0244
俊子とカナ、凛の三人はオープンスクールに出掛けていった。
こうやって成長して、私を追い抜いていくのだ。
ちさとから「機嫌悪いですよ」と笑われてしまった。
それで翌日、俊子に会うと少し残念そうな顔をしておった。
「良い学校だったんだけどね……不死者の話ばかり聞いてきて……」
「それでお主はどうしたんじゃ?」
儂が尋ねると、きょとんとして答える。
「別に、悪い人じゃないよって」
「"悪い人じゃない"か」
儂の言葉に、「そういう風じゃなくって!」と返事をしたが、続く言葉に苦慮していた。
「まぁよい。そんなもんじゃろう」
そんな会話があった後で、ちさとから連絡が入る。
「また俊子ちゃんを怒らせるようなことをしたんですか?」
やんわりと言ってるところから、そんなに思い込んでいる風ではないが、誤解は解かなければなるまい。
説明すると、「なんだ」と笑われてしまった。
「じゃが、お主もそんなことを言われたら気にするじゃろ?」
「まぁ、確かにそうですね……」
電話口でも悩んでいる顔が思い浮かぶ。
「お主はまだ勉強会に行っておるのか?」
「忙しそうなのでいいですって言われてますね」
「そうか。どうしたもんかのぉ」
儂が少し笑ったように言うので、ちさとは「いいんですか?」と少し機嫌を損ねたようだ。
「まぁ、今度、実家に押しかけるしかなかろう」
そんなわけで、週末に顔を出すと、案の定勉強会だった。
「お主ら、仲が良いな」
儂が思った事を口にすると、「嫉妬ですか?」とカナに煽られる。
「嫉妬するしかないじゃろ。お主達はこれから大人になれるのじゃしな」
と、うっかりした事を言ってしまった。
凛に「そんなこと言わないで」と涙目で訴えられてしまう。
「いや、そういう事じゃなくてのぉ」
儂が狼狽しておると、俊子に「楓ちゃん、何しにきた訳?」と圧を掛けられてしまった。
「お主がこの前の事を気にしておったからじゃろ」
問い詰めると、「この前の事?」と少し考えて、「ああ、あのこと? あんな事、気にしてたの!?」と笑われてしまった。
「ちさとちゃんにちょっと愚痴ったぐらいで何大騒ぎしてるんです?」
そこまで言われると腹が立つ。
「大体、お主が要らぬ事を言うからややこしくなるんじゃろ!」
「だから、学校はよかったって言ったじゃないですか!」
「楓ちゃんも心配性だなぁ。子孫がそんなに大切?」
カナに大笑いされてしまった。
「お主も子孫の一人じゃよ。あと凛も心配じゃよ」
「だから、こうやって勉強しているんでしょ?」
「それもそうじゃな」
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