姿三四郎_(映画)

ページ名:姿三四郎_(映画)
姿三四郎
ファイル:Duelo monma.png
昭和18年作品の一場面
監督黒澤明
脚本黒澤明
出演者藤田進
大河内傳次郎
音楽鈴木静一
撮影三村明
編集後藤敏男
配給社団法人 映画配給社(紅系)(初公開時)
東宝(再公開時)
公開image:テンプレート:Country flag alias Japan|border|25x20px|テンプレート:Country alias Japanの旗1943年3月25日
上映時間97分(初公開時)
製作国日本の旗 日本
言語日本語
次作續姿三四郎
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 ・話・編・歴 

『姿三四郎』(すがたさんしろう)は、富田常雄の小説『姿三四郎』を原作とする映画である。

この小説の映画化は複数回行われているが、ここではテンプレート:Jdateに公開された黒澤明作品を中心に記述する。

目次

黒澤作品(1943年)[]

本作は、黒澤明の初監督作品である。

新聞広告の『姿三四郎』という新刊書のタイトルを一目見て何か強く魅かれるものがあった黒澤は、東宝のプロデューサー(当時)森田信義に、同作品の映画化交渉を依頼、しかし本作の映画化は松竹や大映も希望しており、原作者である富田常雄との交渉が行われていた[1]。最終的に東宝が権利を得たのは、若手の有望株として黒澤を推薦する映画雑誌記事を読んだ富田の妻が、黒澤を薦めたからであったという[1]

当局の検閲時、検閲官の一人であった映画監督・小津安二郎は、この映画を「100点満点で120点」と評した。

あらすじ[]

明治15年、会津から柔術家を目指し上京してきた青年、姿三四郎は門馬三郎率いる神明活殺流に入門。ところがこの日、門馬らは修道館柔道の矢野正五郎闇討ちを計画していた。近年めきめきと頭角を現し警視庁の武術指南役の座を争っていた修道館柔道を門馬はいまいましく思っていたのだ。ところが多人数で襲撃したにも関わらず、矢野たった一人に神明活殺流は全滅。その様に驚愕した三四郎はすぐさま矢野に弟子入りを志願した。

やがて月日は流れ、三四郎は修道館門下の中でも最強の柔道家に育っていたが、街に出れば小競り合いからケンカを始めてしまう手の付けられない暴れん坊でもあった。そんな三四郎を師匠の矢野は「人間の道というものを分かっていない」と一喝。反発した三四郎は気概を示そうと庭の池に飛び込み死ぬと豪語するが矢野は取り合わない。兄弟子たちが心配する中意地を張っていた三四郎だが、凍える池の中から見た満月と泥池に咲いた蓮の花の美しさを目の当たりにした時、柔道家として、人間として本当の強さとは何かを悟ったのであった。

ある日蛇のように異様な殺気を帯びた男が道場を訪ねてきた。良移心当流柔術の達人、檜垣源之助は三四郎の兄弟子を一瞬で倒すほどの実力の持ち主。師匠に稽古止めを言いつけられている三四郎がこの時戦うことは適わなかったが、双方いずれ雌雄を決する日が来るであろう予感を抱く。

やがて修道館の矢野の元に新しい柔術道場開きの招待状が届く。その場で他流試合を設けたいという誘いであったが、これは暗に神明活殺流の門馬が裏切りと積年の復讐を果たすために三四郎にあてた挑戦状であった。しかし実力を増してきた門馬も既に三四郎の敵ではなく、三四郎の必殺投げ技「山嵐」が決まった時、門馬は壁に頭をぶつけ死んでしまった。試合とはいえ他人を死なせてしまったこと、その場にいて悲劇を目撃してしまった門馬の娘の悲痛な目が脳裏から離れず、三四郎は柔道を続ける意義を見失ってしまう。

師匠の矢野の猛特訓によりやっと戦う気力を取り戻した三四郎は、神社でひたすらに祈る一人の美しい娘と出会う。この娘こそ良移心当流師範、村井半助の娘の小夜であった。先の死闘を見た村井半助は警視庁武術大会での試合を三四郎に申し込み、小夜は老いた父の勝利を願って祈りを捧げていたのであった。その事を知った三四郎は自分が試合にどう臨めばいいのか自問自答しまたもや袋小路に陥ってしまうが、修道館のある寺の和尚に「その娘の美しい強さに負けない、お前の美しかった時を思い出せ」と蓮の花が咲いていた泥沼の三四郎がしがみついてきた杭を指差されたとき、彼の心は決まった。

大勢の人々が見守る中開催された警視庁武術大会。村井は全力を持って気合で三四郎を圧倒するが、研ぎ澄まされた三四郎の技が決まった時勝負はついた。しかし投げられても投げられても立ち上がってくる村井の凄みに三四郎は憔悴し、皆が祝ってくれても勝利の余韻に浸る余裕など無かったが、全身全霊を捧げた戦いの疲れを癒してくれたのは、道場に招待してくれた村井の温かい言葉と小夜の手料理であった。

唯一面白くないと憤っている檜垣源之助から遂に果たし状が届く。三四郎と戦う場をもらえなかったばかりでなく、恋慕する小夜と三四郎が親しくしているのが気に食わない。京が原での決闘、風雲急を告げる中、遂に雌雄を決する時が来た……。

キャスト[]

  • 大河内傳次郎(矢野正五郎)
  • 藤田進(姿三四郎)
  • 轟夕起子(村井の娘、小夜)
  • 月形龍之介(大映)(檜垣源之助)
  • 志村喬(村井半助)
  • 花井蘭子(お澄)
  • 青山杉作(飯沼恒民)
  • 菅井一郎(三島総監)
  • 小杉義男(門馬三郎)
  • 高堂国典(和尚)
  • 瀬川路三郎(八田)
  • 河野秋武(壇義麿)
  • 清川荘司(戸田雄次郎)
  • 三田国夫(津崎公平)
  • 中村彰(新関虎之助)
  • 坂内永三郎(根本)
  • 山室耕(虎吉)


スタッフ[]

  • 企画: 松崎啓次
  • 監督: 黒澤明
  • 脚本: 黒澤明
  • 原作: 富田常雄
  • 撮影: 三村明
  • 美術: 戸塚正夫
  • 録音: 樋口智久
  • 照明: 大沼正喜
  • 音楽: 鈴木静一
  • 監督助手: 杉江敏男
  • 編集: 後藤敏男
  • 現像: 東宝現像所


ファイル:Sugata Sanshiro poster.jpg

再公開時のポスター

1952年版[]

失われたフィルム

この作品は当初、全長97分の作品として公開された。しかし、公開翌年のテンプレート:Jdate、電力節約のため1作品の上映時間が80分以下に制限され、関係者の知らないところでフィルムにハサミが入れられてカットされた。切断されたフィルムは行方不明となり、戦後のテンプレート:Jdateに再公開された作品は全長79分の短縮版となり、カットの経緯やカットされた部分の説明などがテロップによって説明された。その後にビデオテープやレーザーディスクとして販売された作品の多くは、1952年製作のこの短縮版となっている。

このカットされた部分には、檜垣源之助にまつわるシーンや、三四郎が師の特訓を受けるシーンなどが含まれ、そのほかにもシーンやセリフの脱落箇所がある。

2002年版

カット部分のフィルムの一部が、ソ連崩壊後のロシアのコズモンドフィルムで行われた日本人による調査で発見された。終戦時に満州国にあった物が、ソ連側に資料として持ち去られていたものである。テンプレート:Jdateに発売されたDVDでは、その部分が加えられた全長91分の、「最長版」が収録されている。

リメイク[]

テンプレート:節stub

1955年版[]

  • 製作:東映東京撮影所
  • 配給:東映
  • 1955年1月27日(第一部)、1955年2月1日(第二部)
  • 10巻 2,411m (第一部) / 11巻 2,520m(第二部) 白黒
  • 企画:松崎啓次
  • 監督:田中重雄
  • 監督助手:鈴木敏郎
  • 脚本:窪田篤人、青木義久
  • 原作:富田常雄
  • 撮影:西川庄衛
  • 音楽:高田信一
  • 美術:田辺達
  • 録音:大谷政信
  • 照明:元持秀雄
  • 編集:長沢嘉樹
  • 進行担当:吉峯甲子夫
  • スチール:永嶋親文
  • 出演:波島進、宮城野由美子、高千穂ひづる、植村謙二郎、小沢栄、東野英治郎、花沢徳衛、高木二朗、山本麟一、山村聡、山岡久乃

(出典:日本映画データベース)

1965年版[]

  • 製作:宝塚映画=黒澤プロダクション
  • 配給:東宝
  • 1965年5月29日
  • 11巻 4,340m 白黒 東宝スコープ
  • 製作:黒澤明、田中友幸
  • 監督:内川清一郎
  • 脚本:黒澤明
  • 原作:富田常雄
  • 撮影:小泉福造
  • 音楽:佐藤勝
  • 美術:水谷浩
  • 録音:鴛海晄次
  • 照明:下村一夫
  • 編集:庵原周一
  • スチール:秦大三
  • 記録:梶山弘子
  • 製作担当:沖原俊哉
  • 監督助手:竹前重吉
  • 整音:下永尚
  • 殺陣:久世龍
  • 出演:加山雄三、山崎努、岡田英次、伊藤雄之助、加東大介、九重佑三子、志村喬、三船敏郎
  • 併映:『日本一のゴマすり男』(主演・植木等、監督:古澤憲吾)

(出典:日本映画データベース)

1970年版[]

  • 製作:松竹大船撮影所
  • 配給:松竹
  • 1970年7月25日
  • 6巻 2,402m カラー ワイド
  • 製作:江夏浩一、園山蕃里
  • 監督・脚本:渡辺邦男
  • 原作:富田常雄
  • 撮影:西前弘
  • 音楽:牧野由多加
  • 美術:木村晃麿
  • 録音:安田進
  • 照明:飯沼小彦
  • 編集:辻井正則
  • 出演:竹脇無我、高橋幸治、尾崎奈々、森次浩司、高城丈二、堀雄二

(出典:日本映画データベース)

1977年版[]

  • 製作:東宝映画
  • 配給:東宝
  • 1977年10月29日
  • 10巻 3,913m 143分 カラー シネマスコープ
  • 製作:貝山知弘
  • 企画協力:池田一朗
  • 監督:岡本喜八
  • 監督助手:山下賢章
  • 脚本:隆巴、岡本喜八
  • 原作:富田常雄
  • 撮影:木村大作
  • 音楽:佐藤勝
  • 美術:阿久根巌
  • 録音:田中信行
  • 整音:東宝録音センター
  • 効果:東宝効果集団
  • 照明:小島真二
  • 編集:黒岩義民
  • スチール:石月美徳
  • 技斗:宇仁貫三
  • 製作担当者:森知貴秀
  • 現像:東京現像所
  • 出演:三浦友和、秋吉久美子、中村敦夫、矢吹二朗、宮内洋、田崎潤、神崎愛、中谷一郎、浅野ゆう子、草笛光子、岸田今日子、田中邦衛、岸田森、田崎潤、芦田伸介、丹波哲郎、森繁久彌、若山富三郎、仲代達矢

(出典:日本映画データベース)

脚注[]

  1. 1.01.1 黒澤明 『蝦蟇の油』 (自伝)

関連項目[]

テンプレート:Commonscat

  • 峰の薬師

テンプレート:黒澤明監督作品テンプレート:Movie-stub

de:Judo Saga – Die Legende vom großen Judoen:Sanshiro Sugataes:La leyenda del gran judofr:La Légende du grand judoit:Sugata Sanshiroka:ძიუდოს გენიოსიko:스가타 산시로pl:Saga o dżudopt:Sugata Sanshiro (filme)ru:Гений дзюдоsr:Санширо Сугатаtr:Sugata Sanshirouk:Суґата Сансіро



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