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| この項目は地球温暖化に関し、特にそれに関する論争についてまとめた項目です。地球温暖化に関するこれまでの原因、経過、影響、対策などに関しては別項目がありますので、そのような内容の追記はそちらへお願いします。 |
概要[]
地球温暖化に関しては、その原因や影響、対策の効果などについて懐疑論も見られる。また影響は広範囲に及び、対策もまた大規模になると予測されているため、その具体的な緩和策に関する議論も多い。
温暖化人為説に関する議論[]
(詳しくは地球温暖化に対する懐疑論を参照)
IPCC第4次評価報告書などにおいて、地球温暖化の原因は人為的なものが大部分であるとの国際的かつ科学的な合意が得られている。また2007年7月に米国石油地質協会(AAPG)がその意見[1]を変えて以来、近年の温暖化に対する人為的影響を否定する国際的な学術組織は無いとされる[2][3]。しかし一部では、下記のような異議を唱える論者も見られる。
- 「温暖化は人為的なものであるとは断言できない」とする意見がある[4]。具体的には、二酸化炭素を主因とする温暖化を疑うものが多いが、温暖化自体を否定しているものは少ない[5]。また、モデルと実際の気候の不整合を問うものなどがある。
- 太陽とテレコネクションなどの気候変化の関係に注目する研究の中から、査読を受けた論文に基づいた主張もなされている[6][7]。しかし、IPCC第4次評価報告書では曖昧さが残るとして採用されず、その後も否定的な研究結果が相次いで発表されている(スベンスマルク効果を参照)。
- 温暖化は自然現象である、または自然現象の影響も大きいとする説。太陽活動の影響、宇宙広範の活動の影響、地球内部の活動、磁気圏の活動などが原因であるとの主張。
- 火山活動や海水からの二酸化炭素の排出の影響の方が大きい。
- 水蒸気の影響の方が大きい。
- 温室効果ガスの増加は一次的な主要因ではなく、温暖化のために増えている。
- 南極の一部だけは気温が上昇していないから、水蒸気が増えてもそこに降雪が集中するはずだ。
- 小氷期からの回復過程(自然由来の因子)が、まだ続いている可能性もあるのではないか。
- 予想に用いる気候モデルの信頼性が十分でない(二酸化炭素のミッシング・シンクなど)。
- 軍事産業や一部国家による陰謀である。
緩和技術に関する議論[]
個々の緩和技術に関しては、それぞれ特有の短所や限界はあるものの、適切に利用すれば相応の効果が得られるとされる。また、単一の緩和手段に頼らず、複数の手段を併用する必要性が指摘されている(スターン報告、IPCC第4次評価報告書など)。しかしそのような短所や限界のみを捉え、批判する者も見られる。
再生可能エネルギーに関する議論[]
「再生可能エネルギー」も参照
再生可能エネルギーに対しては、下記のような懐疑的な意見もみられる。
- エネルギー密度が低い
- 不安定で系統安定化が必要
- 設備コストや発電単価が高い
- 発電効率が低い
- ライフサイクルで見るとエネルギー収支が正になるとは限らない
- 基幹エネルギー源として利用するには絶対量が不足している
しかしこれらは根拠に乏しかったり、条件の悪い時だけを取り上げたり、今後の改善の実現性を無視して批判するものが多い。実際には再生可能エネルギーはIPCC第4次評価報告書、スターン報告などでも地球温暖化への対策の一環として挙げられ、その効果は数ある緩和手段の中でも最も大きい部類に入るとされている[8]。またエネルギーの自給率を高める、環境汚染を抑制するなどの付随効果も指摘されている。エネルギーや電力需要の数割以上を再生可能エネルギーで賄ったり、それを目指す国も増えている。
原子力発電に関する議論[]
「原子力発電#原子力発電に関する諸議論」も参照
原子力発電は二酸化炭素の排出が非常に少ないと言う理由で、各国で温暖化対策の中核的手段とする動きが活発となってきている[9][10][11]。2007年の主要国首脳会議(ハイリゲンダムサミット)では、日米で温暖化対策として原発推進を明記する提案がなされ、IPCC第4次評価報告書やスターン報告などでも緩和策の1つとして挙げられている。
その一方で、コスト的に負荷追従用途に向かないことや、需要地から離れた場所に建設されることが多いため送電にかかる電力損失が高くなりがちなこと、設備そのものの寿命、放射性廃棄物の処理にかかる時間や経済性などの問題が指摘される[12]とともに、原発の総数が増えれば統計的に大事故につながる危険性も高まることから汚染事故も懸念されている。その他、ピークウランが過ぎれば良質なウラン鉱石が得られなくなり、エネルギー利益比が格段に落ちるとの指摘もある[13][14]。また、コストや核の拡散やテロの標的になるなどの危険性から過度の原発の依存に対して懐疑的な見方もある[15]。
エネルギー供給における緩和手段としての利用状況は国によってまちまちである。フランスやイギリスのように再生可能エネルギーと併用する国が多く見られる一方、前述の諸問題を考慮して全廃を目指しているドイツやスウェーデンなどの国もある。
一次エネルギー分担率に関する議論[]
[16]2005年時点の化石燃料依存割合は、日本 81.9%、EU 78.9%(ドイツ 82.9%、イギリス 88.6%、フランス 53.2%、スウェーデン 35.1%、デンマーク 83.2%、ノルウェー 62.6%、フィンランド 55.0%、オーストリア 78.1%)、アメリカ合衆国 86.2%、オーストラリア 94.5% などとなっている。
この中で比較的依存度が低い国の多くでは原子力発電への依存度が高くなっている(フランス 42.6%、スウェーデン 36.2%、日本 15.0%、ドイツ 12.3%)が、原子力利用への姿勢はまちまちで、フランスは推進、スウェーデンやドイツは縮小し再生可能エネルギーでの代替を進めている。[17]
なお、同年時点の再生可能エネルギー利用割合は、ノルウェー 41.0%、フィンランド 23.2%、スウェーデン 29.4%、ドイツ 4.9%、日本 3.2% などとなっている。
炭素固定に関する議論[]
「炭素固定」も参照
森林の吸収量は最終的に飽和するものの、長い年月をかけて成熟していく過程において空気中より多量の炭素を取り込み、森林が維持される限りは固定し続けるとされる[18][19]。またバイオ燃料の供給源ともなる。このため、スターン報告やIPCC第4次評価報告書においても対策の1つに挙げられている。しかし飽和状態のみを捉え、植物は最終的に枯死して分解されるから効果が無いとの批判も見られる[20]。
二酸化炭素貯留・固定に関する議論[]
日本の国内事情に関する議論[]
- 本来、温暖化ガスの6%の削減のためには「エネルギー利用の効率化」と「1人当たり資源消費量の削減」を行う必要があるものの、日本はエネルギー利用の効率化を既に進めており(1人当たり資源消費量はアメリカの5分の1~4分の1、環境先進国ドイツの約2分の1(World Resources Institute,The Weight of Nations 2000))、他方で1人当たり資源消費量は民生分野での自動車普及やエアコンの影響などにより増加傾向にあり、二酸化炭素排出量2010年見通しは1990年対比14%増とされている。したがって、日本が京都議定書を守るためには削減目標分6%分と合わせた20%相当分の削減のために排出権を購入する必要があり(なお、その対価は約2兆円とも言われる(2007年3月時点))、結果として日本は「効果の薄い京都議定書」と心中して「環境を金銭で買う」と非難されることになる懸念が高いこと(ロシアが最終的に京都議定書を批准した理由として、自国で使わない1990年比の排出権枠を発効時点の2005年2月時点で確実に2010年目標達成が見込まれない日本という優良債権国が出てきたため、売りたいとの政治的意図があると言われる)[21]。
→京都議定書の目標は温室効果ガスの排出量削減であり、エネルギー使用量そのものの削減ではない。仮に「日本はエネルギー利用の効率化を既に高度に進めて」いたとしても、化石燃料由来エネルギーを減らす努力はいっこうに進んでいない(北欧諸国ではこの努力が評価されて削減目標が低く抑えられている)。[22][23]- GDP 当たりのエネルギー消費量で比較した際、2001年度時点ではドイツは日本の1.4倍、人口当たりエネルギー消費量ではドイツは日本の3倍を使用しており、日本の方が遥かにエネルギー効率が高かった[24]ものの、近年になるとドイツやイギリスなどで炭素税や排出量取引を採用するといった対策を積み重ねてきたこと[25]によって効率を高めている反面、日本の改善は緩やかであることから、2005年の CO2 排出量あたり GDP 値を見るとイギリスには既に抜かれ、ドイツとの差も僅かになっている[26]。
- 1990年代以降に急増した自家用乗用車いわゆる「マイカー」はその多くが公共交通からの転換であり[27]、エネルギー使用が効率的である公共交通から非効率な自家用乗用車への逆転換[28]を黙認するといった環境政策の失敗を積み重ねた結果が「1990年対比14%増」である。そのため、たとえば OECD から「運輸及び民生部門において、統合された需要管理手法(例えば、ロードプライシング、駐車への課金及びESCO)及びエネルギー効率の改善を目指した対策(省エネルギー基準その他の対策)を開発し、実施すること」や「再生可能エネルギーの開発及び利用を促進する」ことが勧告される[29]など、多くの改善点が指摘されているが、それを日本は実施できていない。自動車・石油産業の利権に直接絡むため、その影響力が強い財界主導政治の下ではなかなか効果的な対策が打ち出されにくく[30]、こうした問題はマスコミでもほとんど報じられないため国民の理解も進んでいない。
- 国土交通省の2005年度調査によると、1人を1km運ぶ場合に排出される二酸化炭素の量は、鉄道19g、バス51g、航空111gに対して、マイカーはバスの3倍以上の173gとなっている[5][6]。これに従前からの大気汚染・騒音などの自動車公害や交通事故の抑止といった社会的要請も加わり、「マイカー」に依存せず公共交通機関を使いやすいまちづくりをすることが求められている(前述)ことから、たとえば公共交通の活性化・利用促進策や、交通需要管理(TDM)・モビリティ・マネジメント(MM)、都市計画の活用(スプロール化の抑止、コンパクトシティへの誘導策など)が検討され、取り組まれはじめている[31]。
政策に関する議論[]
コストに関する議論[]
スターン報告やIPCC第4次評価報告書において、温暖化の抑制が経済的にも可能であり、対策をしない場合に想定される被害のほうが遙かに大きいと指摘されている。しかしこれに異議を唱え、温暖化対策に否定的な意見も存在する。地球温暖化に対する懐疑論を参照のこと。
(京都議定書、途上国と先進国の対立、中国、米国などに関して追記が必要)影響・対策に対する疑問[]
現在の温暖化問題の取り上げられ方に対する意見としては、対策に費やされる経済的コスト(例として環境税、レジ袋税など)が大きすぎるとの主張(有名なのは山形浩生訳のビョルン・ロンボルグの著作など)がある。これは温暖化の原因についての研究は進んでいるが、その影響や未来予測、それに必要な対策についてはいまだ研究途上のためで、温暖化により起こると予想される結果を小さく見積もる立場から起きており、大多数の気候学者から厳しく批判されている。アメリカ合衆国はこの問題を理由に京都議定書の批准を拒否している[要出典]。
メディアに対する批判[]
(出典を示した内容の追記が必要)
出典[]
脚注[]
- ↑Position Statement(AAPG)
- ↑Petroleum Geologists Award to Novelist Crichton Is Inappropriate (AGU)
- ↑ 参考:en:Scientific opinion on climate change
- ↑Statement by Atmospheric Scientists on Greenhouse Warming SEPP POLICY DECLARATIONS
- ↑ 『List_of_scientists_opposing_global_warming_consensus』,英語版ウィキペディア
- ↑On global forces of nature driving the Earth's climate. Are humans involved? L. F. Khilyuk and G. V. Chilingar, Environmental Geology, 50, 6, 899 (2006)
- ↑Response to W. Aeschbach-Hertig rebuttal of “On global forces of nature driving the Earth's climate. Are humans involved?” by L. F. Khilyuk and G. V. Chilingar G. V. Chilingar et al., Environmental Geology, 52, 5, 1007 (2007)
- ↑ たとえば IPCC第4次評価報告書の原典、Figure TS.10 (Figure3.23)
- ↑[1]
- ↑欧州原子力を再生可能エネルギーと位置づけ PFセクターニュース, 2007年3月13日, ポートフォリオ。
- ↑[2]
- ↑ 『原子力と環境の経済学〜スウェーデンのジレンマ』ウィリアム.D.ノードハウス・著、藤目和哉・訳、電力新報社、1998年(原著は1997年)、ISBN 4-88555-241-9。
- ↑[3]
- ↑Nuclear Energy: Not a Climate Change Solution? Alex Steffen, World Changing, June 12, 2006.
- ↑Nuclear power's costs and perils Alan Robock, physicstoday, January, 2007
- ↑IEA Energy Statistics for Balances (IEA)、化石燃料依存割合は各々の2005年値より、( 石炭 + 原油 + 石油製品(ガソリン等) + 天然ガス ) ÷ 合計 で算出。なおノルウェーは電力を輸出しているため化石燃料+再生可能エネルギーで 100% を超えている。
- ↑ 日本では地震が多いことから対応が分かれているが、フランスでは地震があまり起きないこともあり推進されている。しかし 2007年の新潟県中越沖地震の際にはフランス国内でも関心が高まり、原発の耐震基準が緩く設定されていることなどが問題視されているとの報道もある→フランスの原子炉、大半が地震耐久性なし=反核団体(Reuters、2007年07月17日)。詳細は Sortir du Nucleaire の Séisme atomique au Japon. Le nucléaire civil ébranlé dans le monde.。
- ↑http://www.rinya.maff.go.jp/seisaku/sesakusyoukai/ondanka/top.html
- ↑http://www.eccj.or.jp/qanda/co2/qa.html
- ↑ 武田邦彦 『環境問題はなぜウソがまかり通るのか2』洋泉社 2007年、ISBN 978-4862481825
- ↑ 環境問題はなぜウソがまかり通るのか、武田邦彦、洋泉社、2007年、ISBN 978-4-86248-122-1。
- ↑ 『北欧のエネルギーデモクラシー』、飯田哲也、新評論、2000年、ISBN 4-7948-0477-6。
- ↑ 1995年現在、スウェーデンの化石燃料依存割合は 50% 前後である。(『北欧のエネルギーデモクラシー』p.95)
- ↑ エネルギー白書2004年版 [4](資源エネルギー庁)
- ↑日独気候政策シンポジウム2005の資料(PDF)Germany's Ecotax Reform 1999 - 2003: Implementation, Impact, Future Development(英語)などを参照。
- ↑Fossil Fuel Efficiency.png (Global Warming Art)、このグラフの典拠値は、GDP は 2005年、CO2排出量は 2002年値を使っているが、これ以降にも着実に削減を進めてきたドイツの効率はさらに高まっているものと考えられる。
- ↑ 社会的共通資本「第3章 都市を考える」、宇沢弘文、岩波書店、2000年、ISBN 4-00-430696-5。
- ↑ 自動車にいくらかかっているか 第4章「公共交通の社会的価値」、上岡直見、コモンズ、2002年、ISBN 4-906640-52-4。
- ↑ OECDレポート:日本の環境政策 第9章「気候変動」、OECD編・環境省監訳、中央法規、平成14年、ISBN 4-8058-4414-0。
- ↑(PDF) 経団連のこれまでの主張に対するコメント(中央環境審議会地球環境部会 天野明弘、2004年 4月 2日)
- ↑環境的に持続可能な交通(EST)を目指して ESTに関する取り組み
関連項目[]
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