A hundred years later

ページ名:A hundred years later

 

 

 

「やあやあ、皆今日はよく来てくれたね。あー、最後の会合からどれくらい経つんだったかな。10年くらい?」

「28年とちょっとですぅ」

「おやまあ、もうそんなになるのか。時の流れとは残酷なまでに早く、また我らの鈍感なことだな」

「時間の感覚なんてて曖昧なもの、隣に物差が居なければそんなものですよ。」

「………。」

「まあ、兎に角だ。28年ぶりの再会に乾杯しようか。」

掛け声とともに、一斉にグラスがカチンと音を立てる。

 

「しかし前回はこんなに少なかったですかね?もうちょっと……人が居たような……」

「前回からはえぇっと……4人減ってますねぇ。」

「えーロッカと、ナギサと、ぽっぽに……玉章か。生きてはいるんだっけ?」

「ロッカさんは旅に出ましたから何とも言えないところですねぇ。あとの三人は……その」

「死んだよ」

「そうか……」

「ぽっぽさんは融合型でしたから肉体の寿命がありますし、ナギサさんは追っかけるのわかりきってましたからね。」

「その点では玉章さんが少し意外ですぅ。あの人はもう、2回目だったわけじゃないですか」

「2回宿主を看取った君が言うと違うね」

「やぁだぁ!オズさんそれこそ数えきれないくらい繰り返してるじゃないですかぁ!」

「昔過ぎてあまり覚えていないんだ。ここ百年くらいはそういうことも特になかったしさ」

「そういう意味では……皆はどうだったかい?愛別離苦の感想は」

「そうですねぇ……。もっと食生活に気を遣ってりゃ長生きできたのになぁ、とは思いますぅ」

「十分な心の準備と思い出作りのお陰でしょうが。存外、耐えられるものなのだなと。少し、意外でした。」

「ああ、君のところの主人は『絶対後追いなんかするなよ、命の重さは僕の分だけでいっぱいいっぱいなんだからな』と五月蠅かったらしいもんなぁ」

「あの人の気性は死ぬまで変わりませんでしたね。……知らない間に代理契約者まで立てて、びっくりですよ」

「『死ぬまでにやる百のこと』まで作ってましたもんね。顔突っ込む用のケーキ作り、結構楽しかったですよぅ」

「せっかく作ってもらったのに、結局やらなかったあたりがなんともらしいですよね。」

「はは、彼らしいな。それで君は……いつもそうだが、少し主人に辛辣過ぎやしないか?」

「2代揃って偏食がキツいんですよぅ。先代はずうっとスープで、ヴィドさんは濃口ばっか注文するんですから。」

「何回言って聞かせようとしても『あと何回あるかわからないんだ、好きに食いたいじゃないか』ですよぅ?」

「ふふっ、そう言われると作っちゃうんですね。」

「……作っちゃいますねぇ。あの人、少し性悪ですから私の弱点よぉく知ってるんですよぅ。」

「死人に対してのその言いよう、中々君も負けてなさそうだぞ」

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