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山内 溥（やまうち ひろし、1927年11月7日 - 2013年9月19日）は、日本の実業家。出生名は山内 博（読みは同じ）。
概要[]
初代社長の山内房治郎の曾孫で2代目社長・山内積良の孫にあたる、任天堂の第3代取締役社長。1949年に22歳という若さで社長となり、岩田聡と交代するまでの53年間会社を動かし続けた。
アイデアマンや勝負強さで知られ、風貌のいかつさも相まって「組長」などとファンからは呼ばれることもある。子供が楽しめる娯楽を作ることを何よりの信条としており、ターゲット層の拡大やハードの耐久性や安全性に強くこだわる。
来歴[]
就任～多角経営時代[]
山内家の婿養子である父が駆け落ちして家を出ていたため1949年に積良が病に倒れたときに急遽22歳にして「株式会社丸福かるた販売」の代表取締役に就任。
就任の際は「自分以外の山内家の人間は任天堂にはいらない」と、一族の人間を会社から遠ざけた。
1953年に日本で初めてのプラスチック製トランプの製造販売に成功、1959年にはディズニーと手を組んでライセンス商品を販売したことで大ヒットを飛ばした。親しみやすい絵柄や説明書を付属することで、賭博用品であったトランプを子供や家族の娯楽の場に持ち込むことに成功し市場拡大を図った。
トランプブームが沈静してからは経営が不振に陥り、タクシー経営やインスタント麺など食品の販売など他業種に手を伸ばすもいずれも鳴かず飛ばずであった。経営は悪化していくが、それでも動かないと会社は倒産してしまうため奔走。そんな中の1966年、工場勤務をしていた横井軍平がさぼっておもちゃを作っていたのを見て「これをゲームにしろ」と命ずる。それにより商品化した『ウルトラハンド』が大ヒットを飛ばしたことで玩具メーカーとしての道を切り開くことになり経営に光が差す。
70年代からはアーケードゲームに娯楽の道を感じ模索。アミューズメント筐体『レーザークレー射撃』を開発し全国展開を狙うも第一次オイルショックなどに直面し結果赤字を生むこととなる。しかしアーケードゲーム、マイコンを利用した遊びには可能性と将来性を感じており『スペースインベーダー』の流行を見て『スペースフィーバー』という類似品を販売。この頃に海賊版ゲームについて触れたテレビのインタビューでは「遊びにパテントはない」「こういう優れた技術は互いに公開し、むしろ共有していくことがアミューズメント業界の発展につながる」と論じた。
ゲームメーカー時代[]
1977年にはテニスゲームを複数ルール収録した『テレビゲーム15』と、ゲーム数を縛って値段を落とした『テレビゲーム6』を同時に発売し、高い方をお得だと思わせる戦略に成功した。
1980年からは携帯ゲーム機『ゲーム&ウオッチ』シリーズが一躍大ヒットしたことで会社の負債を全て帳消しにしてなお余る売り上げを記録した。同年発売のアーケードゲーム『レーダースコープ』が全くの不振に終わり在庫であふれてしまった筐体を、枠はそのまま利用し中身のみを差し替えるという手法で打開。これにより誕生したのが『ドンキーコング』で、逆に生産が追い付かなくなるほどのヒットを飛ばす。
その直後である1981年7月頃、山内は「家庭のテレビでアーケードゲームが遊べるような機械を作ってくれ」と指示。そして1983年にファミリーコンピュータを発売し大ヒット。その後もゲームボーイ、スーパーファミコンと他のメーカーを圧倒するハードを発売し任天堂はゲームメーカーのトップの道を歩むこととなる。
90年代中ごろになると、プレイステーションやセガサターンといった高性能のライバル機器に家庭用ゲーム機のシェアを奪われる時期が訪れる。山内はシンプルな大容量、高品質では肥えたユーザーの目を満足させることは難しく、数を出しても駄作にあふれアタリショックの再来を招くと警鐘を鳴らし、「マーケットを守るため」という名目のもとNINTENDO64はあえて開発を難しくすることで高技術を持つ企業のみの作品で少数精鋭を目指した。同時期、山内の事業展開を批判するようなふるまいを行ったスクウェアの態度に憤怒し、同社の人物が任天堂を出禁になるという事件も起きた。
2000年にはHAL研究所の岩田聡を取締役として招き、2002年に社長を交代、同社取締役相談役に就任。その際岩田には「異業種には絶対手を出すな」と釘を刺し、また「2画面のゲーム」をテーマとして提示していた。2005年には取締役をも降りて相談役となった。のちに実現する「立体視」についても、山内きっての願いであった。2013年に肺炎で死去。享年は85歳。
ゲームへの登場作品[]
マリオアーティスト タレントスタジオサンプルムービー「社長からのごあいさつ」で、本人の肉声入りでタレントとして登場。トレード&バトル カードヒーロー主人公のデフォルトネーム「ひろし」の名前の由来。続編の主人公の名前は「サトル」。The Tower SPプレイヤーが開発することになるビルの所有社「山之内建設」と、そのオーナー「山之内オーナー」のモチーフはおそらく彼もしくは山内家。大玉主人公「山ノ内影虎」やその家系「山ノ内家」の名前の由来がおそらく彼および山内家。余談[]
- 『ニンテンドークラシックミニ スーパーファミコン』発売記念のインタビュー（リンク）で、『スターフォックス』の最終ボス・アンドルフの顔のモデルが「名前を出すことができない当時の上司」と語られており、一部ファンからは彼がモデルなのではないかという憶測がある。
- いくらなんでも当時の社長を「当時の上司」呼ばわりすることはできないだろうという点で、当時任天堂の情報開発部長を務めていた池田宏が本当のモデルではないか、という声も挙がっている。
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