【質問】
910-930頃にマジャール軍は,アルザス・ロレーヌ・スイス・イタリア・南フランス等に度々侵入し,略奪をほしいままにして引揚げ,西欧の人々を恐怖のどん底に陥れていたそうです.
イシュトバーン1世に始まるアールパード朝は,なぜゲーザ朝ではないのでしょうか?
イシュトバーン1世の父は,あの神聖ローマ皇帝オットー1世に西欧侵略の終結を約束したゲーザ公ですよね?
HN "カウニッツ"
【回答】
ゲーザ公の祖先が,マジャール人をパノニア平原へ導いた族長アールパードなのです.
イシュトヴァーン1世(洗礼前はヴァイク)の父はゲーザ公ですね.
イシュトヴァーン1世の血統は,彼の在世中,嫡男イムレが狩猟中に手負いの猪に襲われて落命するという悲劇に見舞われたことで途絶えているのです.
2代目の国王ペーテル・オルセオロはイシュトヴァーン1世の娘とヴェネツィア大公の間の子供でした.
3代目のアバ・シャムーエルは一族の人間ですが,在来宗教を奉じて反乱を起こした人間ですし,4代目以降はイシュトバーン1世の従兄弟で反乱を企てたとして目を潰された上,溶けた鉛を耳から流し込んで処刑されたヴァーソイの息子の血統です.
キエフに亡命していた彼ら3人兄弟が,ドイツ皇帝の力に頼ろうとするペーテル王,反逆者アバ・シャムーエルの両方を打倒したのです.