大東亜縦貫鉄道計画

ページ名:大東亜縦貫鉄道計画

東亜縦貫鉄道計画は、大日本帝国を主導とした鉄道敷設計画で、日中戦争当時はアジアから欧州のいわゆるユーラシア横断鉄道が計画された。しかし、ドイツの降伏から規模を縮小し、東端を南樺太の敷香、西端をパキスタンのクエッタとした(敷設未定地域を除く)。この鉄道は、大東亜共栄圏を中心としたアジアの経済的、文化的連携の強化や、輸送能力強化、また国際社会に独立したアジアのさらなる統合と大日本帝国の技術力を示すことが目的とされた。計画初期段階で出された「弾丸列車計画」もこの一部である。

目次

歴史

初期構想

日中戦争が勃発すると日本国内では日本、満州、中国三国の一貫した経済一体化計画なども掲げられ、「東亜新秩序の設立」の動きがなされた。その後の太平洋戦争といった日本の対外戦争においても大東亜共栄圏設立に向けた政策が行われた。そんな中、日本国内では戦争の激化による軍事輸送需要の増加から日本国内全体に限らず、戦闘が繰り広げられるアジア大陸の輸送能力に限界が訪れようとしていた。ここで打ち出されたのが「弾丸列車計画」である。

弾丸列車計画

弾丸列車計画は、1939年頃、度重なる戦争により増加した輸送能力需要に対応するため、東京から大阪、下関を通り、関釜連絡船を利用して玄界灘を渡り釜山に上陸、さらに朝鮮の京城、平壌、満州の奉天を通った後、最終的に北京に到着する壮大な計画であった。1938年、39年には早くも鉄道幹線調査分科会と鉄道幹線調査会が設立され、列車本体の速さの研究や鉄道敷設計画の詳細な検討がされた。世間一般にこれらは"弾丸のような速さで動く列車"である「弾丸列車」として大衆に知れ渡り、多くの人々がこの計画に歓喜した。

1940年代に入るといよいよこの計画が本格的に行われ、東京・下関間新幹線建設基準に基づいて帝国議会での計画の承認のもと、多額の費用を費やし用地買収・工事が開始した。太平洋戦争も順調に進むと同時に、東京-下関間の鉄道敷設は事なく工事が進んだ。太平洋戦争も終結し、国内外の情勢が安定化すると、日本と朝鮮総督府を繋ぐ方法について再度検討が行われた。初期構想では下関駅から港に移動し、そこから船を利用して釜山に上陸、その後釜山駅から再び鉄道に乗る計画が出されていたが、これではあまりに輸送において非効率で、なによりアジアを一本の鉄道でつなげるという壮大な夢を諦めることになるとして、最終的に対馬海峡に海底トンネルを建設し、アジア大陸と日本を繋ぐ計画が採用された。また、初期案では下関からそのまま釜山にトンネルを通す計画であったが、一度九州まで鉄道を伸ばし、長崎から補給地として対馬を経由して釜山に行く計画に変更された。

列車の開発

高速鉄道を実現するには今までの列車ではなく、更に速い速度の出すことのできる列車の開発が不可欠であった。島秀雄は動力分散方式による電気を利用した電車の開発を主張するも、変電所攻撃による鉄道全線停止の危険性を考慮するべきという軍部の主張から、今まで通りの蒸気機関による動力集中方式の列車が採用された。幸いなことに、蒸気機関に関しては南満州鉄道株式会社の「あじあ号」によりある程度の実績はあるため、これをもとに新たな列車の開発が行われた。しかし蒸気機関の出す煙が長距離トンネル内に充満してしまう問題があるため、新たに電気機関車の開発も進められた。いずれも最高速度200km/hを目標とした。

関門海峡トンネル

1940年代半ば、この時点ですでに東京-名古屋間の鉄道がほぼ完成しており、太平洋戦争終結後、国内外の情勢の安定化によりその開発は更に進められ、日本に収まらず、アジア諸国の一大事業が行われていった。比較的急ピッチで工事は進み、1946年に東京-名古屋間、1947年に名古屋-神戸間、1949年には東京から下関にかけての路線が完成した。こうした中、日中戦争により情勢が不安定であった中国大陸もようやくその混乱が収まっていき、長崎と連結させることを見据え、すでに存在する京城から北京にかけての新型の高速鉄道に対応した路線の改装工事が行われた。

下関までの工事が完了すると、いよいよ関門海峡の路線の建設が開始される。瀬戸内海と日本海を繋ぐ軍事的にも重要な海峡であるため、軍用艦が通過できるように設計するのは最低条件であり、橋を建設するのではなく、トンネルを通して九州につなげる計画となった。工事期間中、関門海峡が一時利用不可になる事態が発生したが、この鉄道計画は軍事的目的が非常に大きいため、海軍部も黙認した。こうして1951年に入ると関門海峡トンネルが完成し、1952年に長崎まで路線を伸ばした。この時点で初期構想における日本国内の路線開発はほぼ完了しており、いよいよアジア地域の鉄道開発が本格化した。

対馬海峡トンネル

対馬海峡トンネル(長山トンネル)は、長崎から対馬を経由し釜山までを繋ぐ鉄道海底トンネルである。長さ約210km(陸上中継地点含む)に及ぶこの巨大トンネルは「弾丸列車計画」の最難関であり、この鉄道の開発には膨大な時間と労力、費用を要した。1955年、佐賀県唐津市からトンネル建設を開始、長崎県壱岐島までの25kmを完成させ、釜山からも対馬へ同じようにトンネルを建設した。1956年以降になるとトンネルの中継地点である対馬と壱岐島の整備を始め、壱岐島-対馬間のトンネルの延長も行い、1959年冬、ついに工事が完了した。また、1955年から鹿児島にも鉄道を伸ばす案が出され、同じく1959年冬に工事が完了した。

南満州鉄道株式会社の路面地図

アジア地域の開発と新たな計画

1940年代後半から開発が本格化した「弾丸列車計画」のアジア地域の鉄道開発は、1950年代後半には大半が完了していた。これには南満州鉄道株式会社(通称:満鉄)の影響が大きく、主に京義線、案奉線、奉山線、京山幹線4線の改装工事のみで開発は済んでいた。1957年には全線改装が完了し、残すは長山トンネルの開発のみとなった。こうした中、この弾丸列車計画の鉄道のさらなる延長を行う案が持ち上がる。それは、東京から釜山、北京、南京、上海を超え、武漢から東南アジアのサイゴン、バンコク、昭南、インドのインパール、デリーからクエッタまで続くアジアを横断する超巨大鉄道計画である。これは日満中を超え、タイやインドといった広域なアジア地域諸国の文化的、経済的、軍事的連携を強めるためのもので、大東亜共栄圏の協力のもと開発が行われる予定である。最終的には日本列島を縦断するように東京駅から鉄道を南樺太の敷香にまで延長する計画が立ち、アジア極東の樺太から中央アジア(アラビア地域)のクエッタまでの東アジア地域を完全に横断する鉄道計画となった。これが「大東亜縦貫鉄道計画」である。

現在では弾丸列車計画の工事はほぼ全てが完了しており、1960年4月23日に全線開通予定である。しかしこの計画がすべて完了したわけではなく、大東亜縦貫鉄道計画の他にも鉄道を四国に通す案や黄海トンネル、西アジア地域への延長計画も検討されており、これからのアジアの鉄道開発に期待を寄せる。

計画概要

大東亜縦貫鉄道計画は、アジア(主に東アジア)に鉄道を通し、南樺太の敷香からパキスタンのクエッタまで一本の鉄道でつなげる計画である。この計画は第一縦貫鉄道群、第二縦貫鉄道群、第三縦貫鉄道群、第四縦貫鉄道群、第五縦貫鉄道群、第六縦貫鉄道群、第七縦貫鉄道群、第八縦貫鉄道群、第九縦貫鉄道群(検討)、に分かれており、それぞれの群を段階的に建設し、大東亜縦貫鉄道の完成を目指している。

第一縦貫鉄道群 (東京~上海間)

第一縦貫鉄道群計画は、大東亜縦貫鉄道計画(計画立案当初は弾丸列車計画)の第一段階の計画であり、首都である東京の東京駅から、東海道を通り名古屋、大阪、神戸から山陽道、関門海峡トンネルを通り西海道に入り、長崎と鹿児島で分岐するいわゆる西日本横断鉄道を超え、全長200km(途中補給地含む)対馬海峡トンネル(長山トンネル)を通り朝鮮半島に上陸後、南満州鉄道から京城、平壌、奉天、北京、南京から上海に向かうルートであった。1949年に西日本の竣工、1959年にアジア大陸地域の竣工を目指し、予定通り工事は進んだ。長崎駅を超えると長山トンネルに繋がる。

東海道線

東京-品川-横浜-小田原-熱海-三島-富士-静岡-掛川-浜松-豊橋-安城-名古屋-岐阜-米原-京都-大阪

山陽道線

大阪-神戸-明石-姫路-相生-岡山-倉敷-福山-尾道-三原-広島-岩国-徳山-山口-厚挟-下関

西海道線

小倉-福岡-久留米-佐賀-長崎

南九州線久留米-筑後-大牟田-高瀬-熊本-瀬戸石-水俣-出水-川内-鹿児島

対馬海峡トンネル

長崎-壱岐-対馬-釜山

京釜線

釜山-蔚山-慶山-大邱-金泉-大田-五松-天安-始興-京城

京義線

京城-開城-沙里院-平壌-博川-義州

安奉線

義州-五龍背-鳳凰城-鶏冠山-草河口-本渓湖-蘇家屯-河琿-奉天

奉山線

奉天-新民-打虎山-溝幣子-錦-女兒河-連山-興城-緩中-山海関

京山幹線

秦皇島-灤-開平-塘沽-天津-北京

北上線

北京-済南-徐州-蚌埠-浦口-南京-上海

第二縦貫鉄道群(蘇家屯~済南間、神戸~広島間(四国経由)、東京~豊原間)

第二縦貫鉄道群計画計画は、大東亜縦貫鉄道計画の第二段階であり、まだ計画のみで工事は開始していない。この計画は第一縦貫鉄道群の補助的な役割を持っており、黄海を通り奉天と済南をつなぐルート(黄海トンネルルート)、神戸から四国に上陸し広島を目指すルート(広島ルート)、西日本横断鉄道を東京から延長して南樺太まで目指すルート(樺太ルート)と、本格的に鉄道本線を西アジア方面へ延ばす計画ではなかったが、第一縦貫鉄鉄道群の反省を踏まえ、その問題点を補い、さらなる日中満の輸送能力強化を目的としている。またこの計画により、日本列島横断鉄道が完成する。


計画概要、路線一覧、運用列車、協力企業一覧、黄海、シベリア鉄道、駅一覧、強制労働



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