ツリーフォークやエルフの他、ノームやドワーフも、環境は肌に合わないが他よりはまし、という理由でこの街に集まって暮らしている。
それだけ、この街の締め付けの緩さが彼らにとっては救いであるという証拠で、他の街からジューゴロゥへ、そして王国や西方諸島へ亡命を考える者も少なくない。
が、それは失敗すれば財産没収の上労働奴隷として売られてしまうか、命を落とすことも考えられる賭けである。
この街では、帝国法の範囲内での独立自治を許されている。
が、その特権の代償として、この街に住む住人は帝国に対し、協力的にならざるを得ない。
妻子をこの街に残しているがために、帝都の研究所で一族の秘術を明かすことを強いられた者は、決して少ない数ではない。
ジューゴロゥは彼ら住民にとって、二重の意味で檻なのである。
それだけに、住民の反帝国の感情は根強いものがあるが、痩せた土地が多く、亜人排斥政策の根付いた帝国領内には、他には出ていくところがない。
それでも帝国と戦うという選択肢が出てこないのは、帝国軍の精強さと、過去に起きた反乱の後に行われた、粛清の記憶によるところが大きいのだろう。
ジューゴロゥは帝国では数少ない、まともな大地の恵みを享受できる土地である。
そのため、住民は土地の育んだもので自給し、加工品を作って売ることができている。
しかし、その一方で税は重く、死なないように生かされている、という見方もできる。
また逆に帝国民からは数少ないまともな土地を他人種の自治区としていることに対する反発も少なくない。
交易品目に乗るような物産は少ないが、ここで生産される麦は帝国では貴重な食糧であり、同時にそれを原料とする麦酒や蒸留酒も帝国内では重要な物産となっている。
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