ヴァルマース
アレス、ウィルら冒険者たちが住む世界。
時代としては科学というものが生まれ間もない頃だが、一部の分野においては歪な発展を見せる。
深淵以前の世界
いわゆる、近世ファンタジーの世界だった。
王国や騎士団が割拠し、都市部では蒸気機関が産声を上げて普及の足がかりを探す頃。
人々は神を信じ、神もまた人々に奇跡を与えている、緩慢ながら発展し続け順調に回っていた世界。
国家、有力な領主たち、中央教会、この三つ巴が均衡を保っていた。
深淵後の世界
ある時、世界の一部が突如として削り取られ、次いで世界各地に謎の空間に通じるポータルが出現した。
深淵との邂逅である。
削り取られた地点にあった街、クライン市は見る影もなく、
痛ましい消失の跡と外郭にわずか残った無人の廃墟群だけが今もそこにある。
一方、深淵のポータルから通じる中には、未来の優れた技術、あるいは古代の財宝が紛れている場合がある。
世界の各国が恐怖に震える中で、その有用性にいち早く気がついた組織、
世界の冒険者を束ねる冒険者ギルドは、構成員に深淵の探索を奨励。
彼らの活躍の甲斐あり、ギルドはオーバーテクノロジーと莫大な資金を手中に収めることに成功する。
世は冒険者を中心に回るようになった。
その他の勢力
技術の確保に出遅れた各勢力は、選択を迫られた。
もはやギルドの軍事力は世界の軍隊を一つに束ねたとしても比肩できるか疑問視される程であった。
一枚岩でない世界の国々が手を取り合ってギルドに対抗するなど夢物語である以上、
旧体制を貫くか、ギルドと親密な関係を築くかというどちらかを選ぶ必要がある。
- 貴族たち
既得権益を手放したくない領主や騎士には、ギルドとの協調を拒む者が多い。
ギルド直轄領を解放し深淵への出入り手段を確保しようと目論む貴族もいるが、実現には至っていない。
そのためなら冒険者と手を組むことすら厭わない、本末転倒な思想も蔓延を始める。
冒険者の獲得した新技術をギルドに先んじて買い取ろうとする例もある。
成功することもままあるものの、技術とは断片で保有しても劇的なブレイクスルーに至ることは少ない。
だが逆転の一手のため、彼らがその計画をやめることはないだろう。
一方で、ギルドを相手に抵抗を行えばすなわち自滅であると主張し、ギルド側につく貴族や国家もある。
親ギルド派の彼らはギルドから技術や物品の提供を受ける代わりに、ギルドに資金や領地の供与を行っている。
絶大な資金を有するギルドとはいえ、その源が深淵の財宝だけでは安定に欠けるため、
定期的な供給が望める土地や年貢は好ましいものである。
そこに取り入ろうとする勢力も、どこかには存在しうるだろう。
- 中央教会
神々が直接的に立ち上げに関与した、純正といえる唯一の宗教。
腐敗しきっているものの、その資金力と精強な神殿騎士は貴族たちと均衡しうる。
彼らと信徒が信仰を捧げる神々とは、意志を持ち直接の奇跡を人々にもたらす、現実の存在としてある。
その神々にとって深淵とは外敵であり、外様の神と言うべきもの。
神々は司祭たちに圧力をかけ、ギルドには決して味方するなと神託を下し続けている。
しかし、深淵のポータル近辺の教会はアビス信仰が混じり、神の言葉もじわりとその威容を落とし始めている。
- 地方部族・異種族
冒険者の英雄たちによる一攫千金の逸話は世に轟く。
地方に存在する各部族も若年層を中心に冒険者への憧れが強まり、
エルフやドワーフといった閉鎖的な種族にさえギルドの門戸を叩く者がいる。
アビス信仰
深淵にはそれを司る神がある、という思想。
それは異世界間をつなぐ架け橋となる神であり、大いなる恵みをもたらすものとされる。
その実、美化されてはいるが間違ってもいない。
中央教会の神と深淵の中枢に宿った人格は種族的には同質であり、『精神体』と呼ばれるもの。
それ故にヴァルマースの神にとって商売敵となっているのだが。
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