腎細胞がんー体幹部定位放射線治療

ページ名:腎細胞がんー体幹部定位放射線治療

 


【システマティックレビュー/メタアナリシス】

Siva S, et al. Lancet Oncol. 2024. PMID 38181809
・腎細胞がんに対する体幹部定位放射線治療、システマティックレビュー
・3,972件の論文をスクリーニング、36件の研究(822例)を解析に組み入れ
・局所制御率(中央値)94.1%(範囲:70-100%)
・5年無増悪生存率:80.5%(95% CI 72-92)、5年全生存率:77.2%(95% CI 65-89%)
・推奨される線量分割:25-26Gy/1回、大きな腫瘍に対しては42-48Gy/3回
・体幹部定位放射線治療後のルーチンでの生検の施行は転帰を予測できないため推奨されない


【第2相試験】

Siva S et al. Lancet Oncol. 2024. PMID 38423047
・原発性腎細胞がんに対する体幹部定位放射線治療(SABR)
・第2相試験、TROG 15.03 FASTRACK II(オーストラリア、オランダ)
<結論>主にT1b以上の病変を有する腎細胞がんにおいて体幹部定位放射線治療は効果的な治療戦略であり、局所再発や癌関連死の発生を認めず、副作用プロファイルおよび腎機能は許容可能な範囲のものであった。
・対象:生検で原発性腎細胞がんと診断、1病変のみ、ECOG PS 0-2
・除外基準:eGFR 30 mL/min per 1.73 m2未満、腎細胞がんに対する全身療法の既往、重複部位に対する高線量の放射線治療歴あり、10 cmを超える腫瘍、腎細胞がんと腸管が直接接触している病変
・最大径 4 cm以下の腫瘍に対しては26 Gy/1回、最大径 4 cmを超え、10 cm以下の腫瘍に対しては 42 Gy/3回を照射・
・主要評価項目:局所制御(RECIST ver. 1.1)
・1年間の局所制御率を90%と仮定(帰無仮説が80%以下の場合にはランダム化試験に進む価値なしと判断)
・2016年7月~2020年2月、70例が登録され、治療が開始された。
・年齢(中央値)77歳、49/70例(70%)では経過観察画像にて経時的増大が認められていた。
・男性 70%、腫瘍径(中央値)4.6 cm(IQR 3.7-5.5)
・登録された患者は全例でT1-T2a N0-N1
・23例に対し26 Gy/1回、47例に対し 42 Gy/3回の照射が行われた。
・経過観察期間(中央値)43ヶ月(IQR 38-60)
・12ヶ月局所制御率:100%
・治療関連有害事象(G3)を7例に認めた(悪心/嘔吐 4%、腹痛、側腹部痛、腹痛 6%、腸閉塞 3%、下痢 1%)
・治療関連有害事象(G4)の発生なし、治療関連死およびがん関連死なし。


<後ろ向き研究>

Siva S et al. Lancet Oncol. 2022. PMID 36400098
・腎細胞がんに対する体幹部定位放射線治療(SABR)
・患者の各個人データを用いたメタ解析(オーストラリア、カナダ、ドイツ、日本、米国)
<結論>腎細胞がんに対する体幹部定位放射線治療は長期的に有効かつ安全。分割照射と比較して単回照射後の局所再発が少ない可能性があるが、最適な治療スケジュールの確立にはランダム化比較試験でのエビデンスが必要。
・対象:経過観察期間2年以上、年齢18歳以上、局所療法歴なし;転移性腎がんや尿路上皮がんは除外
・体幹部定位放射線治療:1回線量 5 Gy以上で照射
・190例に対してSABRが施行され、単回照射が81例(43%)、分割照射が109例(57%)
・経過観察期間(中央値)5.0年(IQR:3.4~6.8年)
・年齢(中央値)73.6歳、男性 73%、腫瘍径(中央値)4.0 cm
・75%は手術不能、29%は片腎
・ベースラインのeGFR(中央値)60 mL/min/1.73m2で、SABR後5年までに14.2 mL/min/1.73m2減少
・7例(4%)で透析が必要となった。
・5年累積局所再発率:5.5%(95% CI:2.8~9.5%)
・分割照射と比較して、単回照射後の局所再発が少なかった(Gray’s p=0.020)
・1例の患者に急性十二指腸潰瘍(G4)と晩期胃炎(G4)が発生。

 

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