0122 カズマが綾夏の部屋で仕事をする

ページ名:0122 カズマが綾夏の部屋で仕事をする

 中本に「少しは顔が広い方がいいだろう」と言う理由で、細かなお使いに出される事がある。
 今日は、一之沢さんと言う大人の女性の所に顔を出したのだ。
「ああ、君が例の……」
 美人ではあるが、お姉さんと言えばいいか、オバサンと言えばいいのか……迷う年齢である。でも、お姉さん然として接してくる。
 奥のデスクでは、中功さんと言う生徒が大量のプリントを眺めている。
「あの人はアナクロだからね」
 一之沢さんが笑うと、「こっちの方が気付きやすいんだよ」と余裕の顔を装っていた。

 一之沢さんの依頼は、"どこか"から送られてくる大量のデータを上手いこと整理するスクリプトの更新だ。
 近頃、データソースの一部に変更があったみたいで、そこがエラーになるらしい。
 少しの手直しで何とかなるなら、その場で直してこいと言うのが僕の仕事だ。

 恐らく、元データのフォーマットが変わったんだろう。
 これならすぐに何とかなりそうだ。
 小一時間格闘して、テストで出力してみる。

「うーん、この数字、昨日から5ポイントも増えてる。多分、集計間違ってるよ?」
 集計した数字を一目見て指摘された。
「よく分かりますね」
 驚いていると、得意げな顔をされた。
「大人になるという事は、様々な数字に敏感になるという事だよ」
 その言葉を聞いて、中功さんがすかさずツッコミを入れる。
「血圧とか、尿酸値とか、血糖値とか……」
 自分で言っておきながら、これにウケたようで、勝手に爆笑をしていた。
 一之沢さんは膨れながら、しかし澄ました顔に戻しながら言う。
「限りある命なので、身体を大切にするんです」
 中功さんはそれを聞いて、ニヤつくばかりである。
 自分も歳を取ったらそうも言ってられないだろうと思うところはあるのだが……

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