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テンプレート:Portal 文学『眼の壁』（めのかべ）は、松本清張の長編推理小説。『週刊読売』に連載され（1957年4月14日号 - 1957年12月29日号）、1958年2月に光文社から刊行された[1]。
1958年に松竹で映画化されている。
概要[]
『点と線』に次いで連載開始された推理長編。捜査二課の扱う犯罪を発端に、様々な社会的素材・人間像を盛り込んで、連載中から大きな反響を呼んだ作品である。
あらすじ[]
電機メーカーの会計課長・関野徳一郎は、R相互銀行本店にて、パクリ屋による手形詐欺に見舞われた。会社は大損害を蒙り、責任を感じた関野は湯河原の山中に分け入り、自殺する。遺書により過程を知った関野の部下・萩崎竜雄は、社内の極秘として事件を警察に頼めないなら、自ら真相を追跡しようと決心した。新聞記者・田村満吉と共に、事件の背景を追う竜雄だったが、高利貸の女秘書・上崎絵津子や右翼の領袖・舟坂英明など、謎の人物が交錯し、やがて殺人事件に発展する。
主な登場人物[]
ファイル:Surikogiyama from Nagisodake 2001-12-9.jpg事件現場となる摺古木山周辺
- 原作における設定を記述。
エピソード[]
- 検察庁の検事・河合信太郎が、清張に「いままでの探偵小説を読んでいると、たいてい捜査一課の仕事ばかり書いている。しかし二課の仕事もあるのだから、そっちの方のなにかを書いたらどうか」と提案したのが、本作執筆の契機となった[2][3]。
- 本作「清華園」のモデルは昭和病院（現：東濃厚生病院）の分院と推定され、当時は木造建築であった[4]。
- 本作は同時期の『点と線』と異なり、連載中から非常に評判が良く、清張自身楽しみながら執筆した作品であった[5]。
- 手形詐欺のモチーフはのちに高木彬光の『白昼の死角』でも展開され、こちらも大きな話題作となった。
関連項目[]
- 瑞浪市、摺古木山、川上村 (長野県)、大町市･･･いずれも本作の舞台。また、作中に登場する「日ペリ」は現在の全日本空輸、「三留野駅」は現在の南木曽駅、「土岐津駅」は現在の土岐市駅である。
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- 硫酸クロム(III)
映画[]
| 眼の壁 | |
|---|---|
| 監督 | 大庭秀雄 |
| 脚本 | 高岩肇 |
| 製作 | 小松秀雄 |
| 出演者 | 佐田啓二 鳳八千代 |
| 音楽 | 池田正義 |
| 編集 | 浜村義康 |
| 配給 | 松竹 |
| 公開 | 日本の旗1958年10月15日 |
| 上映時間 | 95分 |
| 製作国 | 日本 |
| 言語 | 日本語 |
| allcinema | |
| キネマ旬報 | |
| IMDb | |
| 表・話・編・歴 | |
テンプレート:ウィキポータルリンクテンプレート:節stub1958年10月15日に松竹系にて公開された。原作と比べて、萩崎竜雄と上崎絵津子の邂逅場面を増やすストーリー展開となっている。現在はDVD化されている。
キャストテンプレート:ネタバレ
- 佐田啓二（萩崎竜雄）
- 鳳八千代（上崎絵津子）
- 高野真二（田村満吉）
- 朝丘雪路（永井章子）
- 織田政雄（関野徳一郎）
- 宇佐美淳也（舟坂英明・山崎事務長）
- 渡辺文雄（山本一夫・黒池健吉）
- 西村晃（瀬川弁護士）
- 多々良純（元刑事・田丸利市）
- 山路義人（岩尾輝輔・岩尾輝次）
- 三谷幸子（マダム・梅井淳子）
- 左卜全（加藤大六郎）
- 三津田健（昭和電業社長）
- 永井智雄（加賀専務）
- 十朱久雄（常務）
- 小林十九二（伊勢通信員・青山）
- 富田仲次郎（里村捜査一課長）
- 紫千代（レッドムーン女給・正美）
- 永井達郎（渡辺）
- 佐竹明夫（記者・辻）
- 福岡正剛（記者・内野）
- 稲川善一（東洋相互銀行次長）
- 小瀬朗（青年）
- 土紀洋児（東毎新聞社会部次長）
- 高木信夫（郵便局長）
- 井上正彦（バーの客）
- 町田祥子（バスの車掌）
- 大津絢子（女給・ルミ）
- 本橋和子（掃除婦）
- 大塚君代（宿屋の女将）
- 村上紀代（女中）
- 志賀真津子（瀬戸物屋の女将）
- 佐谷ひろ子（スチュワーデス）
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ほかスタッフ- 製作：小松秀雄
- 監督：大庭秀雄
- 脚本：高岩肇
- 撮影：厚田雄春
- 音楽：池田正義
- 美術：芳野尹孝
- 編集：浜村義康
- 録音：吉田庄太郎
- 照明：青松明
テンプレート:松本清張原作の映画作品
脚注・出典[]
- ↑ 単行本に加えて、1960年5月にカッパ・ノベルス版が発売されると、カッパ・ノベルス版だけで発行部数は90万部近くまで伸びた。塩澤実信『出版社の運命を決めた一冊の本』（1980年、流動出版）188頁掲載のデータ（光文社営業調べ）を参照。
- ↑ 清張による『随筆 黒い手帖』（1961年、中央公論社、2005年、中公文庫） 収録の「推理小説の発想」、特に「『眼の壁』のヒント」の項目を参照。同書には本作の創作メモも掲載され、構想段階から実際の作品に向けて変更された部分を知ることが可能である。なお、河合から聞いた話を元にした他の清張作品として、短編「鬼畜」がある。
- ↑ もっとも、「ここに書いた手形のパクリ詐欺は単純な型で、実際はもっと巧妙で複雑だが、考えがあって今回は省いた」。光文社単行本「あとがき」参照。
- ↑ 『松本清張全集 第2巻』（1971年、文藝春秋）巻末の尾崎秀樹による解説を参照。
- ↑ 佐野洋との対談「清張ミステリーの奥義を探る」（『発想の原点-松本清張対談集』（1977年、双葉社、2006年、双葉文庫）収録）参照。
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