幼い頃より、波の音を子守唄とし、小舟を揺り籠として育ちぬ。
海の恵みと共に育ちしザフィール、やがて海の向こうに、遥か神話に描かれし、南の島を見つけたり。
やがてザフィール十八の歳、時の国王マルコ・アルヴァレスの命により、船を率いて南へと発つ。
シャルーヤを出て八日後、南の海に漕ぎ出でて、その目に入るは南海の、珊瑚の上に築かれし、マーフォークの宮トラムトラン。
やがてザフィール二十四の歳、シャルーヤを出て陸沿いに、十四日の後見つけしは、遠く南域の果ての果て、そこをフォイファンと名付けたり。
やがてザフィール四十の歳、彼の目指すは果ての果て、トラムトランを背に見据え、遥か南の果ての果て南方目指して漕ぎ出でぬ。
トラムトランを出て四日、吹くはディレルの無情の嵐、南の陸地を前にして、船は波頭に砕け散り、哀れ藻屑と消え去りぬ。
天より見しはカルザミス、我が子を哀れと思いしか、船をば組み上げ持ち上げて、高く天へと掲げけり。
かくてザフィール東の空に、久しく尊く輝きぬ。』
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