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地震空白域(じしんくうはくいき)は、かつて地震活動があったにもかかわらず、長期間に渡って地震の震源がない、またはこれからもしばらくは起こらないであろうと予想される地域のこと。震度ではなくマグニチュードを基準としているため、離れた地域で起こった地震の影響で強く揺れたとしても、その地域は地震空白域であるとされる。空白域は大地震の前兆としてみられることもある。
ファンデフカプレート(アメリカ大陸北西部)付近の地震の震源分布。中央に空白域が広がっている。オレンジ色の点が少ない左半分の空白域は第1種空白域、緑色の点が少ない右半分の空白域は第2種空白域。
地震空白域は主に2つのタイプに分類される。
1つ目は、帯状に細長く連なる海溝型地震の発生地帯の中で、周囲では大地震が起こっているにもかかわらず、大地震を起こしていない地域である。大きな力がかかっているため大地震が近づいていると考えられ、大地震の未破壊域とされる。いわゆる第1種空白域。
2つ目は、地震多発地帯の中にぽっかりと穴の開いたように存在する、地震の震源のない地域である。普段は小規模な地震が発生しているが、ある時期を境に地震が極端に少なくなる地域であり、地震活動が静穏化している地域である。常時地震活動が少ない地域だという解説もあるため、「地震が少ない地域」「地震が起こらない地域」だと誤解されることが多い。いわゆる第2種空白域。
また、第3種空白域と呼ばれる概念も存在する。これは、普段から中・小規模の地震が起こっている断層や断層帯の中で、地震が起こっていない地域である。同様に力がかかっている断層の列の中でまだずれていない部分だと考えられている。第1種空白域と第2種空白域の両方の性質を持つ中間的な概念である。
この空白域が発生するメカニズムについては完全に解明されたとはいえないが、大きく分けて2つのメカニズムがあると考えられている。
1つは、その領域の断層面やプレート境界面(海溝であれば海底深部)に流動的な物質が存在していることを原因とするものである。流動的な物質は地震(というよりもすべり)のエネルギーを伝えにくくし、よって地上で感じられるエネルギーは多分に減衰され、地震空白域となるとされる。つまり、地震を起こさずに平穏に滑っている地域であると解釈できる。このメカニズムの場合、力は適時解放されているため、地震は起こりにくいと考えられている。
もう1つは、その領域で応力が安定していることを原因とするものである。断層面やプレートの境界面に、大きな圧力がかかっていない、あるいは大きな圧力がかかっていてもそれが拮抗していて大きな破壊が起きていない、あるいは大きな圧力がかかっていてもその力がまだ地震を発生させるほどの大きさではないために、地震が起こっていないとされる。つまり、地震活動が永久に休止している地域、または一時的に休止している地域であると解釈できる。このメカニズムの場合、圧力がかかっている場合ならば、力が蓄積されていると考えられ、地震が起こりやすいと考えられている。
ただし、全ての空白域がこの2つのメカニズムで完全に説明できるわけではなく、現在も研究が行われている。
Quake epicenters 1963-98世界の震源分布(1963年~1998年、約36万回分)。この図で、黒い点で埋まっていない地域のほとんどは「空白域」ではない。
地震空白域と誤解されやすいのが、広範なプレート上に位置し極めて安定した地盤をもつ、地震のない地域である。これはプレート同士のせめぎあいがなく、直下型地震や内陸性地震(古い断層で起こる地震)しか発生しないため地震がないのであって、「地震空白域」ではない。例えばアフリカ中部・西部や南アメリカ東部などが挙げられ、これらの地域は安定帯やクラトン(安定陸塊)と呼ばれ、敢えて地震の有無を基準とすれば無震帯とも呼ぶ。
近年まで、日本では一般に「空白域」はこれまで大地震が起こらなかった地域、地震が少ない地域、地震が起こらない地域だとする考え方が多く、「兵庫県南部地震は普段地震の無いところで起きた」といったやや誤解のある意見も多くあった。しかし、「空白域」の正しい概念は少しずつ浸透してきている。
日本は4つのプレートのぶつかる地震大国であり、基本的にどこであっても大地震(被害地震)の危険性がある。2007年には、それまで空白域であると言われていた能登半島北部地域で能登半島地震が発生し、そのことを裏付ける結果となった。
だが定義に沿えば、まだ日本には空白域の存在する地域がある。ここでは、その主なものを列挙する。
これらの地域は地震空白域と言われており、大地震が発生してしまった地域である。
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