登録日:2014/07/12 (土) 12:10:34
更新日:2023/12/18 Mon 13:58:07NEW!
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©東映アニメーション、東映動画、武内直子、講談社
お願い、銀水晶…あたしにもっと力を貸して。
みんなを守れる力を…
もう、誰も一人にしない力を!
TVアニメ『美少女戦士セーラームーンR』の劇場用アニメ。
『セーラームーン』では初の映画化アニメとなり、1時間と言う短い上映時間ながらも全編にわたって当時のスタッフの総力を決した作品である。
1993年12月に公開された。同時上映はTV版の総集編『メイクアップ!セーラー戦士』と『ツヨシしっかりしなさい』。
監督はR後半〜SuperSのシリーズディレクターである幾原邦彦で、インタビューによると「幾原邦彦流のセーラームーン」だとか。
ほぼ全編通して彼の心情揺さぶる演出が発揮されており、『少女革命ウテナ』、『輪るピングドラム』へと続く幾原監督の代表作としてもアニメファンに高く評価されている。
クライマックスがアクシズ・ショックのオマージュなことから「セーラームーン版[[逆シャア>機動戦士ガンダム 逆襲のシャア]]」と呼ばれており、
ストーリー的には「ララァ(=月野うさぎ)の母性にアムロ(=地場衛)とシャア(=フィオレ)が救われる宇宙世紀」と言えるかもしれない。
幾原監督は親友の庵野秀明と『逆襲のシャア友の会』を結成したほどの逆シャアファンで、
「劇場版セーラームーンは逆シャアでなければならない」「月野うさぎはセーラー戦士たちの母親」「地上で見守るのはララァ(と声が同じルナ)」と熱弁し、スタッフをドン引かせたという説も。
全編通して「花」を愛のメタファーに描き、海外版のタイトルは『The Promise of the Rose』という核心をついたもの。
三石琴乃が急病で参加できなかった無印最終回のアンサー的作品であり、無印最終回を彷彿とさせる演出が多く見られる。
そして三石の代役を務めた荒木香恵演じるちびうさが、本作ではうさぎの肩を押すといった描写も……
なお『映画 美少女戦士セーラームーンRメモリアルアルバム』によると、時系列はブラック・ムーン壊滅からちびうさが未来に帰るまでの間。
セーラームーンミュージカルを見た幾原監督が、主題歌『La Soldier』を「これがセーラームーンの曲なんだ!」と思って「クライマックスはミュージカル調にしたい」と要望し、ミュージカル版の楽曲を担当した小坂明子&冬杜花代子コンビが主題歌を担当。
完成した『Moon Revenge』は、Peach hipsことセーラー戦士役の声優5人が歌い、子供向けとは思えない女の情念たっぷりの歌詞(両氏は原作漫画の世界観を踏襲しており、ミュージカルの曲もこんな感じ)だが、本作を象徴する名曲として高い人気を誇る。
【あらすじ】
「今度会う時は、僕がいっぱい花を持ってくるよ」…
一輪の花を贈られた少年が、たった一人の友達に交わした約束。
それから数年後、植物園を訪れていた地場衛と、月野うさぎをはじめとするセーラー戦士(と、ちびうさ)の前に一人の青年が現れる。「約束通り、君に似合う花を持ってきた」と衛に告げ、彼はいずこへと消え去った。
その翌朝、街の人間が道端に咲いた花にエナジー(≒生命力)を奪われるという事件が発生。
花は巨大な妖魔へと変身し、辛くもセーラー戦士に倒される。
そしてその花を操っていたのはあの青年、フィオレであった。
胸元に凶悪な妖花をつけた彼は、「衛くんを騙す嘘つき」として、セーラームーンに刃を向ける。
それを庇ったタキシード仮面=衛は傷つき倒れ、フィオレに連れ去られてしまった。
セーラー戦士は彼を取り戻すため、地球を侵略しようとする妖花の潜む巨大な小惑星へと旅立つ…。
【登場人物】
○[[月野うさぎ/セーラームーン>月野うさぎ/セーラームーン]]
CV:三石琴乃
「そうだ、みんながあたしに力をくれる。そして勇気を…
あたしと銀水晶はどんどん強くなれる!
もう、誰も一人にしない!!」
ご存知お団子頭にして、月のプリンセスの生まれ変わり。
本作でもドジでお間抜けっぷりを発揮するも、聖女のごとき母性を遺憾なき発揮。
18秒間1カットで息を止め続けることができる。
愛する人々を守るために自己犠牲を厭わないが、それは無印最終決戦で自分を守った仲間や衛の死へのトラウマの裏返しなのかもしれない。
実は小さい頃に衛と会っていた。余談だが、この幼女うさぎがものすごく可愛い。
○[[地場衛/タキシード仮面>地場衛/タキシード仮面]]
CV:古谷徹(少年時代:緒方恵美)
「今は寂しくない。うさこが俺の家族だ。
うさこと会うために俺は一人で待っていた、そんな気がするんだ。」
ご存知ロリコン変態仮面にしてうさぎの恋人。
今作では紳士服広告を除いてネタキャラぶりは息を潜め、徹頭徹尾純粋なヒロインである。シリアス回ではだいたいそうだが
本作でフィオレ、『SuperS』ではフィッシュ・アイに惚れられたりと男にもモテる。
今作ではタキシード仮面が何故薔薇を投げるのかが発覚。
少年時代に事故で両親を失い、記憶も失くして孤独に苛まれていた過去が描かれる。
そんな中でフィオレと出会い、短い間ながら親友になるが、今では夢だと思っていた。
だが久しぶりに再会し、変わり果ててしまった彼の攻撃から恋人であるうさぎを守って負傷してしまう。
フィオレの本拠地である小惑星に連れ去られて治療を受けることになるが…。
幼少期の衛を演じた緒方恵美氏はTV版Rのあやかしの四姉妹のペッツ、後に天王はるか/セーラーウラヌスを演じている。
○[[水野亜美/セーラーマーキュリー>水野亜美/セーラーマーキュリー]]
CV:久川綾
「衛さんって、男の人にもモテるのね…」
「うさぎちゃんは、私たちにかけがえのない物を与えてくれた子なの!」
アニヲタに大人気の秀才少女にして、水星を守護に持つ水と知のセーラー戦士。
今作では分析面で大活躍。シリーズが進むにつれ、死に設定となったポケコンも活躍する。
頭の良さゆえに周りから遠ざけられていた過去があったが…。
○[[火野レイ/セーラーマーズ>火野レイ/セーラーマーズ]]
CV:富沢美智恵
「い、言うわね亜美ちゃんも…」
「分かってないのね。うさぎに出会わなかったら私たち、ずっと一人だった…!」
うさぎの喧嘩友達のツンデレ巫女にして、火星を守護に持つ炎と情熱のセーラー戦士。
今作では巫女らしく妖気を感じ取ったり、恒例の「悪霊退散」がやけに作画が気合入っていたりと大盤振る舞い。
霊感の強さから周囲に不気味がられていた過去があったが…。
○[[木野まこと/セーラージュピター>木野まこと/セーラージュピター]]
CV:篠原恵美
「よぉし、[[やってやるぜ!>超獣機神ダンクーガ]]」
「残りのパワーで、うさぎちゃんを援護しよう!」
漢女な怪力少女にして、木星を守護に持つ雷と勇気のセーラー戦士。
今作では格闘シーンも披露するが、相手が悪く、すぐ伸されてしまう。
屈強な見た目から不良と恐れられていた過去があったが…。
○[[愛野美奈子/セーラーヴィーナス>愛野美奈子/セーラーヴィーナス]]
CV:深見梨加
「この、エッチ!!」
「結局私たち、一番大事なものを失ってしまったのね…」
元祖セーラーVにして、金星を守護に持つ愛と美のセーラー戦士。四守護神のリーダーでもある。
今作ではベテランらしく、先頭を歩いたり戦闘指揮を出したりするもあまり目立てず。
それどころか、花妖魔に操られた男性にスカートの中を思い切り覗かれる作中最大の被害に合う。
セーラーVとしての活動で友達も作れなかった過去があったが…。
何故か同級生に正体がバレていたり、美奈子を主役にした漫画「コードネームはセーラーV」では親友のひかるちゃんがいることには突っ込んではいけない。
原作漫画側の意向を反映したフィルムコミックス版では、セーラーVで忙しい間に友達(ひかるちゃんと思われる)が新しい友達を作ってショックを受けるという風に修正されている。
○ちびうさ
CV:荒木香恵
「正義の味方がメソメソするな!」
「大丈夫よ。セーラームーンはみんなのママだもん。きっとみんなを守ってくれる…」
30世紀から来たうさぎの娘。
未来のプリンセスにして、小生意気なツンデレロリ。
うさぎを未来のママと認めていなかったが…。
○ルナ
CV:潘恵子
○アルテミス
CV:高戸靖広
「これで今日の会議は終わりね…」
「そうだな…」
うさぎと美奈子の相棒を務める猫コンビ。
解説役として、月の王国で言い伝えられたキセニアンの知識を伝える。
○フィオレ
CV:緑川光(少年時代:丸尾知子)
「孤独が、僕や衛くんの孤独がお前たちに分かってたまるか。孤独を知らぬお前に!」
「そうさ、衛くんは誰にも渡さない…みんな僕と一緒にここで燃え尽きるんだ!!」
一人ぼっちで宇宙を彷徨う異星人。
幼い頃、漂着した地球で同じように孤独に苦しんでいた地場衛と親しくなる。
地球では長く生きられない体質らしく、衛から別れの餞別に一輪の薔薇の花をもらって感動し、お返しの花を持ってくると約束を交わした。
しかしその花探しの最中に見つけた花妖魔キセニアンに取り憑かれ、衛を孤独にした地球人を皆殺しにするという強迫観念に捕らわれてしまう。
そして今、衛に寄り添っている月野うさぎに激しい敵意を向け、彼女を抹殺することに執念を燃やす。
何気にセーラームーンとタキシード仮面の正体を一発で見抜いたすごい人。
うさぎに「私の彼だからダメ」と警戒される程の衛への執着心からヤンホモ呼ばわりされているが、本人にしてみると「たまたま好きになった相手が男だった」のだろう。
というか前シリーズで公式ホモカップル、次シリーズで百合界のカリスマが登場するなど、同性愛自体セラムンでは珍しくない。
幾原監督には「フィオレは愛がなんだかわからない人」「自分と同じ熱量が相手から返ってくると思っており、それは愛ではなく恋」と述べられている。
名前の由来はイタリア語で花を意味する「フィオーレ」。
TVアニメ版『R』オリジナルストーリーである魔界樹編に登場したエイル/銀河星十郎そっくりな上に声優も同じだが、関係は不明。
○花妖魔キセニアン
CV:冬馬由美
「この星の人間たちのエナジー、気に入ったわ」
「フィオレ、騙されないで。セーラームーンはあなたから衛くんを奪おうとするずるい子よ…」
上半身は妖艶な美女だが、毒々しい花に包まれた妖魔。
花なのでフィオレの胸元に収まるほど小さい。
単体では無害な植物だが、心の弱い人間に付け込み、その人間を媒介にその星のエナジーを根こそぎ吸い取り滅ぼしてしまうという、
まさに「美しい花の姿をした害虫」のような存在。
フィオレに衛のためと称して花だけど根も葉もない嘘を吹き込み、彼を凶行に走らせた張本人。
分身である花妖魔の種を地球にばら撒き、地球を新たな餌に定める。
キセニアン役の冬馬女氏は緑川氏と同じく魔界樹編に登場したアン/銀河夏美の声を担当している。フィオレに寄生したのもその縁か。
外見のモチーフは幾原監督が初めて関わった無印6話に登場した妖魔キュレネーの人間態である。
○花妖魔
CV:山崎和佳奈、西川宏美他
キセニアンの分身の妖魔。本体と異なり自由に動くことができる上に、キセニアンの種子をベースにしている為、無限増殖可能。
個体としては、最初に地球に送られた蜘蛛型のグリシナ、飛行型のカンパニュラ、蛇のような下半身のダリアンなどがある。
なお、山崎和佳奈氏はTV版『R』であやかしの四姉妹のコーアンを演じている。
【余談】
- 本作を見た庵野秀明氏は、少年時代の衛役だった緒方恵美の演技を絶賛し、ご存知「新世紀エヴァンゲリオン」の主人公役に緒方女史を抜擢。
実際に、今作での緒方の演技はシンジ君そのものだった。
- メモリアルアルバムのクオリティが「気合いが入っている」では済まされないレベルである。
わかる人にはわかる名アニメーター群の選りすぐりの原画集
可愛い系のSD絵柄ながらも、大人の事情に片足突っ込んだメイキングルポ漫画
幾原監督の一個人の思想が絡むロングインタビュー
隅にまで制作上の裏話が書かれたコラム
スポットライトの当たり難い役職に対するインタビュー
等々どう見てもマニア向けのコンテンツが一杯。どうみても女児向けではありません本当にあr。
- 作詞の冬杜花代子氏が「セーラームーンR」の「R」の意味を本来の「リターン」ではなく「リベンジ」と勘違いして『Moon Revenge』が出来上がり、
幾原監督は「みんなで助け合って協力しよう」という歌詞を想定していたため、「私を追いかけてきなさい」という女の情念溢れた子供向けらしからぬ歌詞に驚いたとか。
この曲を気に入った幾原監督はクライマックスに相当こだわったようで、劇中3回もリフレインされている。
何を怖がっているの?
大丈夫よ。あなたは…ひとりじゃないわ。
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▷ コメント欄
- 男だけどガキの頃から大人になった今も大好きな映画。ラスト -- 名無しさん (2014-07-12 13:20:13)
- ↑ゴメン、ミスった…ラストシーンの演出が素晴らしいし、女児向けと思えない歌詞の主題歌も名曲。今でもなきそうになる -- 名無しさん (2014-07-12 13:22:06)
- ピングドラムラストの展開と似てるんだよな、これって。ピンドラでリンゴ=ピングドラムが冠葉→晶馬→陽毬→冠葉の順に分け与えられたように、今作でも愛のメタファーである花がうさぎ→衛→フィオレ→うさぎと循環してる -- 名無しさん (2014-07-12 13:36:54)
- ↑確かに。後、渡瀬先生はフィオレが辿るかもしれなかった別の可能性とも取れる。 -- 名無しさん (2014-07-12 13:54:07)
- フィオレの正体を見てエイルとアンの関連性が気になったあの日… -- 名無しさん (2014-07-12 14:50:54)
- 記事作成乙 -- 名無しさん (2014-07-12 16:24:57)
- ニコ生でセラムン一挙放送開始と同時に記事ができたのはきっと偶然ではないな -- 名無しさん (2014-07-12 16:26:40)
- 陰口叩かれてたのは事実だけど美奈子は友達多い方って設定なんだけどね。 -- 名無しさん (2014-07-13 05:24:57)
- 緒方恵美さんは後でハルカさんの役もやります。 -- 名無しさん (2015-05-31 17:48:01)
- シリアスな作品ではあるが紳士服屋の看板を背景にタキシード仮面 -- 名無しさん (2015-07-03 00:39:13)
- 池田秀一さんが出てればもっと盛り上がってたでしょうね。 -- 名無しさん (2016-11-08 07:44:01)
- ↑出ていたら衛とガンダムネタのパロディ的なセリフもあったかも(衛の声アムロと同じやし)。 -- 名無しさん (2017-05-11 20:30:28)
- ↑フィオレがCV池田秀一だったら洒落にならないと思う。CV古谷徹に恋にも似た執着心を持つ点で -- 名無しさん (2017-08-02 22:32:04)
- あまり、ガンダムキャストネタに拘るのもどうかと思う(コナンを観ながら) セラムンの話題に戻すが、各人の心の闇は生々しい。 -- 名無しさん (2017-08-12 10:44:31)
- フィオレni -- 名無しさん (2017-09-03 19:53:46)
- 失礼、緑川さんってフィオレに限らず特定の個人に執着するキャラを結構担当しているよね。ちょっと違うかもしれないがガンダムならWのヒイロ、他なら魔装機神のマサキやMJPのジアートだったり… -- 名無しさん (2017-09-03 19:59:46)
- ↑出演作多いからそういう役を演じる機会も多いだろうよ。自分もそのキャラ以外で思いつくキャラ何人もいるけどそうじゃないキャラも知っている。 -- 名無しさん (2017-12-22 19:54:27)
- フィオレと衛さんとうさぎの声優、コナンでも共演します -- 名無しさん (2020-08-26 04:01:55)
- 星矢もそうだったが、セラムンのスタッフはガンダムシリーズのキャストに拘りすぎだったのでは? -- 名無しさん (2021-10-14 03:36:47)
- 何気にアムロ&ヒイロのラブストーリーw。 -- 名無しさん (2021-11-04 03:36:41)
- 映画の大画面でパンチラを披露したうさぎw。 -- 名無しさん (2021-11-06 15:20:00)
- 同級生の「セーラーVとかやってんのよ」のセリフは正体がばれているから、ではなく、「ボッチでごっこ遊びしてるから付き合いが悪いキモヲタ」と思われているという意味だと解釈したのだが違う? -- 名無しさん (2021-11-15 11:10:14)
- 蔦に捕まった4人の姿で性癖歪んだのはワイだけではないはず -- 名無しさん (2021-11-15 22:21:50)
- これがヒットしたから単独での女児向け映画が作られるようになったらしいな。ちなみに劇場版ハピネスチャージプリキュアはこれを意識して作ったらしい -- 名無しさん (2022-04-25 18:52:11)
- 今この名作を実写するならうさぎちゃん:中川翔子、亜美ちゃん:長澤まさみ、レイちゃん:内田理央、まこちゃん:中条あやみ、美奈子ちゃん:白石麻衣、ちびうさちゃん:橋本環奈、まもちゃん:及川光博でやったらウケがいいかもよ -- 名無しさん (2022-11-03 17:14:52)
- この時期のセーラームーンとドラゴンボールは日本代表のアニメだった、今はワンピースとプリキュアになって時代が変わったからここまでの傑作はないよな -- 名無しさん (2022-11-03 21:13:36)
- 新シリーズじゃここまでのムーブメントは起こせなかったな、時代の流れは恐ろしいよ -- 名無しさん (2022-11-03 21:20:01)
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