肺がんー小細胞肺がんー転移性脳腫瘍

ページ名:肺がんー小細胞肺がんー転移性脳腫瘍

<定位照射 vs 全脳照射>

Rusthoven CG et al. JAMA Oncol. 2020. PMID 32496550
・小細胞肺がんの脳転移;定位放射線治療(SRS) vs 全脳照射(WBRT)
・後ろ向きコホート研究、FIRE-SCLC cohort study
<結論>小細胞肺がんの脳転移に対する全脳照射と比較して、定位照射後の中枢神経病変の増悪までの期間は短かったものの全生存の悪化は認められなかった。
・対象:1994年~2018年、小細胞肺がんの転移に対する定位放射線治療(SRS)が行われた710例を解析した。
・年齢(中央値)68.5歳(IQR:62~74歳)、男性 75%)
・全生存期間(中央値)8.5ヶ月、中枢神経病変の増悪までの期間(TTCP, time to central nervous system progression)8.1ヶ月、中枢神経無増悪生存期間(中央値)5.0ヶ月
・治療が行われた脳転移の数で層別化した場合の全生存期間(中央値)は、1個 11.0ヶ月(95% CI:8.9~13.4ヶ月)、2~4個:8.7ヶ月(95% CI:7.7~10.4ヶ月)、5~10個:8.0ヶ月(95% CI:6.4~9.6ヶ月)、11個以上:5.5ヶ月(95% CI:4.3~7.6ヶ月)
・12ヶ月累積局所再発率:7.0%(95% CI:4.9~9.2%)、12ヶ月累積中枢神経遠隔再発率:41.6%(95% CI:37.6~45.7%)
・髄膜増悪率:11%(46/425例)、中枢神経病変による死亡率:12%(80/647例)
・傾向スコアマッチングによるSRSとWBRTの比較では、中枢神経病変の増悪までの期間(TTCP)は全脳照射(WBRT)で良好であった(HR 0.38; 95% CI:0.26~0.55)が、全脳照射による全生存の改善効果はみられなかった(全生存期間 [中央値]:SRS 6.5ヶ月 vs WBRT 5.2ヶ月;p=0.003)
・全脳照射による中枢神経無増悪生存の改善も認められなかった(中央値: SRS 4.0ヶ月 vs WBRT 3.8ヶ月;p=0.79)
・多変量解析による定位照射(SRS)と全脳照射(WBRT)の比較でも同様の結果が示された。

 

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