かつて、神々と龍が相争っていた時代。
未だ人が、神々からの贈り物を手にしていなかった頃。
人は今よりもはるかに弱い存在であった。
龍に、獣に、人々は脅かされ、神々の守護も全ての人を護るのに足りなかった、暗黒の時代。
弱き人々は戦う心を持ち、神々に祈った。
戦うための力が欲しい、己が身を守ることができるように。
カルザミスはその祈りに応え、四柱の神々に「魔術の火」を分け与えるように命じた。
しかし、弱き人々の中には戦う心を持ち合わせていない者も多かった。
美しき乙女、ソラリアは神々に祈った。
争いのない土地に行きたい、龍にも獣にも怯えることのない安らかな暮らしが欲しい。
その祈りに応えたのは、カルザミスの母にして大洋の神オーゼル。
オーゼルはその御力で海を切り取り、陸を作った。
そしてソラリアをはじめ、弱き人々をその地に運ばれると、邪な龍や獣が後を追ってこれぬよう、人々の通った道を海に沈めてしまった。
龍のいない土地で暮らす人々に、オーゼルは船を作る技を授け、漁をすることを教えた。
さらに風の四姉妹、船を運ぶ風フェネル、冬の嵐ディレル、鳥を乗せる風オリーベル、凪セーゼルの四柱の娘に人々を守る役目を申し付けた。
こうしてソラリアをはじめとした人々は、ローランディア大陸の西に、オーゼリアという地を得て、移り住んだのである。
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