前立腺がんー骨盤内リンパ節転移陽性

ページ名:前立腺がんー骨盤内リンパ節転移陽性

 


vs アンドロゲン除去療法(ADT)単独


<第2相試験>

Fink CA et al. Strahlenther Onkol. 2024. PMID 37640867
・リンパ節転移陽性前立腺がんに対する標的内同時ブースト(SIB)を用いた全骨盤照射
・第2相試験(2009~2018年)、PLATIN-2試験、ドイツ
<結論>リンパ節転移陽性前立腺がんに対し標的内同時ブースト(SIB)を用いた根治的放射線治療は有効で、腫瘍制御率は良好で、治療関連毒性は認容可能な範囲のものであった。リンパ節転移の数より転移の部位(総腸骨リンパ節転移)が主な病勢増悪のリスク因子であった。
・対象:治療歴のないリンパ節転移陽性前立腺がん40例
・放射線治療:骨盤リンパ節領域 51Gy/34回(1.5Gy/回)、転移リンパ節 61.2 Gy/34回(1.8Gy/回)、前立腺 76.5Gy/34回(2.25Gy/回)
・経過観察期間(中央値)79ヶ月
・全生存期間(中央値)107ヶ月、無増悪生存期間(中央値)78ヶ月
・治療24ヶ月間の画像的なフォローで照射野内からの再発は報告されなかった
・治療関連毒性(G3+)発生率:8%
・総腸骨リンパ節転移陽性の患者では病勢増悪のリスクが高かった(HR 15.8, 95% CI 2.1-119.8, SS)


<後ろ向き研究>

Kim TH et al. In Vivo. 2023. PMID 37652494
・臨床的リンパ節転移陽性(cN1)前立腺がんに対する根治的放射線治療の予後因子
・後ろ向き研究、韓国
<結論>臨床的リンパ節転移陽性前立腺がんに対する根治的放射線治療施行例において、アンドロゲン除去療法(ADT)の期間とリンパ節転移の数が重要な予後因子である。
・対象:リンパ節転移陽性(cN1)前立腺がんに対し根治的放射線治療が行われた患者60例
・経過観察期間(中央値)31ヶ月
・アンドロゲン除去療法期間(ADT)(24ヶ月以上)(HR 0.26, SS)および 生検%陽性コア(75%以上)(HR 5.29, SS)が遠隔無再発生存と有意に関連していた。
・ADT(24ヶ月以上)(HR 0.06, SS)および リンパ節転移の数(4個以上)(HR 7.17, SS)が全生存と有意に関連していた。
・患者を因子により3つのリスク群に分けた(低リスク:リンパ節転移4個未満かつ ADT 24ヶ月以上)、高リスク(リンパ節転移の数 4個以上 かつ ADT 24ヶ月未満)、中間リスクは低リスク/高リスク以外
・3年全生存率:低リスク群 100%、中間リスク群 93%、高リスク群 46%。

 

Mohamad Roji A et al. BJR Open. 2023. PMID 37035766
・リンパ節転移陽性(cN1)前立腺がんに対するアンドロゲン除去療法(ADT)+骨盤部および前立腺部に対する放射線治療の併用
・後ろ向き研究、英国
<結論>リンパ節転移(cN1)陽性の前立腺がん患者では、アンドロゲン除去療法(ADT)に加え、骨盤部と前立腺への外照射を考慮すべきである。治療に伴う毒性は軽度で忍容性が高く、局所領域制御は良好で病勢進行までの期間延長に寄与する。
・対象:2012年1月-2020年1月の期間に、骨盤部への外照射が行われたリンパ節転移陽性(cN1)前立腺がん患者
・121例を同定した。
・治療の忍容性は良好;治療関連毒性(G3)発生率:1.7%
・5年全生存率:74%、前立腺がん特異的生存率:89%
・5年治療奏効維持生存率(failure-free survival):55%
・5年生化学的無再発生存率:56%、局所領域無再発生存率:85%、、遠隔無再発生存率:65%

 

Nakamura K et al. Cancer Med. 2023. PMID 36536528
・領域リンパ節転移陽性前立腺がんに対する標的内同時ブースト法(SIB)を用いた骨盤照射とアンドロゲン除去療法(ADT)の併用
・後ろ向き研究、日本
<結論>骨盤内リンパ節転移陽性前立腺がんに対する標的内同時ブースト法を用いた骨盤部放射線治療は安全に施行可能。ISUP grade group 5やPSA値が検出感度以下とならない患者では去勢抵抗性に進行するリスクが高く、治療強度を高める必要があるかもしれない。
・対象:前立腺がん、cT1c-4N1M0、67例
・放射線治療:前立腺 78Gy/39回(2Gy/1回)、転移リンパ節 66.3Gy/39回(1.7Gy/回)、骨盤リンパ節領域 58.5Gy/39回(1.5Gy/回)
・全例でネオアジュバントADTが行われていた(期間 [中央値] 8.3ヶ月)
・66例に対しては放射線治療後にアジュバントADTが行われていた(期間 [中央値] 24.7ヶ月])
・経過観察期間(中央値)81.6ヶ月(範囲:30.5-160.7ヶ月)
・10年生化学的無再発生存率:60%、全生存率:80%、前立腺がん特異的生存率:86%
・局所再発は認められなかった
・ISUP grade group 5 および 治療後にPSA値が検出感度(0.010 ng/mL)とならないことが、不良な前立腺がん特異的生存や去勢抵抗性前立腺がんへの進行と関連していた。
・10年泌尿器生殖器晩期毒性発生率:G2 1.5%、G3 0%
・10年消化器晩期毒性発生率:G2 0%、G3 1.5%

 

Tsuchida K et al. Cancer Med. 2020. PMID 32750234
・骨盤内リンパ節転移陽性(cN1)前立腺がんに対する骨盤照射
・後ろ向き研究、日本
<結論>骨盤内リンパ節転移陽性前立腺がんに対する骨盤照射において、転移リンパ節に対する照射線量の増加による重篤な有害事象を増加させることなく、生化学的無再発生存、無再発生存および遠隔無再発生存を改善できる可能性がある。
・対象:2004年6月-2016年2月、根治的放射線治療とアンドロゲン除去療法(ADT)の併用が行われた骨盤内リンパ節転移陽性前立腺がん
・一部の患者では強度変調放射線治療を用いて転移リンパ節に対し高線量の照射が行われた
・51例の患者を組み入れ解析
・経過観察期間(中央値)88ヶ月(範囲:20-157ヶ月)
・グリソンパターンとリンパ節転移に対する放射線治療の線量が無再発生存(RFS)と遠隔無再発生存(DMFS)の有意な予後因子であった。
・リンパ節転移に対して線量増加(60Gy以上)が行われた患者群では、標準的な線量の照射群と比較して、無再発生存率(4年 91% vs 82%、7年 91% vs 58%)および 遠隔無再発生存率(4年 91% vs 82%、7年 91% vs 63%)が有意に良好であった。
・生化学的無再発生存の有意な予後因子:Tステージ、リンパ節転移への照射線量、前立腺部への照射線量、アンドロゲン除去療法の期間
・リンパ節に対し高線量(60Gy以上)の照射が行われた患者で急性期の尿閉(G2+)の増加を認めたものの、それを除く有害事象はリンパ節転移や前立腺部への照射線量による有意な差異はみられなかった。


 

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