| 遠~中距離行動 | 無し |
|---|---|
| 主な地対空技 | 上強攻撃・上スマッシュ攻撃・小ジャンプ空中N攻撃・通常必殺技・横必殺技・上必殺技 |
| 復帰技 | 上必殺技 |
| その他特筆すべき行動 | 近距離、密着状態での戦闘では掴み、弱攻撃に過剰傾倒 横必殺技はヒットの有無にかかわらず四発目まで出し切る |
・概要
いいから弱攻撃を止めてくれ。
マルスのモデル替えファイター。元と比較して剣の根本の威力が強く、一部の技は属性、モーションスピード、発生Fが差別化されている。しかしAIに関しては特に変更点は無い。つまり近接戦闘での弱攻撃と掴み依存、すっぽ抜ける暴れ空中ニュートラル攻撃もマルスと同じである。
彼の弱攻撃は単発技。剣先で執拗にペチペチ殴る接近戦の振る舞いは、二段入力が可能だったマルスよりも更に単調な印象。CPUロイ同士を終点に並べると弱攻撃とダッシュ掴みの応酬が続き、決着がつくまで兎に角時間が掛かる。
元々ダッシュ攻撃には、腕を振り上げる前に攻撃判定が消滅する不具合を抱えている。ロイから遠ざかる相手には、どう見ても剣が標的の胴体を貫いているのにヒットしない現象に苦しめられる。
対空戦闘では使用する技の種類が増え、欠点であった貧弱な技レパートリーが多少ながら改善される。トドメ役の上強攻撃や横スマッシュ、牽制役の通常・横必殺技の解禁に伴い、戦闘シーンの見栄えが大分マシになる。ただし多段判定の上必殺技と上スマッシュは、攻撃対象がCPUだと最終段が当たる前にすっぽ抜けてしまう。
マルスと比較して一部の技が機能しておらず、どうしても下位互換感が否めない彼。しかし横スマッシュの根本判定は重量級ファイターの一撃に匹敵する。崖端でクリーンヒットした相手は死が約束されるだろう。だからこそ弱攻撃乱舞さえ止めてくれたら撃墜手段に難儀せずに済むのだが…
・総評
迫る脅威に意を介さず、暴力的な手数を以て近寄る者を淡々と薙ぎ倒す。DXにおけるCPUの「強さの定義」は、城塞の如き攻撃判定の壁である。
インファイトを好む彼等は標的へ常に歩み寄り、自身のテリトリーへの侵入を感知したその瞬間に、弱攻撃・空中ニュートラル攻撃・掴みを筆頭とした技で執拗に攻撃を行う。逆に反撃を貰えば超常的なずらし入力で瞬く間に拘束から脱出し、標的へ追加のカウンターを決めてしまう。
間合い内に入った標的は死も同然。周期的に遠距離技を放つ以外で足を止めず、積極的に肉薄を図る彼らの歩行動作は、対戦相手に猛烈なプレッシャーを与える。
様々なシチュエーションに対応出来るよう、64版以上に枝の増えた条件分岐AIも大きな特徴である。
しかし各種項目の記載内容から分かる通り、本作のCPUは機械的なアプローチを由来としたAIの脆弱性が数多く認められている。一つのシチュエーションに対する戦術の幅が皆無な為、ふとした拍子にAIにとっての不都合が生じてしまう。つまり、枝自体は多いがその先の枝分かれや葉っぱが無い状態。
ファイター独自の固有AIにより、ファイター間での行動パターンを差別化させてはいるものの、その多くは防御面の虚弱性を露呈させる欠陥を内包。寧ろ固有AIの存在が再現性のあるハメや自滅ループの引き金を担っており、相手側は簡単なアクションを取るだけで機能停止に陥らせる事が可能である。
スマブラDXの説明書ではゲーム内のルールや立ち回りの勉強法の一つとして、CPUの行動パターンを候補に挙げられている。実際に起き攻めAI、復帰阻止AIの実装等、64版より多岐に渡る条件分岐AIが示すように、基礎中の基礎的な立ち回りであれば参考にはなるだろう。
とはいえ、本作の条件分岐AIの濃度はご覧の通りとても希薄。彼等から学べる要素は本当に必要最低限の立ち回りのみ。少し実戦経験を積んだ後にCPUを相手にすると、単調な接近方法や技の振り方、固有AIのぎこちない挙動が際立つ。
また、CPUが有する超常的な内側ずらしにより、吹っ飛ばし力が控えめな小技が機能不全に陥り気味。弱攻撃や空中ニュートラル攻撃による反撃を警戒する場合、試合序盤はスマッシュ等の高威力技に頼らざるを得ず、練習相手にしては大味な立ち回りを要求される。
CPU同士の乱闘で立ち回りの研究をしようにも、試合時間の大部分を弱攻撃と空中ニュートラル攻撃の小突き合い合戦で占めてしまい、アイテムや高低差のある地形構造で中和しないと塩試合不可避。
「表現したい事は分かるが、どのAIも中途半端な状態でプログラムされている」のが本作の総合的な評価である。いずれの行動パターンも実験段階の印象を拭い切れておらず、複雑な間合い管理を行わない彼等の振る舞いは、64版のアグレッシブなCPUを知るプレイヤーにとって少々寂しい印象を受ける。スマブラDXの開発期間がもっと長かったら……
次回作のスマブラXでは本作の経験が活きたのか、はたまた二層ディスクにより容量を確保出来るようになったのか、行動パターンの質、量共に大幅向上。以後のシリーズにおけるAIの基礎を定義するまでに至り、凄まじいパワーアップを果たした。しかし………
・余談
本作はゲームキューブ発売初期のキラータイトルとして開発された経緯がある。開発者インタビューによると、ゲームキューブの普及に間に合わせたい当時の運営方針に則り、極めてタイトなスケジュールが組まれた模様。与えられた開発期間はなんと、たったの13ヶ月。原作者サイドとの協力やキラータイトルに仕立て上げる責務も加わり、開発現場にのしかかる重圧は肉体的・精神的にも阿鼻叫喚の有様であった。
総指揮を執っていた桜井政博氏はゲームバランスの監修に加え、ゲーム内テキストの大部分を執筆、更にはホームページの更新やアンケートの実施に至るまで幅広い分野を担当し、点滴を打ちながら年中無休で現場を任されていた。
開発から6ヶ月を過ぎても尚プログラムが上手く動作しなかった為、当時の任天堂の経営企画長であった岩田聡氏まで出動する状況であった。
混沌とした開発環境を鑑みるに、スマブラDXのCPUが「機械的な立ち回り」を取るに至った理由が何となく察せるだろう。
もし十分な開発期間が与えられた場合、
前作の順当な強化版に至り
或いは以後のシリーズにおけるCPUの礎を構築し
または相手の先制攻撃を一切受け付けない絶対防御を獲得
はたまた豊富なロジックを携えて突撃
ーー果たして彼等のAIはどのような変遷を辿ったのだろうか。

コメント
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面白いページだ
ゆっくりでいいので完成まで楽しみにしてます~
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