肝細胞がんー炭素イオン線治療

ページ名:肝細胞がんー炭素イオン線治療

<前向き試験>

Hong Z et al. Cancer Sci. 2023. PMID 36310409
・肝細胞がんに対するペンシルビームスキャニング法による重粒子線治療/炭素イオン線治療(CIRT)
・第1相試験の長期成績、中国
<結論>肝細胞がんに対するペンシルビームスキャニング法による炭素イオン線治療において、70 Gy/10回の照射は安全に施行可能で有効であった。
・炭素イオン線治療(CIRT):10分割照射、55 Gy、60 Gy、65 Gy、70 Gyへと照射線量を増加
・23例が登録、腫瘍径(中央値)4.3 cm(範囲:1.7~8.5 cm)
・経過観察期間(中央値)56.1ヶ月(範囲:5.7~74.4ヶ月)
・70 Gyまで線量制限毒性は観察されず、最大耐用線量(MTD)には到達しなかった。
・炭素イオン線治療(CIRT)6ヶ月後以内に放射線性肝疾患(RILD)を発症した患者はなかった。
・全生存率:1年 91%、3年 82%、5年 67%
・局所無増悪生存率:1年 100%、3年 94%、5年 94%
・無増悪生存率:1年 74%、3年 59%、5年 37%。

 

Kasuya G et al. Cancer. 2017. PMID 28662297
・肝細胞がんに対する重粒子線治療/炭素イオン線治療(CIRT)
・2件の前向き研究のプール解析、日本
<結論>肝細胞がんに対する炭素イオン線治療において、52.8 Gy (RBE)/4回が推奨線量分割として確立された。
・対象試験:第1/2相試験(protocol 9603)と第2相試験(protocol 0004)
・Protocol 9603(第1相試験)は線量増加試験で、69.6 Gy (RBE)/12回、58 Gy (RBE)/8回、52.8 Gy (RBE)/4回
・52.8 Gy (RBE)/4回が最大耐用線量(MTD)となり、第2相試験の推奨線量分割レジメントして設定された。
・治療が行われた124例、133病変において、重篤な副作用の発生は少なかった。
・局所制御率:1年 95%、3年 90%、5年 90%
・全生存率:1年 90%、3年 50%、5年 25%
・第2相試験における局所制御率:1年 98%、3年 96%、5年 92%
・多変量解析において、Child-Pugh Class B および 腫瘍塞栓の存在が死亡リスクと有意な関連を示した。


<後ろ向き研究>

Kaneko T et al. BMC Cancer. 2024. PMID 38532338
・大血管侵襲を伴う肝細胞がん(HCC)に対する重粒子線/炭素イオン線治療
・後ろ向き研究、日本
<結論>肉眼的血管侵襲(MVI)を有する肝細胞がんに対する重粒子線治療後の治療関連毒性は最小限で局所制御は良好な結果であった。
・対象:1995年~2020年、45~48Gy/2回 または 52.8~60Gy/4回の炭素イオン線治療を受けた肉眼的血管侵襲(MVI, macroscopic vascular invasion)を有する肝細胞がん(HCC)
・合計76例を評価;年齢(中央値)71歳(範囲:41~86歳)
・68例はChild-Pugh grade A、8例は grade B。
・17例は下大静脈または門脈本幹まで腫瘍栓が進展していた。
・経過観察期間(中央値)27.9ヶ月(範囲:1.5~180.4ヶ月)
・2年全生存率:70%(95% CI:58~79%)、無増悪生存率:33%(95% CI:22~44%)、局所再発率:9%(95% CI:2~24%)
・多変量解析では、アルブミン-ビリルビン グレード1 および 単発性病変が予後因子であった。
・晩期有害事象(G3)発生率:5%;急性期/晩期有害事象(G4-5)の発生を認めなかった。

 

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