前立腺がんー骨盤内リンパ節転移陽性ーvs ADT単独

ページ名:前立腺がんー骨盤内リンパ節転移陽性ーvs ADT単独

 


【システマティックレビュー/メタアナリシス】

Yaow CYL et al. Eur Urol Oncol. 2023. PMID 37730526
・リンパ節転移陽性(N1)前立腺がんに対する局所治療
・システマティックレビュー/メタアナリシス
<結論>リンパ節転移陽性(cN1)前立腺がん患者に対する局所治療(放射線治療/前立腺全摘除術)による全生存の改善効果が示唆された。
・局所治療(LT)が行われたリンパ節転移陽性(cN1)前立腺がんの治療成績を評価し、放射線治療(RT)と根治的前立腺全摘除術(RP)で比較した。
・8件の研究、8,522例の患者を組み入れた。
・局所治療が行われなかった患者(no LT)と比較して、局所治療が行われた患者(LT)で2年~10年にかけての全生存が有意に良好であった。
・特に10年全生存では局所治療による生存成績の改善におけるベネフィットが大きかった(OR 1.49, 95% CI 1.06-2.10)
・放射線治療(RT)および前立腺全摘除術(RP)はいずれも無再発生存の改善に有益であり、4年成績の評価では両治療法間で治療成績に有意な差異を認めなかった(4年 OR 0.76, 95% CI 0.41-1.40, p=0.19)

 


【データベース解析】

Bryant AK et al. Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2018. PMID 29891203
・リンパ節転移陽性前立腺がん;アンドロゲン除去療法(ADT)単独 vs アンドロゲン除去療法+放射線治療(ADT+RT)
・National Veterans Affairs database(2000-2015年)を用いた解析
<結論>臨床的なリンパ節転移前立腺がん患者において、治療前のPSA値が低い患者では、アンドロゲン除去療法単独治療と比較して、放射線治療を併用した患者で前立腺がん特異的生存が良好で全死亡リスクの低下がみられた。リンパ節転移陽性の前立腺がんの一部の患者は併用療法を行うことにより長期生存が得られる患者のサブセットが存在する様子。
・ADT単独 450例、ADT+RT 198例を解析
・PSA値(中央値)26 ng/mL
・PSA値中央値(26 ng/mL)未満の患者では、ADT単独と比較して、ADT+RT群の前立腺がん特異的生存が有意に良好であった(HR 0.50, 95% CI 0.28-0.88, SS)
・PSA値中央値(26 ng/mL)以上の患者では、ADT単独とADT+RTの前立腺がん特異的生存に有意差を認めなかった(HR 1.15, 95% CI 0.67-1.96, NS)
・PSA値中央値(26 ng/mL)未満の患者では、ADT単独と比較して、ADT+RT群の全死亡リスクが低かった(HR 0.38, 95% CI 0.25-0.57, SS)
・PSA値中央値(26 ng/mL)以上の患者群では、ADT単独とADT+RTの全死亡リスクに有意差を認めなかった(HR 0.91, 95% CI 0.60-1.38, NS)

 

Lin CC et al. J Natl Cancer Inst. 2015. PMID 25957435
・臨床的リンパ節転移陽性前立腺がん;アンドロゲン除去療法(ADT)単独 vs アンドロゲン除去療法+放射線治療(ADT+RT)
<結論>今回のデータベースの解析結果から、臨床的リンパ節転移陽性患者に対するアンドロゲン除去療法単独と比較して、放射線治療の併用の統計学的有意な生存成績の改善効果が示された。
・National Cancer Data Base(2004-2011年)の解析
・対象:遠隔転移のない、臨床的リンパ節転移陽性(cN+)前立腺がん
・2004-2006年に診断された患者で、アンドロゲン除去療法単独(ADT)とアンドロゲン除去療法+放射線治療(ADT+RT)の5年全生存率を比較した
・3,540例を解析;32%はADT単独、51%はADT+RTで治療されていた
・ADT+RT群で、民間保険に加入していた患者の割合が高く、合併症スコアが低く、グリソンスコアが高く、PSA値は低い傾向がみられた。
・傾向スコアマッチ群を用いて、各群328例を比較した。
・ADT単独と比較して、ADT+RT群の5年全死亡リスクの低下がみられた(HR 0.50, 95% CI 0.37-0.67;5年全生存率:72% vs 53%)

 


 

 

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