農耕や学業・芸事・商売と、戦とは縁遠そうな権能を持つウェルテミスだが、神と龍との大戦においては弓を取り、龍を相手に戦ったと伝えられる。
ウェルテミスの弓はかつて太陽神セルモンテスがウェルテミスに贈ったとされ、日緋色金に陽光を練り込んで作られたとされる。
弓の弦は七色に輝く虹の光であり、太陽の下では矢をつがえずとも弦を引けば光が矢となって放たれたと伝えられている。
ウェルテミスは神と龍との大戦においてはアルトリスカとアルトイコンの姉妹龍と戦った。
深海に棲まうアルトイコンとアルトリスカの鱗は光の矢でもっても傷ひとつつかなかったが、鱗に覆われていないアルトイコンの眼を射抜き、征伐した。
その際も、一度弦を引くと一本の矢が万の礫となって放たれ、アルトリスカ、アルトイコンに降り注いだという伝説があり、太陽の光を受けられる場では際限なく矢を射ることができたのだとされている。
一方で、この大戦において弓をウェルテミスに贈ったセルモンテスの名が語られていない。
狩猟神であるセルモンテスが戦の場で表に出てこないのは奇妙にも思えるが、白の魔術を扱うセルモンテスは戦場よりも負傷者の治療に当たったのだろうとする見方が研究者の間には根強く、事実セルモンテスの神器として神話が伝えているのは太陽と共に世界を巡る際に履く靴と、千の傷と万の病に効く万能の魔法霊薬で満たされた薬壺である。
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