0248 ちさとのお休み

ページ名:0248 ちさとのお休み

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 喫茶店が休業状態になっている中、店にたむろしていた連中は、近所のファミレスに移動した。
 ファミレスは幾つかあるので分散していたが、あまりイメージはよろしくないだろう……と思っていたら、そうでもなさそうだ。
 不死者がいると治安が良くなるらしい。まぁ、確かに。

 そんなわけで、今日は春日さん、阿由武さん、ひじりさんのお三方と一緒にお昼ご飯である。
「ちさとちゃん、最近忙しくない?」
 そう心配してくれるのは嬉しいけれど、実は充実を感じるけれど、疲れはそんなに感じていない。そんな返事をすると、「この身体はそういうものだからね。でも、適度に休まないと心が死ぬから駄目だよ」と叱られてしまう。
「だって、平日は学校の仕事とお店で、土日は配信でしょ? 心音のレッスンも受けてるし、時々学校からも呼び出されてるよね? そう言うのマジでよくないよ」
 そう言われても、何を削減する訳にもいかないしなぁ……

 その話は、それで終わってくれれば良かったのだけど、春日さんが「癒やしが必要ね」と言い出したところから、ボタンの掛け違いが起き始めた。
 翌日辺りから「癒やしを求めているって?」と尋ねられる事が多くなった。
 最初は説明していたが、段々面倒くさくなって来て、「ああ、そうだよ」と疲れた顔で返事するばかりになってしまった。
 となると、「ちさとは近頃お疲れだ」と言う噂が広がる。
 玉突きのように、気を遣われる。
 アロマだのマッサージ器だのを贈られるし、綾夏ちゃんや楓さんに苦情が行くようになる。
 非常に面倒だ。

 だが、ここで「そういうのがストレス」とでも言おうものなら、「本当にストレス溜めているんだろうなぁ」と思われるのだろうな。
 好意は気持ちよく受けるとして、しかし、自分の仕事のことは少しは見直した方がいいのかも知れないと思うようにはなった。
 折しも唯ちゃんから「あともう一日ぐらい休み取って下さい。ひじりさんには私から言っておきますから」と言われたのだ。
 事の始まりはひじりさんの言い出したことだ。それなら彼女も迷惑じゃないだろう。
 そんな事情で、水曜日も私はお店を休む事にした。
 木曜日だって、私がいなくて回っているのだから問題ないか。

 久々に朝一から夕方まで授業を受ける。授業は相変わらず形式的だけど逆に新鮮だった。
 水曜日は教室にいるのだと分かれば、相談者も私を探さなくても済むだろう。
 そう言う話をしていると、「やっぱり仕事してるじゃない」と言われそうだけれども。

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