肺がんー非小細胞肺がんー進行期ーEGFR変異陽性

ページ名:肺がんー非小細胞肺がんー進行期ーEGFR変異陽性

<ランダム化試験>

Peng P et al. Radiother Oncol. 2023. PMID 37105304
・EGFR変異陽性のIV期非小細胞肺がん;EGFR-TKI+体幹部定位放射線治療群とEGFR-TKI単独
・第2相ランダム化試験、中国、NCT03595644
<結論>EGFR変異陽性のIV期非小細胞肺がんにおいて、EGFR-TKI単独と比較して、体幹部定位放射線治療(SBRT)を併用することにより薬剤耐性発現を有意に遅らせ、無増悪生存および全生存を改善させた。原発巣に対する放射線治療が転移部に対する放射線治療より良好な治療効果が得られる可能性がある。
・対象:組織学的に診断されたIV期非小細胞肺がん(NSCLC)、EGFR変異(19del または 21L858R)陽性、EGFR-TK治療開始3ヶ月後時点で病勢安定/部分奏効
・EGFR-TKI:ゲフィチニブ または エルロチニブ または イコチニブなど
・SBRTとEGFR-TKIを併用する群(SBRT併用群)とEGFR-TKI単独治療を継続する群(EGFR-TKI単独群)に(1:1)の割合で無作為化。
・体幹部定位放射線治療:異なる腫瘍部位に対し30~50Gy/5回を照射。
・SBRTの治療期間が短いことから、照射期間中もEGFR-TKIの投与は継続。
・主要評価項目:無増悪生存(PFS)
・2018年5月~2019年12月、74例がスクリーニングされ、62例が登録、無作為化された。
・症例登録が遅れたため、試験は62/74例の登録時点で早期終了;SBRT併用群 31例、EGFR-TKI単独群 31例。
・SBRT併用群のうち1例がSBRTを拒否したため、61例がmITT(modified intention-to-treat)解析の対象となった。
・2022年2月のカットオフ値時点での経過観察期間(中央値)29.4ヶ月(IQR:6.9~38.9ヶ月)
・無増悪生存期間(中央値):SBRT併用群 17.6ヶ月 vs EGFR-TKI単独群 9.0ヶ月(HR 0.52, 95% CI:0.31~0.89, p=0.016)
・全生存期間(中央値):SBRT併用群 33.6ヶ月 vs EGFR-TKI単独群 23.2ヶ月(HR 0.53, 95% CI:0.30~0.95, p=0.026)
・治療関連毒性(G3+)の発生は認められなかった。
・治療関連有害事象(G2):SBRT併用群 50%、EGFR-TKI単独群 45%。


<後ろ向き研究>

Wang X, et al. BMC Cancer. 2021. PMID: 33931014
・EGFR変異陽性非小細胞肺がん;EGFR-TKI+体幹部定位放射線治療(SBRT) vs EGFR-TKI単独
・後ろ向き研究、中国
<結論>EGFR変異陽性進行期非小細胞肺がんにおいて、EGFR-TKIに肺病変に対する体幹部定位放射線治療を併用することにより忍容可能な毒性範囲で無増悪生存を有意に延長できる可能性が示唆された。
・EGFR遺伝子変異陽性の進行非小細胞肺がんで、初期治療としてEGFR-TKI治療が8週間以上行われた患者を体幹部定位放射線治療の対象とした。
・SBRT施行群とEGFR-TKI単独で治療された患者を傾向スコアマッチング(PSM)を用いて(1:2)の割合でマッチングを行い治療成績を比較した。
・308例の患者を組み入れ、262例はEGFR-TKI単独治療が行われ、46例はSBRTの併用が行われた。
・傾向スコアマッチング後(PSM)、2つのコホート間の背景に有意差を認めなかった。
・無増悪生存期間(中央値):SBRT併用群 19.4ヶ月、EGFR-TKI単独群 13.7ヶ月(p=0.034)
・全生存期間には有意差を認めなかった(p=0.557)
・傾向スコアマッチング後に評価された135例のうち、EGFR-TKI単独群 28例、SBRT併用群 71例で治療前と病勢進行時の血中を循環するフリーセルDNAの次世代シーケンシングが行われた(リキッドバイオプシー)。
・T790M変異検出率:SBRT併用群 63%、EGFR-TKI単独群 41%(p=0.035)

 

 

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