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相続を放棄した場合の疑問について、まとめています。
まとめ
・全員が相続放棄をした場合、一切の権利がなくなり「管理義務」だけ残る
・管理義務から解放されるには相続財産管理人の選定(最低でも数十万~100万円程度)の費用が必要
・塩漬けの不動産の場合、相続財産管理人の報酬を払い続けることになる
・これらの「呪い」は関係者から最も遠い「最後に相続を放棄した人」がまとめて負う事になる
やりたくなくても、相続の問題から逃げてはいけない。
Q:そもそも、不動産の所有権「放棄」はできるの?
A:所有権放棄は認められていないが、相続時のみ放棄が可能。
Q:全員が相続放棄すると不動産はどうなるの?
A:「相続財産」が法人化します!?
相続人も、次順位の相続人も全て相続放棄した場合、相続人が不存在となった場合は相続財産は法人化し、相続財産管理人の選任がなされます。
選任された相続財産管理人は相続財産の清算等を行い、残った相続財産を国庫に引き継ぎます。ここまでが民法の規定する相続人がいない場合の相続財産の流れです。つまり最終的に不動産は国が管理していくことになります。
[補足] 相続放棄後は家族写真の持ち出しすら難しくなります。
Q:相続放棄すれば管理の義務は無くなるの?
A:管理義務は残るため、損害賠償請求を受ける可能性があります。
例えばマンションなどで言えば、管理せず放置しておいてそれが原因で水漏れや何らかの事故があった場合は管理責任を問われ損害賠償請求を受ける可能性があります。
Q:どうすれば管理の義務から解放されるの?
A:相続財産管理人の選任申立が必要
民法第940条第1項「相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となったものが相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない」
相続財産が放置されている場合、誰かが国庫に帰属させる手続きをしない限り、自然に財産が国のものになることもありません。
Q:相続財産管理人の選任には費用がかかるの?
A:予納金も含め、数十万~100万円程度になることも多い
報酬は相続財産から支払われることになりますが、足りなければ申立人が支払うことになります。
相続財産を相続したくないから相続放棄を選択したのに、結局相続財産を管理しなければならず、管理したくないから相続財産管理人を選任した場合は報酬を支払うことになります。
[参考] 相続財産管理人とは|選任の流れ、権限、費用を解説!
Q:色々な理由で売れない不動産でも清算をしてくれるの?
A:清算できないため、相続財産管理人の報酬を払い続けることになります。
[参考] 相続放棄をした場合に、今後相続不動産は誰が管理していくのか
但し、市街地が共有による理由で塩漬けになっている場合は、誰かが何らかの形で全持分を購入して土地本来の価値を取り戻すと思われるが、共有者に認知症の人がいたりすると一時的にこの状況になる可能性もある。※調査中
Q:管理の義務、相続財産管理人の選任の責任は誰が負うの?
A:最後に相続放棄した人が負います
Q:最後に相続放棄する人というのは被相続人の兄弟等になり、早々に相続放棄できた配偶者や子供たちのほうが、言い方は悪いですが得になると思うのですが、ほんとうに最後に相続放棄をした人が管理責任者を探したりする義務をおうのでしょうか…?
A:事実上はそうなります。
Q:相続放棄すると、お墓や仏壇はどうなるの?
A:お墓や仏壇仏具、神棚などは祭祀財産となり、相続財産にならない
祭祀財産は、一般的な相続財産とは異なり、民法上の「法定相続人」が相続するものでありません。祭祀財産を承継するのは「祭祀承継者」です(民法897条)。
相続財産に含まれない以上、相続放棄をしたとしても、祭祀財産を引き継いで祖先をまつっていくことはできます。
家計を明らかにした系譜図なども祭祀財産ですし、遺骨も祭祀財産に含まれると考えられています
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