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『FRAGILE 〜さよなら月の廃墟〜』(フラジール さよならつきのはいきょ)は、2009年1月22日にバンダイナムコゲームスから発売されたWii用ロールプレイングゲーム。メーカー発表のジャンルは「廃墟探索RPG」。
人類がほぼ死滅し、滅亡に向かいつつある世界で廃墟となった街や建物を探索するロールプレイングゲーム。操作コントローラはヌンチャクのみ。
「7〜モールモースの騎兵隊〜」や「ヴィーナス&ブレイブス〜魔女と女神と滅びの予言〜」を製作したナムコのスタッフと、「バテン・カイトス」シリーズや「トラスティベル 〜ショパンの夢〜」を製作したトライクレッシェンドの共同製作。
ストーリーはホラー映画のようなものではなく、「シックス・センス」のような泣かせるヒューマンドラマのようなものになる、と事前に製作者たちが発言している。
舞台に登場する新聞や看板などの文字は全て日本語であるが、看板が筆字体であったり、広告看板の謳い文句や絵柄が昭和を感じさせるようなものであるなど、いずれもレトロな印象に統一されている。そのため現実の世界において、昭和当時に打ち捨てられた廃墟を現代に探索する感覚に近い。
また、近年のゲームとしては珍しくクリア特典が存在しない。
フィールドの視点はTPS(三人称視点シューティング)のような斜め上から見下ろす形式で、基本的には「灯り」と「武器」の2つを装備して探索を行う。Wiiリモコンのポインタは懐中電灯になり、リモコンを動かすことによって明かりを向け、ヌンチャクのコントロールスティックで主人公を移動させる。Bボタンを押すと一人称視点に切り替わる。移動ができない代わりに、ズームでくまなく見ることができ、またアイテムを拾うこともできる。
探索している途中で、「悪意を持った思念体」(悪霊のようなもの)や野生の動物(及びその霊)に接近すると、その気配が音声としてWiiリモコンから流れ、シームレスで戦闘に入る。大半の敵は懐中電灯など光を一定時間当てないと姿を見ることすらできないが、一部の敵は光を当て続けることで弱体化させることができる。武器は木の棒や竹刀などの「棒系」、ハンマーや斧などの「ハンマー系」、虫取りアミや洗濯ざおなどの「槍系」、パチンコを含む「弓系」がある。それぞれ扱い方が異なるものの、攻撃は全てWiiリモコンのAボタンのみで行う。また、武器は全てランダムで壊れるようになっており、武器が壊れてしまった場合別の武器を新しく装備し直す必要がある。敵を倒すと経験値を得ることが出来、ある程度経験値が溜まると「れべるあっぷ」して攻撃力とヒットポイントが上昇する。自らのヒットポイントが0になるとゲームオーバー。最大レベルは35。
焚き火は、それぞれの廃墟の中にいくつかある「焚き火」のポイントで行うことができる。焚き火をするとヒットポイントが全回復し、ゲームのセーブが行える。さらに、セトが焚き火をしていると、ゲーム内で唯一アイテム売買が行える「アイテム屋」の男がやって来ることがあるが、必ずやって来るわけではなく来る確率はランダム。
アイテムは容量無限の「カバン」と制限がある「手荷物」のいずれかに収める。「カバン」は焚き火の最中にしか開けないので、探索中に使用する武器や灯りなどの装備品、扉の鍵や回復アイテムなどは「手荷物」に入れなければ使用できない。手荷物メニューにおいて各アイテムは1〜数マスのパズルピースのようになっており、3マス四方の9マス(ゲームの先へ進むとマス数は増える)の手荷物スペースに入りきらない量の手荷物を持っていくことはできない。もしTの字状4マス分のアイテムがあった場合、たとえ手荷物に4マス分の余裕があったとしても、そのアイテムがピッタリ入る形の隙間でなければ手荷物に収めることはできないので、他のアイテムをパズルのように移動させるか、カバンに戻すか、捨てるか売るかしてスペースを作る。
探索中は、拾ったアイテムは全て「手荷物」に入り、入りきらなかった場合は手荷物を整理しない限り拾うことはできない。またそれまで拾ったことのないアイテムや、換金専用のアイテムは拾った時点では「謎のアイテム」とされ、焚き火にかざすまで正体がわからない。焚き火にかざすと、換金アイテムであれば所持金が増え、武器や消耗品であれば次回以降にそのアイテムを拾うとその場で正体がわかるようになる。また誰かの遺品であれば、そのモノの持ち主の記憶(物語)を読むことができる。
セトが拾う数々の遺品がそれぞれの持ち主の思い出を宿しているが、大半は持ち主が誰なのかまではわからない。
エンディングのスタッフロールには各遺品の持ち主の声優が全て明記されており、何人かは複数のアイテムを重複して担当している。
各施設の名称は、取扱説明書、公式ホームページおよび作中に登場する名称に準ずる。
思い出の天文台セトがおじいさんと暮らしていた天文台。ゲームのスタート地点。朽ちた地下鉄の廃駅作中に登場する看板には「麻布台駅」と記されているが、「麻布台駅」という駅は実在しない(麻布台という地名は実在する)。また、ホームに放置されている列車は、営団地下鉄(現東京メトロ)丸ノ内線で使用されていた500形電車に酷似している。閉鎖された地下商店街「麻布台駅地下商店街」という商店街だった。かつては多くの人で賑わったという。誰もいない遊園地「月ヶ丘わいわいランド」という遊園地の廃墟。ジェットコースターや観覧車などがあるが、使われなくなった遊具は荒れ果てている。時の止まったホテル「倉都観光ホテル」。緑に囲まれた保養地にある、3階建ての洋風建築のホテル。現役時代は、宿泊だけでなく結婚式なども行っていた。ダム水力発電用のダム。内部には発電施設の広大な地下空間が広がっており、敷地面積、通路ともに作中最大のステージである。共同溝は「日比谷共同溝」、ダムは「川治ダム」がモデル。研究所何かの研究所だったらしい地下施設。病棟らしき施設が併設されている。黄昏の塔東京タワー。おじいさんの遺言に書かれていた「大きな赤い鉄塔」。テンプレート:ネタバレ
グラスケイジ計画とは、世界が滅亡する前に研究されていた、人の共感性能力を蘇らせる計画。この共感性能力とは、人々が言語の存在しない時代に使っていた、言葉を用いないコミュニケーション方法。この共感性能力を目覚めさせる特殊な電磁波を世界中に発信する事を目的としていた。世界が滅びる前に世界規模の協力で行われていた計画を第一次グラスケイジ計画、セトが東京タワーに向かったときシンが行っていた計画を第二次グラスケイジ計画という。電磁波の発信地は東京タワー。この研究(第一次グラスケイジ計画)は成功し、全世界の人々の共感性能力を目覚めさせる事ができた。
しかし、共感性能力の発動後、発動した人が眠りについたまま目覚めずに、そのまま死亡してしまう事がわかった。これにより人類の大部分が死亡し、世界は滅びてしまった。
このあと、シンが完全に人類を掃討するために、第二次グラスケイジ計画の準備を進めていた時、セトが現れこの計画を妨害する(セト本人はレンを助ける為に行動をしており、最初は計画の妨害を考えていた訳ではなかった)。サイから計画の目的を聞いたセトは、人類とレンを助ける為、研究所でシンと対峙し、彼を倒す。しかし、シンは結晶コンピューターを持ち、東京タワーに逃げる。セトはもう一度シンを倒し、なぜシンがグラスケイジを使い、人類を消そうとするのかを聞き出す。その後、さらに抵抗を続けようとしたシンをサイが説得する。サイの想いを知ったシンは自分が間違っていた事に気付き、自らとサイの本体である結晶コンピューターを破壊。セトに感謝を伝え、二人で笑いながら消えていった。
結晶コンピューターの破壊とシンの消滅により二度とグラスケイジが起動する事はなくなった。
SCMShrine maiden's Catalyst Method。(巫女の)触媒法。共感性能力が極めて高い人間を選定し、その力を増幅し、周囲の人間に伝播させる理論。シンが考案、確立しグラスケイジ計画の雛形となる。触媒法によって問題となっていた、全世界の人類に同時に共感性能力を持たせる事が可能になり、計画の中心は日本の研究チームに移っていった。触媒の巫女グラスケイジ計画に必要不可欠な、SCMの適用者。今作で登場しているのはレンとサイ。共感性能力が極めて高い人間のみがなる事ができる。巫女という女性をさす言葉が使われている事、登場するのがレンとサイと女性のみである点等から、適用者になる事ができるのは女性のみだと思われる。AC「Artificial Children」の略で、仕組まれた子供たちの意。グラスケイジ計画の触媒に相応しい人間を遺伝子工学で創り出そうとした計画。倫理的な反発を招くとの理由で極秘扱いとなった。人工子宮により女性の三つ子を生み出すことに成功した(この内の一人が今作のヒロインであるレン)が、この三つ子の一人は実験中に事故死、もう一人は行方不明になりレンだけが残った。これにより触媒の巫女にはレンが使用されると思われたが、サイが選出された事により、レンは使用される事なく、研究所のカプセルに保存された。この共感性能力を発見したのは、ある大脳物理博士。彼は人が、言葉のない時代、どのようにして意識をめぐらせ、感情を交わしてきたのか研究をおこない、人間の脳幹に眠っていた共感性能力を発見した。そして、この能力は特殊な電磁波を用いることで、現代の人類も再び習得することが可能だという事も発見した。
この発見によって、国際社会では多くの議論が交わされた。その最中、共感性能力を発見した博士が暗殺されてしまう。そのような事件の発生と、多くの意見が飛び交う中、共感性能力の研究を監視する国際機関、国際共感性能力開発機構(ISADO)が設立される。
グラスケイジ計画を統括する為に開発されたスーパーコンピューター。青い結晶状のブロックで構成されている。地球規模のシミュレーションから関係者の選別まで計画のほぼ全てを担っており、シンとサイの人格パターンもコピーされている。シンにより東京タワーの上から投げ捨てられ破壊された。
結晶コンピューターの意思時期は定かではないが、結晶コンピューターは独自の意思をもち、地球の支配者に相応しいのは人類ではなく自分であると思い始める。そしてグラスケイジ計画による人類の抹消を図り始め、シンと共に人類の大部分の抹消に成功する。しかし、シンにより結晶コンピューター自体が破壊された事により消滅する。世界滅亡の原因となったのが、共感性能力の発見から二十年たってから実行された、第一次グラスケイジ計画である。シンを中心とする日本の研究チームによりこの計画は滞りなく進められ、問題はないように思われた。しかし、人類の大多数の死亡という最悪の結果を招いてしまう。
これはシンによって引き起こされた事態であった。シンはひそかにグラスケイジ計画の最初の被験者となり、言葉を用いず、人々の意思を知ることができるようになった。これにより、シンは計画の成功を確信したが、人々の意識を感じれるようになったシンが見た人の心には、弱者へのあざけりと強者への嫉妬、怒りや恐怖、絶望が渦巻いていた。これを見たシンは人類がどんなに愚かか、どんなに身勝手かを知り、深い絶望に囚われた。それに目をつけたのがすでに自我を持ちつつあった結晶コンピューターだった。
シンは結晶コンピューターと共に人類を抹消し、AIとして新しい世界を創ろうと決意。共感性能力の発動後眠りにつくと、脳幹が活動を停止するようプログラムする。これにより人類は共感性能力を得たものの大半が死亡してしまう。しかし、少数ながら生き延びたものもおり、シンと結晶コンピューターは今度こそ人類を抹消すべく計画を進めている。
発動と滅亡サイを触媒の巫女とし、東京タワーを発信地としたグラスケイジの力が世界中を覆い、人類の共感性能力が目覚め、世界が喜びに包まれたが、世界は大混乱に陥る。あらゆる国家からの連絡が途絶え、経済も混乱した。しばらくしてこの事態は地球の自転にあわせて、つまり夜が明けるごとに起こっているのがわかった。これにより人類の支配は終焉をむかえ、世界は廃墟になっていった。しかし、僅かながら生き残った人々もおり、同じように生き残った人々を探し旅を続けている。シンと結晶コンピューターが人類の完全な抹消を目指し準備を進めている計画。触媒の巫女にはレンが使用される。計画実行の直前でサイの協力を得たセトがシンを阻み、最終的にシンが自分が間違っていた事に気付き、結晶コンピューターを破壊した事により計画は失敗。セトはレンを助けることができた。
テンプレート:ネタバレ終了
2008年6月27日より、開発スタッフの声を伝える公式ブログが開設されている。
2008年2月14日から2009年2月27日まで、ゲームに関するさまざまなコンテンツを伝えるメールマガジン「FRAGILE通信」が会員登録を行った人へむけて不定期に配信された。バックナンバーは公式サイトで閲覧が可能。
神風動画が中心となって制作。同社初の試みとして、絵コンテ・演出をA-1 Pictures、CG制作をアニマ(3DCG制作会社)へと外注し、この3社混合で制作されている。他社との組み合わせによって、自分にも予測の付かない新鮮なものを作り上げる事を狙っている。
初回生産版の特典として、数量限定で「FRAGILE MOONLIGHT TRAX」というスペシャルサウンドトラックCDがプレゼントされた。「予約特典」とされていたが、一部の店においては発売後の予約無しの購入でも入手が可能だった。CDのディスクのレーベル面は、セトとレンのカラーイラストが印刷されたピクチャーレーベルである。
収録曲(全10曲)2009年2月4日より、iTunes Storeにてヤマハミュージックパブリッシングより配信開始された。
収録曲(全30曲)2009年5月27日より、TEAM Entertainmentから発売された。以前配信開始された「FRAGILE 〜さよなら月の廃墟〜 サウンドトラック 風のなかの、遠い声」とは異なり、CD二枚組みでソフト化。ジャケットイラストは描き下ろし。ブックレットには制作プロデューサーの川島健太郎、アートディレクターの原田恵子、そしてサウンドデザイナーの斉藤理詠のコメントが収録されている。収録楽曲は42曲で未配信だった楽曲や、ゲーム未使用楽曲、レン(CV:吉川未来)が唄う「つきのうた」も収録されている。
収録曲(全42曲)一枚目(全22曲)多方面にわたるコラボレーション及び募集企画が事前に実施されたのも本作の特徴の一つである。
電撃文庫とのコラボレーション企画として、電撃文庫で作品を出している作家2名によるショートストーリーを作中で読む事ができる。読む方法は他の遺品同様に、そのアイテムを取得して焚き火にかざすこと。
「破かれた絵と枯れた鉢植え」 作:壁井ユカコ「七色クロシェット」 作:紅玉いづき電撃マ王とのコラボレーション企画として、電撃マ王2008年9月号(2008年7月26日発売)より2009年2月号(2008年12月27日発売)までコミックが連載された。
2007年12月から2008年4月にかけ、メディアワークスから発行されている「電撃マ王」、「電撃DS&Wii Style」、「電撃文庫MAGAZINE」の3誌の合同企画「世界にのこす、きみの痕跡」で、ゲーム内に掲載するショートストーリーおよび、らくがきの募集が行なわれた。
2008年8月1日から2008年9月1日にかけ、ユーザーが企業CMを作成するサイト「filmo」にて本ゲームのWEB用CMの公募企画が行われた。54作品の中から企業賞1作、ユーザー賞1作、企業入賞3作が選出された。
ユーザー投票得票数トップを獲得してユーザー賞に入賞したCMを投稿したユーザーは、水崎淳平(オープニングアニメーションムービーを作成した神風動画の代表取締役)の弟であった。
ゲーム発売後、「電撃オンライン」上の特設サイトにおいて「想いのなかから、うかんだ言葉」という企画が行われた。ゲームをプレイした上で疑問に思った事や気になった事を読者から募集し、その中から選考した質問を電撃オンラインのスタッフが川島プロデューサーへインタビューすると言うものである。
質問は2009年2月20日まで募集され、それに基づくインタビュー記事は2009年3月30日、3月31日、4月1日に全3回の記事として電撃オンライン上に掲載された。「おじいさんは何者なのか」「P.Fをもともと使っていたのは誰か」などといった、ゲームをクリアしても明確には明かされない疑問への解答が述べられている。
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