増殖

ページ名:増殖

『増殖』(X∞Multiplies, Alfa YMO1) は、イエロー・マジック・オーケストラ(YMO)の4作目のアルバム。1980年6月5日にアルファレコードからリリースされた。

目次

解説[]

前作『パブリック・プレッシャー』の成功に気を良くしたアルファレコードは、同様のライブ盤のリリースを要請したが、バンド側はそれを拒否し、本作をリリースした。当初は10万枚限定盤の予定であったが、20万枚以上の予約が入ったため通常の形でリリースされた。

本作は10インチのミニアルバムで、特殊段ボールケースにセットして販売された。内容は新曲の間にコントが挟まれるという企画盤であった。本作に収録されたコントは1976年から1980年にかけて放送されたラジオ番組「スネークマンショー」からのものや、同番組に出演していた伊武雅刀、小林克也、桑原茂一らとYMOのメンバー等によるものであった。

評論拒否騒動[]

収録されたスネークマン・ショーの中に、「三人の音楽評論家が登場する架空の座談番組で、その内の二人が、自分の功績を長々と自慢した後に生産性が無い論評を僅かに付け加えるだけの発言をしつこく繰り返す」という設定のコントがあり、実在の音楽評論家達に対する批判及び揶揄である事が明白であった。その為と思われるが、当時の音楽誌では、いわゆる音楽評論を本業としていた者たちによる本作の評論はほぼ皆無であり、同業であるミュージシャンや、音楽が専門外である有名人などが、代って本作の評論を担当した。この状況は大多数の聴き手にも理解されていたと思われるが、制作した側がどこまで計算していたかは不明。

曲目[]

  1. ジングル“YMO” - Jingle "YMO"
    (作曲:イエロー・マジック・オーケストラ)ラジオ番組のジングルを模した曲で、小林がラジオDJ風のトークを聞かせた後、次の曲に切れ目なしに続く。ドラムはモーグIII、ベースと「パン!」となるパーカッションはプロフェット5を使用している。1999年リリースの細野晴臣編ベストアルバム『YMO GO HOME!』ではAディスク冒頭で単独で使用され、2003年にリリースされた坂本龍一編の『UC YMO』ではこのつなぎをそのまま再現している。
  2. ナイス・エイジ - Nice Age
    (作詞:クリス・モスデル / 作曲:高橋幸宏、坂本龍一)曲中でニュース速報を読んでいるのは元Sadistic Mika Bandのボーカリスト福井ミカである。本作の録音当時、イエロー・マジック・オーケストラはポール・マッカートニーとのセッションを予定していたが※、来日したポールが大麻不法所持によって逮捕勾留されたため、セッションが不可能となってしまった。その時のポールの妻リンダのメッセージが曲中のニュース速報である。速報中で読み上げられる「22番」とはポールの拘置所内での番号であり、同じく「Coming Up Like A Flower」は同じ年の4月に発売されるポールのシングル「カミング・アップ」で歌われるフレーズである。シングル『タイトゥン・アップ』のB面にも納められている。
    ※のちに高橋がラジオ番組で「ポール・マッカートニーとのセッションは予定されていなかった」と発言。坂本も「ポールがスタジオA(YMOがレコーディングしていたスタジオ)に見学に来る」と発言している(ただし坂本はその後に「セッションの可能性があった」とも発言しており、それが実際のことであったのか、坂本の希望であったのか、また後年言われ続けていた事を反映したのかどうかは不明)。
  3. スネークマン・ショー - Snakeman Show
  4. タイトゥン・アップ - Tighten Up (Japanese Gentleman Stand Up Please!)
    (作詞:Billy Butler / 作曲:アーチー・ベル)詳細は「タイトゥン・アップ」を参照。
  5. スネークマン・ショー - Snakeman Show
  6. ヒヤ・ウィ・ゴー・アゲイン - Here We Go Again ~ Tighten Up
  7. スネークマン・ショー - Snakeman Show
  8. シチズンズ・オブ・サイエンス - Citizens Of Science
    (作詞:クリス・モスデル / 作曲:坂本龍一)
  9. スネークマン・ショー - Snakeman Show
  10. マルティプライズ - Multiplies
    (作曲:エルマー・バーンスタイン)当時スペシャルズ等の台頭でムーブメントとなっていたスカを意識した生演奏主体の作品で、本盤および米国発売のベストアルバムのタイトルとなった曲。発売時のクレジットは「作曲:イエロー・マジック・オーケストラ」だったが、冒頭で「荒野の七人」のメロディーを使用したことから問題が生じたらしく(細野は後年「作曲者のアルマー・バーンスタインはしっかり物ですから」とのコメントを残している)、現在は作曲者名が変更されている。
  11. スネークマン・ショー - Snakeman Show
  12. ジ・エンド・オブ・エイジア - The End Of Asia
    (作曲:坂本龍一)元々は坂本のオリジナルアルバム『千のナイフ』の収録曲だが、YMOの初期ライブでも頻繁に演奏されている。このアルバムでのバージョンは非常に日本的なアレンジが施されている。坂本によると、東海道五十三次や歌川広重の浮世絵をイメージしていて、初期からやりたかったことだったとコメントしている。途中のヴォイスは伊武雅刀によるもの。三味線の音色はコルグPS-3100、その他はプロフェット5で演奏されている。

参加ミュージシャン[]

  • イエロー・マジック・オーケストラ
  • スネークマンショー
    • 小林克也/コントパート、ヴォイス(「タイトゥン・アップ」、「ヒア・ウィ・ゴー・アゲイン」)
    • 伊武雅刀/コントパート、ヴォイス(「タイトゥン・アップ」、「ジ・エンド・オブ・エイジア」)
    • 桑原茂一/コントパート
  • クリス・モスデル - ヴォイス(「シチズンズ・オブ・サイエンス」)
  • 大村憲司 - エレクトリック・ギター(「ジングル"YMO"」及び「ジ・エンド・オブ・エイジア」以外の音楽パート)
  • サンディー - バック・アップ・ヴォーカル(「ナイス・エイジ」、「シチズンズ・オブ・サイエンス」)
  • 福井ミカ - ヴォイス(「ナイス・エイジ」)
  • 松武秀樹 - コンピューター・プログラミング
Smallwikipedialogo.pngこのページには、クリエイティブ・コモンズでライセンスされたウィキペディアの記事が使用され、それをもとに編集がなされています。使用された記事は増殖 (YMO)にあり、その著作権者のリストはページの履歴に記録されています。


特に記載のない限り、コミュニティのコンテンツはCC BY-SAライセンスの下で利用可能です。

シェアボタン: このページをSNSに投稿するのに便利です。


最近更新されたページ

左メニュー

左メニューサンプル左メニューはヘッダーメニューの【編集】>【左メニューを編集する】をクリックすると編集できます。ご自由に編集してください。掲示板雑談・質問・相談掲示板更新履歴最近のコメントカウン...

高橋幸宏

高橋 幸宏(たかはし ゆきひろ、1952年6月6日‐)は日本のミュージシャン。シンガーソングライターであると同時に、ドラマー、作詞家、作曲家、編曲家、音楽プロデューサーとして活動している。またファッシ...

風街ろまん

『風街ろまん』は、はっぴいえんどのセカンドアルバム。概要[]1971年作品。東京オリンピック以降の開発・近代化で急激に失われゆく「古きよき日本・東京の姿」を「風街」という架空の街にみる、といったテーマ...

音源

目次1 作品1.1 シングル1.2 オリジナルアルバム1.3 ライヴアルバム1.4 ベスト・アルバム1.5 リミックス・アルバム1.6 ビデオ・LD1.7 DVD1.8 提供曲・編曲1.9 その他作品...

音楽図鑑

音楽図鑑(おんがく・ずかん、Illustrated Musical Encyclopedia)とは、坂本龍一の4作目のオリジナルアルバム。1984年10月24日にミディレコードよりリリース。解説[]Y...

鈴木慶一

鈴木 慶一(すずき けいいち、1951年8月28日 - )は、音楽家(ミュージシャン)、音楽プロデューサー、ムーンライダーズのボーカル。東京都大田区出身。東京都立羽田高等学校卒業。目次1 来歴、人物2...

過激な淑女

過激な淑女(かげきなしゅくじょ)は日本の音楽グループ「イエロー・マジック・オーケストラ(YMO)」の8枚目のシングル。または同シングルに収録された曲。シングルは1983年7月27日にアルファレコードよ...

細野晴臣

細野 晴臣(ほその はるおみ、1947年7月9日 - )は東京都港区生まれのベーシスト、シンガーソングライター、作曲家、音楽プロデューサー、多摩美術大学美術学部芸術学科客員教授。血液型はA型。立教高等...

矢野顕子

矢野 顕子(やの あきこ、本名:鈴木 顕子(すずき あきこ)、1955年2月13日-)は、日本の女性シンガーソングライター。「矢野」の姓はデビュー当時に矢野誠と婚姻関係にあったため、当時の本名を芸名に...

渡辺香津美

渡辺 香津美(わたなべ かづみ、1953年 - )は東京都渋谷区出身のギタリスト。目次1 バイオグラフィ2 使用機材3 ディスコグラフィ3.1 アルバム3.2 コンピレーション盤4 CM5 外部リンク...

浮気なぼくら

浮気なぼくら(NAUGHTY BOYS)は、イエロー・マジック・オーケストラ(YMO)の7作目のアルバム。1983年5月24日にアルファレコードよりリリースされた。カネボウ化粧品のCMに使用された「君...

横尾忠則

横尾忠則(よこおただのり、男性、1936年6月27日 - )は、兵庫県西脇市生まれの美術家、グラフィックデザイナー。神戸新聞社にてグラフィックデザイナーとして活動後、独立。1980年7月にニューヨーク...

松武秀樹

松武秀樹(Hideki Matsutake、まつたけ ひでき、1951年8月12日 - )は日本の神奈川県出身の作曲家、編曲家、コンピュータープログラマー。1970年に大阪万博アメリカ館でウォルター・...

松本隆

松本 隆(まつもと たかし、1949年7月16日 - )は作詞家。東京都出身。港区立青南小学校→慶應義塾高等学校、慶應義塾大学文学部中退。略歴[]東京青山生まれ。父親は大蔵官僚。中学から大学まで慶應に...

東風

東風(とんぷう、Tong Poo)は坂本龍一作の楽曲。目次1 解説2 収録アルバム3 プロモーション・ビデオ4 外部リンク解説[]坂本龍一の代表作の一つ。初収録は1978年にリリースされたイエロー・マ...

未来派野郎

未来派野郎(みらいはやろう)とは、1986年4月21日に発表された坂本龍一の6作目のオリジナルソロアルバム。解説[]タイトルの「未来派」は、20世紀初頭イタリアを中心に起こった芸術運動から取られている...

星になった少年

星になった少年 (サウンドトラック)とは、2005年に公開された映画『星になった少年』のオリジナルサウンドトラックである。2005年7月13日、ワーナーミュージック・ジャパンよりリリースされた。解説[...

忌野清志郎

忌野 清志郎(いまわの きよしろう、1951年4月2日 - )はバンドマン・作詞、作曲家・ヴォーカリスト。日本語のロックを語る上では非常に重要なアーティストの一人である。本名:栗原 清志(くりはら き...