0229
沙希ちゃんと如乃ちゃんに呼び出されて、さて、何だろうと思ったら、私のVTuberで使うアバターのコスチュームを見せられた。
「え、怖い。採寸してないのに」
私がたじろぐと、「そんなの制服の時の採寸データがあるから!」と笑われた。
個人情報とは……
「でも、私、こんなの買えませんからね!」
私が拒否すると、「着てくれるならお代はいらないよ」とちょっと格好をつけて押し付けられる。
「着ませんって!」
私が頑張ると、「えー、事務所からお金貰っちゃったもん」と鼻で笑われた。
「クソ!」と陰ながら悪態を吐いたが、どうもここで試着してみないといけないらしい。
イラストの衣装が複雑なので、衣装のパーツ点数も増えていた。
マジックテープやスナップで止める部品が多いし、一人で脱ぎ着するのが大変だと言うのが分かった。
それに対して苦言を呈すると、「コスプレってそういうものだから。写すことが目的だから」と言われた。
見た目が整うと、身体を動かして、釣るところや動きに制限があるところを点検する。
「よさそうね」
腕を組む二人はどことなくラーメン屋の店主に見えた。
「折角だから」
と、背景紙を張った一室に通され、二人から代わる代わる写真を撮られた。
それにしても女子中学生が持つにはデカイカメラとレンズだ。腕力とか大丈夫かしら?
撮影が終わって、衣装を脱ぐと、「これ真生に送っておくね」と満面の笑みで言われた。「私じゃないのかよ!」と言おうとしたが、どうせ「そんなことをしても使わないでしょ?」と言われそうなのでやめておいた。
この衣装着ないで配信やったら怒られるんだろうなぁ……
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