登録日:2009/12/04(金) 10:52:44
更新日:2023/10/26 Thu 11:14:25NEW!
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漫画 嘘喰い 迫稔雄 ギャンブル 暴力 ヤングジャンプ バトル 闇 裏 あんた嘘つきだね 一向にかまわん! 超身体能力異常のチート達 そう迫るなよ ギャンブル? パチンコ化 週刊ヤングジャンプ 集英社
人生は勝ち目の無い賭博のようなもの
誰もが最後はそのゲームの権利を失うようにできている
週刊ヤングジャンプ(集英社)にて連載していた漫画。
作者は迫稔雄。
2006年より連載が開始され、2017年12月にめでたく完結。単行本は全49巻。累計発行部数は430万部以上。
連載終了後、後述の実写映画公開を記念して公式スピンオフ漫画が全1巻で連載された。
過去に単行本の限定版特典としてOAD化、他の媒体としてはパチンコ化もされている。
TVアニメ化やゲーム化は未だなされていない。
2016年5月に連載10周年を記念して実写映画の計画が進行中だとされ、
長らく続報がなかったが、2022年2月に公開された。
監督は「リング」「スマホを落としただけなのに」の中田秀夫。
結果は爆死
基本的にギャンブルを中心に話が構成されているが、時々バトル漫画になる。
そのタイトルと主人公のコンセプトから、連載されて以来ヤングジャンプの定番エイプリルフールネタとしても活躍(?)中。
●目次
◆あらすじ
普通の青年・梶はパチスロで偶然、謎めいた男・斑目貘と出会う。
梶の助言で儲けさせてもらった礼に、貘は梶の借金返済を手伝うことにする。
貘に惹かれた梶は彼と行動を共にし、賭博の世界でいきていくことになる。
そして現れる、賭博組織「倶楽部『賭郎』」。
斑目貘こそかつて「賭郎」のメンバーを瞬く間に蹂躙した天才ギャンブラー、通称「嘘喰い」であった。
貘、賭郎、賭郎乗っ取りを企む犯罪組織「Ideal」(アイデアル)の三つ巴の戦いが繰り広げられる。
◆漫画としての特徴
ギャンブル漫画なので心理戦・知能戦がメインだが、同時に暴力も大きなテーマの一つになっている。
これはギャンブルに勝利する知力があっても、自らを守れる程度の暴力(正当防衛の能力)がなければ
逆上した(または最初からまともに勝負する気がない)相手に殺されるだけであり、
お互いに対等の暴力を持っていて初めて勝負が成り立つという現実的な展開に基づいている。
このため立会人をはじめとするキャラたちのバトルも見所の一つ。
ギャンブル展開でも、実在・オリジナルを問わず、幅広い種類のギャンブルやゲームが取り上げられる。
◆用語
倶楽部「賭郎」(くらぶかけろう)
要請に応じて様々な闇ギャンブルを取り仕切る大組織。トップに立つ人物はお屋形様と呼ばれる。
公平な立場で勝負を取り仕切り、負けの代償はそれが金だろうと命だろうと確実に取り立てる。
会員制で会員数は48人と定められており、会員権の希少価値は貘曰く「バリ高」。
会員となるためには現会員から会員権を譲り受ける必要があり、会員権を賭けの対象となされることもある。
会員はギャンブルを行う際、下記の「立会人」の派遣を賭郎に要請できるようになる。
国内のみならず海外での勝負でも派遣は可能な模様。
発足は戦国時代とされ、本能寺の変や桜田門外の変、明治維新の政府要人暗殺etc...歴史的な事件も賭郎が負けを取り立てたにすぎないのだとか。
完璧で絶対の立場を維持するため、警察や大企業などに人をもぐりこませている。
創一の暗躍により、『内閣暗流諜報謀略室』という肩書も得て、公的機関としての側面をもつようになった。
社会の暗部を暴く警察以上の超法規機関という警察よりも上の立場。
もはや一国家のレベルとまで称されるその権力は、全て「完璧な立ち会い」の為。
賭郎の会員が要請すると勝負の場に「立会人」が派遣される。
立会人は複数の部下を伴って行動する場合や、単独で行動する場合など立会人によってスタンスは様々。
立会人は賭けに関するあらゆることを要望により取り仕切る。
- 勝負を行う場所の提供
- ギャンブルそのものの提案
- ルール違反者への制裁
- 勝負後の取り立て
- 賭ける資金が不足してた場合の人主(馬主のようなもの)の募り
等。
これらをありとあらゆる人種に行うため、立会人はみな高い知力、判断力、そして何よりずば抜けた身体能力を持っている。
ただし、場所の提供やギャンブルの提案、ルール違反者への制裁は要請があった場合のみ行う。
派遣された時点で既にギャンブルの内容や場所が決まっていれば、その要請通りにしたがう。
上記の通り、作品として勝ち金を持ち帰る為の暴力も必要だが、それをどこまで対応してくれるかはルール次第、もしくは立会人次第。
立会人がいる勝負でも「暴力禁止」のルールがなければ、相手を殴り倒してお金を持って帰っても立会人は構わない。
勝ち金を銀行へ振り込んでくれ、というような対応も立会人によっては断られる。
ルールで明言されていない不正・問題行為に関してはプレイヤーに発覚しない限り賭郎は関知しない。
ギャンブル漫画のお約束イカサマも(ルールとして禁止されなければ)立会人や観戦者、極端な場合は対戦相手にバレようが指摘が無ければ黙認される。
逆に発覚した場合は立会人の裁量でペナルティが課され、特に悪質と判断された場合はそのまま粛清される。
他にも賭郎の敵を排除する「掃除人」や
外部組織などとの接触を担当する「外務卿」などの役職も存在する。
また、所謂兵隊的な「黒服」も多数存在する。
屋形越え
賭郎会員が賭郎のトップ、お屋形様に挑む賭け。
お屋形様は賭郎そのものを、会員は自分の持つ「全て」を賭ける。
賭郎発足以来、屋形越えが成功したことはない。
また、後述の条件から屋形越えが成功しようがしまいが賭郎という「組織」は強化される構図になっており、それを狙っての仕組みとも考えられる。
挑むに当たっての条件も厳しく、最低500億程度の資金、零號立会人を自分の専属にする、賭郎の人材を企業や省庁に潜り込ませる「搦め手」の献上などが条件。
なお「零號立会人を自分の専属に」というのは古来の屋形越えで必要な条件であり、廃坑編まではその条件は無かった。
貘はかつてこれに挑み敗れている。本来であれば命を奪われているはずだがお屋形様の「気まぐれ」で取り立ては行われていない。
ただし本来取り立てられるものが延期されているだけという状態なので、そのままでは再度屋形越えは行えない。
屋形越えには特に決まったゲームは無く、その時その時で挑戦者や立会人が決める。
賭けとして成立するならばなんでもいいらしく、貘がかつて挑んだ際のゲームは「30分以内にビルの上に飛行物が通るかどうか*1」だった。
號奪戦
下位の立会人がより高い號を得るべく行われる、立会人同士の戦い。
挑戦者が己のハンカチを差し出し、受ける者はそのハンカチに己のハンカチを被せる。
いつからかギャンブルとは別に行われるただの見世物、余興と化していたが、廃坑で行われた夜行と目蒲の號奪戦を見たお屋形様が立会人の號数・號奪戦双方の意味を古来のものに戻すと宣言した。
號奪戦の制限時間はわずか10秒。
挑んだ者は10秒以内に相手を死に至らしめ、受けた者はそれを全力で排除。10秒経って決着がつかなかった場合、挑んだ立会人は粛正される。
貴重な人材を失うという観点から號数が上の(つまり挑まれた方の)敗者については蘇生措置が行われる場合もあるが、その甲斐なく死亡しているケースもある。
作中の號奪戦でも両者共に生き残ったケース*2は示唆されている程度しかない。
◆登場人物
- 斑目 貘(まだらめ ばく)
声:森川智之(VOMIC)/勝杏里(OAD)
あんた、嘘つきだね
主人公。「嘘喰い」の通り名を持つ天才ギャンブラー。
その由来は「相手のブラフを全て喰い尽す」ということから来ている。
銀髪の謎多き美青年で、服装はスーツ姿であることが多い。
魔性のカリスマ性と、天才的頭脳、的確な判断力と圧倒的な観察眼を持ち合わせている。さらには声帯模写も得意。
だが、少し走っただけで息切れするなど体力は人並み外れて低い(最終章で驚愕の理由が明らかになった)。
弱冠15歳にして、「賭郎」のメンバーを瞬く間に蹂躙した実績を持ち、
ついには賭郎のトップと互いの『全て』を賭けた屋形越えに挑むも敗北。
本来なら「命」も取り立てられるところだが、創一に「君はつまらない」と一蹴され、取立てを捨て置かれている。
『破滅を撒き散らす悪魔』『死神』とも称される一方で仲間には情が厚い。
弱味を掴んで強引に自分に協力させた相手とも、付き合ってるうちに普通に仲良くなっている。
梶曰く「悪人ではないが、かといって善人でもない」
好物は「かり梅」。貘が「かり梅」を喰べる時は彼の思惑が順調に進んでいる証拠だがこれについてはごく一部の人間しか知らない(気づかない)。
巨乳好き。梶との一件で知った詳細不明のよくわからないAV「巨乳大作戦」が気に入った様子。
作中のギャンブルについては基本的には徹底的に布石を敷き、時には絶命や身体の欠損すらも厭わない行動をとることで相手の虚実を巧みに操って勝利するスタイルを取っている。
そもそも屋形越えの最初の敗北すら本人の思惑通りだった可能性が示唆されており、作中でも非常に巧妙な伏線を張り巡らして勝利していた事が多くのギャンブルで言及されている。
一方で純粋な運については平凡の枠を超えない(ただし肉体の限界を超えるなどの豪運は持ち合わせている)ようで、例えばジャンケンには極めて弱い。
読み合いを完全に放棄した運勝負では敗北することもあり、意図的に負けたものを除いても無敗のギャンブラーという訳ではない。
屋形越えに再度挑むことができない(取り立てを猶予されている状態であるため)問題については当初は梶に屋形越えをさせるという方向で動いていたが、後に上記の「意図的な負け」で屋形越えへの再挑戦権を得る。
彼が屋形越えに固執する理由は「世界平和の為」と大真面目に語り夜行立会人を爆笑させていたが……
- 梶 隆臣(かじ たかおみ)
声:神原大地
僕…嘘つきですから
闇金や消費者金融に追われていた青年。ひょんなことから貘と出会い、以後彼と共に行動するようになる。通称「梶ちゃん」。
貘と行動するうちに自分も貘のような人間になりたいと思うようになり、ギャンブラーとしての道を歩み始める。
ビル戦後にQ大郎が持っていた賭郎会員権を譲られ、賭郎会員となる。
根がお人よしで詰めが甘い。それで痛い目をしばしば見るも、物語が進むごとに成長していく。
その性根は時として武器にもなり、そこに惚れ込む裏社会の人間も存在する。
バトルシップ編で九拾壱號立会人最上妙子の部下の一人とフラグを立てたが、バトルシップ編終盤の逃避行とマルコのせいでそのフラグはバキバキにへし折れた。
自覚のあるなしによらず、核心を突いたことを言う。通称「キモ冴え」。
腕っぷしはそこそこはあるようだがチートキャラだらけの本作においてはあくまで一般人レベル。とは言え貘よりは明らかに動ける。
結果的に(自滅という形で)死に追い込んだ一人を除いては作中で誰にも手をかけておらずそれが弱点にもなっていたが、最終的にはそれを自分なりのやり方として受け容れるまでに成長した。
母親から虐待同然の扱いを受けており、そのトラウマから芽生えた破滅願望も貘に惹かれた一因となっている。
「貘の役に立つこと」を目的に行動し、貘の指示によって動くこともあれば貘の利を害さない程度に独断で動くこともある。
その行動心理と、立会人も無視できないほどに成長したキモ冴えぶりによって、最終決戦「屋形越え」において貘は夜行に決定的な思い込みを植え付けることに成功した。
- マルコ/ロデム
こんなのマルコは 痛くない
通称「廃ビルの悪魔」。
Q大郎に“息子”と呼ばれる二重人格の青年。貘からは「マーくん」と呼ばれる。
「マルコ」は純粋で正義感の強い子供のような青年だが、「ロデム」は完全な快楽殺人鬼。
本来は戦地の原住民だが、Q大郎に攫われ人体実験を受ける。
薬物投与などによる肉体改造を受け、常人離れした身体能力を手に入れたが、脳に影響を与える実験であったため知能を失い、精神年齢・知能的には子供のまま。
マルコは優しい性格ゆえに人殺しを嫌うが、Q大郎に実験と殺戮を強要され続け、体に注射を受けると殺人鬼の別人格「ロデム」が現れるようになった。
貘とQ大郎との賭郎勝負の決着以後、自分の罪を償う為に貘と行動するように。
貘を「貘兄ちゃん」と呼んで慕うが梶は「カジ」呼びと微妙に塩対応。
立会人や裏社会の関係者からは貘がマルコ(というかロデム)を純粋な戦力として手に入れたと推察されているが、当の貘からは「人殺しはしなくていい」と言われている。
事実、作中を通して「マルコ」がそれ以降人を殺害することはなかったが、「ロデム」がかつて裏社会を戦慄させた存在であることから強烈な抑止力として機能するようにはなった様子。
身体は同じだが、性格の違いから単純な暴力と戦闘技術はロデムが圧倒的に上。
ロデムは至近距離のサブマシンガンの乱射をよける、屋上から一気に下の階へダイブする、一撃で人を文字通りぐちゃぐちゃにする等々人間やめてるレベル。素手の「暴力」に限れば立会人でも及ばない。
実際賭郎立会人として長く勤め、数多くの暴力を目の当たりにしてきた夜行や能輪でさえロデムの強さには戦慄を禁じ得なかった。
ただし一方的な殺戮ばかりしてきたので、逆境に弱い。ロデムを逆境に追い込める奴はほとんどいないが
マルコも十分すぎるほど強いが、知性が子供並みなので騙し討ちや殺し合いは苦手。
世の不条理や自分の過去について苦悩しながら戦っており、ロデムと比べると精神的には強い。作中のある戦いにおいては如実にその違いが現れ、その戦いではロデムの暴力よりもマルコの心の強さが決定打となった。
注射されるとロデムになってしまう可能性が高いため、予防接種や麻酔は受けられない。後者に関しては自ら昏睡状態になる特技?で切り抜けたことも。
ある意味作中で一番成長しているキャラ。
本人の知らない間に脱童貞していると思われる。彼のいきり立つバット(文字通り)の描写は必見。
- 伽羅(きゃら)
俺と向かい合った時点で そいつは殺される側で
俺が 殺す側…誰であろうとな…
賭郎の元零號立会人。かつての貘の専属立会人でもあり、貘からは「一番最初の仲間」とも言われた。
香港のスラム出身。子供の頃から圧倒的な暴力を振るい続け、少年時代で既にマフィアに目をつけられるほどに暴れていた。どんだけだ。
彼に目をかけていた美女"鷹"(後の三鷹花)からその危うい生き方に対し、「それが強さの邪魔になるとしても出来る限り枷を背負って生きろ」と諭され、彼なりに背負える限りの枷を背負った結果現在のような人格が形成させれる。
後にその暴を賭郎見込まれ、立会人として『伽羅』という名前を授けられた。
貘とはただの会員と立会人の関係だったが、ギャンブラーの頂点を目指す貘と暴の頂点を目指す自分とを重ねて見ていた。
貘の屋形越え敗北後、生きて抜ける事が不可能といわれる賭郎を抜け自由の身になる。その為、夜行Bこと夜行丈一に私怨も含めて命を狙われている。
抜けた理由は不明。本人は貘の敗北とは何の関係もないと言ってるが怪しい。
廃坑編で初登場した際には来日したIdeal側の武器商人・カールのボディーガードであり、貘の敵としてマルコとレオの2人と対決。
圧倒的な暴と読みで2人を圧倒するも、マルコが自分の内なるロデムを乗り越えて成長し、惜しくも敗北。
その後、貘の誘いを受け、カールの護衛をしつつ貘のサポートを行っている。
戦闘能力は作中トップクラスで、初戦のマルコ&レオを始め、カラカルと夜行丈一の2人に対しても互角に渡り合うほど。
単純な暴力でも強いが、鋭い読みで状況を利用する頭脳派でもある。元零號立会人の肩書は伊達ではない。
粗野に見えるが、カールの護衛はかなりちゃんとこなし、何だかんだで梶やマルコへの面倒見もいい。ツンデレ。
コーヒーの腕は普通。
梶が関わった一件でキョンホ・ジョンリョに追われる身になり、かなり長い間連載に出て来なかった。
プロトポロス編にて再登場し、ラロの協力者となったジョンリョと戦う。
互いに毒薬を飲み、一つしかない解毒薬を巡っての戦いで常軌を逸した眼筋を持つジョンリョを相手に苦戦するが、海に落ちていく解毒薬に気を取られたジョンリョの隙を突き自分の左手ごとジョンリョの頭部を粉砕。
戦いには勝利したものの傷は深く、最期は過去の自分の幻影に看取られながら息を引き取った。
死後もその影響は大きく、エア・ポーカー編では溺死しかけた貘を蘇らせ、ハンカチ集めでは立会人たちに「誰もが認める最強の元・零號」「屋形越えに立ち会うに最も相応しい者」と認識されていた。
遺体は長らくそのままにされていたが、ハンカチ集め後に埋葬された。
- 切間 創一(きるま そういち)
賭郎の21代目お屋形様。
額のホクロと、一族特有と思われる特徴的な前髪がトレードマーク。
表向きは「蜂名 直器」の名で内閣情報調査室に所属。
優れた身体能力と知能を併せ持ち、特に記憶力が圧倒的に高い。幼少期から一度読んだ本の発行年月日までを完全に暗記していた。
それでいて、自分を「忘れっぽい」と言ったり、子供染みたイタズラやパフォーマンスを立会人に仕掛ける気まぐれな性格。
「完璧の傍らに立つこと」を自らに課す立会人を統べる者として、自らに「完璧であること」を課している。
かつて貘と全てを賭けた勝負をし、あっさりと勝利。
貘を「つまらない」と切り捨て、命の取立ては気が向いたときにやると保留している。
上記の通り際立った記憶力を持つが、実は周期的に記憶が消える持病を抱えている。
これは賭郎内でも一部しか知らされておらず、事情を知る古参のメンバーがそれとなく彼の身辺に控え、症状が起きる度に対応している。
消える記憶の範囲は段々広がり、最初は1時間ぶん程度ですんだが、劇中では数年単位の記憶を失い、一時、賭郎を離れる。
更に、記憶消滅の持病は二段階に分かれている事が後に判明する。
定期的に記憶が消える症状は先天性のものだが、自らを「完璧」な存在と律しすぎた故に「完璧」でなくなるとその時の記憶を消してしまう後天性の症状も有していた。
本人は勝負事で負けたことが無いと自負しているがそれは誤りで、敗北すると「完璧」ではなくなるのでその時の記憶を消していただけだったのである。
この後天性の症状に関してはとある勝負で自覚することで自ら克服し、激痛の記憶など勝負事において不利となりうる楔だけを消し去る事が可能となった。
また、それと同時に「己に根差す機能」を自在に操る能力を行使できるようになり、屋形越えではそれをフルに活用して貘を圧倒する。
- ハル
貘のかつての友人。
過去に貘の代わりに勝負を行い、命を落とす。
ハルの独断での行動だったのだが、嘘喰いが仲間を身代わりにしたと伝わっている。
その正体は蜂名直器こと、切間創一。
過去に記憶を失った時、偶然に貘と出会い友人になった。
後に貘が屋形越えをもくろむ賭郎会員であると知り、当時の賭郎トップだった父親と貘との板ばさみになる。
「切間」でも「蜂名」でもなく「ハル」として生きるため、決別を込めて梟との命がけの勝負に挑んだが、敗北。
命は拾ったものの、敗北直後に貘といた期間の記憶を失った。
以後は貘との記憶を失ったままであったが、数年単位の記憶を失いそれを補完しようとする過程で貘と再会し彼を「超えるべき存在」と見ていた事を思い出す。
そして成り行きから貘とラロの決戦に(立場上としては、両者共倒れを狙う賭郎側の思惑を強くする人物として)貘の協力者に指名される。
ハルというあだ名の由来は彼の記憶力をコンピューターになぞらえた貘が、名前の『はちななおき』と2001年宇宙の旅の「HAL」をもじってつけた。
「IBM」を一文字ずつ前にずらして「HAL」説から、日本のPCで言うなら98シリーズ→ずらすと87(はちなな)。
ハル「貘さん・・・それって分かりにくすぎ」
立会人
賭郎の一員で、文字通り「賭けの場に立会う」存在。黒スーツにハンカチが特徴。
勝負を中立の立場で仕切り、敗者からは代償を確実に取り立てるのが役目。
勝負の妨害・ルール違反などに対する粛清も行う。
ただし、ルールに触れない範囲でならどちらかに肩入れすることも。
賭郎会員一人につきそれぞれ専属立会人が一人割り振られる。
賭郎会員同士の勝負は『賭郎勝負』と呼ばれ、それぞれの専属立会人が立ち会う。
ただし別勝負の立ち合いと重なりで来れない場合などは、別の立会人が来たり、公平性をより強くしたい意向がある場合はどちらの専属でもない立会人一人しか立ち会わない事もある。
マフィアや官僚、暴力団員からも取り立てるため、共通して立会人たちは高い戦闘能力を持つ。
個々の純粋な戦闘能力が高いタイプが大半だが、中には複数名の取り巻きを指揮することで高い戦闘能力を発揮できるタイプも。
賭けに関する全てを取り仕切る者として「完璧の傍らに立つ」ことを自らに課す。
立会人は零號立会人から百號立会人までの計101人。
その強さや地位に応じて零~百の「號」が与えられ、数字が若い方が位が高いとされる。
ただし長い歴史の中で厳格なヒエラルキーは廃れているようで、零號が別格である事以外は號数による階級差に言及する立会人は殆どいない。
- 夜行 妃古壱(やこう ひこいち)
声:稲葉実(VOMIC)/野中秀哲(ODA)
たすっ たすけっ
駄目っ!!
賭郎の弐號立会人。後に零號を勝ち取る。
貘と梶の廃ビル勝負に立ち会ってから、彼らの専属立会人になる(当初は梶の専属立会人、後に貘の専属立会人に)。
能輪と同じく賭郎最古参の立会人。「無敵の死神」「完璧(パーフェクト)取立人」とも呼ばれ、その実力は立会人でも指折り。
取立は素手で行うのがモットーだが取立でない粛清については銃を使う事も辞さないようで、とある勝負における粛清では両手拳銃によるおぞましい「暴」を見せつけた。
外見は口髭を生やした物静かな白髪の老紳士で、巻いた眉尻が特徴的。
性格は紳士的で相手が誰であっても敬語を使うが、戦闘中は凶暴な一面を見せる。
そしてかなりの皮肉屋。
喧嘩売ってきた若造をかるーくぶっ飛ばして「辛いわー私年寄りだから辛いわー。手を抜いてこれとか私の本気一たまりもないわー(意訳)」とか、調子に乗ってる若造の首にナイフ突きつけて「もちろんあなたはこれも予想してましたよねー、どうやって切り抜ける気だったのかなー知りたいなー(意訳)」とか。
表の世界では執事カフェ「百鬼夜行」のオーナー。
コーヒーを煎れる腕にはかなりの自信を持っていたのだが、飲んだ人々(というか伽羅)の感想は「殺人コーヒー」「コーヒーを断りきれずノイローゼになった人間は2ケタ以上」「そのコーヒーで賭郎を潰すつもりか」。
コーヒーに関してはうるさい男と自称するカールに至ってはその味に絶望すら覚えていた。
巻末マンガでは「死ねばいいのに」なんて言われる始末。立会人の中にはプライベートな友人にその味の酷さを愚痴る者までいる。
かなりショックだったのか、その後猛特訓。普通に美味しいコーヒーを淹れられるようになった。
……が、悪評が広まりすぎてて長らく誰も飲んでくれなかった。というか基本的に梶ちゃんくらいしか味わってくれない。切ない。
ちなみに鞍馬蘭子から好意を寄せられており、予約を入れてまでカフェに来る模様。
零號になる際の號奪戦において左手が原型をとどめないレベルで崩壊し、治療はしたものの辛うじて手の形を保っているだけでいずれ壊死すると宣告されている。
更にその左手を負傷(動脈が傷つくと最悪死ぬとまで宣告されている)し右腕も骨折するなど満身創痍の状態で最後の屋形越えに立会う。彼もまた屋形越えを命懸けで戦う一人なのだ。
巻末マンガでは主人公。
賭郎辞めたいよね。
- 能輪 美年(のわ みとし)
車椅子に座ったぬらりひょんお爺ちゃん。壱號立会人で賭郎最古参の一人。
あらゆる人材に関するデータが頭に入っており、人を値踏みする。梶ちゃんは100円。
足が動かないため、戦闘は部下に任せているが、本人も口から含み針を飛ばして戦闘をこなせる。
ロデムに蹂躙され、カラカルに首を折られたグリス・李を筆頭に、部下の兵たちはどうにも貧乏クジを引きがち。本当に人を見る目があるのかこのじじい
まあ、対峙した相手が悪すぎただけなのだが。
孫の巳虎、息子(娘婿)の紫音、娘の美玲も立会人を勤める立会人一家。
実は足が不自由というのは生涯を懸けて築いてきた嘘で、ずっと車椅子生活だったとは思えないほど俊敏に動ける。
屋形越え前に行われた立会人同士の戦い「ハンカチ集め」で崖から落ちそうになった紫音を助けるために弥鱈の前で実態をバラし、屋形越え後は普通に歩くようになった。
この時ついでに、大の大人一人を片手で持ち上げられるほどの腕力があることも明らかになった。
- 門倉 雄大(かどくら ゆうだい)
拾陸號立会人。リーゼントと丈の長いスーツがトレードマーク。時折、不謹慎な笑いを見せる。
普段は丁寧な口調で話すが、素ではヤンキー口調。会員からのクレームにも関西ヤンキー口調で紳士的に対応する。
勝負中のミスや無様をわざわざ見に来て不謹慎な笑いを見せるが、根は義侠心が強い性格。
夜行立会人や間紙立会人のことを「御大」と呼ぶ。
ラビリンス勝負で雪井出vs梶、vs貘の勝負に立ち会う。
その後も箕輪・天真vs貘・マルコの迷宮勝負も取り仕切った。
ラビリンス勝負での粛清時に重傷を負う。
以後生死不明だったが、弐號立会人として復帰。大幅にイメチェンもした。
しかし脳にダメージが残った為性格がやや変化してしまうことに。
- 弥鱈 悠助(みだら ゆうすけ)
弐拾八號立会人。唾液でシャボン玉を作って飛ばす癖を持つ。真似しようとした読者も多いのでは。
「絶対的強者が崩れ落ち、這い蹲る姿」に惹かれるという嗜好…というか性癖を持ち、立会人を務めるのもそれ目的。その崩れ落としたい強者には当然同僚の立会人達も含まれる。
それが見れそうにない勝負内容の場合、役目として立会いはこなすが、露骨にやる気がない。
子供の頃、厳格な父がヤクザに土下座してる姿をたまたま目撃してこの趣味に目覚めた。
相手が強者であることに自信を持てば持つほどその後に得られるカタルシスが大きいらしく、そのためなら自分が死にかけることも厭わない。
しかし、強者としての自負を持たない・ひけらかさないような人間は例外で、マルコに対してだけは「崩れ落ちる様を見たくなかった」と言っている。
足技を主体にし、よっぽど肉薄していない限り手はポケットに突っこんだまま戦う。
嘘喰いに呼び出されたら、失踪中のお屋形様とアイデアルのボスが3人一緒というとんでもない場面に出くわす。
流石に狼狽するも、切間に促されてそのまま自らの趣味全開で作り上げたルールの下卍勝負を決行。
他の立会人には「ハル」の正体を隠し、本人と遭遇して驚愕する立会人たちをこっそり眺めて楽しんでいる。
作中通して嘘喰いに肩入れする機会が多いが、本人曰くは嘘喰いが崩れ落ちる瞬間を見たいためだそうな。
まさか最後の最後にそれを見る事になるとは本人も思わなかっただろうが……
オフプロでは「憂鬱の魔法使いダミアン」として知られ、立会人たちにゲーム内通貨を自前で都合できるほどやりこんでいる。
不味いコーヒーを強要する爺さんの愚痴もこぼしてる。
- 切間 撻器(きるま たつき)
強い男は 好きだ
ただし、俺より強くない奴に限るがな
伽羅が抜けた後の零號立会人。
後述の設定を踏まえれば結構な歳のはずだが見た目は妙に若々しく、左の靴がローラーシューズだったり、「ぐはぁ」が口癖だったりと結構砕けた性格。敵である人物との会話で相手の昼食を分けてもらおうとしたりとやたらフレンドリーでもある。
しかし人の死体を数メートルほど蹴り飛ばし、ローラー靴で一瞬で数メートルの距離をつめるなど、零に相応しい身体能力の持ち主。
刺繍も得意。
強い奴には好意を向けるが、自分より強いと感じた相手には殺意を向けるかなり困った性格の持ち主。
その上で夜行を好きと言い切り、伽羅もちょっと戸惑ったけど好きだと語るのだからもう…
立場だけでも自分より強いとされる相手を嫌うため、創一は彼を最強の称号である零號に据えた。
お屋形様と同じく切間の姓を持つが…
その正体は先代のお屋形様にして、創一の父。
伽羅の賭郎入りで彼と顔を合わせた時に、自分の業を自覚した。
外見は立会人になってから明らかに若返っている。
長生きの秘訣は「好きなことをすること」らしい。
賭郎の価値は人材にあると考えており、息子が復活させた古来の(確実に人材の損失が出る)號奪戦に関しては否定的。
夜行から號奪戦を挑まれた際もわざと彼を零號にした上で「俺より(立場上)強くなったお前を殺したくなった」という言いがかりめいた理由を付けて號奪戦に持ち込ませた。
その號奪戦においても夜行を殺すまいとわざと蘇生の余地がある胴体狙いに注力しながら夜行を圧倒するが、それが最終的な隙となり敗れ散る。
- 櫛灘 鉄馬(くしなだ てつま)
九拾號立会人。
貘が会員権を再入手後、専属立会人(基本的に最初に立ち会った人)として登場。
貘は再度の館越えを考えており、その階級から號を上げる気がないと判断され「獏とのタイマンで負けたら立ち合いを無かったことにする」という賭けを提案される。
結果、獏の北斗神拳*3で意識を失い立ち会わなかったことにされた。
そして再登場は、カラカルに捕らわれグランドキャニオンで椅子に縛り上げられている状態であった。
最強のネタ立会人である。
本編での活躍はほぼないといっていいが、巻末漫画では活躍?している。
- 磨黒 燥滋(まくろ そうじ)
元零號立会人。
美年のお気に入りで、かつて零號の位置にいたからには相当の実力者である筈だが、本編中より昔に伽羅に零號を奪われ、KY宣言編では美年の孫巳虎八號立会人に號奪戦で敗北し、心肺停止した状態での登場と出てくる度に敗けているいいとこなしの元零號。しかも作中では数コマしか出てこない。
現在の號数は何なのかは不明。
- 銅寺 晴明(どうじ はるあき)
拾壱號立会人。
中肉小柄で一見平凡な顔立ち、「僕は適当に 適度にしか頑張りませんよ」とうそぶいて派手な立ち回りを避ける、立会人にしては地味な印象の人物。
しかし実はその容姿を含めた少年期のコンプレックスと家族への誓いをバネに研鑽を重ねる努力家であり、「こんなのまだまだ自らに課す適度とは程遠い」という名目で死闘にも身を投じる情熱を秘めている。
プロトポロス編にてロバートKの専属として初登場。脱走を図るロバートと激闘を繰り広げながらも対話の道を閉ざさず、停戦協定成立まで食い止め続けるという粘り腰を見せた。
立会人同士のハンカチ集め勝負にも若手の一人として挑戦。己の価値観、自分が信じる「かっこよさ」の柱について語りながら門倉と拳を交わした。
- 間紙 ボロ(まかみ ボロ)
肆號立会人。
「キサマ」が「キシャン」になる(サ行が拗音になる)独特な訛りが特徴の明らかにヤバそうなおじーちゃん。
隻腕だが手裏剣や自作の日本刀「歯ぎしり」を得物にし、その戦闘力は非常に高い。
プロトポロス編にてフロイド・リーの専属として登場し、彼が梶に敗れた後は賭郎自体のサポートに徹するなど出番は少ないがそのインパクトはかなり強烈。
零號となった夜行こそが屋形越えの立会人に相応しいと考えつつも、夜行に直接権利を譲るのは本人が納得しないだろうと考え、立会人を決めるハンカチ集め勝負では若手に道を譲る(=若手が夜行には勝てないので必然的に彼にハンカチが渡る)事を狙った。
だがその際に高濃度のドラッグの煙を吸って錯乱してしまい、ただでさえヤバい言動が更にヤバくなってしまい、その際渡す相手として選んだ銅寺との間に要らん駆け引きが発生、両者ともに戸惑うハメになった(一応ハンカチを無条件で渡す事だけは忘れなかった模様)。
- ヰ近 十蔵(いこん じゅうぞう)
伍號立会人。
「ばははははっ」と大声で笑う、ドア上の壁を頭で破壊しながら現れるなど豪快を絵にかいたような巨漢のおじーちゃん。
プロトポロス編では当初夜行が腕の治療中であったため、貘の専属立会人として現れた。
見た目通りというか情に厚く、覚悟を決めたものや決意を示した者を高く評価しており、貘についても高い評価を下している。
夜行が復帰してからは賭郎自体のサポートに回ったが、島が恐慌状態に陥った際に百龍に襲撃された亜面を助けるため再登場。
百龍に一定のダメージは与えたものの倒され全身を燃やされてしまう。
その後生死については不明であったが、奇跡的に生存していた事が判明している。
- 能輪 紫音(のわ しおん)
陸號立会人。能輪美年の義理の息子(娘婿)で、髭が特徴的。
立会いについてはそつなくこなすが、時に子供っぽい行動を取ったり、SP(紫音ポイント)と称する謎のポイント付けをしたりするよく分からない性格。
暴力についても凄まじいらしいことが嫁から言及されているのだが、勝負の立会い以外には興味がなくその本気は嫁以外誰も知らない。
息子ですら「あの変人」「やる気にならないんじゃなくてやる気になれないだけ」と散々な言われっぷり。
立会人を決めるハンカチ集め勝負ではドラッグの煙を吸った事で錯乱し美年を襲い、その場にいた弥鱈を圧倒するも突然奇行に走りそこを突かれ敗北。
ちなみに人を見る目に優れた親父(義父)ですら彼の本気は知らないらしい。本当に人を見る目があるのかこのじじい
婿養子という立場ながら、義父の美年との仲はすこぶる良好。
- 亜面 真琴(あめん まこと)
漆號立会人。
オールバックに髭を生やしている……が実は若い女性。17歳の時に立会人を倒し賭郎に入り、20歳という最年少の立会人でもある。
8歳の時に誘拐され、保護された後自ら犯人の家に赴いて復讐(殺害)した壮絶な過去の持ち主。どうやらその頃から賭郎に目を付けられていたようだ。
プロトポロス編で登場し、当初は性別も伏せられたまま賭郎サイドのサポートを行う。
その後重傷を負った南方に代わってラロの立会人という名目で彼の監視を行う。その過程で百龍に襲われ重症を負い、女性である事もその時点で読者に明かされた。
立会人の責務(勝負中に不慮の事態でラロを死亡させてはならない)から執念でラロを追跡するがそれが仇となり、ラロに利用される形で殺害される寸前であった彼を救ってしまう。
自身を庇う形で生死不明となったヰ近立会人が意識を取り戻した際には人知れず涙を流していた。
- 能輪 巳虎(のわ みとら)
捌號立会人。能輪美年の孫で紫音の息子。
父親の事は割とぞんざいに扱う一方で祖父を深く尊敬しており、同時に認められたい強い顕示欲を持っており何かと祖父の名前を出しマウント取りに勤しむ。
また横柄な性格で、賭郎の強権を通すために(そうとも知らずに)妨害した一般人をアッサリ殺害する。
その実力は確かで、元零號の磨黒にほぼ無傷で勝利しその戦いからさほど時間を置かずに賭郎勝負の妨害*4に派遣される。
立会人としてあくまで勝負を成立させようとする弥鱈と勝負することとなり、號数で劣る弥鱈を圧倒するが実はそれ自体が「絶対的強者が崩れ落ち、這い蹲る姿を見たい」弥鱈の演技であり、本気を出した彼にアッサリと敗れる。
なお生死不明だったが後に元気な姿を見せている。
- 南方 恭次(なんぽう きょうじ)
警視庁所属の警視正。後に賭郎の拾陸號立会人(門倉の後任)。
若いキャリア刑事だがかつて門倉と勢力を二分した不良グループのリーダーであり、一騎打ちの果てに彼に勝利した実績も持つ。
迷宮編において獏と対峙した天真の部下として登場、ルール外から妨害行為を行って天真を支援しようとしたため立会人であり因縁を持つ門倉と対峙する。
彼に勝った実績から門倉を軽んじていたが実はそもそも門倉は当時本気で勝つ気はなく、賭郎入りを決めていた彼は敗北の味を一度知っておくべきと考えわざと敗北していた事が判明。
現在の実力も門倉が上であり、全く歯が立たずに完敗してしまう。
門倉を認めて賭郎入りした直後に天真の邪魔をし、後に身分を保ったまま立会人として警視庁における創一の勝負を立会うことになる。門倉にこそ敵わないものの彼もまた立会人クラスの実力は持っていたのだ。
プロトポロス編では当初ラロの専属として入卍するも、島の狂騒と運営の暴走によって電流を流され失神。その後銃撃を受け生死不明となる。
美年の台詞から生存が示唆されていたが、編のラストで無事生存していたことが判明する。
- 能輪 美玲(のわ みれい)
賭郎の弐拾弐號立会人。能輪美年の実娘で紫音の妻、巳虎の実母。
小柄な美年や巳虎に反して長身の女性だが耳の形が同じ。
夫である紫音をダーリンと呼び非常に溺愛しており、どうやら父や子が知らない「無敵のダーリン」の本気を知っているようだ。
劇中では賭郎勝負やバトルには一切参加せず、紫音の説明(と巳虎の生存)をする端役のような扱いだが、息子の父親評にもどこ吹く風である。もうやだこの一族。
- 最上 妙子(もがみ たえこ)
賭郎の九拾壱號立会人。鞍馬蘭子の専属立会人。名字の最上を"さいじょう"、號数の91に掛けて通称クイーン。
その名の通り女王様気質の女性。この世の全ては自分に利用されるためにあるとは本人の弁。
巻いて針のように頭頂を尖らせたドリル髪と眉の両端に蜂の腹部のようなメイクをしているのが特徴。
本人の戦闘力は不明だが、美年多数の部下を従えて総合的な暴を有するタイプの立会人。
ただし彼女の場合、従えている部下は全員若い女性であり彼女達を文字通りの意味で侍らせている。レズビアンではなく多くの人を肉体的にも深く味わいたいと望む両性愛者。
バトルシップ編において、賭郎会員である梶の依頼で登場する。*5
大船とレーシィのバトルシップ勝負の立会いを行うも当初は大船が負けると考えており、彼の成長に驚くことになる。
勝負後のルールの穴を黙認して脱出を間接的に助けた他、大船が「死んだ人間」にさせられた原因である不正事件の真相究明をフロイド・リーに依頼(脅迫)することになる。
ちなみに屋形越えは蘭子と共に音声で観戦していた。彼女を喘がせながら。
- 亘(わたり)
賭郎の参拾伍號立会人。
名前のみ登場。その後も一切出てこないある意味不遇の人。
専属立会人が「別の勝負の立会中は来られず、別の立会人が派遣されるケースがある」事を説明するための要員と言えなくもない。
- 栄羽(えば)
號数不明の立会人。小柄の老人で、作中では既に故人。
お屋形様付の一人であり、作中時間軸で最も早く創一の記憶障害に気が付いた。
彼の記憶をサポートするため、趣味を活かした絵本「はちの王子さま」を執筆。
(賭郎が秘密裏に保全している)特定の本屋で取り扱わせ、記憶のジャンプが発生した場合はこれを手に入れることで失われた記憶の補填を秘密裏に行わせる、というシステムを構築した。
だが過去編においてこの措置が使われず(貘が「はちの王子さま」を手に入れて中々ハル(創一)に返さなかったため)、偶然ハルと梟のポーカー勝負に立ち会う羽目になる。
ハルを守るため彼にペイント弾を撃ちこみ、停電を起こして梟の取り巻きを全員始末するも自身も被弾し死亡。
この事実は創一*6しか知らないものであったが、栄羽が創一に「何事もなかったかのように振舞え」とメッセージを残したこともあって賭郎で長らく謎の死とされていた。
また上記のシステムも栄羽の死によって使用不能となり、記憶の喪失が発生した場合は父親(撻器)に会うという形に変更されていた。
だが作中ではそれすら忘れるほどに記憶の大ジャンプが発生してしまい、しかも同タイミングで父親が死亡したことで創一は再び「はちの王子さま」を手に入れる旅に出てしまう。
なお流通されている「はちの王子さま」は栄羽との合流ポイントを創一に知らせるための本であるため、流通時期によってストーリーの細部(=合流ポイントを示す暗号)が異なる。
貘がそれに気づいた事がハルの正体、屋形越えに勝利するための布石、そして作中の彼の行動理念を確立させることになるという、本作におけるある意味もっとも重要な人物の一人であったと言える。
また、そもそも「はちの王子さま」自体が本作のストーリーを示唆した予言書のようなものとなっている。これには「預言者」として名を馳せた創一の母親の関与が示唆されている
掃除人
賭郎の戦闘要員。立会人と違い賭けの立ち会いはしない(ただし夜行Bについては取り立てもしている節がある)が、立会人・お屋形様の護衛や敵対勢力の排除に勤しむ面々。
號数はないがS級、A級などといったランク付けは存在しており、その戦闘力は立会人に勝るとも劣らないとされる。
ただし作中では3人しか登場せずその一人が後述する夜行B、しかも残り二人がいわゆるやられ役なので実質的には夜行Bの専用ジョブと化している感が否めない。
- 夜行 丈一(やこう じょういち)
賭郎のS級掃除人。梶曰く「夜行B」「凶暴な方の夜行」。
立会人の夜行さんにそっくりな外見であるが性格と髪型は紳士的とは程遠く、傲慢で高圧的。
夜行さんとは兄弟なのかと聞かれると露骨に嫌がる。「あえて言うなら自分が兄(うえ)」だそうな。
賭郎でもトップクラスの暴を有し、特に長い脚を使った踵落としは必殺の破壊力を有する。この漫画ジジイが強すぎる
だが伽羅に顔に傷を付けられたり(伽羅が言うには二人の夜行さんを区別するためだそうな。読者に優しい)、その伽羅とアイデアル最強クラスの戦闘力を持つクレイグとの三つ巴で二人から同時に狙われてみたり、密葬課の嵐童との戦闘においては上から落ちてきた人物の下敷きになって敗北するとい大事故を起こしたりと妙に貧乏くじを引かされている。
とは言えその戦闘力は本物であり、三つ巴では二人からの攻撃をいなして生還し、嵐童戦では少しの休息で復帰し嵐童をあっさりと倒してのけた。
オマケ漫画では過去の夜行Bも登場し夜行さんと対面するが互いに初対面らしいことが言及されている。
そして実写映画版に合わせて短期連載された番外編のラストにて、夜行二人の邂逅話も載せられた。
それによると二人は兄弟であり同じ人買いに買われた後で幼い頃に別々に別れてお互いを探していた。
賭郎勝負後に敵対する形で遭遇したが、最終的には切間撻器に助けられる形で人買いとの決着を付ける事になる。
以降は、今までの描写同様お互いが自身を兄と言いつつ、兄弟である事はぼかす形の言動を続けている。
賭郎会員
- 九重 大郎(ここのえ たろう)
廃ビルのオーナー。通称Q大郎。太郎ではない。
カジノに赴いては誰かを自分のビルに招待し、個人対個人の賭けを行わせ、飽きてきた頃に大金を提示しそれを持ったままビルを出るよう促す。
見た目はいたって普通の老紳士といった佇まいだが、その正体は快楽殺人者であり、誘い込んだ獲物をビル内に仕掛けられたトラップや子飼いの兵を使って遊び感覚で殺害し、歪んだ欲求を満たしている。貘曰く「最悪の外道」。
いつものようにカモとして貘と梶を誘い込んだはいいものの、貘の智略に翻弄されあれよあれよという間に敗北。
賭郎会員権やロデムも含めた全財産を取られ、最期は勝負が終わった後に訪れた鞍馬蘭子一行の手で殺害された。
ロデムの存在から裏社会では恐れられていたらしく、貘はそれを知った上で彼との勝負に持ち込ませた事が示唆されている。
- 鞍馬 蘭子(くらま らんこ)
暴力団「鞍馬組」の女組長で、カジノを経営している。
読みきり版では貘と勝負し、最終的には有り金を巻き上げられた。
本編でも初期から度々登場。
ハングマンでは貘の外ウマにのって10億ぽんと賭けたり、タワー編では屋形越えの権利を貘から横取りしようと企てた。そのせいでストーリーが非常にややこしくなった
基本的には冷酷だが、「善人や女(自分含む)子供、弱者には手をかけない」という人間としてのルールを自分に定めている。
一方その範囲内でなら手段を選ばず、その線引きは本人だけが決める。
男に対しては犯りたい奴・殺りたい奴・支配したい奴という3つのポイントで見る。
- 捨隈 悟(すてぐま さとる)
鞍馬組に協力し、貘に屋形越えのための搦手の功績を賭けて勝負を挑んだ人物。
賭郎で不敗神話を築いていた梟を神がかり的に倒し、賭郎会員権を奪い取った。
中国出身で、いわゆる闇の子だったが、管理者を殺害し外の世界で生きてきた。
その生い立ちゆえか、鋼のごとき決断力と精神力を持ち、嘘喰いにすら心理を読み取らせなかった。
実はアイデアルの構成員であり、鞍馬組を屋形越えの隠れ蓑に使う目的で送り込まれた人物。
梟との勝負も実は単なる八百長だった。
最終的にはそれが原因となり勝負に完全敗北。蘭子に撃たれたが麻酔銃で撃たれたらしく生存していることが後に示唆されている。
- 梟(ふくろう)
一時は会員権を手放していたが、賭郎でも古株の会員として数えられるポーカーの達人。
病によって顔が爛れたようになっているが、それを「表情を読まれなくなった」とむしろ喜ぶギャンブル中毒者。
貘も警戒しており、かつてハルが挑み敗れた相手。
しかし、捨隈に大敗し、金と会員権を奪われた。
勝負に金を賭けるだけでは最早燃えず、命を懸けるくらいじゃないと興奮もしない。
頭脳明晰で冷静な判断力を持っているが、わざとリスクを冒して興奮するなどリスクジャンキーでもある。
実はアイデアルの息がかかった人物。捨隈に八百長で敗北したのもその為。
プロトポロスでも協力者として入卍。ラロに協力する理由は「賭郎を愛しており、そんな賭郎に変化をもたらすため」だと言う。
顔が爛れているのは病気のためではなく、実は自分で焼いたことが後に判明。
卍決戦最終勝負にて貘vs.ラロと連動したエア・ポーカーでハルと対戦。
貘やラロの手札、そして常人離れしたポーカーの手腕で一進一退の勝負を繰り広げたが、最後は貘とハルの絆に敗北。
決着後、ハル…もとい切間創一の言によって賭郎の一員、立会人として新たな道を進むことになった。
警視庁関係者
- 笹岡(ささおか)
副総監警視長副総監。
「密葬課」という暴力機関を取り仕切り、更にLファイルという警察(と賭郎)が隠蔽を行った犯罪者のリストを有するキャリア官僚。
自分をリスクに晒らず部下に汚れ仕事をさせる典型的な小物であり、賭郎と賭郎が手をまわして作り上げた「暗謀」の存在を疎ましく思っていた。
部下に南方が居たが、彼が門倉との勝負に敗れ賭郎立会人になっていた事は知らず、彼の手引きで創一に帝国タワーへの突入人員を決める賭郎勝負を挑まれてしまう。
勝負自体は「密葬課」の戦闘要員である嵐童の敗北によって彼の敗北も決まり、拷問器具「レッドドラゴン」に繋がれ、自らの血が抜かれていく恐怖を受ける。
この機器自体は実際には血を抜く装置ではなかったのだが、血を抜かれるという恐怖に錯乱しショック死するという最後を遂げた。
これによって警察上層部が抱えていた不祥事は全て彼の仕業とされ、警察機構は完全に賭郎の支配下に置かれてしまう。
また、自身をリスクにさらしたくない姿勢は創一に見透かされており、「自分が助かりたい一心、しかも思い込みで死んだ虫以下」と散々な扱いであった。
実は過去に貘との賭郎勝負に立ち会った事がある。当時の肩書きは警視庁警備部部長(警視長)。
依頼者の権益を守るという任務は失敗するが、その際の貘の言葉から「賭郎にアリバイを取り立たせ、警察が隠蔽した有力者の犯罪を擦り付ける」という後のLファイルの構想を思いつく事になる。
明言はされていないが、この誘導自体がそもそも貘の策略だったことが示唆されている。
- 雪井出 薫(ゆきいで かおる)
警視庁の関係者(公的な立場は言及されていない)。貘からは「ユッキー」と呼ばれる。
迷宮ギャンブルのプレイヤーであり、ノーリスクで金が得られると唆してプレイヤーの「時間」を賭ける勝負をしている。
父親から「秩序を守るためならばどんな行為も許される」という教育を受けた結果、国家や警察そしてそれに関わる自身が正義であるという歪んだ思考を持つに至った。
そのため、愛想の良い外面とは裏腹にギャンブラーを見下しており彼らから軽く不正を疑われるだけで激怒する。
嗜眠性脳炎という難病を患っており、10年間分の記憶がない。
そのため、空白の記憶を他人の思い出で充填したい………というのが迷宮ギャンブルの表面上の目的になっている(実態は異なるが、記憶がないのは事実)。
最終的に貘に敗れた上に上記の思考自体も否定されたことなどがあったからか、嗜眠性脳炎を再発し廃人同然の状態となってしまう。
更に後述の天真に利用されていただけという事が判明し、貘とマルコは全てが終わった後「友達」として彼の見舞いに通っていた。
- 天真 征一(あまこ せいいち)
警視長。密葬課や迷宮ギャンブルに関わるキャリア組。迷宮ギャンブルとLファイルの直接の管理者。
正義を守る番人としての自覚の強い人物……という外面とは裏腹に、本性は非常に醜悪で狡猾。
キャリアである自身を強者、民衆を平和ボケした弱者と蔑んでおり、部下や同僚さえも駒扱い。
過去には自分が駒として利用していた雪井出の父親から「一緒に変わろう」と改心を持ち掛けられたが、話に乗った振りをして冤罪(捏造)によって刑務所送りに。その息子である雪井出薫を言いくるめて後継者とし迷宮ギャンブルのプレイヤーに仕立てた。
元々は迷宮ギャンブルの正体を知りそれを暴いた貘を抹殺し金を奪うつもりだったが、マルコの登場などから暴力での強奪は困難と考え、門倉が提案した「警視庁地下の実物の迷宮ギャンブル」に乗る。
様々な音を「色」として認識できる共感覚の持ち主であり、協力者である箕輪と随時モールス信号でのやりとりしつつそれを活用して勝負を有利に進めていくが、獏にそれを見破られた挙句利用され、妨害要員としていた南方が門倉に敗れて寝返った事も相まって形勢が逆転。
貘の想定外の逆襲に遭い、命乞いの為に貘の靴を舐めるという最大の屈辱を味わう。
屈辱を味わってなお逆転の可能性に賭け、心停止したマルコを貘が蘇生したことで生じた1ターンの猶予で箕輪と合流し万全の態勢になった……かと思いきや、錯乱した箕輪によって「食い殺されて」しまう。
その様相は様々な死に立ち会ったであろう黒服達を絶句させ、「神でも蘇生は出来ない」と言わしめる惨状であった。
警視庁密葬課
警視庁にあって、表沙汰に出来ない事件や、不都合な人物を人知れず埋葬(抹殺)する組織。
立会人級の戦闘力を持った人材を抱えている。
笹岡が死亡したことで密葬課は解体され賭郎に吸収された。
- 箕輪 勢一(みのわ せいいち)
地下迷宮の『ラビリンス勝負』で登場。
外見は中肉中背の冴えないオッサンだが、ミオスタチンの限られた体質と高密度に圧縮された天与の筋骨を持ち、体格に見合わない怪力を振るう。その力は蹴りで人間を建物の天井に叩きつけるほど。
チョコバーを食べているがこれはその特異体質故に頻繁なエネルギー補給を必要とするため。
幼少期には母親から大量の丼飯を食うことを強要される虐待を受けていた様子。
ラビリンス勝負においてマルコに重傷を負わされたためチョコバーではエネルギー補給が足りず、極度の空腹から暴走。
仲間であった人物をゲーム中に殺害、人肉食を行った上に対戦相手であった貘達までも喰らおうとしたが、それがルール違反となったため門倉によって粛清され死亡。
コミックスの巻末オマケ漫画では密葬課での仕事で人助けをする話と密葬課一同で鷹さんへイタズラを仕掛ける話に登場している。
- 三鷹 花(みたか はな)
密葬課を課長そっちのけでとりしきる老婆。夜行さんすらBOY呼ばわり。通称鷹さん
身軽に跳ねながら、圧倒的な攻撃力の拳で相手を葬っていく。その拳の威力は凄まじく、夜行さんからは「この女の拳は危険だ」とまで評された。
夜行さんと車の中で激闘を繰り広げるが、決着の前に戦う理由自体が消失。零號の誘いを受け賭郎立会人となる。
当初は参拾號だったが、卍決戦中伽羅vs.ジョンリョと連動して行われた万代立会人との號奪戦を制し、拾號へ昇進した。
元々は中国で恐れられた殺し屋。少年時代の伽羅と知り合いで、食事の世話や、「人」の生き方を教えたりと面倒を見ていた。
見た目は眼光鋭い魔女のようで喋り方にも雰囲気にも威圧感があるが、それとなくジョークを飛ばしたり赤の他人の身を案じて忠告をしたりと見た目と違って優しい心の持ち主。若い頃はなかなかの美人でもある。
旦那がいるらしいが、彼との間にできた子供が死産となってしまったらしい。
卍決戦後のハンカチ集めは伽羅への想いから不参戦。しかし他の立会人にタダでハンカチを渡すのも癪だとし、立会人ではないマルコにハンカチを託した。
- 真鍋 匠(まなべ たくみ)
密葬課の長。左眼から頬にかけて毛が生えている。
タワー編で電波ジャックを止めるため鷹さんと共に突入。
撻器と車の後部座席という閉所で対決し、お互い相打ちギリギリまで持っていくが、その戦い自体が賭郎側の時間稼ぎだった。
勝負後は賭郎に降り、プロトポロスではハルの専属立会人となる。號数は弐拾九號。
実は警察時代にハルと因縁があるも、卵を貰ったり、ハルの唐突すぎるギャグに大うけしてたりかなり仲良くやっている。
実力はやはり密葬課トップという肩書に恥じず、あの撻器をして「好きか嫌いか分からない」と言わしめるほど。
エア・ポーカー編では水中で金属製の空気ボンベを破裂させ、ハンカチ集めではマルコ・門倉・弥鱈の3人を相手に圧倒さえした。
好物は卵。好みは半熟。ただし有精卵の。
オマケ漫画でも登場。鷹さんにビクビクしながら密葬課を率いている。課長なのに。
- 嵐童 公平(らんどう こうへい)
密葬課の課員。機動隊所属。
容姿や言動に異常な雰囲気を帯びた筋肉質の巨漢で通称は「ランペイジ」。
立会人や掃除人に匹敵する暴を備えているが、幼少時代から何かしらの障害を患っているようで、虚空を見つめながら何事かをブツブツと呟く奇癖を持ち知能も低い。
指揮者から相手の「最後の言葉」だけ意識するよう指示されており、敵対者の「最後の言葉」の確認に強い執着を持つ。幼いころに見た本からの引用で報告の最後に「そう言うと、踊り続けました」とつける癖も持つ。
帝国タワーでの賭郎と警察の勝負において、警察側代表として夜行Bと戦闘。前述の通り大事故を起こした夜行Bを倒すが、再戦においては歯が立たずに完敗した。
幼い頃よりいじめられっ子で、反撃で過剰な暴力を振るってしまう癖を持っていた。
チーマーに絡まれていた女性を助けるも行き過ぎた暴力が原因で周囲の人間には怯えられ、彼を擁護し続けた母も恨みを抱いた連中の手で報復を受けてしまう。
その際に母親から聞かされた「最後の言葉」である彼への強い恨み言が、彼の心に深い傷を刻み付けている。「最後の言葉」に拘るのもこれが原因。
悲劇的なディテールを持つが生死不明であり密葬課が解体された後も登場しない。
Ideal(アイデアル)
アメリカの犯罪組織。
ダイヤモンドのカットの最高形、アイデアルカットから名前を取っている。
世界中にそのネットワークを張り巡らし、トップの正体は賭郎ですら掴めていなかった。
劇中では賭郎の乗っ取りを目的に活動。当初は力づくで奪うつもりだったが「屋形越え」のシステムを利用する方向にシフト。
そのために貘を利用せんとし、賭けやバトルで度々衝突している。
- ビリー・クレイグ/カラカル
DIE YOBBO
アイデアルの幹部。左耳に黒い縞模様の痣があることから「カラカル*7」の通称で呼ばれる。
日本人を猿呼ばわりし、「~デース」「マース」口調で喋る、いかにも漫画に出てきそうな白人キャラ。
しかしふざけた態度と裏腹に、作中最高レベルの暴力と知性を併せ持つ怪物。
暴力で伽羅と渡り合い、頭脳戦で貘を出し抜く化け物である。そっちもかなりの力技だったのは内緒
ラロにも「アイデアルの発展は彼のお陰と言っても過言ではない」とまで言われている。
幼い頃に遭遇したある事件によって特異体質になっており、ある要因によって脳のリミッターが外れて痛みや恐怖を感じない超人に変貌する。
その力は分厚い鉄の防火扉を素手でへし曲げ、大柄の成人男性を目にも止まらぬ高速移動からの殴打や蹴りで悠々と吹っ飛ばす。腕が折れて骨が露出しても全く意に介さないその姿は最早狂気であり、アイデアルからは「平行世界に棲む異次元のビリー・クレイグ」とまで言われていた。
作中で最強と言っても過言ではなく、ロデムですらサンドバッグにするという異常な強さであった。
飛行機を利用する時は、ファーストクラスの席を全席買い上げて貸切状態にするという習慣を持つ。
- ビンセント・ラロ
アイデアルのボス。
生い立ちも名前が本名かどうかも不明な謎多き人物。
ダイヤモンドに異常に執着と独占欲を見せ、「ダイヤに価値を見出す人間を許せない」「まして、身に着けるなど死罪」と語り、言葉通りダイヤを持つ人間を見ると即殺害。
人材の収集にも意欲を見せ、優れた人物に「美しさ」を見出している。
貘が満たした屋形越えの条件の資金を奪い、屋形越えの前哨戦として貘、蜂名と共に『卍』に参加する。
初日から快進撃を続けながら、裏では外部の部下とコンタクトをとる。
アイデアルの組織力で勝負の舞台リアルプロトポロス島そのものを揺るがしていく。
基本的には本人の策略と豊富な人材によって勝負を優位に進めていくタイプだが、最終的にはそれが原因となり敗れることになる。
プロトポロスにおけるラロの協力者
ラロ自身の協力者であるため全員がアイデアル所属と明言されている訳ではない。
- ロバートK
アイデアル工作員。プロトポロス編で登場したラロの最初の協力者。
ラロが「最善の切り札」と呼ぶ人物で上位の立会人にすら匹敵する戦闘能力を有し、伽羅ともある程度は渡り合えたが敗北し島からの追放処分(島落ち)第一号となる。
だがその敗北すらラロの想定内であり、島落ちによってアイデアルに島の位置を知らせることが彼の本当の役目であった。
しかし、その実力を評価したプロトポロスの「運営」からスカウトされるという想定外の事態が発生。
それを利用して島のコンピューターからアイデアルに連絡を取ろうと試みたが「島落ち」を賭けて敗れたのにそれを反故にしたと見做され賭郎の粛清対象となる。
立場が不安定だったが故に全力を出せない銅寺立会人を一度は倒すが、反撃を受け心停止。密輸臓器用の死体として島外に搬出される。
だが実は銅寺の計らいで仮死状態だっただけであり、蘇生を受けて生還。
実は捨隈悟の実兄で、弟に会うためラロに協力していた。
その弟が鞍馬組に居ることを銅寺に教えてもらったことでラロに協力する理由がなくなり、島脱出後に鞍馬組を訪問し、弟との面会を求めている。
- フロイド・リー
情報屋。国際指名手配犯。
ビンセント・ラロの2人目の協力者。ラロとは旧知の間柄だがアイデアル所属とは明言されていない。
数々の国家機密やスキャンダルと言った情報を暴き出しそれをその敵対者に売りつけていることから、各国の諜報部や警察から常に追われている。
秘密を暴くことが好きという性質で、目をつけた相手の情報を徹底的に集め、その相手の心理を読むことに長けている。
日本滞在中に見たTV番組で梶に強い興味を抱き、正体を調べていた。
その梶とはアズラの砦にて対決。
梶の心理を巧みに読み、彼が相手の殺害を前提とするルールに反して殺しはできないと読み勝負を優勢のまま進めたが、梶の本質に触れた立会人(門倉)がルールの範疇で手を貸した事で形勢が逆転。
更に梶の気迫に押されルール違反である「下がる」行為を行ってしまったことで敗北する。
「下がる」ルール違反を認めなければ勝利が見えた展開であったが、二度も殺すチャンスがありながら自身を殺さなかった梶に敗北を認め、砦の明け渡しと島落ちをする。
島落ち後には梶をパートナーに指名し、防衛庁不正事件の真相を暴いたようだ。
- キョンホ・ジョンリョ
ボディーガード。
ビンセント・ラロの3人目の協力者。眼鏡と筋肉質な体躯、真横に撫で付けた髪型が特徴。
この名前はコードネームであり、韓国語で「護衛の終わり」を意味する。
都市伝説で知られる怪人物で、一般的なボディーガードとは違い契約した相手が「殺害された場合」に相手に確実な報復を与えることで知られる。
つまり、契約者を殺せば自分や自分の周囲の人間が確実に報復され殺されると分かれば暗殺への抑止として機能する、という具合である。
元々はヤクザの滑骨という人物と契約していたが、彼が伽羅に瞬殺されたことで伽羅をつけ狙う。
ラロに協力者として指名されたが都合よく伽羅も貘の協力者として呼ばれており、アウトローを巡る争いで死闘を繰り広げることとなる。
幼少期は難病に苦しめられており、救いを求めて入信したとある宗教団体の人体実験の結果、病気も克服し優れたアスリートとなったが精神面でも大きな歪みを抱えてしまった。
自らを神と同一視し、自身が全ての人類と「契約」することで上記の抑止力を全世界に発揮させるという使命を抱いている。
人体実験の結果として筋力、特に眼筋が異様なほど発達し常軌を逸した動体視力を持つ。その戦闘能力で伽羅に致命傷を与えるが、最終的にはその目の良さが命取りとなり敗死。
ちなみに彼自身はラロと面識があるが部下(つまりアイデアル所属)ではない。上記の異様な思考から仲間にすることは出来ないと考えたようだ。
- 百龍(バイロン)
龍の描かれた白スーツが特徴の、中国で暗躍する伝説の兇手。ここからはルール外でラロが呼び寄せた協力者(よって発見され次第賭郎からの粛清対象となる)。
作中では偽物と本物の二人が登場している。
偽物は能輪美年に1億円の値をつけられるほどの男で彼と対峙するが、美年が生涯を通して隠し通していた「歩けないという嘘」を見破れず足技によって敗北。
本物はかつて黒社会を震撼させた二大暗殺者の一人であるが、引退し荒れた隠遁生活を送っていた所をラロに唆されて参戦。
気づいた時には既に手遅れという意味で、自身を「詰まった耳くそ」に例える。例えが分かりにくい
その戦闘能力は零號立会人(伽羅・撻器)に匹敵すると言われ、亜面立会人では全く歯が立たずヰ近立会人でも多少のダメージを与えるのが精一杯であった。
徒手空拳に優れるが、気絶するほど強力な耳くそ指弾を放ったり火を吹いたりと言った技も駆使する。
現零號である夜行立会人とも互角に渡り合い、互いが強烈な応酬で意識を失うほどの泥仕合を繰り広げるが一歩及ばず重傷を負ってしまう。
その戦いで錯乱し、暴徒と度重なる激突を繰り返した結果瀕死状態となる。
実は三鷹花(鷹)の元旦那であり、彼女が子を身籠ったのを機に裏社会から足を洗おうとしたため袂を分かっていた。
その後花とその子供(前述の通り死産であったが百龍はそれを知らない)を探しており、ラロに誘われたのも彼女が島に居ると伝えられたためであった。
最終的には完全に錯乱し、偶然遭遇した花を元嫁と気づかずに襲撃するも一撃で粛清される。
相対した花は百龍が報復に来ることを恐れていたが、百龍の本意はもう一度やり直したいというものであった。
しかし互いに互いを認識できないまま激突し、その思いも届かぬまま散ることとなる。
- トルベ
ラロの別働隊のリーダー。目の位置が左右でズレていることが特徴の男。
コードネームは「地雷」(torpedo)に由来し、爆弾を使いこなす。
顔のパーツをずらす(本人曰く痛いらしい)ことで容姿を変えることができる。父親に虐待されて骨格が特殊なものになったが故らしい。
孤立した島への物資搬入を妨害して兵糧攻めを行ったり、プレイヤー達の不安や恐怖心を扇動して島を恐慌状態に陥れる。
自信も複数の仲間を従えて不正に島に入るが、夜行さんの作中最大レベルのオーバーキルによって後述のアノマ以外は全員瞬殺されてしまう。
そして変装を弥鱈に見破られ、爆殺しようとするも失敗し粛清された。
- アノマ
不正入卍者。先読みして相手の発言に被せて話す特徴がある男。
夜行さんに運よく殺されなかった男でもある。
ラロからもし彼の死亡時には遺体をダイヤモンドにするよう依頼されており、遺体の回収を行った。
彼自身は上記の経緯から立会人とまともにやり合う気はないと発言しているが、厚いガラスを軽く叩き割るぐらいの力はあった様子。
最終章でもアイデアルを吸収した賭郎の協力者として度々登場する。
その他不正入卍者7人以上。精鋭、囮、ハッカーなど。運営と妃古壱により全滅した。精鋭として「首切りジョーンズ」「ソーダメーカー」の2名が判明しているが、彼らもまた妃古壱の虚を突いた襲撃に遭い実力を発揮する機会なく退場する。正式入卍の4人は、ノータイムで呼び出せる4人にすぎず、アイデアルの本隊は彼ら。それでも、準備期間数日という縛りは大きかった。
主な登場ギャンブル
以下、ストーリーのネタバレ含むので注意。
廃ビル脱出勝負
本編で最初に行われた賭郎勝負。夜行立会人が立会を務めた。
ルールは単純でQ大郎が所有する廃ビルの6階から、大金を抱え外に出られれば勝ち。
しかしビル内はそこかしこにワイヤートラップが仕掛けられ、Q大郎の子飼いの兵が巡回しているため脱出は困難……というかほぼ不可能。勝負開始時点で電気が止められるためエレベーターも使えない。
脱出失敗=敗北は死。
その実態は勝負というより、快楽殺人鬼Q大郎の殺人欲求を満たす虐殺ショーであると言える。
ゲーム内容から察せるが暴力禁止のルールは一切無い(というより劇中最初の勝負ということでか明示されていない)。
ハングマン
富士の樹海の廃坑で、テロリスト佐田国 一輝と貘が行った勝負。
貘は25億と自身の命、佐田国は10億と自身の命をかけて行う(額が釣り合っていないが貘が了承したため成立)
「ハングマン」というゲームは実際にあり、本来は相手の考えた単語を一文字ずつ当てていくゲーム。
外れる度に絵に線を描き加え、一定回数外すと絞首台に吊るされた人間の絵が完成し、ゲームオーバー。
賭郎においては単語当て以外のゲームが何種類か用意され、絵ではなく本当に絞首台を組み立て、敗者は処刑される。
貘と佐田国は、専用のカードを使ったババ抜きで勝負した。
ゲーム中の暴力行為は禁止。イカサマは相手プレイヤーから(※重要)指摘されない限りは不問。
0円ギャンブル―迷宮
賭郎会員、雪井出 薫が謎の地下室で行う、元手無しでも勝てば億の金が得られる勝負。
雪井出は金を賭け、相手は金の代わりに自分の「思い出の日付」を賭ける。
思い出を賭けると言っても、ただ賭郎によって「そういうことにしてもらう」というだけ。
負けても何かされるでもなく、まさしく元手ゼロで一攫千金の勝負…に見えるが。
勝負内容はお互いに作成した迷宮を解き合う『ラビリンス』ゲーム。
6×6のマスが書かれた用紙が渡され、入り口と出口をシールで決め、20本の壁を書き入れ『迷宮』を作成。
ターン制で、相手の迷宮を移動していき、壁に当たったらターン交代。
先にゴールしたほうが勝ち。暴力行為とイカサマについては「ハングマン」同様。
▷勝負の実態ネタバレ
この勝負はカモからアリバイを奪う懲役ギャンブル。
賭けて負けた日付の出来事は賭郎に証明不能にされ、その日に起きた迷宮入りの重大犯罪の容疑者に仕立て上げられる。
事件の真犯人は警察も表沙汰にできない大物達で、設定された金額は報酬に彼らが警察に払った金から出ている。
依頼者・報酬を纏めたデータはLファイル(Labyrinth file)と呼ばれる。
ファラリスの雄牛
梶が自分をハメた殺人鬼と行ったゲーム。参加者は梶、仲間のカール、殺人鬼。
ファラリスの雄牛とは古代ギリシャに伝わる処刑器具で、真鍮製の雄牛の像に罪人を生きたまま入れ、火で炙って焼死させるというもの。
親がストップウォッチで止めた時間を子が秒単位で答え、それを参加者全員で繰り返す。止める時間は前のプレイヤーよりも長くしなければならない。
差分の時間全てをそのゲーム中のストックとし、一周したらもっとも差分の少ないプレイヤーが「持ち越し」「実行」の権利を得る。
持ち越された場合はストックを引き継いで同じことを繰り返す。
「実行」が宣言された場合、最もトータルで誤差の大きいプレイヤーが、現在のストック全ての時間だけ色の指定が間違っています。。色の指定が間違っています。。
真鍮製の牛の中はあっという間に脱水症状と火傷を負い、更に呼吸困難のために唯一の呼吸孔で呼吸をしなければ窒息して昏倒、そのまま炙られて死に至る。
梶とカールは自らの命を、殺人鬼は自らの犯罪を自首する(それによって梶に押し付けられた犯罪容疑を晴らす)ことを賭ける。
なおこの勝負は梶の意向もあって賭郎勝負のスタイルではないが、蘭子が実質的な立会人となった。また賭郎勝負で無かったことが勝負後の展開に影響を与えている。
業の櫓
貘と捨隈が搦手の功績と500億の資金、すなわち屋形越えの条件を賭けて、帝国タワー(ぶっちゃけると東京タワー)で行った勝負。
なお厳密に言うとこの勝負は貘が賭郎と警察の暗部を暴露することをTV番組で示唆したことで、彼らから始末されることを回避するためのものである。
(賭郎勝負が決まったら勝負が終わるまでは賭郎が手を出せなくなり、外部(警察)からの妨害も賭郎が阻止してくれる。また搦手は賭郎に献上されることが明白であったため賭郎側も文字通り全力で貘に協力させられる羽目になった)
その為貘からすれば相手は誰でもよかったようだが、鞍馬組(の裏に居たアイデアル)が潜り込ませた捨隈が対戦相手になる予定だった政治家を殺害、彼との対決となった。
元々は政治家のスキャンダル(Lファイル関連)をもみ消すことを条件とした賭けになる予定だった模様。
ゲーム開始前に、お互いに10個の珠が入った箱の中から好きな数をとり、その合計数を500億の口座のパスワードに設定。
お互いに相手の珠の数を絞り込み、タワー最上階に用意された入力端末に正解のパスワードを入力することで勝利。
補助として「血の教誨師ドティ」という施設も用意される。
お互いが相手の血液の入った輸血装置を腕に付けて入り、その中で先攻後攻を決めて合計数を当てる。
この時、自分の珠より少ない数などありえない数を言うのは禁止。
正解すれば相手に輸血がなされ、型が違う血が入った相手はまず絶命(血液型が完全一致する幸運なケースは今まで一度も無いらしい)。お互いが外した場合はターン終了となり、そのまま解放。
双方の合意があれば、2ターン目3ターン目と繰り返し行う。
言うなら相手の血液を毒として利用するデスゲームだが、ドティはあくまで補助であり、これで勝っても最上階の端末に入力しない限り勝利とはならない。
暴力行為は「血の教誨師ドティ」がある1Fと、電波送信機室のみ禁止。
それ以外のフロアでは暴力行為はOK。結果的にプレイヤーを殺害したとしても不問となる。
なおパスワード入力は網膜認証(その為目が損傷するとパスワード入力が出来なくなる)で1人一回まで。
本来入力可能な回数は貘と捨隈、そして協力者二人分の計4回なのだが、3回入力失敗した時点でロックされ4人目は入力できず両者の敗北となる。
両者が敗北した場合、500億と搦手は無条件で賭郎に献上されるだけでなく、賭郎が即座に撤収する。そうすれば警察に踏み込まれ残っているプレイヤーは逮捕なり始末なりされてしまうだろう。
ゲーム自体はシンプルな数当てゲームなのだが、このエピソード非常にややこしい。
タワー内では貘と捨隈だけでなく、2人の協力者であるマルコと雹吾、潜伏していた鞍馬組とアイデアル、零號を巡る夜行と撻器。
タワー外ではLファイル暴露の電波ジャックを止めようとする*8警察vs賭郎、さらに警視庁に直に交渉しに現れるお屋形様。
これらの視点が目まぐるしく入れ替わり絡みあい、ギャンブルの合間にバトルが挟まれ、果ては時系列まで行ったり来たりするので、一度では理解が追いつかない。戦犯はだいたい鞍馬組
しかしちゃんと読み解くと張り巡らされた伏線に唸らせられることだろう。
時系列はカールの館内放送がとっかかり。
プロトポロス
MMORPG『プロトポロス』の世界観を現実に再現した謎の島。
300人程度のプレーヤーが「テイパー」「アズラ」「ショウド」という3つの国に分かれて覇権を競い合う。
三国の統一が成った場合は一週間のお祭り騒ぎ(カイザーフェスタ)の後、全プレイヤーの配置をリセットし新ゲームが始まる……
…というのが本来のゲームだが、現実はみな統一そっちのけで「リアルのゲーム世界」の非日常感に溺れている。
流石にアバターのようなシステムはないが、島民はバッテリーつきの特殊なインナーシャツの着用が義務付けられる。
インナーにはHPなどステータスなどのデータがインプットされ、それらを『運営』が管理している。
HPが尽きると「死亡」となり電気ショックで動けなくなる仕組み。この「制電」は違反行為へのペナルティとしても使われる。
死亡してもレベルが下がるだけで「ビオス」というゲーム内通貨を蘇生費として払えば復活できる。
システム上の階層も現実に再現され、最下層の「奴隷」は文字通り「奴隷」として日々肉体労働に駆り出される。
ゲームプレイヤー以外にも外から奴隷として売られる者もおり、「運営」も裏で薬物や臓器売買等の汚れ仕事で資金を稼いでいる。
ラロ・貘の屋形越えの切符を賭けた卍勝負の舞台として選ばれ、作中時系列における12月31日の時点で三国を統一したものに与えられる皇帝の称号を賭けて競い合う。
上記の通りゲーム内プレイヤーは三国統一は全く眼中になく(よって王や三国統一への信認がまず得られにくい)、卍勝負の参加者は全員「奴隷」スタート、更に20日前後しかない超短期決戦故に通常の手段では皇帝どころか各国の「王」になることすら不可能である。
ちなみに12月31日時点でラロ・貘のどちらも「皇帝」に就任できなかった場合は、ラロのダイヤは偶然手に入れた創一(=賭郎)のものとなり、双方の屋形越え権利も失われる。
全体的なルールとして「プロトポロス」というゲームのルールに沿った暴力行為(HPダメージを与える行為や、ゲーム内の裏興行として行われる殴り合い。殺人はNGの模様)は容認されているが、
それ以外での暴力行為……例えばプレイヤーが直接他のプレイヤーの命を狙う事などは禁止されている模様。無論島内で個々に繰り広げられる賭郎勝負で容認されたなら問題はない。
また、事前に決められた各陣営4名の協力者以外は島への入島自体NGとなっており、賭郎に発見された場合は即座に粛清対象となる。
個々の勝負を除くと、イカサマに該当する裏取引などは禁止されていない模様。ただしゲーム運営に発覚すれば別途粛清対象となってしまうのでそこを搔い潜る必要は出てくる。
四神包囲
プロトポロスで最初に行われた賭郎勝負。
複数人のプレイヤーが親1人と子に分かれ、合図と同時に、親は指し示した上下左右の方位に指を向け、子は顔を向ける。
親の指と同じ方位を向いてしまった場合は賭け金を没収される。
1ターンで3回これを繰り返し、子は3回方向を外して初めて親から金を得る。
重要な点として、親・子ともに1ターン内に同じ方向を2度選ぶことはできない。
ゲームの名前は四神の四聖獣とプレイヤーが向く方位をかけたものである。
「「「「あっちむいてホイだ……」」」」
▷このゲーム、必勝法がある…
ぶっちゃけ単なる大人数あっちむいてホイの様だが、「1ターン3セット中に同じ方向を選べるのは1度だけ」と言うのが肝。
例えば1セット目で親が「下」、子が「上」を選んだとする。
重要なのが2セット目で、生き残った子は親がすでに振った「下」を向けばセーフ確定、かつ親がさらに別方向、例えば「右」を振れば3ターン目も勝ち確定となる。
ただし高額のBetで親にマトにされていると、2ターン目で親はターゲットの1度目の向き「上」を選び、3戦目で「右」「左」の2択を挑んでくる。
逆にそれを読むなら、子はセーフ確定の「下」は3セット目に残し、2セット目で勝負に出るという選択も生じる。
2戦目のセーフ確定で来るか否かの読み合いが勝負所となる。
またりゅうせいは4人チームで同額Betし「1セット目はバラバラに向き、2戦目は残った3人で1セット目の親の方向を、3セット目でも2セット目の確定セーフが2人残る」という形で、勝てば3人浮き最悪でも2勝2敗でイーブンの「必勝法」を考え出した。
矛盾遊戯
3種類の盾と3種類の武器を使って行われる賭郎勝負。梶とフロイド・リーがこれで対決した。
基本的な流れというかゲームの大元は「たたいてかぶってジャンケンポン」。ただし使われる武器は本物であり、防御に失敗すると死ぬ可能性が極めて高い。
プレイヤーはまずそれぞれ一方が武器(刀、拳銃、テーザー銃)を、もう一方が盾(木、ゴム、鉄)を選ぶ。
続いて賭け金を設定し、賭け金が勝る方が武器を、劣る方が盾を選択する。どちらが勝ったかは直前まで分からない。
武器を持った方は2秒以内に相手を攻撃、盾を持った方はそれをしゃがんだり退いたりせず受け止める必要がある(2秒耐えれば攻撃の反動で倒れてもセーフな模様)。
これを3回繰り返して1ラウンドとし、1ラウンド毎に武器・盾の選択権が交代する。
テーザー銃は賭郎仕様の強力なものであり、生身や鉄の盾で受けると死ぬリスクがあるほどの電流が流れる。木の盾では一応耐えられるが腕は痺れてしまう。
刀は鉄の盾では完全に防げるがゴムの盾では防ぎきれずダメージを受ける(当たり所が悪ければ死ぬ)。木の盾では防げない。
銃は鉄の盾で防げ、ゴムの盾と木の盾では防げない。
また、仮にテーザー銃を直撃して生存、または木の盾で受ける行為を1~2回目に行うと体が痺れた状態で次の攻防が始まるため、次に鉄の盾を持っていても防御が間に合わない=死ぬ可能性が高まる。
プレイヤーが防御に失敗して絶命する、もしくは上記のルール違反を行うと敗北。
賭けるビオスが無くなった場合についてはゲーム自体は続行される様子(必ず防御側になるのでいずれは死ぬ)。
ちなみに武器や盾は持つことは必須ではないし、仮に生身で直撃しても生きてさえいればゲームは続行される。
エア・ポーカー
流血と混乱に満ちたプロトポロスで、決着をつけるべく行われたラロと貘による賭郎勝負。
名前の通り巨大な水槽内で、酸素ボンベをチップに使うデスマッチ。酸素が尽きて溺死したほうが負け。
それぞれに金属製のカード5枚ずつが配られ、1枚選んで場に出し、オープンしてからBetする。
刻印された数字はパッと見ただけでは意味不明。*9
勝敗を定める「法則」も明かされず、酸素が限られた状態で勝負しながら探っていく。
しかし、法則を考えれば考えるほど脳が酸素を余計に消費してしまう。
少なくとも「エア」を賭ける「ポーカー」なことは確かなようだが……?
▷その正体
もう一つのエア・ポーカー
ラロと貘、それぞれの協力者である梟とハルが水槽の「上」で行う賭郎勝負。
これはラロvs貘のエア・ポーカーと連動しており、彼らがカードを出すとその数がそれぞれに明かされる。
そしてカードの数字の合計数に等しい値の5枚のカードを脳内で決め、そのポーカー役の強弱を競い合う。
その勝敗がラロ・貘にフィードバックされ、あちらの勝敗も決まる。
使用したカードは取り仕切る立会人のみが持ち、これまでに使用したカードを確認することはできない。使用カードはトランプ1デッキ。
すなわちこちらの「エア」は「エア・ギター」のエアと同じ意味であり、脳内のカードで行うポーカーなのである。どうかしてるぜ……。
1デッキしか使用しないため、当然勝負が進むにつれて使えるカードも少なくなる。
自分が使ったカードだけでなく相手が使ったカードも把握する必要があり、特に終盤はポーカーの達人・梟ですらミスをし、門倉立会人も「正直無理や」と断定するほどに難易度が高い。
また、通常のポーカーと明確に異なるルールとして天災がある。
実物を使用しないエア・ポーカーならではのアクシデントで、それぞれが提示した役に同一のカードが含まれることも起こり得るのだ。
使用カードの内1枚でもカードが相手と重複し、その上で役で負けることを作中では天災と定めている。
天災が発生した場合、負けた方はBetした数と同じ数のエアを放出する。
失敗すれば当然「下」の協力者は死ぬが、こちらも1ゲームを落とすたびに拷問死を疑似体験する機械、その名も「売女の痛み」で死と同じ苦痛を味わう。
あくまで「痛み」だけを脳内に送る装置だが、その効力は凄まじく常人離れした肉体と精神を誇るハル・梟ともに1回で廃人になりかけていた。*10
その目的は「あくまで協力者でしかない2人を全力で戦わせること」。痛みを与えるだけで殺傷に至らないのは「二度目の痛みを受けたくないから全力で勝ちに行く」と思わせるためである。
また、プレイヤーのハル=お屋形様であるため、彼がゲームに負けて死ぬと屋形越えを賭けて戦っているラロに何のメリットも齎さなくなる。敗者を殺さずかつ全力で協力させられるこの機器が最適だったようだ。
この器具により与えられた死痛は「八つ裂き」「火あぶり」「串刺し」「銃殺」「水責め」の5種類。
ハンカチ落とし・臨死ゲーム
作中時間軸における12月31日の深夜に行われた、屋形越えに挑む貘、御屋形様こと切間創一の賭郎勝負。
夜行さんが「二人の本気の読み合い」を期待して考案した、複数人数で行われるハンカチ落としを一対一形式にアレンジしたゲームである。
片方のプレイヤーが椅子に座り、もう片方はハンカチを持ってその後ろに立つ。
ハンカチを持つプレイヤー「ドロップ(D)側」はスタートから1分以内にハンカチを落とし、椅子に座るプレイヤー「チェック(C)側」はハンカチが落とされたと判断した段階で後ろを向く。
振り向いた時点でハンカチが落ちていれば、ハンカチが落ちてからの時間をストックとして貯めていく。
だが振り向いてもハンカチが落ちていなかった場合(チェック失敗)、もしくはこれまでのストックが5分を超えた瞬間、臨死薬を注射され、肉体的に死亡する。ペナルティ時間が経過したら立会人が蘇生薬と心臓マッサージで蘇生を行う。蘇生処置をしてもこの世に帰ってこれなければ負け。
C側とD側はハンカチを落とすごとに交代となる。
立会人いわく、一度の臨死で耐えられるのは個人差やコンディションもあるが5分間。更にいうと蘇生薬の効きも繰り返し使えば弱まっていく。
なお各フェイズの開始・終了については本来は館内に保管されていた時計で行われる予定だったが、事前に会場に潜入していた梶が何か仕込んでいると警戒した夜行さんが一計を案じ「電話の時報」を使って行われる事になった。
「大変でしたよっ 全部のトイレに仕掛けるの!」
「マルコも危うく欲に負けるところだった……」「いやそれ負けてるよねどう見てもっ!」
「で、あの仕込みはいったいなんなんすか」「作戦は?」
「あー…とりあえず、プランAだよっ!」
追記・修正したって話だったけどさ……。
記事が全く変わってないじゃん。タイムスタンプもこの通り。
あんた。
嘘つきだね。
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▷ コメント欄
- 立会人がかっこよすぎる漫画、最近のプロトポロス編はかなり面白い -- 名無しさん (2014-03-08 00:16:26)
- リアルRPGやるとああなるってのを痛感するもんな。ゲームの世界でも賢さがないやつは何をしてもだめだ -- 名無しさん (2014-09-01 04:09:23)
- 賢さかあってもダメ -- 名無しさん (2014-09-01 07:45:59)
- 賢さがあってもダメなのがこの漫画だと思うけど -- 名無しさん (2014-09-01 07:46:58)
- 「交渉は相手と同等以上の暴力がないと成立しない」はこの漫画のテーマの一つだもんな。 -- 名無しさん (2015-12-28 23:32:16)
- 最初は「なんだコイツ」って思ってたキャラがどんどん好きになっていく漫画 -- 名無しさん (2015-12-28 23:41:24)
- 「交渉は相手と同等以上の暴力がないと成立しない」っていうテーマはホント好き。自分でその暴力を排除してしまったレーシィが目的叶えれないところとか -- 名無しさん (2016-02-07 21:10:22)
- エアポーカー熱すぎない?怒涛の伏線回収と胸熱展開と先の読めない展開がミックスされてもう、ね -- 名無しさん (2016-02-27 15:02:38)
- 今週はホント良かった。もうこの話読んだだけで今まで追ってきた甲斐あるわ -- 名無しさん (2016-05-03 19:43:13)
- エアポーカー編が神掛かってると思いきゃ今度は立会人全員ラリパッパとか落差が酷すぎて腹抱えた -- 名無しさん (2016-08-31 00:24:31)
- 立会人の強さ順 -- 名無しさん (2017-05-29 14:18:06)
- 0 >> 29 >> 10,2(最終) >> 28,6 >> 5 >> 4 >> 2(箕輪戦後) >> 横並び -- 名無しさん (2017-05-29 14:21:49)
- エアポーカー編の何が凄いって、一枚目次第では獏もラロも惨敗していた可能性が大だったっていう運ゲさよ -- 名無しさん (2017-06-28 12:41:54)
- もっとマシな付き人がいればタワー編で勝てたろうにアイデアルェ… -- 名無しさん (2017-06-28 13:34:41)
- 最高の「俺達の戦いはこれからだ!!」だった。名作だね。 -- 名無しさん (2017-12-22 19:58:22)
- 捨てキャラが全然いない名作。ファラリスの雄牛編の殺人馬鹿息子とかも下衆を超えた下衆だけど魅力があった。モブの黒服たちもかっこいいし、主人公もラスボスもキャラが立ってる。 -- 名無しさん (2019-11-20 19:12:57)
- どうせ映像化するなら原作準拠でアニメ化してほしかったけど、アニメで1巻の内容のんびりやってたら盛り上がる廃ビル、廃坑に行く前に切っちゃう人多そうだよなぁ… -- 名無しさん (2021-09-15 11:13:47)
- 横浜流星は信用できるという事実を広く世に知らしめたことだけは評価されるべき>実写 -- 名無しさん (2022-02-16 14:22:53)
- 実写版では佐田国がテロリストではなくマッドサイエンティストになってる 御時世の関係か? -- 名無しさん (2022-02-25 10:36:49)
- 賭郎勝負ではイカサマを全面禁止にすることも一応できる(梶単独の初戦でもしそうしたら賭郎側でイカサマを取り締まってくれると言っている) -- 名無しさん (2022-02-27 06:38:17)
- 普通こういう漫画ってネタ切れや作者が脂乗ってる時期とかで中盤ぐらいが一番盛り上がるのに終盤も終盤のエアポーカー編が一番人気あるのって本当に凄い -- 名無しさん (2023-06-10 22:02:01)
- ↑暴パート挟むことで知パートの準備期間作ってるからね -- 名無しさん (2023-06-26 21:47:25)
#comment
*2 挑んだ方が勝ち、挑まれた方が蘇生したケース。逆は粛清されるので基本的には起こりえない
*3 同時に背後から繰り出された伽羅の一撃
*4 勝負によってTV番組で過去に賭郎が取り立てたものが明るみにされてしまう事が発覚し、それを阻止するべく番組自体を放送中止にしようとした
*5 梶はあくまで騒動に巻き込まれた第三者であるが、即殺害される可能性があるため賭郎を利用した勝負に持ち込ませた
*6 その場に居た梟も一部始終を知っているが、梟は相手が栄羽立会人だったことを知らなかった
*7 猫科の小型肉食獣。名前はポルトガル語で『黒い耳』の意味
*8 電波送信機室が暴力行為NGなのは、ここを破壊されると電波ジャックが停止されてしまうため。
*9 ちなみに貘の手札は「25」「45」「26」「36」「39」、ラロは「15」「8」「47」「63」「44」
*10 「八つ裂き」を受けたハルはビッチペインから出た後自分の手足があることに安堵を見せていた。
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