戦闘妖精

操精術で呼び出すことのできる妖精の一種で、物理的能力に長けたもの。

一般的に妖精は非力な存在であり、物理的な能力には期待できないが、戦闘妖精は飛来する矢よりも素早く動くことができ、その手に剣を持てば人間用の剣を断ち切ることも容易である。

その上、大きさは人よりはるかに小さく、対処するのが難しいので、敵として遭遇した場合は（相手にその意思がない場合は別として）まず命はないと思っていい。

冒険者なら自分の妖精に武器を持たせることは珍しくないが、それはあくまで何かあった時の備えであり、直接的な戦力として期待できるものではない。

故にそれは最低限であることが大半であるが、戦闘妖精を使役するものにとって、何より重要なのは戦闘妖精の武装である。

そのため、大きな都市の武器屋には妖精用にある程度良質の武器を扱っている商店もある。

最も、本物の戦闘妖精使いがそうした店売りの商品をそのまま使うことはめったになく、大抵は腕のいい鍛冶師の伝手を頼って専用の物を誂えてもらうのが一般的であり、店売りは結局、「自称」戦闘妖精使いが買っていくに留まることが多い。

後天的に能力が変化することのない妖精であるが、身体的能力の向上は術者と妖精の訓練次第ではできる例が多く確認されており、戦闘妖精の使い手ともなれば魔導騎士や冒険者としても成功が見込めるため、農地を持たない貧農の子どもたちは出世を夢見て妖精との鍛錬に励む者も少なくない。

しかし、そうした子どもたちから戦闘妖精使いが現れることはほとんどないのが現実である。