真生とルイの雑談配信だ。
お題にして欲しい内容が赤スパで飛んでくる。なんとか炎上させようとする奴もいれば、個人的な話を持ち込む奴もいる。
今回は、小学生のなりたい仕事にYouTuberが選ばれたと言う話が目に付いた。
「あれ、反省しなくちゃいけないの、小学生でもYouTuberでもなくて、そこいらの大人だよね?」
ルイが結論を言ってしまう。
ラグがあるので、リスナーの反応が見える前に、真生が続きを言う。
「そうそう。夢のある仕事の話なんだから、それ以外に夢がないって思われている訳でしょ? そうしたのは一体誰なんだ? って事を考えられないのは、視野が狭い証拠だよ」
そういう事を話している間に、リスナーのコメントが流れてくる。
「うーん、YouTuberで食べていくのが難しいって話だけど、それは野球選手やゲームクリエイターも同じじゃない? 結局、好きな事して、そこそこのお給料貰いたいって話でしょ?
単に新しいものを目の敵にしている老害の意見じゃない?」
「小学生でも、つまらん仕事でも安定してお給料稼げるみたいなライフプランを持てるとしたら、それは凄いしっかりした子なんだろうけど、じゃぁ、それがポシャった時、どうするの? って言うのをちゃんとサポートできるのかな?」
そういう話に、「確かにそういう子供がいたらキモい」と言われる。
「いや、私、そういう子がいてもいいとは思うんだよ。でも、それは大人と同じ解像度で言えているの? って事なんだよね。
大人のフリして言ってるのか、親がそう言わせているとかだと、まだ野球とかサッカー頑張ってる子の方がしっかりしているのかなってね」
次に流れてくるコメントに、「子供向けにYouTuber養成講座があるって」と言う話がある。
「どこまで本当か知らないけど、そういうの、漫画家になるなら兎に角色々遊べって言われるのと同じなんじゃないかなって思うね。
一部天才的な人がいるのは例外としても、やっぱり話の楽しさって、メインの外側にある場合が多いじゃない? そういうのを育まないと、面白くない人になっちゃうなって」
それに対して、「鉄ヲタが電車の話を捲し立てるとか」とコメントが来る。
「鉄道好きな人でも色々いるからナントモだけど、一つの趣味だけの人って、よっぽど奥深くまでのめり込まないと、よっぽど面白くないのは確かだよね。
勿論、本人がそれで満足しているなら、それは余計なお世話になるんだけどね」
次に目に付くコメントは「でも、迷惑なYouTuberを真似する子が出てくるのは確かだし……教育に良くないものだらけだ」と来る。
「それを真似しないようにするのが教育の仕事でしょ? 仮想の世界と現実の世界の区別を付けさせる事をしなくちゃ。個別に問題を説明しても、あらゆる種類の悪徳に対処しなくちゃならなくなるし、それは非現実的じゃないですか?」
「一部の人は、有害なモノを加えなければ、全員優良で安全で有益でさえある人間になると信じてるんだよね。
それが真実なら、原始人はどうして戦争をしていたんだって話になる。現実、よく私達に凶暴性むき出しで殴りかかってくる人いるんだけど、そういう人こそ、自分の事を平和的で理性的と思ってたりするじゃない?
結局、人間は太古の昔から自分に属しない人間を棍棒でぶん殴る本性があって、それを否定して見なかったとしても、自分の暴力性は消えてなくならないんだよね。
人間の成長というのは、自分が如何にクズで、どうしようもない馬鹿だと言う事を理解して、それを認めた上で、それが存在していても上手く行くように自分をコントロールする事なんだよね。
だから、人に迷惑を掛ける人が目の前にいたとして、それはむしろ、教育に使えるチャンスなんだよ。
さっきの話に戻るけど、人生設計を教える時に、そういう解像度を教えられるかがやっぱり教育なんだと思う」
コメント欄がざわついたけど、この話に決定的な疑問を挟める人がいなかったので、話は流れていった。
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