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共和国として独立して一番最初の壁は、人口問題である。
人口は即ち内需のボリュームだ。国民が生産し、そして消費する。それが循環するのが経済だ。勿論、こんなのは古き良きフォーディズムだと笑う向きもあるだろう。しかし、何処かで生産され、消費され、それが経済になると言うのは実態の経済だ。"実態なき経済"と呼ばれるものを馬鹿にするつもりはないし、実際、我々は投資庁を発足させている。両輪が揃って国力になるのだ。
我々は数字の積み上げによる富にそれほど感心を向けていない。実際に富んでいる人がどれぐらい増えるかと言う事が重要である。
"富即ち幸福"ではないと言うが、富なき幸福は様々な我慢を強いる。教育を我慢し、人の死や障害を我慢し、表現や活動の自由を我慢する事になる。
富が全てではないが、ある程度の幸福は富によって牽引される。
収入が多いと些細な"幸運"に嫉妬を抱きにくくなるのは確かなことである。
そういう訳で、われわれはなるべく多くの人を幸福にすべく、なるべく多くの生産人口の入手に腐心した。
手っ取り早いところで日本国からだ。
労働環境の整備、高い給与水準を企業に強いることになる。
とは言え、無軌道に最低賃金を上げる訳ではない。
もし、そんなことをすれば、物価や家賃の上昇を招き、沢山の"就労ホームレス"を産む事になる。
同一労働同一賃金、生産性向上を実現するための支援を続ける。中抜きを徹底的に阻止して、人事管理の簡素化を法制度の簡素化から応援する。
ブラック企業の撲滅の為の調査と、被害者の救済を行う。
自動化、IT化を強力に進める。
情報弱者を生まないために、高齢者の為のコミュニティを創造する。これは孤独死対策にも老後の資金不足にも対応する。
労働機会の平等化には、男女の差ばかりではなく、セクシュアルマイノリティや障害者にも広める。得意なところで最大限の効用を抽出しなければならない。
ここまでやると漸く収入の水準が底上げされる。
不動産価格の上昇を抑えるために、郊外の宅地開発と新規鉄道の敷設を行う。
パークアンドライドを更に推し進め、市内交通を公共交通機関へとシフトさせる。一方、高速道路の拡充は続けて棲み分けを確実なものにする。
資金は国債で賄う。成長さえしていればよい。
税金は逆進性にならないように細心の注意を払う。その為、消費税がかなり複雑なことになるが、その為のIT技術である。
投資庁は当面は回収よりも将来性への投資である。
さて、収入が増え、事業が増えると人が集まる。
国内ばかりではない。セクシュアルマイノリティや表現の自由を求めて海外からも労働力が集まる。
常習犯罪者やテロリストを除き全て受け入れだ。
尤も、受け入れるからには我が国の文化を大切にして貰わなければならない。
政治的な亡命など命に関わるものは例外として、基本的に六年の在留から始まる。
その間に、同胞以外との交流と日本語の習得が義務づけられる。そこで当人がこの国に馴染み、当人の希望もあれば国籍取得に至る。
義務教育期間は、必ず共和国民が一定数以上のクラスに週四日以上の参加が必須となる。
勿論、元あった文化を捨てろと言う事にはならないが、共和国の文化との摺り合わせを行う必要がある。
この辺りに関しては、コミュニティのトップと行政との折衝によって行われるため、共和国内の○○文化と言う事になる。
この件に関して、徐々に日本国と共和国との間で文化的な差違が生じたため、日本国からの移民に関しても例外をなくす事になる。
文化的な交流は奨励されるため、様々な文化の様々な祭りが取り入れられる事になる。
これが新たな文化を生み、そして世界へ発信していく力になっていく。
光の面に注目したが、違法な在留や共和国文化からドロップアウトした人も出てくる。だが、そういう人にも必ずチャンスを用意する。
犯罪を犯すことよりも、そこから立ち直れなくする社会の方が危険である。
また、そういう国のルールから外れた移民を、その弱みに付け込んで雇用する企業は厳罰に処す事になる。
国の方針に従わない人達には優しくすべきではないと言う人がいるが、そういう人を冷遇して共和国を悪く言われるようになるのは本質的によろしくない。
また留学生に対する厚遇も、そういう人間が国に戻って一定の役職に就く事は、共和国のためになるのだ。
それは必ず好循環へと繋がる筈である。それを打ち消すような政策を採らない限り。
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