な意味で忙しかった。
教育政策においては時の政府や経済界の影響を受けやすく、そのため霞ヶ関の中では3流省庁とやゆされる。
前身の文部省からして戦前は内務省の完全な支配下にあり内務省文部局といわれ、戦中においては戦意向上や軍事教育を推進したため陸軍教育部と、時の権力、世相からの大きな影響を受けてきた。
現在においてもそれは変わっておらず、いまだ自民党文部局、経団連教育局、官邸文部局等と揶揄され、他省庁よりも格下に見られている。
- 文化庁
日本及び世界の文化を促進させる文科省の外局。
『コードギアス 反逆のルルーシュ』や『魔法少女まどか☆マギカ』に賞を授与しているなど、wikiこもり的にも関わりの深い組織であると言えよう。
地方創生の名の下に、文化庁を京都に移転する基本方針が決定するなど、窮地に置かれている。移転先は京都府庁内の京都府警本部が想定されている。
よほど京都に移転するのが嫌なのか、中枢機能を霞ヶ関に残そうと無駄な抵抗奮闘していたものの、2023年とうとう奮闘虚しく「上洛」を余儀なくされたのだった……。
じつは、戦前、検閲を執行していた内務省警保局図書課が前身。これは検閲とともに著作権も管轄していたため。
- スポーツ庁
スポーツの振興を図る文科省の外局。2020年東京オリンピックを前にスポーツ行政を一括して担当する省庁として厚労省の組織も取り込み誕生。
初代長官はバサロ泳法で有名な水泳選手、鈴木大地。
厚生労働省
保健・衛生を担当する中央省庁。元々は内務省の組織だったが、紆余曲折を経て旧厚生省と旧労働省が合わさって現在の形となった。
年金や労働問題もここが所掌するため、国民にとって最も身近な行政機関の一つでもある。またマトリ(麻薬取締官)もこの省の監督下にある。
霞ヶ関一女性職員が多い。事務方トップの事務次官に女性がついたことがあるのは、2023年現在でもこの省のみ。一方で残業も多い事から「強制労働省」などと呼ばれることも。近年では、若手職員有志がそのあまりに過酷な実情の告発に踏み切って話題を呼んだ。
医療、年金、子育て、労働問題、違法薬物捜査……etcと所管する政策分野が多岐にわたりかつ専門性が高いものが多く一つの省庁で担当するのは不合理ではないかと何度か分割論が出ているが立ち消えになっている。
実は陸軍省・海軍省(正確には第一・第二復員省)の残務処理を引き継いでおり、海上自衛隊の創設に関与した旧海軍関係者も一時的に厚生省に勤めていた。
『攻殻機動隊 S.A.C.シリーズ』では笑い男事件に関わる形で登場。ヤバイ施設で子供達を管理していたり、アームスーツ着たマトリが9課と戦ったりした。
『サイコパス』では主人公達公安局を有する「厚生省」が登場。
シビュラシステムを支配下に置き、犯罪を病気と称して警察庁の存在意義を奪った挙句、
「経済省」ともシステムの導入で争っているなどかなりヤバイ組織になってる。
ちなみにどっちもProduction I.Gの作品。
農林水産省
日本の農業政策や食糧、輸出入を担当する省庁。明治期の農商務省、その後身の農林省を母体とする。詳しい経緯は経済産業省で。
林業や漁業も管轄しており、国内の自然に関する事柄は大体農水省。
だが、環境庁が発足してからは縄張り争いが加速しているらしい。
BSEやTPPなど、アメリカの外圧によく巻き込まれる事が多いため、国民の食糧供給はここが握っていると言っても過言ではない。経済産業省とは仲が悪い。
かつては農協(JA)と共同歩調をとることが多かったが、日本のTPP交渉参加後はTPPに対する農水省のスタンスが変化したため、農水省と農協との間で意見が対立するケースが増えている。
ちなみに本省には食堂がいくつもあり、どこもみんな美味しいと評判。他の省庁の職員もこれを目当てに訪れるほどで、ランチタイムは常に激混み。
その他、近年では恐らく史上初の国家公務員ユーチューバー「BUZZ MAFF(ばずまふ)」が活動するなど、挑戦的で自由闊達な雰囲気も見られるようになった。
- 林野庁
森林の保護と促進を担当する外局。
実は戦後に内務省と宮内省の部局を吸収している。
- 水産庁
水産物確保と漁業保護を担当する外局。
海の実力部隊といえば海保や海自を思い浮かべるが、違法漁業などに対抗するのはまずこの役所である。そのため、漁業取締官の身分は特別司法警察職員。
また、2021年までお魚に関する検定・通称「ととけん」を実施しており、当時の長官は1級に合格していた。
経済産業省
国内の経済・貿易の発展を主任務とする官庁。旧名は通商産業省。「通常残業省」とも呼ばれる。
財務省、農林水産省、環境省と利害関係が衝突する事が非常に多く、霞ヶ関中に敵が多い。
前身である通商産業省は、戦後の「日本株式会社」総司令部で、経済大国としての日本を警戒する他国から恐れられていた。
エネルギー政策も担当する事から原子力政策官庁としても扱われ、本省ビルの敷地内(国有地)に脱原発活動家が勝手に設営したテントが建っていた……が遂に判決により強制執行された。撤去された現在もその空間には入れないようにされている。
成立過程は複雑で、元々は明治設立の「農商務省」。後に農商務省は「農林省」と「商工省」に分離。
商工省は企画院の一部を取り込んで「軍需省」になり、軍需に関係無い部分は農林省と合併し「農商省」へ。
しかし、敗戦後は「農林省」と「商工省」へ戻る。
その後、「商工省」は「通商産業省」となり、現在の経済産業省となった。
国土交通省
国土開発や運輸、海洋監視を行う中央官庁。源流は内務省国土局と鉄道省。
主に全国の国道の整備、ダム建設や海洋開発とそれに付随する業務。
以前はゼネコンとつるんで要らないデカブツを作っていると揶揄されていたが、今は予算を削られたせいかおとなしくなっている。
空港の管理も行っているほか、元々同一組織だったJRの監督も行っている。
省内に事務官系と技官系による潜在的な対立構造を抱えている。
初代大臣が元宝塚女優の扇千景だったことを覚えている人はどれだけいるだろうか。*5
近年、同省の「水の日」キャンペーンのイメージキャラクターとして、『ポケットモンスター』シリーズからシャワーズが起用された。
- 運輸安全委員会
委員会という名前だが立派な外局の一つ。航空鉄道事故調査委員会と海難審判庁を源流に持つ組織。
航空、鉄道、船舶の事故及びインシデントについて原因の調査を行い、調査結果を元に関係各所へ必要な施策・措置の実施を求める。
インターネットで誰でも無料で閲覧できる報告書には必ず「事故及び事故に伴い発生した被害の原因を究明し、事故の防止及び被害の軽減に寄与することを目的として行なわれたものであり、事故の責任を問うために行われたものではない。」と書かれている。
特定のクラスタに属する人間には建ショボBEAとかNTSBの日本版と言えば通じるかもしれない。
- 観光庁
その名の通り国内の観光を司る外局。「官公庁」と響きが同じなのがややこしい。
傘下に国際観光振興機構(日本政府観光局)がある。
- 気象庁
環境省の管轄というイメージが強いかもしれないが、国交省の管轄。
天気予報や地震、噴火などの災害に対応する外局。
何か災害が起こると課長級の人達が夜中でもインタビューに応じているのを見たことがあるだろう。
- 海上保安庁
海上警察。他国における沿岸警備隊。第四軍。
みんな大好き海上保安庁。自衛隊ではないことは知られていても、国交省の外局ということはあまり認知されていない。米国の沿岸警備隊は、以前は日本と同様に運輸省に置かれていたが、現在は国土安全保障省に置かれている。
そんな海上保安庁だが、有事の際は海上自衛隊の指揮下に入るとか。だが、海自とはとても仲が悪い。おい……。
海上保安庁は敗戦後、高等商船学校出身の旧海軍予備士官が中心となり、設立されたのに対し、海上自衛隊の前身・海上警備隊は海軍兵学校を卒業した旧海軍の正規士官(海軍将校)が中心となり海上保安庁内に設置された。太平洋戦争では高等商船学校出身者の戦死率が海軍兵学校出身者よりも高く、これが後に至るまで海上保安庁(高等商船学校出身者)と海上自衛隊(海軍兵学校出身者)の関係に禍根を残した。
さらに、海上警備隊が保安庁に移管され、警備隊となった際に、海上保安庁全部を保安庁の傘下に加えるという海上公安局法が成立、公布までされたが、旧海軍出身者からなる警備隊の傘下に入ることを嫌う海保側の抵抗により施行されなかった。
日本憲政史上、公布された法律が施行されなかった唯一の例で、いまだこの禍根は根深く残り続けているのだ……。
環境省
地球環境の保全と公害対策を行う新しい官庁。
内閣府、防衛省と同様、明治に源流を持たず、母体である内閣公害対策本部が発足したのも昭和後期。
環境庁を経て省に格上げされた。皇居外苑や京都御苑、国立公園も管轄している。
財務省からはリストラ官庁候補の一つと見られている。
東日本大震災後はエネルギー政策への関与を強めており、環境保護の観点から大量のCO2を排出する火力発電所の増設には否定的で、原子力発電所の再稼働を進めるべきだとしている。
- 原子力規制委員会
環境省の外局。事務局として原子力規制庁を置く。何故か港区六本木に本庁があるため、官庁訪問で迷う。
脱原発派からは某電力会社と同様「原子力ムラ」の中心とも揶揄される原発の監督官庁。
元々原子力技術関連は経産省・文科省・民間とバラバラに所掌が散らばっていたため、東日本大震災以降はここに集約されることとなった。
外局ではあるが、原発の規制に「政治判断」を入れないため、環境省から独立している。
防衛省
国家と国民の生命・財産を守る、日本における実力組織自衛隊の管轄機関。
政府機関としては最大の人員を誇る。
行政組織として見た場合を防衛省、実力組織として見た場合を自衛隊と呼び、防衛省と自衛隊は殆ど同一。
そのため、事務官や技官で入省した者も「自衛隊員」である。
そして、「自衛隊員」の中で武器を扱う訓練を受けた者を「自衛官」と呼ぶ(事務官・技官・自衛官合わせて自衛隊員)。
本省は霞ヶ関ではなく、旧陸軍省や参謀本部(大本営陸軍部)などがあった新宿の市ヶ谷にあり、「市ヶ谷=防衛省(情報本部)」という隠語もある。
なお、防衛省情報本部は日本最大の情報機関である。
旧防衛庁は内務官僚出身者が多く、旧陸海軍出身者が多数を占める自衛隊を、旧防衛庁の官僚が押さえ込んで管理統制するという、いわゆる「文官統制」が行われてきた。
総理府外局の防衛庁として機能していたが、2007年に防衛省に格上げされ、悲願の省昇格を果たした。近年は2015年の法改正により、部隊運用が統合幕僚監部に一元化されるなど、制服組の権限が増している。
会計検査院
国家(国会・裁判所を含む)と独立行政法人等、地方自治体、国策企業(東京電力やJRなど)の会計検査を行う行政機関。
『プリンセス・トヨトミ』で少し有名になったが、殆どの国民は知らないか財務省の外郭団体だと思っているだろう。
が、戦前から存在する名門である。
人事院や原子力規制庁とは異なり、「完全に」内閣から独立している。
そのため、政治権力から離れた厳正な会計検査を自認しており、「第四の権力」とも称される。
殆どの行政機関が国家行政組織法に根拠を置くのに対し、会計検査院は憲法90条に根拠を置く。
国民投票で改憲されない限りは永久に存続が予定された官庁とも言える。
しかし、人数がおよそ1,000人しか居ないので、国費の全てを検査することは不可能な状況にある。
戦前は天皇直属の機関で、軍部や内務省に真正面から噛み付けるだけの権威と気概を持っていた。
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*2 既存の法律との整合性を保たせることや、法律としての分かりやすさ、憲法違反かどうかなど、法律をうまく作るのは専門家でなければほぼ無理である。
*3 公務員に争議などの労働基本権が認められないのは憲法違反だという説もあるが、最高裁判所は人事院の存在を合憲だとする理由の一つに挙げている。
*4 長きにわたって名乗ってきた名称を変えさせられるにあたり相当な反発があったとか。
*5 なお扇女史いわく「政界より宝塚の方が大変だった」とのこと。
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