0183 黄色の場合③

ページ名:0183 黄色の場合③

0183

 世間に我々を知ってもらうとなると、学校の公開は必須であった。
 希望のあった記者を呼んで見学会を開くことになる。
 研究施設と当たり障りのない場所を見せる。
 危険なものは、殆ど地下にあるので、特にこれと言って見せたらマズイものは多くない。

 格闘戦の指南をするところも見せる。
 今日は、ロシア空挺軍のグループが来ていたので、コウちゃんが彼等をぶん投げるところまで見せる。
 楓さんは、剣術を超手抜きをした状態で披露した。それでも常人の倍のスピードで動いているのだけど。

 食堂に案内して皆様にご馳走。
 駐車場で待機している面々にもお弁当を配る。
 彼等は見事に胃袋を掴まれてしまう。

 当然、これほどの施設の維持はどうするのか? と質問される。
 研究や格闘指南、資産運用などにより殆ど自前で運用している事を説明する。

 着衣者に関する質問は、これも上手く誘導してさせるようにした。
 随分前から転生者の偽物が発生する事が確認され、当該人物の収容も我々が行っていると説明する。
 国会で改正法案が通れば、彼女らの身分も定まり解放もされるでしょうと言う所で話が終わる。

「稜邦中学校に入学したい生徒が現われた場合どうしますか?」
「受け入れること自体は吝かではございませんが、当校は教育機関ではなく、収容施設なのです。あまりご期待に沿えるようなサービスは提供できないと思われます」

 様々な質問は、ほぼシナリオ通り。
 思いつきの質問が幾つかあったが、どれも想定範囲内だ。

 そして、最後の難関、カズマくんの問題だ。
 この問題、隠しておくには危険が多すぎるので、さっさと公表してしまうことにした。
 彼の天才的知性が国際的に狙われていたため、稜邦中学校で保護する事になったという。まぁ、嘘ではあるが、彼が優秀なのは違いないので、これで押し切る事にした。
 カズマくんも登場して、自らの意志でここにいる事を公表した。
「自分で自分の身を守れるほどの大人になったら家に帰ります」
 実に堂々としている。肝が据わっているなぁ。

 両親にはこの内容を伝えてあるし、元々情の浅い親らしく、カネで解決したというのもある。なるほど、カズマくんが毛嫌いする気持ちも分からなくはない。

 これで、後々突っ込まれて困るような問題は解決したのではないだろうか?
 少なくとも私より数段頭の切れる生徒達が考えたシナリオなのだから。

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