宇宙大怪獣ギララ

ページ名:宇宙大怪獣ギララ
宇宙大怪獣ギララ
監督二本松嘉瑞
脚本二本松嘉瑞
元持栄美
石田守良
出演者和崎俊也
ペギー・ニール
フランツ・グルーベル
原田糸子
藤岡弘
音楽いずみたく
主題歌「ギララのロック」
撮影平瀬静雄
大越千虎
編集杉原よし
公開1967年(昭和42年)3月25日
上映時間88分
製作国日本の旗 日本
言語日本語
次作ギララの逆襲/洞爺湖サミット危機一発
allcinema
キネマ旬報
AllRovi
IMDb
 ・話・編・歴 

『宇宙大怪獣ギララ』(うちゅうだいかいじゅうギララ)は、1967年(昭和42年)3月25日に公開された松竹が制作した唯一の怪獣特撮映画作品。カラー、シネスコ、88分。 または、この作品に登場した架空の怪獣。

目次

概要[]

本作以前の日本映画界では、円谷英二のもと、東宝で「ゴジラシリーズ」を含めた「怪獣映画」が年二本のペースで公開されていたが、予算と特撮を駆使した怪獣映画の参入は、各社及び腰であった。このなか、テンプレート:和暦に大映が『大怪獣ガメラ』を制作して怪獣映画市場に参入、大ヒットとしていた。

テンプレート:和暦初頭に、円谷監督の興した円谷特技プロダクションによって制作されたテレビ番組『ウルトラQ』(TBS)が放映されると、これをきっかけに子供たちの間で、空前の「怪獣ブーム」が起こった。同年3月には大映が前年の『大怪獣ガメラ』の続編として『大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン』を『大魔神』と二本立て公開。前作を上回る大ヒットとした。

テンプレート:和暦に入って、怪獣ブームはますます過熱。テレビでは怪獣の登場する特撮番組が目白押しとなり、映画界では東宝の「ゴジラシリーズ」、大映の「ガメラシリーズ」が両社のドル箱となっていた。この一大社会現象を背景に、当時斜陽化しつつあった邦画界の中、日活・松竹もこれを好機ととらえ、競い合って特撮怪獣映画を製作する事態となった。こうして日活が『大巨獣ガッパ』を製作し、それに対抗して松竹が製作したのがこの『宇宙大怪獣ギララ』である。

政府もこの一大「怪獣ブーム」を背景に、海外に売れる怪獣映画による外貨獲得の狙いをもって制作融資を行った。本作は「社団法人・映画輸出振興協会」による輸出映画産業振興金融措置の融資を受けて、製作された映画である[1]。製作費は松竹によると1億5千万円(当時)。

本作は宇宙を舞台にしたSF映画の体裁をとり、東宝や大映の怪獣映画と差別化が図られた。科学考証には光瀬龍が招かれ、前半部では月面基地や宇宙空間でのメカニック描写などが丹念に描写された。一方で月面基地に檜風呂が登場したり、恋愛ドラマも盛り込まれるなど、「松竹大船調」の演出によって、他社とは異質な作品作りが行われている。ストーリーは、謎の円盤が結局正体が明かされないまま終わるなど、やや構成の難が指摘されている。

テンプレート:ネタバレ

ストーリー[]

謎の発光体と遭遇したという連絡後、行方不明となった宇宙船。その捜査の為に、「富士宇宙開発局(FAFC)」の新たな宇宙船「アストロボートAAB-γ号」が地球から宇宙へ向かった。月ステーション経由で帰路につくアストロボートは、件の謎の発光体と遭遇し、謎の物質の噴霧を受ける。隊員の佐野、宮本によって噴射ノズルに付着した物質から岩石のような発光体が採集され、地球へ持ち帰られた。しかし、研究室に保管された発光体はカプセルから消えてしまう。研究室には発光体の白いカスと3本指の足跡が残されていた。

翌日、FAFC宇宙基地周辺に怪獣が出現した。佐野たちによってギララと名づけられた怪獣は徐々に東京方面へ移動して都心を蹂躙。自衛隊の攻撃も全く効果なく、エネルギーを求めてギララは原子力発電所や水力発電所を破壊しつつ巨大化。さらに巨大な火の玉となって空を飛び回り、エネルギーを吸収できる場所を求め続ける。

一方、佐野たちは白いカスに含まれる物質ギララニウムが全てのエネルギー吸収と放射線を遮断することを発見。ギララニウムが月の岩石に豊富に含まれることが判明したため、佐野たちは月に急行する。発光体の妨害やギララニウム自体から出される電磁波をかわしつつ地球に帰還した佐野たちの元に、バーマン博士が建設した濃縮ウラン原子炉の核燃料を求めてFAFC宇宙基地にギララが出現した。さらに破壊の爆風に巻き込まれたリーザが研究室のタンクに足を挟まれてしまう。なおも基地に近づこうとするギララに、佐野と宮本は核燃料で基地外に誘導する作戦に打ってでる…

キャスト[]

  • 佐野:和崎俊也
  • リーザ:ペギー・ニール
  • バーマン博士:フランツ・グルーベル
  • 道子:原田糸子
  • 宮本:柳沢真一
  • 塩田:園井啓介
  • 加藤博士:岡田英次
  • FAFC技官:穂積隆信
  • 木村:浜田寅彦
  • 月ステーション通信員:藤岡弘

スタッフ[]

  • 監督:二本松嘉瑞
  • 脚本:二本松嘉瑞、元持栄美、石田守良
  • 特撮監督:池田博
  • 特撮監修:川上景司((株)日本特撮映画)
  • 撮影:平瀬静雄、大越千虎
  • 美術:重田重盛
  • 編集:杉原よし
  • 音楽:いずみたく
  • 監修:光瀬龍

主題歌[]

  • 「ギララのロック」 
    • 作詞:永六輔
    • 作曲:いずみたく
    • 歌:ボニージャックス
    • セリフ:和崎俊也
  • 「月と星のバラード」 
    • 作詞:永六輔
    • 作曲:いずみたく
    • 歌:倍賞千恵子

登場キャラクター[]

ギララ[]

謎の発光体がアストロボートに噴霧した物質に入っていた。当初は小型であったが、電気エネルギーを吸収して巨大化した。身長60m、体重15000トン。長い爪で建物を破壊し、口から白色の火の玉を吐いて暴れる。身長と同じ大きさの赤い火球になって飛行することも可。噴霧した物質に含まれるギララニウムが弱点で、これによってエネルギーを吸収されると体が縮んでしまう。

脚本段階では「デモラ」と仮称されていたが、公開を前に正式名称が「週刊少年マガジン」やポスターによって公募され、210,564人の応募(松竹の発表)のなかから、東京都在住の12歳の女子小学生の案として「ギララ」が採用された。1月28日に、撮影所内で命名式が行われている。

英語題名が テンプレート:Lang と呼ばれているのは、製作時点での台本では「怪虫X」や「怪獣X」と呼ばれていたことに由来する。表記は テンプレート:Lang-en だが、製作過程で名無しのXと呼ばれていたため、ドイツでは「ギラ」、フランスでは「イトカ」と、呼び名が異なっている。

造形は開米栄三の指導のもと[2] 、小田切幸夫によって行われた。

アストロボート[]

宇宙をテーマにした作品として登場したオリジナルメカ。正式名称は「Atmic AstroBoat」(AAB)。別名「宇宙船AAB-γ(ガンマ)」。緑商会からプラモデルも当時発売され、雑誌などでのアピール度は強かったが、劇中ではあまり目立った活躍は無く、ギララを攻撃するようなシーンも無かった。

1尺、3尺のミニチュアが作られた。「アストロボート」を始め、劇中メカのデザインは重田重盛による。

その他のメカニック[]

劇中にはほかに、「アストロボート」を収納する宇宙母艦、月面移動用の「アストロスクーター」が登場した。また、東宝以外の邦画作品では珍しく、架空の兵器として、「ミサイル搭載装甲車」と「自走レーザー砲[3]」も登場する。

関連項目[]

  • 『男はつらいよ 寅次郎真実一路』(松竹、1984年(昭和59年))
冒頭の寅次郎の夢のシーンに、ギララが登場し寅次郎と戦っている[4]
  • 1995年(平成7年)頃に、井筒和幸監督を中心にリメイク企画が進行していた。当時、井筒自身がラジオなどで言及している。
  • 『鎌倉シネマワールド』
1998年(平成10年)の秋頃からのマスコットキャラクターとして、デフォルメされたギララが媒体に登場していた。その後、同施設の閉鎖と共に自然消滅した。
  • DVD『絶対やせる電エース』
本作製作時の各種資料が紹介されている。
  • 『ギララの逆襲/洞爺湖サミット危機一発』(2008年(平成20年)、2008ギララ製作委員会)
河崎実監督。洞爺湖サミットを題材にしたギララの新作映画。
  • 米国「The Ladders」社
2008年、同社の広告にギララが登場した。

脚注[]

  1. 参議院会議録情報 第063回国会 文教委員会 第4号
  2. 『マグマ大使』LDBOX解説書より。開米は同時期公開の日活の怪獣映画『大巨獣ガッパ』の造形にも関わっている。
  3. M4中戦車の模型がベースになっている。
  4. 本作の特撮シーンが流用された。

参考文献[]

  • 『ぼくらが大好きだった特撮ヒーローBESTマガジン』(講談社)
  • 『宇宙大怪獣ギララ』DVD

テンプレート:Movie-stuben:The X from Outer Spacefr:Itoka le monstre des galaxies



特に記載のない限り、コミュニティのコンテンツはCC BY-SAライセンスの下で利用可能です。

シェアボタン: このページをSNSに投稿するのに便利です。


最近更新されたページ

左メニュー

左メニューサンプル左メニューはヘッダーメニューの【編集】>【左メニューを編集する】をクリックすると編集できます。ご自由に編集してください。掲示板雑談・質問・相談掲示板更新履歴最近のコメントカウン...

鼠小僧次郎吉_(大佛次郎)

テンプレート:基礎情報 書籍テンプレート:Portal 文学『鼠小僧次郎吉』(ねずみこぞうじろきち)は、大佛次郎が1931年(昭和6年)に発表した時代小説であり、同作を原作とし、1932年(昭和7年)...

麗人_(映画)

麗人監督島津保次郎脚本村上徳三郎原作 佐藤紅緑製作松竹蒲田撮影所出演者栗島すみ子主題歌『麗人の唄』配給日本の旗 松竹キネマ公開 1930年4月26日上映時間118分製作国日本の旗 日本言語 日本語al...

魚影の群れ

テンプレート:Portal『魚影の群れ』(ぎょえいのむれ)は、吉村昭による小説、及びそれを原作とした日本映画。目次1 概要2 映画2.1 概要2.2 スタッフ2.3 キャスト概要[]1973年、「小説...

鬼畜_(映画)

鬼畜The Demon監督野村芳太郎脚本井手雅人製作野村芳太郎野村芳樹出演者岩下志麻緒形拳音楽芥川也寸志編集太田和夫配給松竹公開日本の旗1978年10月7日上映時間110分製作国 日本言語日本語all...

鬼平犯科帳_劇場版

鬼平犯科帳 劇場版監督小野田嘉幹脚本野上龍雄製作村上光一櫻井洋三出演者二代目中村吉右衛門音楽津島利章編集園井弘一製作会社松竹フジテレビジョン配給松竹公開1995年11月18日上映時間105分製作国日本...

鬼平犯科帳

テンプレート:Redirectlistテンプレート:文学『鬼平犯科帳』(おにへいはんかちょう)は、池波正太郎の時代小説。略称は鬼平。「オール讀物」に連載された。火付盗賊改方長官・長谷川平蔵を主人公とす...

風花_(1959年の映画)

『風花』(かざはな)は、1959年公開の日本映画。木下惠介監督による。製作は松竹。キャスト[]名倉春子:岸惠子名倉強之進:永田靖名倉トミ:東山千栄子名倉勝之:細川俊夫名倉たつ子:井川邦子名倉さくら:久...

風の視線

テンプレート:Portal 文学『風の視線』(かぜのしせん)は、松本清張の長編小説。『女性自身』1961年1月3日号から12月18日号に連載され、1962年8月に光文社(カッパ・ノベルス)から刊行され...

顔_(松本清張)

テンプレート:Portal 文学『顔』(かお)は、松本清張が1956年10月に出版した短編集。及び当該短編集に収録された表題作の短編小説、またはそれを原作とする映画、テレビドラマ。目次1 短編集『顔』...

霧の旗

テンプレート:Portal 文学『霧の旗』(きりのはた)は、松本清張の長編小説。『婦人公論』1959年7月号から1960年3月号に連載され、1961年3月に中央公論社より刊行された。1965年・197...

雲霧仁左衛門_(映画)

『雲霧仁左衛門』(くもきりにざえもん)は、1978年7月1日に公開された日本映画。池波正太郎の同名小説が原作である。キャスト[]雲霧仁左衛門:仲代達矢七化けのお千代:岩下志麻安倍式部:市川染五郎 (7...

闇の狩人

テンプレート:文学『闇の狩人』(やみのかりうど)は、池波正太郎原作の時代小説、及びそれを原作とした映画・テレビドラマ(時代劇)。目次1 概要2 登場人物3 映画3.1 キャスト3.2 スタッフ4 その...

開化異相

開化異相監督犬塚稔脚本大須賀満原作 玉田喬士製作阪東妻三郎プロダクション太秦撮影所出演者阪東妻三郎森静子配給日本の旗 松竹キネマ公開 1928年10月20日上映時間133分 / 現存 25分製作国日本...

鏡獅子_(映画)

2]現存 22分 英語版製作国日本の旗 日本言語image:テンプレート:Country flag alias UK|border|25x20px|テンプレート:Country alias UKの旗鏡...

鉄拳_(1990年の映画)

『鉄拳』(てっけん)は1990年公開の日本映画である。キャスト[]菅原文太(中本誠次)大和武士(後藤明夫)桐島かれん(田村君子)ハナ肇(筒井専務)原田芳雄(滝浦勇)大楠道代(志津子)藤田敏八(池田医師...

金環蝕_(久米正雄)

]金環蝕監督清水宏脚本荒田正男原作 久米正雄出演者藤井貢川崎弘子音楽江口夜詩 (サウンド版)主題歌作詞 高橋掬太郎作曲 江口夜詩歌唱 松平晃、江戸川蘭子編集清水宏製作会社松竹蒲田撮影所配給日本の旗 松...

野良犬_(1949年の映画)

野良犬ファイル:Nora inu poster.jpg監督黒澤明脚本黒澤明菊島隆三製作本木荘二郎出演者三船敏郎志村喬木村功音楽早坂文雄撮影中井朝一編集後藤敏男配給東宝株式会社公開1949年10月17日...

野良犬_(1929年の映画)

野良犬監督悪麗之助脚本悪麗之助原作 悪麗之助製作市川右太衛門プロダクション出演者市川右太衛門高堂国典配給日本の旗 松竹キネマ公開 1929年3月2日上映時間78分製作国日本の旗 日本言語 日本語 表・...