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"油断大敵!"—ムーディの真言[出典]
アラスター・"マッド-アイ"・ムーディ(1997年7月27日死亡)とは、純血のスコットランド人魔法使いであり、近年で最も有名な闇祓いとされていた。彼は第一次及び第二次魔法戦争の間不死鳥の騎士団の中心メンバーとして活躍した。第一次魔法戦争のときには高い評判を得たが、同時に闇の魔術を受け、片目、片足、鼻の一部を失った。無数の闇の魔法使いたちでアズカバンの牢獄を埋めたのも彼である。結果、ムーディは過度に用心深く誇大妄想的に自衛するようになった。
1994年、ムーディはアルバス・ダンブルドアの申し出を受けホグワーツ魔法魔術学校で闇の魔術に対する防衛術を教えることになったが、バーティ・クラウチ・ジュニアに監禁され、自身の姿に変身されてしまう。救出されたのち、ムーディは第二の不死鳥の騎士団に加わった。彼は1996年の神秘部の戦いや1997年の七人のポッターの戦いといった戦闘に参加したが、この戦いでヴォルデモート卿に殺された。
彼の魔法の目は死後ドローレス・アンブリッジのマグル生まれ登録委員会で部下を監視するために使われたが、1997年にハリー・ポッターが魔法省に侵入したときに奪い返している。その後、目はハリーによって、3年前に第422回クィディッチ・ワールドカップが開催された場所に近い森に埋められた。
アラスターは1961年より前にスコットランドにおいて、代々魔法省に仕え高名な闇祓いを輩出してきた純血の魔法族ムーディ家に生まれる。父親と母親は共に闇祓いであった。
ムーディは魔法の教育を受ける前に杖を購入、あるいは受け継いだ。彼はホグワーツ魔法魔術学校に通い、N.E.W.T.(いもり)の少なくとも5科目で「期待以上」以上の成績を残した。所属した寮は不明。
"ムーディのお陰でアズカバンの独房の半分は埋まったな"—闇祓い時代のムーディについてチャーリー・ウィーズリー[出典]
ムーディと不死鳥の騎士団創設メンバー
ムーディは魔法省に闇祓いとして所属し、ヴォルデモート卿の配下である死喰い人たちと渡り合った。彼はアルバス・ダンブルドアの不死鳥の騎士団の幹部として闇の魔術と戦い続け、ひとりでアズカバンの半分を死喰い人で埋めたとされる。第一次魔法戦争中は闇祓いたちに、闇の魔法使いに対して許されざる呪文を使うことが許され、ムーディはエバン・ロジエールを殺害した(同時に鼻の一部を失った)。しかし基本的には生け捕りを優先していた。
あるときムーディはもらった誕生日プレゼントを巧妙に隠されたバシリスクの卵と勘違いして粉々に破壊した。それは旅行用携帯時計であったが、ムーディが過ちを認めたかは不明である。
やがて彼は引退するが、そのころには史上最強の闇祓いと言われ、ニンファドーラ・トンクスにとって師匠のような存在となった。
イゴール・カルカロフの魔法昇省公聴会に出席するムーディ
1981年を過ぎたあるとき、マッド-アイは死喰い人イゴール・カルカロフを捕えアズカバン送りにした。カルカロフは仲間の死喰い人の名を教える代わりに刑の軽減を要求した。ムーディはアルバス・ダンブルドアと裁判に赴き、この元死喰い人がアントニン・ドロホフ、エバン・ロジエール(ムーディが殺し、鼻の一部を失った)、トラバース、マルシベール、セブルス・スネイプらの名前を言及するのを嫌悪を込めて見守った。彼らは皆死んだか捕まったか転向した者たちだった。カルカロフは神秘部の無言者オーガスタス・ルックウッドが魔法省をスパイしヴォルデモート卿に情報を送っていたことを明かした。これは魔法省も把握していなかった事実であったが、確認の間カルカロフはアズカバンに戻された。後に彼の証言が証明され、釈放されたカルカロフはダームストラング専門学校の校長に収まった。その後ルード・バグマンの裁判にも出席したが、彼は無罪放免となった。それからムーディは、カルカロフの裁判の後の時点で片目を失い魔法の義眼を使い始めた。
1994年、ムーディはダンブルドアの要請で引退生活から抜け出しホグワーツ魔法魔術学校で闇の魔術に対する防衛術を教えることになった。このころまでにムーディは片足を失い、木の義足でそれを補うようになっていた。
クラウチによる監禁"アラスター・ムーディだ。元闇祓い。魔法省の反逆児。”闇の魔術 防衛術”の教師"—闇の魔術に対する防衛術の最初の授業において、ムーディに変身したバーティ・クラウチ・ジュニア[出典]
アラスター・ムーディになりすまして教鞭をとるバーティ・クラウチ・ジュニア
しかし学年度が始まる前、ムーディは自宅でヴォルデモート卿の命令を受けたバーティ・クラウチ・ジュニアとピーター・ペティグリューの襲撃を受ける。拘束されたムーディは自身の魔法のトランクに閉じ込められた。バーティ・クラウチはムーディの毛髪からポリジュース薬を作り、ムーディに変身してホグワーツ魔法魔術学校へ行った。服従の呪文でムーディを制御し様々な奇妙な癖を真似したため誰も疑うものはなかった。そのためクラウチはヴォルデモートの計画に従って行動することができた。ポリジュース薬用の毛髪が定期的に必要だったためクラウチはムーディを生かしておいた。
AlastorMoody_PM_B4C35M1_MoodyAtBottomOfChest_Moment.jpgトランクの中で発見されたアラスター・ムーディ
狡猾さを活かしたクラウチは秘密裡にハリー・ポッターを三大魔法学校対抗試合に参加させ、第3の課題までたどり着かせた。クラウチは優勝カップを移動キーに変えておき、ハリーをリトル・ハングルトン墓地に送ることでヴォルデモート卿の復活の手助けをした。クラウチは生還したハリーを殺そうとしたがダンブルドア、ミネルバ・マクゴナガル、セブルス・スネイプらに阻まれポリジュース薬の効果が切れてしまう。彼はムーディからクラウチ本人の姿に戻ると、真実薬を飲まされ、陰謀のすべてをダンブルドアたちに告げた。本物のムーディは無事トランクから救出され医務室に運ばれた。これ以降、ムーディはさらに神経質に周りを警戒するようになり、魔法の目はクラウチが使った後から動きが悪くなった。
"誰か一人が殺されてもほかの者は飛び続ける。止まるな。列を崩すな"—先発護衛隊出発前のアラスター・ムーディ[出典]
Advance_Guard.jpg先発護衛隊を率いるアラスター・ムーディ
1995年、ムーディは再結成された不死鳥の騎士団として、先発護衛隊を率いてプリベット通り4番地に降り立った。ハリーを騎士団の本拠地グリモールド・プレイス12番地に連れていくためだった。任務終了後、ムーディはモリー・ウィーズリーが開いた、ロン・ウィーズリーとハーマイオニー・グレンジャーの監督生就任のお祝いパーティに参加した。ムーディは、ダンブルドアがロンならあらゆる呪いに耐えられるとみて、監督生にしたのだろうと発言した。彼はモリーに頼まれて魔法の目を使い、書き物机にまね妖怪がいることを突き止めた。
The_Order_of_the_Phoenix_at_King%27s_Cross_Station.jpgハリーをホグワーツ特急まで送るムーディとトンクス
ムーディはハリーに不死鳥の騎士団創設メンバーが写った古い写真を見せ、ひとりひとり説明していった。彼はハリーが喜ぶだろうと思っていたが、突然死んでいった者たちの笑顔を見せられたハリーは複雑な気持ちになった。それから夏の終わりごろ、ムーディはニンファドーラ・トンクスと共にハリーをホグワーツに送り届ける護衛隊に加わった。ヴォルデモート卿の復活を考慮してハリーの安全を確実にするためだった。
同年の冬、予言の間を見張っていたアーサー・ウィーズリーがヴォルデモート卿のナギニに襲撃され重傷を負った。アーサーは聖マンゴ魔法疾患傷害病院に担ぎ込まれ、ハリー・ポッターとフレッドとジョージ、ロン、ジニー・ウィーズリーらが病院に見舞いに行くことになった。ムーディはトンクスと共に彼らを先導しロンドンの街を地下鉄に乗って移動した。病室に着くとムーディは中に入らず、トンクスと外で見張りをした。彼はハリーとウィーズリー兄弟が出た後でトンクスと面会に入った。ムーディはアーサー、モリー、トンクスらと、ハリーがナギニの内側からアーサー襲撃の夢を見たことについて話し合った。
神秘部の戦い神秘部で死喰い人と戦うアラスター・ムーディ
1996年、シリウス・ブラックがヴォルデモート卿に捕まったと考えたハリー・ポッター、ロン・ウィーズリー、ハーマイオニー・グレンジャー、ネビル・ロングボトム、ルーナ・ラブグッド、ジニー・ウィーズリーらは魔法省に侵入する。これは神秘部にハリーをおびき出し予言を奪うための罠だったため、彼らダンブルドア軍団は死喰い人相手に戦闘を始め逃亡を図った。仲間が制圧されたポッターは予言をルシウス・マルフォイに渡そうとしたが、ちょうどそのときムーディ、ブラック、トンクス、リーマス・ルーピン、キングズリー・シャックルボルトたち不死鳥の騎士団が到着する。戦いが始まりアントニン・ドロホフを相手にしたムーディはケガを負い頭から血を流した。戦いの中でシリウス・ブラックはいとこのベラトリックス・レストレンジに殺され、ベールの先にある死の間に倒れていった。ムーディは戦いに倒れたトンクスの所まで這っていき、意識を戻そうとした。アルバス・ダンブルドアも現れ、ヴォルデモート卿と対決し、それをコーネリウス・ファッジ魔法大臣も目撃したため、魔法省はそれまでの否定を覆し、彼の復活を認めざるをえなくなった。
学年度の終わり、ムーディはルーピンやトンクスと共にキングズ・クロス駅でハリーを出迎えダーズリー家と対面した。ムーディは魔法の目を見せてバーノン・ダーズリーを脅し、ハリーの扱いに気を付けるよう警告した。
リーダーの死1997年6月、死喰い人たちはアルバス・ダンブルドアを暗殺するためホグワーツに忍び込む。セブルス・スネイプがダンブルドアを殺し、死喰い人たちと不死鳥の騎士団・ダンブルドア軍団との間で戦いが起こった。ムーディはダンブルドアの葬儀に参列した後、グリモールド・プレイス12番地に、より強力な保護の呪文をかけた。
七人のポッターの戦い"我々にとって一つ有利なのは、今夜の移動を『例のあの人』が知らぬことだ。魔法省にガセネタを流しておいた。連中はお前が三十日の夜中までは発たぬと思っておる。しかし相手は『例のあの人』だ。やつが日程を間違えることだけを当てにするわけにはいかぬ"—計画をハリーに説明するアラスター・ムーディ[出典]
Alastor_Moody_with_Polyjuice_Potion_DHF1.jpg空中戦の直前、七人のポッター計画を伝えるムーディ
ハリー・ポッターの17歳の誕生日の直前、ムーディと不死鳥の騎士団メンバーは彼をプリベット通り4番地から隠れ穴に移動させようとする。パイアス・シックネスが裏切ったことにより、彼らは箒、セストラル、空飛ぶオートバイを使って隠された移動キーの所まで飛ぶ必要があった。ムーディはフレッドとジョージ、ロン・ウィーズリー、ハーマイオニー・グレンジャー、フラー・デラクール、マンダンガス・フレッチャーらにポリジュース薬を飲ませハリーに変身させた。ムーディはハリーに化けたマンダンガスとペアを組み、本物のハリーはルビウス・ハグリッドが護衛することになっていた。
Moody_shortly_before_his_death_DHF1.jpg死の直前のアラスター・ムーディ
一行は離陸するとすぐ死喰い人たちの待ち伏せに遭った。ムーディは敵の包囲を突破し、ビル・ウィーズリー、フラー・デラクールのペアと共に北に向かった。するとヴォルデモートが空を飛んで現れ、パニックに陥ったマンダンガス・フレッチャーは止めようとしたムーディを尻目に姿くらましで逃亡してしまう。隙ができたムーディはヴォルデモートの放った死の呪いを顔に受け、そのまま箒から転落していった。後に隠れ穴に集まった生存者たちはムーディを偲んで涙を流し、ウイスキーを飲んだ。
"僕、生き延びたんじゃないかと思うんだ"—ムーディの死についてロン・ウィーズリー[出典]
Alastor_Moody%27s_file.JPGアラスター・ムーディの魔法省ファイル
ルーファス・スクリムジョールがヴォルデモートの力を公にしたくなかったため、また、アズカバンから集団脱獄した死喰い人たちが襲撃に加わっていたことを隠すため、魔法省はムーディの死を発表しなかった。
ムーディの死体は戦闘の後、行方不明となりルーピンとビル・ウィーズリーが探しに行っても見つからなかった。ロン・ウィーズリーは死喰い人たちが回収したのだと考えた。騎士団はムーディの葬儀を挙げることができず、ロンは彼の生存を可能性を口にしたが、ハリーとハーマイオニーはそのときの状況からすぐにそれを否定した。彼らは死んだということで納得したが、その死は大きな損失だった。
Moody-eye-ministry.pngアンブリッジのオフィスドアに取り付けられた魔法の目
マッド-アイの魔法の目も死喰い人たちに回収され、魔法省がヴォルデモートの手に落ちるとマグル生まれ登録委員会委員長ドローレス・アンブリッジのもとに渡った。目は彼女のオフィスのドアに付けられ、部下を監視するために利用された。ハリーはロン、ハーマイオニーと共にスリザリンのロケットを見つけるため魔法省に侵入したときこの目を発見した。ハリーは怒りにかられて目玉を盗むが、そのせいで侵入に気づかれてしまう。脱出した翌日、ハリーは他の2人が起きるより早く近くの森へ歩いていき、最も古く、節くれだった反発のありそうな木の下に目を埋めた。そして杖で樹皮に小さく十字を刻んだ。ムーディにとってはこれが葬儀となった。
アラスター・"マッド-アイ"・ムーディの傷だらけの顔
ムーディはうなるような声で、まるで荒削りの木の彫刻のような顔と表現されている。闇祓いとしての長い経歴で顔は傷だらけ、鼻の一部は欠けている。髪はダークグレーの白髪交じりで片足は木の義足だった。
中でも彼の眼は最も目立つところである。片目は黒く小さいが、もう片方は魔法仕掛けの青い義眼で常に動き回っている。このことがあだ名の"マッド-アイ・ムーディ"あるいは単に"マッド-アイ"の由来となっている。この眼は物を通して先を見ることができ、透明マントや彼自身の後ろも見られる。
アラスター・ムーディはタフで勇敢で、百戦錬磨の戦士だった。彼はしゃがれ声でぶっきらぼうな性格で、時折、周りの者にモットーである「油断大敵」を唱えた。職業上あらゆる危険な経験をしてきたため、過度に警戒心を持ち、人からは錯乱していると思われることがあった。彼は誰かが毒を盛ることを恐れて食事を全て自分で用意し、自分専用のスキットルからしか飲み物を飲まない。ムーディは他人をほとんど信用することなく、同僚や雇い主の魔法省にも重要だと思った情報を明かすことはなかった。実際、彼は誕生日、ホグワーツで所属した寮などの情報を魔法省にも明かしていなかった。突然の音や動きに反応することで知られ、エイプリル・フールに驚かせようとしてきた魔女を攻撃したことがある。また、誕生日プレゼントの旅行用時計をバシリスクの卵と勘違いして破壊し、「日刊予言者新聞」に「友好的握手と殺人未遂との区別もつかなくなった時点で魔法省を引退した」と書かれたことがある。
ムーディは近年の偉大な魔法使いであり、魔法省のもっとも腕利きの闇の魔法使いハンターだった。彼のおかげでアズカバンの独房の半分が満たされたと言われている。アルバス・ダンブルドアの忠実な友人・協力者であり、不死鳥の騎士団の主力メンバーだった。
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