機動警察パトレイバー_2_the_Movie

ページ名:機動警察パトレイバー_2_the_Movie

『機動警察パトレイバー2 the Movie』(きどうけいさつパトレイバー ツー ザ ムービー)は、1993年8月7日に公開されたアニメーション映画作品。

目次

あらすじ[]

テンプレート:ネタバレ1999年、東南アジア某国で、PKO部隊として日本から派遣された陸自レイバー小隊がゲリラ部隊と接触、発砲許可を得られないまま壊滅する。しかし、一人の生存者がいた。破壊されたレイバーから脱出した彼がそこで見たのは、異教の神像が見下ろす古代遺跡であった。そして、彼は「彼岸の人」となった。

「方舟」の一件から3年後の2002年冬、かつての特車二課第2小隊の面々は、隊長の後藤と山崎を除いて、新しい職場に異動し、それぞれの日々を送っていた。そんなある日横浜ベイブリッジで爆破事件が起こり、それは自衛隊の戦闘機F-16Jらしき物体から放たれた一発のミサイルによるものであることがテレビによって報道される。そして、これがすべての始まりであった。

事件に関する様々な情報が錯綜する中、南雲と後藤の下に陸幕調査部別室の荒川と名乗る男が現れ、「柘植行人(つげ ゆきひと)」という人物の捜索協力を依頼する。後藤は荒川の真意を測りかね、依頼を断るものの、直後にバッジシステムへのハッキングによって、自衛隊三沢基地所属機による幻の東京爆撃が演出されるという事件が発生する。これに過剰反応した警察の露骨な自衛隊への対抗行動により、一部自衛隊部隊の駐屯地篭城という事態にまで発展する。そんな中、ベイブリッジ爆破事件を調べていた松井刑事は、後藤から渡された荒川の資料を元に柘植と彼の組織を調べ始める。

その後も状況は悪化の一途を辿り、在日米軍の圧力もあって事態の早急な収拾を図ろうとした政府は、警察に事態悪化の責任を押し付け、自衛隊に東京への治安出動命令を下す。

そしてある雪の朝、埋立地から3機の戦闘ヘリが飛び立つ。その後、都内の通信施設・橋梁は次々に破壊され、さらに東京上空を周回する3機の無人飛行船から妨害電波が流され、都内に展開した自衛隊部隊は情報が途絶し“孤立”していった。戦闘ヘリの襲撃により特車二課は壊滅し、警察の通信設備も破壊されていく。東京を舞台にした仮想的な「戦争」が、現実のものとして創り出されていく。

同じ朝、後藤と南雲は海法警視総監列席の下で緊急招集された警備部の幹部会議に召喚されていた。緊迫した情勢下で南雲と警視庁上層部の対立が決定的となる中、特車二課壊滅を知った後藤は、この期に及んでもなお権力闘争と責任転嫁に汲々とする上層部を見限り、南雲と共に自らの手で事態を収拾する覚悟を固める。そして壊滅した特車二課に代わり、かつての第2小隊メンバーがAV-98「イングラム」と共に呼び集められた。

戦争という状況下に置かれた東京を舞台に、この「情況」を演出したテロリストを逮捕するため、特車二課第2小隊最後の任務が始まる。

概要[]

監督の押井守は『西武新宿戦線異状なし』や『機動警察パトレイバー』OVA第1期ですでに、自衛隊のクーデターをモチーフとした作品を手がけている。だが、劇場版第1作より濃厚になった押井独自の「都市論」に基づく演出や、当時物議を醸していた自衛隊PKO派遣の要素を加えるなど、前記の作品群とは一線を画すものとなった。

また、レイバーによる戦闘シーンが冒頭とクライマックスに数分間挿入されるのみに留まり、極めて抑えられたものとなっている。幻の爆撃の演出に代表される、「現実」と「非現実」についての描写も随所に散りばめられている。

世界観[]

本作はOVA第1期・劇場版1作目と同じく押井守監督作品だが、公開当時のテレフォンサービス等ではTV版・OVA第2期に連なる世界である事が明言されており、特車二課棟の所在地もOVA第1期・劇場版1作目で設定されていた大田区城南島の埋立地には存在しない様子である。本作中では18号埋立地に通じる海底トンネルの入り口が城南島東端に存在する[1][2]。ファンの混乱を避けるため公式ファンブック等ではパトレイバーはTV・OVA・映画・漫画・小説全てがパラレルワールドである事が明記されている。

漫画版とは直接的な繋がりはないが、本作の公開に合わせて、ゆうきまさみが漫画版の扉絵に本作のキャラクターやレイバーを登場させたほか、「PATLABOR 2002」と題して本作の野明と遊馬をイメージしたピンナップを描いている。しかし、それらはいずれも週刊少年サンデーに掲載されたのみで単行本未収録となっている。

演出[]

劇中でテレビなどのニュース番組の内容が映されているが、日本語のアナウンスは複数の文化放送の現役アナウンサーが声優として出演している。また、自衛隊員や民間人など、主要キャスト以外の声に敢えて素人を起用している。「声優による上手すぎる演技」を払拭する事で、現実感や臨場感を強調する為の措置であるという。

本作ではあくまで後藤をメインに話が展開され、一作目に比べ(旧)第二小隊の面々の登場割合が激減している[3]。一方で、前作以上に「鳥」が随所で登場している。これは、押井の「空を飛ぶものは、人間からすれば怖いもの」という考えに基づいた演出であるという[4]。「ヘルハウンド」に関しても、デザインこそ前作のものではあるが、河森いわく「猛禽類が獲物を狙う様をイメージソースとした」と語る本機を、鳥類のメタファーとして効果的に登場させている。

柘植が野戦基地を構え、ラストシーンの舞台となる「18号埋立地」は架空の場所[5]であるが、このシーンのロケハンは、実在の13号埋立地[6]で行われた。国に正式な手段を踏んで許可を取らなければ取材や立ち入りもできない地域とのことで、角川グループを通し、名目上は『埋立地のゴミ処理問題を調査する記事の取材』と称して『そのコメンテーターとして映画監督の押井守氏に同行していただく』という建前で申請された。その取材記事は当時のアニメ誌『月刊ニュータイプ』に掲載されている。

音楽[]

イメージソングとしてMANAによる「愛を眠らせないで」というCDシングルが発売されているが、事前のプロモーションやTV・ラジオCF等で流れたのみで、本編中では聴く事は出来ない。また、この曲に川井憲次は参加していない。

川井憲次によるサウンドトラックアルバムは三種類が発売されている。まず、劇場公開一週間前の1993年8月1日には本編の予告編的な意味合いを持つイメージアルバム「PATLABOR 2 the Movie/PRE SOUNDTRACK」が発売され、続いて9月21日に正式な劇中サントラ盤となる「ORIGINAL SOUNDTRACK "P2"」が発売された。1998年発売の「PATLABOR 2 the Movie "SOUND RENEWAL"」は本作のDVDソフト化に際しリニューアル(再録音)された音源を収録している。

劇中歌「おもひでのベイブリッジ」は前売りチケットマガジン付属のシングルCDに美桜かな子が歌ったバージョンが収録されている。また、のちにVAPより単発のシングルCDとしても一般発売された。こちらには美桜バージョンと劇中で使用されたカラオケ・バージョンの他に、「しのぶと喜一」(榊原良子と大林隆介)によるデュエット・バージョンも併せて収録されている[7]

スタッフ[]

  • 監督:押井守
  • 企画:ヘッドギア
  • 原作:ヘッドギア
  • 原案:ゆうきまさみ
  • 脚本:伊藤和典
  • 演出:西久保利彦
  • 作画監督:黄瀬和哉
  • 美術監督:小倉宏昌
  • プロデューサー:鵜之沢伸、濱渡剛、石川光久
  • エグゼクティブプロデューサー:山科誠、植村徹
  • 音楽:川井憲次
  • キャラクターデザイン:高田明美、ゆうきまさみ
  • メカニックデザイン:出渕裕、河森正治、カトキハジメ、藤島康介

声の出演[]

  • 篠原遊馬:古川登志夫
  • 泉野明:冨永みーな
  • 後藤喜一:大林隆介
  • 南雲しのぶ:榊原良子
  • 太田功:池水通洋
  • 進士幹泰:二又一成
  • 山崎ひろみ:郷里大輔
  • シバシゲオ:千葉繁
  • 榊清太郎:阪脩
  • 松井刑事:西村知道
  • 荒川茂樹:竹中直人 - モデルは大学時代に押井が主宰した「映像芸術研究会」に所属していた一橋大学の学生
  • 柘植行人:根津甚八 - 名前とPKO時代の容姿のモデルは作家・軍事評論家の柘植久慶。作中では「告げ行く人」を暗示している。

賞歴[]

  • 毎日映画コンクールアニメーション映画賞

こぼれ話[]

  • ベイブリッジ爆破事件の日付は、サントラCD盤のブックレットによると2002年2月21日。時刻は17時20分。また、本編中の描写によれば、柘植の決起はそれから五日後の2月26日となっている。また2002年以降、これに合わせて2月26日に六本木ヒルズにおいて押井の戦争に関するトークショーが毎年開催されている。
  • 押井作品ファンとして知られるジェームズ・キャメロンが『タイタニック』のキャンペーンのため来日した際、本人の希望により大友克洋と押井3者での会食が設定された。屋形船でおこなわれたその席で、ベイブリッジを目にしたキャメロンは「爆撃されたあの橋だ」と狂喜したという。また、後に彼が監督する『ターミネーター2』の特報フィルムにあるターミネーター生産シーンは、「パトレイバー」のレイバー生産ラインをオマージュしたものとも語った。
  • 本作は富野由悠季による『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』を絶賛する押井からのある種の回答やテーマに関する呼応の意味が込められている事が、同人誌『逆襲のシャア友の会』における庵野秀明との対談で告白されている。押井が他人の映画をほぼ手放しで褒める事は極めて稀な事であるが、押井との対面時にそれを告げられた富野は、同じく庵野との対談で「お世辞だと思って聞き流した」と語る。これに関してその場で庵野は「あの人(押井)はそんなに世渡りが上手くないです」と加えている。
  • 柘植には初期設定の段階で「神渡」という苗字が宛てられていた。
  • 南雲と柘植が密会した場所は東京都港区浜松町駅附近である。
  • 後藤と荒川の密会の場として使用された水族館は谷口吉生設計の葛西臨海水族園。後藤が高速艇から見上げた橋は、建設中の第二東京湾岸道路[8]という設定だが、橋の外観はロケハン当時に建設中だったレインボーブリッジが元になっている。「正義の戦争」と「不正義の平和」について後藤と荒川の台詞のやりとりが交わされるシーンは、横浜ベイブリッジから羽田付近の湾岸工業地帯にかけての風景。
  • コンビニの買出し(買占め)部隊として登場する「整備員B」は、劇場版第一作目冒頭で進士と共に二号機輸送車の運転席に居た「整備員C」と同一人物である。
  • 荒川が「おもひでのベイブリッジ」のカラオケ映像で解説する二機種のF-16の内、航空自衛隊が装備しているF-16Jは現在F-2支援戦闘機として実在している。本作品制作当時は次期支援戦闘機(FSX)として試作機の存在が知られるのみであった為、劇中ではその機体の1998年以降の配備仕様として登場しているが、実在のF-2は2000年に配備されている[9]劇中では三沢基地北部航空方面隊隷下の第3航空団第8飛行隊所属の機体番号「91-9666」、「91-9667」、「91-9668」の三機がバッジシステム画面上に登場するが、これも架空のもの。
  • 一方、アメリカ空軍が装備するF-16改(通称「ナイトファルコン」)および航空自衛隊のF-15J改(通称「イーグルプラス」)は、それぞれ実在のF-16、F-15Jをベースに発展した姿として本作で描き起こされたオリジナルの空想航空機である。それぞれステルス性の向上を図った改造が施されている。ちなみに、両者のデザインを担当した河森正治がのちに「マクロス」シリーズで発表するVF-22 シュトゥルムフォーゲルIIのベクターノズルの形状は、本作のF-16改と共通のものである。
  • 「ワイバーン」、「プリースト」、「トレボー」等のコールサイン名は、押井がかつて熱中していたRPG「ウィザードリィ」からの引用である。
  • 本作ではレイバーを差し置いてほぼ主役級の活躍を見せる「ヘルハウンド」だが、アニメ版では「AFH-02B」であった形式番号が、後発の小説版では「AH-88」に改められている。そのためAH-1Sの後継機種でマクダネルダグラス社製としていたアニメ版の設定から、AH-56の後継機でヒューズ社製のものへと変化している。それぞれの詳細に関しては各項目「AFH-02B」及び「AH-88」を参照の事。後者は「パトレイバー世界では米陸軍のAAFSS計画がキャンセルされなかった」という裏設定に基づくものであり、押井守の個人的な趣味が反映されたものである。押井の著書「メカフィリア」によれば、実は当初の段階から後者の構想で河森正治には発注が出されていたらしい。シリーズ中でレイバーではないメカニックの中でもファンの人気は高く、映画の公開から約15年を経て単独でのプラモデル化が決定するほどである。押井が監督した実写作品『PATLABOR LIVE ACTION MOVIE』(パイロットフィルム)には、後者の設定に基づく後継機AH-88J2改「グレイゴースト」も登場している。
  • キャストとして、お笑いコンビ『バナナマン』を結成する以前、ピンのタレントとして活動をしていた頃の日村勇紀の名がクレジットされている。本人はどんな役をやったのかもう覚えていないとレギュラーのラジオ番組で語ったが、リスナーからの指摘と相方の設楽統の証言により、冒頭部分に出てくる、シゲに「班長、後藤さん見かけなかったかって」「後藤さん捜してるんだって」と話しかける整備員が日村であるとされた。また、他の部分にも何度か出ていると設楽が話したが、こちらは未確認。
  • 前述の通り、荒川茂樹のモデルは大学時代に押井が主宰した「映像芸術研究会」に所属していた学生であるが、一橋大学を卒業後、本当に幹部自衛官になっていた。本作に関する雑誌インタビューにも応じており、当時は、防衛大学校の防衛学教官であった。
  • 劇中でテロ鎮圧に駆り出され、戦線復帰したイングラムであるが、さらに後の所在に関しては、東ヨーロッパの警察に払い下げられ、2017年の時点でも現役で災害救助活動を行っている一号機と、頭部をTV版仕様に戻した三号機の姿が確認できる[10]
  • NHK-BS2では本作が繰り返し放送されているが、作中ではヘルハウンドの20mmガトリング砲によりNHK放送センター本館の通信塔が派手に破壊されている。
  • 本作は押井と出渕が袂を別つ直接のきっかけとなった[11]。元々パトレイバーの原案を立ち上げた出渕とゆうきの両者に対して、メカデザインの観点などから押井は不満を持っていた[12]が、製作中に出渕のデザイン提出が遅れた際に、ついに感情をぶつけ、「お前やゆうきまさみは、要するにレイバーが宇宙でドンパチやるようなものをやりたいんだろ!」との侮辱的な発言をしてしまい、電話口での大喧嘩となったという。以後、押井は出渕のデザインを酷評しており、押井が監督を務める作品について、出渕が直接スタッフとして関わったものもない。『WXIII 機動警察パトレイバー』でも、押井と伊藤[13]は作品に関与しなかった。当時から10年以上経過した現在においても、押井は出渕について「(時間がたってお互いに落ち着いた今となっては)友人としてならあるかもしれないが、仕事のパートナーとしてはあり得ない人物」との旨を述べている。
  • 放映開始後53分頃に、放映当時流行していた子供向け番組ウゴウゴ・ルーガに登場するみかんせいじん、TVくんが確認出来る。

「幻の新橋駅」について[]

物語終盤において、南雲しのぶと旧第二小隊の面々とレイバーを載せた列車は丸ノ内線の「新宿三丁目駅」および「四谷三丁目駅」を通過する。その後「新橋駅」に向う途中、線路は駅の手前で一度地上に出る。その間に列車は自衛隊の治安部隊に発見され、新橋駅に先回りして別働の隊員が配備される。だが、直前で何者かの手によりポイントが切り替えられており、列車は自衛隊員の待つホームには姿をあらわさなかった。

南雲達を載せた列車は丸ノ内線から(おそらくは赤坂見附駅にある丸ノ内線と銀座線の連絡線を経由して)昭和13年に封鎖された銀座線の「幻の新橋駅」に乗り入れ停車する。これは現在使用されている新橋駅ではない。

もともと銀座線は昭和9年に東京地下鉄道という会社が浅草-新橋に建設した路線を使用している。そして昭和13年、これとは別に東京高速鉄道が渋谷-新橋に地下鉄線路を敷いた。この時点でふたつの地下鉄にそれぞれの新橋駅が並立したことになる(東京地下鉄銀座線新橋駅も参照のこと)。しかし、東京高速鉄道の五島慶太社長が東京地下鉄道の株を大量に買い占めたため、ふたつの路線はつながれることとなり、東京高速鉄道の新橋駅は約8箇月で閉鎖されてしまう結果となった。この閉鎖された駅を含む地下空間が後藤と荒川が南雲たちを待っていた場所だった。

この「幻の新橋駅」(旧東京高速鉄道の駅)は現在の新橋駅として使用されている東京地下鉄道の駅とは、西端(虎ノ門方)券売機の壁一枚しか隔てていない。劇中では「昭和18年に閉鎖されて以来半世紀以上眠っていた地下鉄銀座線の幻の新橋駅」と述べられているが、そのモチーフ自体は実在するものである。だが、映画のシーンに映る空間は、押井守の著書「METHODS-機動警察パトレイバー2演出ノート-」によれば、とある工事現場を参考に設定がおこされた情景であることが述べられており、劇中でも「湾岸開発華やかなりし頃に建造された地下鉄銀座線の幻の新橋駅と湾岸の工区とを結ぶ新旧の結節点」と説明しているため、正確には「幻の新橋駅を拡張(あるいは隣接)する形で作られた架空の空間」と考えるべきであろう。ただし実際の駅の様子も当時ロケハンされており、本編では駅名プレートのみ実在のものをそのまま再現して描いている。

現実の「幻の新橋駅」も劇中の様に本線から電車が進入出来るため、線路自体は留置線として現在も使用されていて日に数度回送車両が入線している。現在この駅は「新橋駅幻のホーム」と名付けられ、東京メトロが主催するイベント等で、内部を見学できる機会が設けられているが、その様子は劇中から想起される「廃駅」という言葉のイメージからは程遠く、かつてホームだった場所には駅員・乗務員・関連会社職員用の施設(講習室、会議室、資料保管庫・休憩室・寝室、トイレ・浴室等)が後から建設され当時とは様相を異にしている。見学者用に当時の遺構や資料なども用意されてはいるが、これらは1997年に銀座線の開業70周年記念イベントに際した大掃除とリニューアル作業が実施されて以降のことであって、それ以前は通常使用される場所以外は必要最低限の管理に留めていた期間が永らく続いていたため、本作品の取材が行われた当時は場所によっては内部が雑然とした状態だったという。東京地下鉄の公式発表によれば駅の設計図などは現存しておらず、当時の改札口や地上への出口がどこにあったのかも正確には分っていないが、構内の構築物の状況からおおよその場所は特定されているとの事である。

なお、これら一連のシーンのあと列車はさらにレールを通って湾岸部周辺(大田区城南島東端)まで進んでいるが、その間の描写はなく、観た者の想像に委ねられるかたちとなっている。だが、既存の路線から考えれば「結節点」の先は恐らく都営地下鉄浅草線に通じており(実際に新橋駅は銀座線と浅草線の連絡駅である)、そこを経由しながら目的地点へと到達したものと考えられる。都営浅草線は西で京急本線に通じているため、直接羽田空港や小島新田駅(行政区分上の所在地は神奈川県)等の東京湾岸エリアに直通している。また、製作当時は小島新田駅付近はJR川崎貨物駅から貨物列車乗入れのため三線軌条化されており、1067mm軌間との接点にもなっていた[14]

小説[]

  • 押井 守『機動警察パトレイバー TOKYO WAR』 (富士見ファンタジア文庫)
(前編)ISBN 4-8291-2552-7(後編)ISBN 4-8291-2568-3
  • 押井 守『TOKYO WAR MOBILE POLICE PATLABOR』(エンターブレイン、2005年) ISBN 4757723660
監督押井守自ら書き起こした小説処女作の完全版。

LD[]

  • 本編133分+映像特典2分、ノートリミング、ビスタサイズ、CLV収録。
    • ブックレット「PATLABOR2 THE MOVIE "MEET THE MOVIE 2" にて小説家の友成純一が解説を書いている。
    • ジャケットを開くと、黒地に赤文字でルカによる福音書第12章51~53節がある。
  • 機動警察パトレイバー the Movieとセットになった機動警察パトレイバー劇場版 コンプリートワークスというLD-BOXが後に販売された。CAVにて収録。

DVD[]

  • 初DVD化は1998年。2000年に劇場公開版とサウンドリニューアル版の2種類の音声を収録した新バージョンが発売された。また、2004年にも新ジャケットで再発売され初回特典としてLD大のパッケージ、キャストのインタービュー記事などが付属した。
  • その後は通常版として販売中。1と共に米国でも発売。(豪華版:89ドル99セント。通常版:29ドル99セント)
  • 絵コンテがセットになったバージョンが発売
  • 劇場版シリーズのメイキングが収録されたDVD及び各主雑誌記事などが本として付属したPATLABOR MOVIE ARCHIVES発売。
  • Blu-ray/HD-DVDとDVDがセット(各ディスクそれぞれに本編が収録されている)になった商品が2007年8月24日に国内発売された。

BD[]

  • Blu-rayとDVDがセットで2007年8月24日に発売。
  • Blu-rayの単品版が2008年7月25日に発売。

参考文献[]

  • 『THIS IS ANIMATION THE SELECT 機動警察パトレイバー2 the Movie』(小学館、1993年) ISBN 4091015190
  • 『機動警察パトレイバー2 the Movie 設定資料全集』(小学館、1993年) ISBN 409101576X
  • 『機動警察パトレイバー2 the Movie』(小学館、1994年) ISBN 4091218741
本作のフィルムコミック
  • 『Methods 押井守「パトレイバー2」演出ノート』(角川書店、1994年) ISBN 4048524984


  • 『WXIII 機動警察パトレイバー 設定資料全集』(小学館、2002年) ISBN 4091015654
  • 『P‐pack』(こだま出版、2002年) ISBN 4906069347
  • 『押井守・映像機械論 メカフィリア』(大日本絵画、2002年) ISBN 4499227542
  • 『押井守 人間の彼方、映画の彼方へ』(河出書房新社、2004年) ISBN 4309976824

脚注[]

テンプレート:脚注ヘルプ

  1. ただし、これは押井の認めるところであったか、演出ミスであったどうかは不明。
  2. テレフォンサービスは横手美智子らの脚本によるものである。その一方、『機動警察パトレイバーCD BOX』に収録された、伊藤和典脚本によるドラマCD『第2小隊日誌』では、世界の繋がりに関して異なった解釈がなされている。「劇場版2作目の前日譚」として発表された本作では、テレビシリーズの内容には触れず、初期OVA6話までの内容を振り返りつつ、篠原重工にテストパイロットとして出向する野明と遊馬の様子や、テスト機として送り出される98式が描かれるなど、劇場版2作目が、TVシリーズではなくOVA第1期と繋がっていることが明示されている。劇場版2作目の公開直前である1992年に書き下ろされていることから、少なくとも脚本の伊藤においては、劇場版2作目はOVA第1期と繋がっている認識であったことが分かる。また、押井守による劇場版2作目のノベライズである『TOKYO WAR』では、太田が香貫花あての遺書のみを残し、熊耳についての描写は存在しないなど、初期OVA・劇場版1作目の世界と連なっているらしき表現も見受けられる。ただし、『TOKYO WAR』は押井個人の解釈に基づいた作品であることに注意。
  3. 後に押井自ら手がけた小説版『TOKYO WAR』では、映画では割愛された部分が大幅に追加されている為、映画では描かれなかった彼らの様子も詳細に描写されている。劇場版には登場しなかった香貫花・クランシーについてもわずかに触れられているが、熊耳武緒についての記述は一切ない。この小説版はそんな映画版の補完の役目を担う一方、あらゆる面で『食』に対する押井のこだわりが書き綴られている。なお、これは押井にとっての小説処女作でもある。
  4. なお、鳥の他に魚も押井が好むモチーフだが、これは聖書からの暗喩でもあるという。犬については押井本人の好み。押井が自ら執筆した本作のノベライズでは、柘植一味のヘルハウンド発進を目撃した男性の飼い犬には“ガブ”という名前が設定されており、これは当時の押井が飼っていたバセットハウンドの愛称(正式な名前はガブリエル)である。また、映像作品中(本作)で描かれた姿から、犬種も同じである。
  5. 劇場版第三作目「WXIII 機動警察パトレイバー」に登場する廃棄スタジアムも実は同じ土地に存在している。本作では進士と南雲が敵本部への侵入経路をCGで説明するシーン、「WXIII」では怪物が殲滅されたあとカメラが上空へと引いていくシーンや設定資料などでそれぞれ地形が確認できる。周辺の立地状況に関してはこちらも参照。南雲が柘植を逮捕する場所と廃棄スタジアムは、実は徒歩で行き来する事も十分に可能な距離なのである。本作では殺風景な様子だが、南雲たちの居た場所から水門や側路(ところどころは未舗装)を挟み、島中央のスタジアム周辺には駐車場や小さな公園が広がっている。スタジアムは元々2002 FIFAワールドカップ開催時の使用を目指し建設が進められていた物であるらしい。だが「パトレイバー」の世界ではその誘致に失敗した為、建設を中止して放棄され、バビロンプロジェクト完了後もこの埋立地そのものが宙に浮いていた模様。
  6. 設定上18号埋立地に隣接する中央防波堤外側埋立地を指す。
  7. 当初この「おもひでのベイブリッジ」は冗談の様な軽い気持ちで作曲されたが、美桜かな子バージョンのレコーディングの際には「演歌の鬼」の様な先生が同伴してきて美桜かな子に熱烈指導を始めた為、作曲を担当した川井の顔は徐々に青ざめていったという。
  8. 現実世界では建設の目処は立っていない。
  9. 第3航空団第8飛行隊にF-2が配備されたのは2009年。本作公開時の1993年時点での装備機はF-1支援戦闘機。また本作の設定年である2002年時点ではF-4EJ改を装備。総配備数の130機という設定も、開発当時予定されていた配備数が元である。
  10. 掲載は「モデルグラフィックス」2001年8月号及び12月号。ただし、模型誌による設定である点に注意。ホビージャパンなど他の模型誌も含めて、模型誌では原作中に存在しないメカを空想してスクラッチビルドの作例として掲載する際や、対象作品特集本の刊行において、記事内で公式設定然とした解説をつけることが頻繁にあり、それが実際には公式設定でないこともしばしばある。
  11. 本件については、別作品ではあるが、ラーゼフォン 多元変奏曲のDVD初回限定版ブックレットで、押井と出渕の対談が実現しており、そこで言及されている。
  12. ゆうきと出渕が考えていた警察用レイバーのイメージは「その姿を見ただけで犯罪者が圧倒されるようなもの」であり、これがイングラムの「見る者に与える心理的影響まで考慮してデザインされた」という設定と劇中における実際のデザインにも繋がっている。一方、押井が考えていたのは「風呂釜に手足をつけたような機械」である。押井はレイバーをあくまでギミックとして捉えており、主役のレイバーをロボットものにありがちなヒロイックなデザインとすることに不服であった。いかにも建設機械然とした作業用レイバーのデザインには、こうした押井の温めていたイメージが反映されている。
  13. もともと押井と伊藤は親友同士であり、伊藤も不参加となった。伊藤自身は出渕とも古い付き合いであり、決して不仲ではなかったが、当時多忙であったことから、押井の「今更パトレイバーなんて、やりたい人が勝手にやれば良い。第二小隊の面々は既に描ききっているし、自分はもはや興味が繋がらない。」という考えに同調する立場をとった。なお、押井が一連のパトレイバーシリーズに参入したきっかけは、伊藤からの誘いである。機動警察パトレイバー#ヘッドギア参照。
  14. 奇しくも、イングラム制式化の前年になる1997年に廃止、撤去されてしまった。

外部リンク[]

  • BANDAI CHANNEL - 機動警察パトレイバー2 the Movie
  • asahi.com 「幻の新橋駅ホーム」で見た謎の15センチ…現在の駅内部を取材した記事。写真あり。


テンプレート:機動警察パトレイバー

de:Patlabor 2 – The Movieen:Patlabor 2: The Movieit:Patlabor 2 the Movie



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鬼平犯科帳 劇場版監督小野田嘉幹脚本野上龍雄製作村上光一櫻井洋三出演者二代目中村吉右衛門音楽津島利章編集園井弘一製作会社松竹フジテレビジョン配給松竹公開1995年11月18日上映時間105分製作国日本...

鬼平犯科帳

テンプレート:Redirectlistテンプレート:文学『鬼平犯科帳』(おにへいはんかちょう)は、池波正太郎の時代小説。略称は鬼平。「オール讀物」に連載された。火付盗賊改方長官・長谷川平蔵を主人公とす...

風花_(1959年の映画)

『風花』(かざはな)は、1959年公開の日本映画。木下惠介監督による。製作は松竹。キャスト[]名倉春子:岸惠子名倉強之進:永田靖名倉トミ:東山千栄子名倉勝之:細川俊夫名倉たつ子:井川邦子名倉さくら:久...

風の視線

テンプレート:Portal 文学『風の視線』(かぜのしせん)は、松本清張の長編小説。『女性自身』1961年1月3日号から12月18日号に連載され、1962年8月に光文社(カッパ・ノベルス)から刊行され...

顔_(松本清張)

テンプレート:Portal 文学『顔』(かお)は、松本清張が1956年10月に出版した短編集。及び当該短編集に収録された表題作の短編小説、またはそれを原作とする映画、テレビドラマ。目次1 短編集『顔』...

霧の旗

テンプレート:Portal 文学『霧の旗』(きりのはた)は、松本清張の長編小説。『婦人公論』1959年7月号から1960年3月号に連載され、1961年3月に中央公論社より刊行された。1965年・197...

雲霧仁左衛門_(映画)

『雲霧仁左衛門』(くもきりにざえもん)は、1978年7月1日に公開された日本映画。池波正太郎の同名小説が原作である。キャスト[]雲霧仁左衛門:仲代達矢七化けのお千代:岩下志麻安倍式部:市川染五郎 (7...

闇の狩人

テンプレート:文学『闇の狩人』(やみのかりうど)は、池波正太郎原作の時代小説、及びそれを原作とした映画・テレビドラマ(時代劇)。目次1 概要2 登場人物3 映画3.1 キャスト3.2 スタッフ4 その...

開化異相

開化異相監督犬塚稔脚本大須賀満原作 玉田喬士製作阪東妻三郎プロダクション太秦撮影所出演者阪東妻三郎森静子配給日本の旗 松竹キネマ公開 1928年10月20日上映時間133分 / 現存 25分製作国日本...

鏡獅子_(映画)

2]現存 22分 英語版製作国日本の旗 日本言語image:テンプレート:Country flag alias UK|border|25x20px|テンプレート:Country alias UKの旗鏡...

鉄拳_(1990年の映画)

『鉄拳』(てっけん)は1990年公開の日本映画である。キャスト[]菅原文太(中本誠次)大和武士(後藤明夫)桐島かれん(田村君子)ハナ肇(筒井専務)原田芳雄(滝浦勇)大楠道代(志津子)藤田敏八(池田医師...

金環蝕_(久米正雄)

]金環蝕監督清水宏脚本荒田正男原作 久米正雄出演者藤井貢川崎弘子音楽江口夜詩 (サウンド版)主題歌作詞 高橋掬太郎作曲 江口夜詩歌唱 松平晃、江戸川蘭子編集清水宏製作会社松竹蒲田撮影所配給日本の旗 松...

野良犬_(1949年の映画)

野良犬ファイル:Nora inu poster.jpg監督黒澤明脚本黒澤明菊島隆三製作本木荘二郎出演者三船敏郎志村喬木村功音楽早坂文雄撮影中井朝一編集後藤敏男配給東宝株式会社公開1949年10月17日...

野良犬_(1929年の映画)

野良犬監督悪麗之助脚本悪麗之助原作 悪麗之助製作市川右太衛門プロダクション出演者市川右太衛門高堂国典配給日本の旗 松竹キネマ公開 1929年3月2日上映時間78分製作国日本の旗 日本言語 日本語 表・...