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『ドンキーコング』(Donkey Kong) は、1981年に任天堂から発売されたアーケードゲームである。1982年にはゲーム&ウオッチ マルチスクリーン、1983年にはファミリーコンピュータにそれぞれ移植され、キラーソフトとして高い人気を誇った。
『ドンキーコングJr』や『ドンキーコング3』といった続編も制作され、さらにスーパードンキーコングシリーズへつながっていく。
任天堂の代表的なゲームキャラクターであるマリオ[1]が最初に登場したゲームであり、マリオを操作してドンキーコングが転がしたり放り投げてくる樽、火の玉、火の子などの妨害を避けながらドンキーコングにさらわれた恋人のレディーを助ける一画面固定アクションゲームである。
ファイル:Donkey Kong arcade.jpgアーケード版ドンキーコング
後に『スーパーマリオブラザーズ』を手がけた宮本茂が、キャラクターデザインなどプログラミング以外をほぼ1人で制作した。任天堂米国法人で余ったアーケード基板の流用を目的として作られたゲームで、企画段階での原案は「ポパイのビア樽攻撃ゲーム」だったと言われている。宮本は製作の際、キャラクターをそのまま使おうと思っていたらしいが、版権の問題により、マリオやドンキーといったオリジナルのキャラクターを自らデザインした。さらわれたオリーブをポパイが助けに行くという原作の構図を活かして作られたのが『ドンキーコング』である。この当時はマリオの名前は決まってなかった。マリオという名前で登場したのは続編の『ドンキーコングJr』から。ちなみに、マリオは赤いシャツに青いオーバーオールというファッションが一般的だが、この当時は青いシャツに赤いオーバーオールと、配色が逆だった。
日本版の面構成は、25mから始まり、順に50m、75m、100mとなっており、これらの4つの面をクリアしてループクリアとなる、4面ループ制。米国版では多少異なる[2]。周が上がるにつれ難しくなり5周目で最高難易度になり21周目まで繰り返して22周目でバグにより死んで終わる、制限時間表示は1周目は5000で2秒弱で100減り面クリア時にボーナス点となる。2周目は6000から1.5秒位で100減り3周目は7000から1秒強で100減り4周目以降は8000から1秒ずつ100減るが25mだけはなぜか減りが遅く1.5秒位ずつ減る、22周目はプログラムのバグで[3]ボーナスが400減った時点でミスになってしまう[4]。時間にしてゲームスタートからわずか8秒強。25m[5]、50m75mはクリアできるが100mはクリアできない、途中ミス後の再スタート時にボルトが直って初めからのやり直しになるので22周目の100mで400減るまでにクリアすることは事実上不可能、国内版では22周まで行っても60万点台位しか出せないが米国版では25mが多いので得点効率よく22周まで行った場合100万を超えるスコアを出すことが可能で、スコアが100万を超えるとスコア表示の左端にレディーの顔が現れるバグがある。2007年3月23日に Steve J. Wiebe 氏が1,049,100点を記録、さらに同年6月26日には『パックマン』でパーフェクトゲームを達成した Billy L. Mitchell 氏が1,050,200点を記録している[6]。
当時としては画期的な一画面固定型アクションゲームで、マリオのジャンプアクションの原点である。ファミコン版では容量の問題で、アーケード版のベルトコンベアー面(50m)が削除され、25mで放り投げられた樽が1段ずつ引っ掛かりながら真下に落ちるか毎回同じジグザグに落ちる2種類しかないため、ランダムに来るアーケード版のようなスリルはないが全体的な出来は良く、ファミコン本体の売り上げを牽引したソフトになった。シンプルなステージの繰り返しだったそれまでのゲームに対し、キャラクター性とストーリ性を持たせた点でも優れた作品であることがわかる。なお、海外では発売時期の関係(NES発売前)からか、任天堂ハード以外への移植版も存在する。
ちなみに開発当時、ゲームの名称としては『ドンキーコング』以外に『ファニーコング(Funny Kong)』『ステューピッドコング(Stupid Kong)』が候補として挙げられていた。このうち『ドンキーコング』を正式名称に選んだのは、当時の任天堂本社の貿易部輸出部長だとされる[7]。
なお、このアーケード用『ドンキーコング』基板はジャンプ音が微妙に長い物が存在する。
アーケード版ドンキーコングの、一応許諾品(ただし、コピー基板の事後承諾後、無断での追加製造を行ったもの)であるクローンで、前期バージョン(ステージ開始時のメッセージが「~GET?」ではなく「~TRY?」、後述の裏技が使用可能)が元になっている。ファルコンが製造していた(ただし第一作目のインストラクションカードにはKYOEIという会社が作った諸説がある)。日本物産の『クレイジークライマー』の基板を流用しているため、オリジナルとは違う部分が多い。たとえばマリオがジャンプする時の音が「ホヤッ」というかけ声になっており、これはその『クレイジークライマー』でゴリラが攻撃するときの声である。
また、純然たるデッドコピー品といえる「コピー基板のコピー基板」も数多く存在し、『クレイジーコング』の場合はタイトルもそのままでファルコンの社名を消してコピーしたものが出回った。さらに『モンキードンキー』『ビッグコング』などさまざまなコピー品があるが、どれも『ドンキーコング』ではなくあくまで『クレイジーコング』のコピーである。
いずれも大量に出回ったため、これをオリジナルと思った人、またこれしか見たことない人も多かった。また、同年には『クレイジーコングPARTII』が登場した。
後にファルコンは任天堂から民事訴訟を起こされ、続く『ドンキーコングJr』の無断コピー事件では刑事告訴され、社長が逮捕された。これは日本で始めてのテレビゲームの無断コピーによる逮捕である。
国内アーケード版前期のTRYバージョンの25mで2段目に登った所から少し右に移動してから右に飛び降りると面クリアとなるバグはあまりにも有名。右下に首が残って右上に胴体が現れることから首チョンなどと言われている。アメリカでもDUMPとこの技を呼んでいるのでアメリカにもTRYバージョンは輸出されていたことになる。しかし当時この技が販売会社に知れると次の出荷分にはそれができないような対策を講じたため、修正(ROM交換)されたGETバージョンやその後に製作された米国版ではそれが不可能になった。この変更により、これらの版における22周目の25mをクリアすることは絶対にできなくなっている。なおTRYバージョンでも、この技がやりやすい基板と微妙に成功しにくい基板がある。
100mでコングの足元に接近した所でジャンプすると100点入る。これにより1・2周目では数千点を稼ぐことができるがボーナスの減りが早くなる3周目以降では大して稼げない。これは裏技というよりは製作側から意図的に盛り込まれた隠し技っぽい。
ファミコン版では25mの最下段右の梯子のたもとで下を押すと見えない梯子を降りて画面右上から出てくるバグがあるが、3周目以降などでこれをやると、その際なぜかよく死ぬ。25mでトンカチを取って樽を叩きに行くと下に梯子がない所にも関わらず樽が下に落ちて逃げていく現象が起こる。また3周目以降などの25mで樽が多量になると画面が一瞬ビクついたあと所々変色する。梯子の上で微妙に位置をずらして樽をジャンプした時に樽が足元の梯子を降りると変な音と共に2500点位が入るサンダージャンプと言われる裏技も有名。この技を多用してファミコン版では1回の25mで何万点も取ることが可能。なお重なった樽でこれをやるとその倍数の得点が入る。75mの最下段(アーケード版では、最下段に降りると無条件で死亡した)を歩くことができる。
アーケード版『ドンキーコング』のプログラミングを委託された池上通信機は、1983年、著作権侵害を理由に任天堂に対する賠償請求を東京地方裁判所に申し立てた。池上通信機に無断での、任天堂によるドンキーコング基板の複製に対する契約不履行が、著作権侵害の理由であった。
ゲームデザイン本体は任天堂社員によるものである事と、契約履行後の池上通信機の請求権不在を理由に、任天堂はこの請求を斥けた。この裁判は判決が下されないまま、両者の和解で決着した。
ちなみに任天堂に引き渡されたROMデータの中には池上通信機の社名・電話番号などが隠されている。ソースリストは任天堂に渡されていなかった為、続編のドンキーコングJrを開発する際には任天堂自身で逆アセンブルなどの解析を行うはめになった。
1982年には米大手映画会社のユニバーサル映画(当時はMCA傘下)が、『ドンキーコング』は当時同社が版権を保有していた(と主張していたが実際は異なる。詳しくは後述)映画『キングコング』のキャラクター著作権を侵害しているとして損害賠償を求める訴訟を起こした。
これに対し任天堂の米国法人であるNintendo of America(NOA)は逆に「ユニバーサル映画が同訴訟を提起したことは『ドンキーコング』の名誉を毀損した」として反訴を起こし真っ向から対決。そして裁判の過程において、元々ユニバーサル映画はオリジナルの『キングコング』(1933年版)に関する版権を取得せずにリメイク版の『キングコング』(1976年版)を制作していたことが判明したため、「そもそもユニバーサル映画は『キングコング』に関する版権など保有していない」ということでユニバーサル映画側の訴えは却下されてしまう。
最終的に上記の事情に加え「『ドンキーコング』と『キングコング』は全くの別物である」という任天堂の主張が認められた結果、1986年に任天堂はユニバーサル映画から約160万ドルの損害賠償を勝ち取った。
この裁判ではハワード・リンカーン率いるNOA法務部の活躍が光り、以後米国のゲーム業界における任天堂及びNOAの発言力を高めることにつながっている。
Smallwikipedialogo.png | このページには、クリエイティブ・コモンズでライセンスされたウィキペディアの記事が使用され、それをもとに編集がなされています。使用された記事はドンキーコングにあり、その著作権者のリストはページの履歴に記録されています。 |
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