0074 奈美の工房への乞食の対処

　奈美は最近うんざりしている。お金も発生しないのに、クソ無駄なやりとりを要求されることがあるからだ。それでもまだ購入に至るならいいのだけど、タダで作れとか原価で作れとかいう乞食が大量現われたからである。
　これは、最近SNSで話題になったからではあるが、昔テレビで取り上げられた時もそうだった。日本人には一定数こういうゴミ野郎がいるのだろう。

　以下、購入サイトFAQからの抜粋。相当にキレ散らかしているのが分かる。

Q.無償で作ってくれないか？
A.他のお客様が払っていただいた以上、それを無償で引き受けるのは、貴方が他のお客様以上に特別な方であると、ご自身が認識していらっしゃると思いますが、私は貴方を存じ上げません。私の友人知人恩人に作る事はありますが、その場合でも対価を払っていただいております。対価を払っていただいている方は、全て、私の作品にその程度の価値を認めていただいている訳で、それを値切ると言う事は、そうした方々の価値観を冒涜する行為に他なりません。その価値を認めていただけない方に売るモノはございません。

Q.原価はこれぐらいなんだから、その値段で作れ。暴利を貪るな。
A.貴方は最低限の経済観念をお持ちでないと見受けられます。
　材料費は原価の一部でしかありません。私が作っている以上、その工賃と技術料が発生いたしますし、在庫を持つ費用、販売管理の費用、買掛金の都合、練習や試作の代金、工房の家賃、税金、様々な費用が掛かります。
　それをご存じでないようでしたら、残念ながら人の手で作り出されたあらゆるものを消費する権利はございません。

Q.そんな人だとは思わなかった
A.人格と作品を同一にしか見られないようでしたら、それで結構です。貴方の理屈で行きますと、人の作品を無料で手に入れようと思う貴方の人格は無料程度のものなのでしょう。

Q.いい宣伝になったのに惜しいことをしたね。
A.十分に受注を得ておりますので、貴方の宣伝が私の収入を左右するとは到底思えません。貴方はご自身に何らかの力を持っていると思い込みたいのでしょうが、人の手元から作品を掠め取ろうとする方が、ひとかどの存在であるとは思えません。

Q.このやりとりをSNSで拡散するぞ。
A.まっとうな方でしたら、その程度の事で心が揺らぐとは思いませんし、その程度の事で購入を控えるような方は、元よりトラブルメーカーですので、どうぞ心置きなく拡散してください。助かります。

※上記のやりとりは、毎度同じパターンとなりますので、貴方だけのオンリーワンの発想ではございません。手の内は知っておりますので、割引を要求するお取引は、以後お返事いたしませんので、ご了承ください。

　SNSで大いに盛り上がったが、しかし、奈美の収入が減ったという話も聞かない。
　むしろ宣伝になったので、忙しさは増えたようだ。