登録日:2011/10/19(水) 17:24:39
更新日:2024/01/16 Tue 11:23:18NEW!
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プラモデル 模型 モデル スケールモデル 作る楽しみいっぱい 創意工夫
【概要】
スケールモデルとは、実在する構造物や建築物等を、一定の縮尺で縮小した模型の事を指す。
対して、実在しないアニメ等の模型はアニメモデル又はキャラクターモデル、マスコミモデルと呼ばれる。
と、昔は区別されていたがアニメモデルにもスケール表示があるからスケールモデルだと言う人が多くなった*1為、現在では曖昧になっている。
はっきりとした年代は不明だが、歴史は古くプラモデルが登場する以前から作られていて、帆船やドールハウスが今も残っている。
【スケールモデルの縮尺】
スケールモデルの縮尺は様々で、それぞれ元となった物の大きさに対して使い分けられる。
ヤード・ポンド法を採用している国とメートル法を採用している国によって、メインとなる規格の違いがある。そのため、国によってはメジャーな縮尺の規格に違いが出る事もある。
プラモデルのメーカーによっては独自の縮尺規格を採用している場合があり、特に初期のプラモデルは「箱に収まるサイズ」「実際に模型にした際の大きさ」が優先で、縮尺率はその次でキットが作られる事が多く、ある程度規格が統一された現在では見ないような珍しい縮尺が採用されているケースもある*2。
以下は、スケールモデルとしてはポピュラーな縮尺の一覧である。
◆1/1
実物大。市販品模型としての採用例は少なく、実寸大という事で映画やドラマ撮影のセット、博物館に収蔵するレプリカとしてお目にかかる機会のほうが多い。
昆虫などの小動物のプラモデルでそこそこの数の採用例がある他、東京マルイがかつて販売していた「作るモデルガン」シリーズも実寸大の市販品模型と言えるかもしれない。1/1で履帯をプラモデルにした韓国のトリファクトリーのようなぶっ飛んだ例もある。
また、『ダンボール戦機』や『メガミデバイス』のような「架空のホビー」という設定のキャラクターモデルも1/1スケールとされることがある。
イギリスでは、テレビ番組の企画としてエアフィックスのスピットファイアのプラモデル(元は1/72スケール)を1/1スケールで再現する試みが行われ、実際に作られて博物館に寄贈された事がある。
◆1/6
アクションフィギュアやドールなどに採用されるスケール。それに合わせた小物類のキットが見られる他、バイク、車両などがこのスケールでモデル化されることもある。
◆1/12
可動式フィギュアや一般的なドールハウスなどに多く見られる縮尺。厳密にこのスケール、という訳ではないが「figma」『フレームアームズ・ガール』等のキャラクターもの主力製品がこの縮尺域にあたると言われている。
スケールモデルの分野では、トミーテックの銃火器ミニチュアである『リトルアーモリー』が該当するほか、ハセガワやアオシマ、PINKTANKなどがこの縮尺で自販機や机などのフィギュア向けセットのプラモデルを発売している。
また、バイクのキットでは一般的なスケールとして用いられている他、自動車のキットでも採用例がある。
◆1/20
プラモデルやレジンキットを中心に、人物の非可動フィギュアで広く用いられているスケール。自動車模型で採用されているケースもある。
日東科学教材の『S.F.3.D』(後の『マシーネンクリーガー』)で採用されたことが普及に影響しており、キャラクターモデルをきっかけとしてスケールモデルの分野でも広まったという珍しいスケール。
◆1/24
自動車模型で広く用いられており、かなり昔から標準的なスケールとして普及している。特に普通乗用車やレーシングカーなどが多い。バイクで採用されるケースもたまに見られる。
ミリタリーものでは採用例が少ないが、軍用車両(特にジープの類)や一部の航空機などがこのスケールで販売されている例がある他、兵士のフィギュアでも頻繁に用いられている。
コトブキヤの『ヘキサギア』を端緒として、2010年代に入ってからはキャラクターモデルでも使用例が見られるようになった。
近似するスケールとして、アメリカを中心に用いられる1/25がある。自動車メーカーのオフィシャルモデルを作っていた模型メーカーが「実車図面を25分の1すると1インチが約1ミリメートルになるので換算が楽」と採用したのが始まり*3。
◆1/32
アメリカにおける鉄道模型の1番ゲージの縮尺がこちら。20世紀の初めごろには使われ始めており、模型の縮尺規格としては古め。それ故か自動車、航空機、戦車など多くのジャンルで採用例があるが、戦車模型に関してはタミヤの広めた1/35スケールに主流の座を奪われている。
海外では人気のあったスロットカーがこの縮尺を採用した関係上、自動車模型のシェアも非常に広い。ミニ四駆もこのスケールを採用している。
◆1/35
戦車模型のスタンダードとなっている縮尺。田宮模型(現タミヤ)が使い始めた事を筆頭に、現在では多くの戦車模型関連で採用されている。
タミヤがこの縮尺を使い始めた理由は「戦車模型のモーターライズ化で、ギアボックス等を収めるのに丁度いいサイズだったから」というもので、実はモーターライズの仕様によっては使われなかった可能性のある縮尺である。
戦車模型に合わせる形で、小型の舟艇やヘリコプター、ロボットもののキャラクターモデルなどがこのサイズで発売されることもある。
◆1/43
自動車模型で主に用いられているスケールで、それ以外の分野では1/48が採用されることが多いので品数は少ない。
自動車模型の分野においても完成品ミニカーで用いられるケースが過半を占めており、プラモデルをはじめとするキットでの採用例は限られる。
◆1/48
航空機模型に多くみられる縮尺。アメリカにおける鉄道模型のOゲージの縮尺が該当する。
タミヤでは「1/35よりも小さく、かつディティールを盛り込めるサイズ」として、このこの縮尺での戦車模型シリーズを2000年代中盤からリリースしている。バンダイもこのスケールで戦車模型を発売していた過去がある。
昭和の昔の国内では近似する1/50スケールの勢力も強かったが、現在はほぼ息をしていない。
◆1/56
欧米圏で主に用いられているスケール。
ミニチュアゲームの駒の標準サイズのひとつである「28mm」を母体としており、厳密に1/56なわけではないが『ウォーハンマーシリーズ』が代表例として挙げられる。
ヒストリカルミニチュアゲームから派生して、軍用車両などのキット化も進められている。日本では未だこの分野に乗り出したメーカーはなく、プラッツがイギリスのメーカーからのOEM品を『ガールズ&パンツァー』仕様にして売り出している程度。
◆1/72
航空機模型で広く分布している縮尺で、サイズ的には1/48と並んでキットの選択肢が非常に多いスケールである。世界初のプラモデルである「フロッグ・ペンギン・シリーズ」で採用されたのもこの縮尺。
他にも手軽なサイズ感から戦車模型にも採用されているケースもある他、ヒストリカルフィギュアやウォーゲーム用のフィギュアでもお目にかかることが多い。
鉄道模型のOOゲージの規格に合わせた1/76スケールも存在するが、プラモデルとしての起用例は減少傾向にある*4。
◆1/87
鉄道模型の分野ではHOゲージで広く採用されているスケール。
過去には鉄道の他に戦車や航空機を展開しているメーカー・シリーズもあったが、2023年現在はもっぱら鉄道模型用のストラクチャーキットで使用されており、ドイツのファーラーのようにそれを専門にしているメーカーも存在する。
また、日本ではやはり鉄道模型の分野で近似する1/80スケール(16番ゲージ)が広まっており、それに合わせて鉄道車両をプラモデル化しているPLUMのようなメーカーもある。
◆1/100
大きめの航空機などに採用されている縮尺。スケールモデルとしてはそれほど広く普及した縮尺ではないが、キャラクターモデル、特にガンプラでたまたま採用された事を契機に、様々なロボットアニメシリーズの機体がこの縮尺で発売されている。
一番有名なシリーズとしてはガンプラのMGシリーズがこの規格を採用している。
欧米圏では近似するスケールとして1/96が用いられているが、こちらも採用したキットの数はさほど多くはない。
◆1/144
ヤード・ポンド法を使用する国で普及した縮尺で、主に「大きすぎて他の縮尺では手に余るような乗り物・兵器のキット化」で採用される事が多い。
その性質上、小さなパッケージに収める必要がある食玩で採用される事も多く、代表的な物では海洋堂のワールドタンクミュージアムがこのサイズを採用している。
キャラクターモデルでも採用される事が多く、ガンプラでは旧キットをはじめHGやFG、EGなど多くのシリーズでこのサイズが採用されており、むしろキャラクターモデルで馴染み深い縮尺と言えるだろう。
また、1/150の縮尺とかなり近いため、そちらと組み合わせて違和感なく情景を作る事も可能。近年ではキャラクターモデルに合わせる事を前提にした1/144スケールのストラクチャーも発売されている。
◆1/150
鉄道模型Nゲージで採用されている縮尺。日本では一般的な鉄道模型の縮尺であり、特に鉄道模型では車両・建物ともにこのスケールでの組み立てキットが売られている場合も多い。前述の1/144スケールと合わせて親和性も高い。
◆1/350
艦船模型を中心に広く使われている縮尺。艦船模型としてはスタンダードな1/700の縮尺の半分、すなわち倍の大きさであり、大き目の艦船模型の縮尺として広まっている。そのサイズから、ウォーターラインシリーズに馴染みのあるモデラーであれば事前に完成品の大きさを想像しやすい。
また、一部の大型建築物(城など)のキットにもこのスケールが採用される事がある。
◆1/700
艦船模型の標準規格として広く使われている縮尺。
鉄道模型に合わせてスケールモデルの縮尺が決まる中、決定打となる縮尺がなく、模型各社の艦船模型はそれぞれスケールがバラバラという状態にあったが、静岡の模型各社が共同でスタートしたウォーターラインシリーズで採用されて以降は爆発的に普及し、現在では艦船模型においては実質的な国際標準規格として広まった。
艦船以外でも採用例はあるが、城のような例外を除いて「艦船模型に合わせての縮尺」という意味が大きく、それほどキットは多くない。
また、欧米圏では近似する1/720スケール(国内流通しているものではドイツレベルの製品が一番ポピュラー)が用いられることも多く、1/700と競合状態にある。
◆1/1000~
極めて大型な兵器や乗り物などに採用されているスケール。主に艦船が当てはまる事が多い。また、都市区画を再現するジオラマなどでは4桁台は無論のこと、5桁近い縮尺が採用される事もしばしば。
他にも、SF作品やロボットアニメに出てくるような大型宇宙船や宇宙戦艦などはこのスケールで出る事が多い。
手ごろな価格で艦隊を再現できるコンセプトで作られたフジミの「集める軍艦シリーズ」は1/3000スケールという縮尺を採用しており、その小ささを活かして軍港を一区画まるごとキット化したりもしている。
【スケールモデルの種類(素材編)】
◆プラスチックモデル
要はプラモデル。
模型店や量販店で販売されてるのは大体コレ。金型にプラスチックを流し込み、射出成形した製品。
中には真空状態を利用してプラ板を型に押し当てて作られたバキュームフォームというものもある。
バキュームキットなどと区別するため、射出成形によるものは「インジェクションキット」と呼ばれることも。
近年では3Dプリンター技術の発達により、プリンター出力されたキット等も登場している。というかお前らの方が詳しいだろ。
◆エッチングモデル
真鍮板を型抜きして作るモデル。
プラモデルとの違いは金属由来の見た目と持った時の重厚感。
親切に最初から曲面を付けて有る物もあるが、基本ラジオペンチ等の金属加工工具を用いて自力で曲げなければならないのと、半田ゴテと半田で接着しないとならないのでガンプラを素組み出来る程度の腕前で手を出すと泣きを見る。
反面、これ用の技術は艦船模型などのデティールアップ用エッチングパーツの加工時に役立つ。
◆メタルモデル
ホワイトメタルと呼ばれる金属を型に流し込み鋳造したモデルで、ダイキャストモデルとも。
サイズの小さい物は完成品が多いが、大きな物は分割されている。
フィギュア系に強い。
◆コールドキャストモデル
金属の代わりに二液式で硬化するレジン等を使用して鋳造したモデル。
「レジンキット」とも呼ばれる。
金型などが割合作り易いため、ガレージキットの作成によく使用される。
プラモデルよりも作るのにコツがいる事が多い。
◆ウッドモデル
木で出来たモデル。ウッドクラフトモデルとも。
キットとして販売されてるのは加工済みだが、マニアな人は全て自作する。もちろん材木買って。
プラモデルの前はこれが主流で、大まかに加工された木材を説明書の指示で削って作っていた。
◆ペーパーモデル
紙で出来たモデル。こちらの別称は「ペーパークラフトモデル」。
キャンペーンや雑誌の付録か何かで貰うようなチャチなモノが主流だが、こちらもマニアさんの手にかかれば、「え? コレ紙で出来てるの?」というのがある。
図面をネットでダウンロードし、プリンターで印刷して作る事も可能。
糊とハサミがあれば作れる手ごろさも含めて立体物としてはチャレンジの敷居が低い。
◆マルチマテリアルモデル
上述したような素材を複数組み合わせて作られるモデル。
ただし、プラスチックが主体の場合はプラモデル扱いされることが多い。
【スケールモデルの種類】(ジャンル編)
◆兵器
戦車や戦闘機、軍艦等種類が豊富。参入しているメーカーも多く、幅広い製品が出回っている。
戦車模型は1/16~1/144、飛行機模型は1/32~1/144、艦船模型は1/350~1/700までのスケールが主流。
エッチングモデルの重厚感がハンパない。
一部のモデルはRCメカを組み込んでラジコン化可能。
◆鉄道
今はプラスチック製完成品が主流だが、未だにエッチングモデルが多く販売されている。
スケールについては、縮尺よりも軌間ごとに区分されるのが主。HOゲージ(基本1/87)やNゲージ(基本1/150)などがある。
◆帆船
帆船自体木製なのでウッドモデルが主流(稀にプラモで製品化されている物もある)。
マニアな人は実物と同じ木を使って自作したりもする。
ガラス製のボトルの中に模型を入れたボトルシップというジャンルもある。
◆車、バイク
プラモデルが主流。
エッチング/金属モデルやレジン製のモデルもあるが上級者向け。
スケールは車が1/12~1/87、バイクは1/6~1/24あたりが主流。
実はミニ四駆も本来はスケールモデルだったりする。
◆航空機
プラモデルが主流。兵器とも被っている部分が多い。
ウッドモデルやペーパーモデルの一部はRCメカを仕込んでラジコンとして使用出来るモデルがある。
中には本物の内燃式エンジンを搭載した、大型サイズ航空機のラジコン模型もあったりする。
◆建築物
有名なのが日本の名城シリーズ。
城以外にも、風物詩シリーズと称した懐かしい日本古来の建築物(茶屋、駄菓子屋など)もあり、鉄道模型のストラクチャーとしての建造物模型も数多くリリースされている。
マニアな人は割り箸で作ったり、マッチ棒で作ったり、果てはタバコの空き箱で作ったりと、流石日本人だと安心してしまう。
◆生物
プラモデルやメタルモデルが主流。
恐竜や人間など単体の物が多く種類も豊富。
スケールは、人間の場合は1/8~1/76が主流。それ以外の生物は多種多様で、中には模型の方が実物より大きいなんてことも。
人物の場合、欧米では縮尺ではなく全高を基準に区分されることもあり、54mm(約1/32)や28mm(約1/56)などが標準スケールとして有名。
◆ドールハウス
建築物に分類できるが、少し毛色が違い中身が重要。
家具は開けられて当たり前、食器等は銀で出来てたりと色々凄い。
追記、修正は積んである在庫のプラモデルを無くしてから、各自創意工夫してお願いします。
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*1 「未来警察ウラシマン」のマグナビートルのような「実在する車両ベースの架空のカスタムカー」の模型はどちらになるのかという問題もある*2 特にアメリカの古いキットや、日本の初期のプラモデルはこうしたスケールのキットが多い
*3 正確には1/25.4。
*4 フジミ模型やエアフィックスなどでは採用したキットが現役だが、いずれも初版はかなり前。
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