かつて、オブラスキュラを下せし英雄、アルテミシア・リュート。
その若き日の物語。
『若き英雄、アルテミシア、かつて北を旅せし折に、金色に輝く牡牛と出会いぬ。
牡牛口を開いて曰く、我は王国随一の剛力者、天に地に無双なり。
この道通らんと欲するならば、我と力を比べ給わぬ。
アルテミシア、それを諾とし、牡牛の角を握りしめ、相互いに押し合えり。
日が昇り、日が陰り、また日が昇りてなおも譲らず、遂には三日が経ちにけり。
牡牛の額を伝う汗、左の眼に沁み入り、はたと片眼を閉じにける。
それを逃さずアルテミシア、大きく腕を振り上げて、牛の片角折りにけり。
金色の牛は地に伏して、アルテミシアは鬨の声。
天より眺めしカルザミス、我が子の心を諫めけり。
アルテミシアはそれを恥じ、牡牛を天へと捧げたり。
かくて牡牛は西の空、明けの頃より輝きぬ。』
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