クリンゴンの歴史

ページ名:クリンゴンの歴史

カーレスの剣は、クリンゴンの歴史上最も重要な遺物の一つである。

クリンゴン帝国の歴史は、バイオレンスさに彩られた人々の歴史であった。

目次

初期と歴史と帝国の誕生[]

 古代Zanxthkolt王朝の初期には、ミイラ化浮彫像が発達した。(スタートレック4:故郷への長い道

ボレスにあるカーレスの絵

 9世紀頃、クロノスは暴君として知られるモローによって統治されていた。忘れ得ぬ者カーレスは、民衆の擁護者として暴君モローに対して一対一の戦いを挑み、モローを殺した。この戦いはカム・チーの戦いとよばれ、後にカーレスの剣と呼ばれる様になったバトラフを最初に使ったとされている。カム・チーの城に殺到した500人のモローの戦士たちを前に、城の守備兵たちは逃げ出したが、カーレスとルカーラは共にグレートホールでモローの戦士たちとの激戦を繰り広げ破った。この二人の勝利はクリンゴンの歴史で最も素晴らしいロマンスとして語り継がれる様になった。(DS9: クワークの再婚
 カーレスは高貴な家の出ではなかったが、新しい妻と共にクロノスの皇帝としてクリンゴンを統治した。そして、モローの敗北は今でもコトバールの祭りで祝われ続けている。(TNG: クリンゴン戦士への道DS9: 嵐に立つ者たち

パクバトラの一片。カーレスの話を伝えた古代クリンゴンの宗教的巻物

 カーレスは戦士というだけではなく、哲学者でもあった。彼は後にクリンゴン文化に深く根ざすこととなった厳しい戦士の掟を確立した。そして、彼の言葉はしばしば戦いに向かおうとする戦士たちによって思い起こされた。カーレスの格言では「支配者はその治世の長さで判断されるのではなく、その支配で判断される」[1]とされている。(DS9: 嵐に立つ者たち
 カーレスの伝説は、パクバトラと呼ばれる宗教巻物に記され後世に伝えられた。(VOY: さまよえるクリンゴンの魂[2]
 しかしながら、カーレスの伝説の中にはクリンゴン帝国創世とその後の皇帝の約1100年間の伝説も含まれており、有名な皇帝としてソンペックが含まれている。ソンペック皇帝は、後に「トンヴェイの戦い」として語り継がれる、一万人の戦士を率いてトンヴェイという街を征服したことで有名である。ソンペックは街を征服した後に、街を焼き払い住民すべてを虐殺したことでも知られている。
 ミュレック皇帝は戦士同士が決闘で殺しあうことを避けるために、錆びたバトラフを決闘に用いる習慣を導入したことで知られている皇帝である。(TNG: クリンゴン神カーレスの復活DS9: 裁かれるウォーフVOY: 預言の子
 その後の約1300年間でクリンゴン帝国はゆっくりと版図を広げていった。しかし、14世紀にはガンマ宇宙域の勢力であったハークがベイジョー・ワームホールを通りクリンゴン帝国を侵略し、クロノスは占領された。その後、クリンゴン人らの激しい抵抗のためハークは程なく撤退したが、クリンゴンの貴重な文化財や遺物が持ち去られてしまった。その中には、カーレスの剣も含まれていた。(DS9: カーレスの剣
 14世紀のクリンゴン社会では宗教の変化も起こった。それまでの神々は問題が多いとの理由でクリンゴン戦士によってすべて殺された。(DS9: 地球戒厳令・前編
 16世紀初頭、クリンゴン帝国は第二王朝が統治していたが、レクロ皇帝をクトゥレラン将軍が暗殺したことによって第二王朝は終焉を迎え、皇族もすべて処刑された。次の十年間は帝国は人民によって選出された評議会によって統治された。これは近代クリンゴン歴史学者の間では「暗黒時代」と呼ばれている。その後成立した第三王朝は、血縁はないものの、第二王朝の皇族の名前だけを引き継いだ。(DS9: 花嫁の試練
 21世紀中頃、最後の皇帝による治世が終わり、その後帝国を支配するのはクリンゴン最高評議会総裁となった。(TNG: クリンゴン神カーレスの復活
 第二帝政時代、モウガ総裁はブリーン星を征服するために艦隊を送ったが、派遣した艦隊は二度と戻らなかった。(DS9: 偽りの契り

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クロノスの首都(2151年)

 22世紀には、クリンゴン帝国は強力なクリンゴン防衛軍を率いた、いくつもの星系を支配する強大な国家として知られていた。(スタートレック:エンタープライズ

22世紀[]

人類との初期の接触[]

 クリンゴン帝国は、2140年代後半から2150年代前半にかけ、帝国内部での激しい闘争が行われており内戦の危機にあった。様々な派閥同士が攻撃し合う状態であったが、実際には内戦を誘発する攻撃は時間冷戦の工作員であったスリバン・カバルの手によるものであったことは当時は知られていなかった。

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2151年、クラングは、帝国への攻撃の背後にスリバン・カバルによる工作があった証拠をクリンゴン最高評議会に提出した。

 クリンゴンヴァルカンは2151年以前に度々接触していたが、クラングというクリンゴンの急使が二名のスリバン兵士に追跡され、地球に墜落した際に人類と初めて接触した。クラングは二人のスリバン兵士をやり過ごしたが、彼が墜落した農場の主であったムーアという男性に撃たれ重傷を負った。クラングはその後、宇宙艦隊当局に収容され治療を受けたが、ヴァルカン大使であるソヴァルは医療行為を止めてクラングを死なせる様に忠告した。しかし、ジョナサン・アーチャー大佐は、彼の指揮する予定の新造船であるエンタープライズでクラングの故郷であるクロノスまで彼を送り届けると主張した。
 クラングが重体のままクロノスへ戻ることはクリンゴン人として不名誉であり、彼に対しての侮辱に当たるということをアーチャーは理解していなかった。しかしながら、クラングは内戦勃発の危機を起こしたスリバンの工作の証拠を持っており、そのクラングを無事にクロノスまで送り届けたために、アーチャーらは無事に帰還することができた。だが、この事件をきっかけにクリンゴンと人類が友好な関係を築けたわけではなかった。(ENT: 夢への旅立ち

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2153年の時点で、クリンゴン社会は司法を含めて戦士階級に支配されており、名誉とは名ばかりの裁判が行われていた

 2153年前半、ラドラスからクリンゴン領外へ脱出しようとしていた難民輸送船を発見したアーチャー船長は、その難民たちをエンタープライズに収容した。その難民を追跡していたIKSボータスを指揮するデュラスが救助活動中のエンタープライズの前に現れ、難民をクリンゴン帝国に引き渡すよう要求した。しかし、アーチャー船長は引き渡し要求を拒否した。そのためデュラスはエンタープライズに対して攻撃を加えたが、アーチャー船長は応戦し逆にIKSボータスを無力化した。
 しかし、この件がきっかけとなり後にアーチャー船長はクリンゴン当局に反逆を扇動したとして逮捕・告発されナレンドラ3号星のクリンゴンの植民星で裁判にかけられた。この裁判で有罪判決を受けたアーチャー船長は、ルラ・ペンテ収容所での終身刑宣告を受け流刑に処されたが、看守を買収し脱出した。(ENT: 反逆の法廷

 これを受けてクリンゴン帝国内でアーチャーはお尋ね者となり、多額の賞金が提示されることになった。(ENT: 狙われた首) また、彼に名誉を汚されたとして復讐に燃えたデュラスはエンタープライズを追って太陽系にまで侵入した。しかし、一度目はイントレピッドを含む3隻の地球船に妨害されて退却を余儀なくされた。その後、デルフィック領域に向けて出発したエンタープライズを捕捉し、再度攻撃を仕掛けるが、対ズィンディ戦に備えて武装を強化したエンタープライズの反撃を受けて再び退却を余儀なくされた。7週間後に巡ってきた三度目のチャンスでは僚艦2隻を引き連れてエンタープライズを追うも、デルフィック領域外縁の熱気圧雲ではセンサーが機能せず、また、デルフィック領域への侵入を恐れた僚艦2隻は引き返してしまった。デュラスはそのまま単独で艦を熱気圧雲の中へと進めるが、センサーが機能しない環境を利用したアーチャーの反撃を受け、デュラスは艦を破壊されて命を落とした。(ENT: 帰還なき旅

優生人類危機[]

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2154年、エンタープライズはD5級巡洋戦艦と交戦した。

 クリンゴン帝国は2154年5月に発生した優生人類危機によって、地球との全面戦争直前までの緊張状態に陥った。優生人類のグループがクリンゴンのバード・オブ・プレイをハイジャックして乗員を宇宙空間に放出したことが危機の発端であった。優生人類はクリンゴンと地球を戦争に陥らせる為に生物兵器をクリンゴンのクヴァット・コロニーに使用しようとしたが、エンタープライズがそれを阻止しコロニーは救われた。これにより戦争は回避されたのであった。(ENT: ボーダーランドコールド・ステーション野望の果て

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2154年、クリンゴンはクリンゴン優生ウィルスの蔓延により未曾有の危機に陥った。

その後、クリンゴンは優生人類がハイジャックしたバード・オブ・プレイの残骸から優生人類の遺伝子を発見した。クリンゴンは宇宙艦隊が帝国に対抗するために優生人類の兵士を大量に生成するかもしれないと考え、クリンゴンの優生化を目論んだ。しかし、そこで思いがけない副作用が現れ始めた。人類の遺伝子が強すぎるために外見が人間とそっくりに変質してしまったのであった。しかし、被験者は優生人類同様に高い知能と超人的な力を手に入れたが、彼らの神経経路は対抗し始め、苦痛に悶えながら死に絶えていったのであった。被験者の一人はレヴォディア風邪を患っていた。そして、このレヴォディア風邪が遺伝子操作によって強化されたクリンゴンによってより強力なウィルスへと変化し、帝国中に蔓延していったのであった。この疫病によってクリンゴンはハークの侵略以来の未曾有の危機に陥った。

 クリンゴンの科学者アンタークとエンタープライズのフロックスは、研究の結果ウィルスの遺伝子的影響を第一段階で止めることに成功した。しかし、そのためには遺伝子強化による恩恵はすべて失われることとなった。また、精神的にも人間の性質が現れるようになっていった。この事件で、人間の様な外見になってしまったクリンゴンの遺伝子は数世代も受け継がれてしまう原因となり、23世紀中頃に影響が根絶されるまでその影響は続いていた。(ENT: クリンゴンの苦境優生クリンゴン[3]

23世紀[]

連邦・クリンゴン冷戦[]

詳細は連邦・クリンゴン冷戦を参照

 2223年までにクリンゴン帝国惑星連邦の関係は戦争直前というまでに緊迫していた。(スタートレック6:未知の世界ENT: 暗黒の地球帝国・後編[4]

 23世紀には連邦の領域は急速に広がっていった。そして、連邦領とクリンゴン領は次第に隣接していくことになる。様々な恒星系ドナテュー5号星シャーマン惑星アーケイナス・セクターやオルガニア星等)の領有権を求めて両国の対立は深まり小競り合いが頻発したが、両国とも本格的な開戦は避けていた。

しかしながら、2256年にトゥクヴマという戦士が24の名家をカーレスのビーコンで呼び出し、帝国は結束して惑星連邦への侵攻を断行すべしと主張して連邦領の端にある連星系に侵入して恒星間リレーを破壊、調査に現れたUSSシェンジョウの求めによって派遣された艦隊を攻撃しUSSヨーロッパ他数隻を撃沈した(連星系の戦い)。(DIS: バルカンの挨拶連星系の戦い)。

この時トゥクヴマは独自に遮蔽装置を開発し、自身の旗艦である死者の艦に搭載・運用していた。戦闘の末にトゥクヴマがマイケル・バーナム中佐によって殺害されたのち、コルによって彼の地位は乗っ取られ、遮蔽装置はコルの指揮下に入ったものの艦に与えられていった。見えない宇宙艦によって宇宙艦隊を翻弄しUSSガガーリンなど多くの連邦艦を葬ったが、USSディスカバリーにより胞子ドライブを利用した奇策によって遮蔽を見破る方法が見いだされ、死者の艦は破壊されコルも死に、この戦いは事実上連邦の勝利に終わった。(DIS: 汝、平和を欲するなら、戦いに備えよ、深き森の奥へ)

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2267年にオルガニア星を占領下に置いたクリンゴン軍の司令官コール

 2267年に両国の交渉は決裂し連邦は公式にクリンゴン帝国に対して宣戦布告を行った。クリンゴン軍は即座に戦略上重要なオルガニア星を含むいくつかの惑星に対して攻撃を開始した。しかし、非常に高い知性と強大な力を持つ非実体生命体であるオルガニア人による両国への介入が開戦後僅か数日で両国の戦争に終止符を打たせた。この介入により第一次連邦・クリンゴン戦争は終結し両国はオルガニア条約を締結した。この条約では両国の領域境界部の惑星の植民はより有効的に開発できることを証明した方に権利があると認められていた。そして、両国の国境沿いには中立地帯が制定された。(TOS: クリンゴン帝国の侵略新種クアドトリティケール

 しかし、条約締結後から10年の間に両国は度々小競り合いを繰り返した。カペラ5号星、ニューラル、エラス及びベータ12-Aでの局地的な紛争等が有名である。これらの対立の多くはクリンゴン側がダイリチウム等の貴重な鉱物の採掘権と、戦略上の利点を獲得した。(TOS: 宿敵クリンゴンの出現カヌーソ・ノナの魔力トロイアスの王女エラン宇宙の怪!怒りを喰う!?) 両国の対立関係はその後も続いたが、2267年にニンバス3号星で連邦・クリンゴン帝国・ロミュラン帝国の三国は共同でコロニーを設立し「大いなる平和の惑星」を標語として関係改善を狙ったが、大いなる失敗として歴史に残ることとなった。しかし、その後20年間は三国の代表による例会がこの惑星で行われることとなった。(スタートレック5:新たなる未知へ

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短命に終わったがロミュラン・クリンゴン同盟においてクリンゴンのD7級巡洋戦艦はロミュランに供与され、代わりにクリンゴンはロミュランから遮蔽技術を入手した。

 2268年、クリンゴン帝国は長年の血の宿敵であるロミュラン帝国と同盟を結んだ。この同盟は技術の相互供与も含まれており、クリンゴン側はD7級巡洋戦艦をロミュラン側へ供与し、クリンゴンはロミュランからトゥクヴマによる発明以来となる遮蔽装置を供与された。(TOS: 透明宇宙船) しかし、その同盟も長くは続かず2272年に両国間で発生したクラック・デケル・ブラクトの戦いにおいて両国間の同盟は破綻した。(DS9: 血の誓い

 その後、2280年代の連邦によるテラフォーミングの為の秘密プロジェクト「ジェネシス計画」を巡り、両国の関係は再び緊張状態へと突入した。ジェネシス装置は凄まじい破壊力を秘める兵器へと転用できる技術でもあり、クリンゴンはその技術を入手するために連邦と公式な交渉を行う裏で密かにバード・オブ・プレイを送り込んだ。クリンゴンは連邦によるジェネシス装置の開発を強力な兵器を開発していると起訴することを計画していた。(スタートレック3:ミスター・スポックを探せ) しかしながら、ジェイムズ・T・カーク少将率いるUSSエンタープライズにより計画は阻止され、逆にバード・オブ・プレイは彼らに奪われてしまった。この事態に対してクリンゴン大使はカークに対して仇討を宣言し、連邦に対しては「カークが生きている限り、平和は訪れないだろう。」と述べた。(スタートレック4:故郷への長い道

連邦との和平[]

 オルガニア条約の締結以来、連邦とクリンゴン帝国の両国は断続的に和平交渉を続けていたが、一向に進展を見せることはなかった。しかしながら、その中でも最も注目に値する会談が2289年にコルヴァット・コロニーで行われた。連邦側の外交官のクルゾン・ダックスはクリンゴン側の代表のカンとの会談では、結果的に和平協定にまでは結びつかなかったものの、クルゾンとカンの間には強い絆と信頼が生まれ、カンはクルゾンの外交的功績に対して叙勲した。(DS9: 血の誓い

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クリンゴン最高評議会総裁ゴルコンは、2293年に連邦との和平を願い「未知の世界と未来に…」と乾杯を述べた。

 しかし、2293年に状況は一変する。クリンゴンの重要な資源供給源であった衛星プラクシスが過剰採掘によって突如爆発したことによりクリンゴンの経済は破綻し、クロノスは危機的な環境汚染に見舞われた。そこで、当時のクリンゴン最高評議会総裁ゴルコンは、経済の大半を占めていた軍事力を緩和するために連邦との長年の対立関係に終止符を打つために連邦との和平協議を求めた。

 だが、両国の平和は簡単には訪れなかった。ゴルコンは連邦大統領との会談のために地球へ向かう途上、使節団の護衛についていたUSSエンタープライズAに潜入していた和平反対派により暗殺された。この二名の暗殺者は後に、宇宙艦隊上層部の一部やクリンゴンの和平反対派、そしてロミュランと共謀していたことが発覚している。しかし、この暗殺の後にもゴルコンの娘であるアゼドバーは父の遺志を継ぎ、連邦との和平を実現するための行動を継続した。和平反対派による妨害を受けながらもキトマーで行われたキトマー会議において、連邦とクリンゴン帝国は歴史的な和平条約となるキトマー条約を締結し、一世紀以上に渡る対立関係に終止符を打ったのであった。(スタートレック6:未知の世界

24世紀[]

急速に関係回復する両国[]

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USSエンタープライズ-Cによる2344年の献身的な行為は、連邦とクリンゴンの関係を一層強固なものにした。

 しかしながら、和平後も数十年間は両国の関係には未だ根強い不信感が残っていた。2340年代前半までには二国間は再び戦争勃発直前までに関係が再び冷え込んだ。しかしながら、ある連邦宇宙艦のクルーによる勇敢な行為は冷え切っていた両国間の関係を改善させる大きなきっかけとなった。2344年、突如ロミュランがクリンゴンのナレンドラ3号星のコロニーに対して奇襲攻撃を行った。救難信号を受信したUSSエンタープライズCは現地に急行し、基地を防衛するために4隻のロミュラン艦と交戦し撃沈されナレンドラ基地はロミュランによって破壊された。しかし、クリンゴンはエンタープライズのクルーによる行動を「名誉ある行為」と見なし、それまでの連邦に対する印象を改めたのであった。後の歴史の教科書において、この事件は「ナレンドラ3号星の戦い」として記されることになる。(TNG: 亡霊戦艦エンタープライズ“C”

 調停者リヴァはクリンゴン帝国と連邦との間のいくつかの条約交渉において名声を得た。リヴァによる交渉以前にはクリンゴン語には"peace-maker"(平和条約の調印者の意)という言葉さえ存在していなかった。(TNG: 無言の調停者) 2353年までには[5]、両国間はそれまでの敵対関係を清算し同盟条約を締結するに至った。この条約はオルガニア人がおよそ80年前に予想した通りの結果となったのである。(TNG: 亡霊戦艦エンタープライズ“C”クリンゴンの暴挙

内戦[]

詳細はクリンゴン内戦を参照 Kmpec.jpg

2367年のクリンゴン最高評議会総裁であったクンペック。

 連邦と平和条約を確立し平和を手にしたにも関わらず、クリンゴン帝国は再び騒乱を迎えることになった。クリンゴン帝国の歴史の中で最も長い期間総裁の座にあったクンペックの治世中の24世紀中盤、最高評議会は大きく二つの派閥に分かれていた。派閥の片方はガウロンによって率いられた親連邦派であったが、デュラスによって率いられたもう一つの派閥は平和条約の破棄と拡張主義を求める強硬派であった。また、予てより連邦とクリンゴンの同盟を脅威と見なしていたロミュランは密かにデュラス側と同盟を結んでいた。そして、2367年までにはクンペックの死をきっかけに両派による帝国を二分する内戦が勃発したのであった。(TNG: 勇者の名の下に

 デュラスはロミュランとの繋がりが明らかになった際にウォーフによって殺された。そしてクンペックの後を継ぐ新たな総裁にガウロンの就任が決定した。しかし、デュラスの姉妹であるルーサとベトールはガウロンに対抗するためにデュラスが妾に産ませた子であるトラルを立てて、ガウロンの総裁就任に抗議をした。しかし、クンペックによって継承の仲裁者としての役割を担わされていたジャン=リュック・ピカードはクリンゴンの伝統に従い予定通りガウロンの総裁就任式を執り行った。これに対して、デュラス家の工作によって最高評議会の大半は既にデュラス派であったため、ガウロン側と決裂し評議会を後にした。このことによってガウロン派とデュラス派による内戦が勃発したのであった。(TNG: クリンゴン帝国の危機・前編

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クロノスの第一都市は2368年のクリンゴン内戦で炎上した。

 この内戦はクリンゴン帝国全体に広がり、クリンゴンの歴史上の他のあらゆる戦争にも匹敵する程の大規模な戦いとなった。帝国の戦士たちは名誉と誇りを懸けて戦った。最初の三つの大規模な戦闘ではデュラス側はガウロン側に勝利した。しかし、この時にはまだ誰もデュラス側を密かにロミュランが支援していることは知られていなかった。ロミュランはデュラス側の勝利によって連邦とクリンゴンの同盟を終わらせ、新たにロミュランとクリンゴンが同盟することによって宇宙域に新たな勢力図を敷こうと躍起であった。

 しかしながら、連邦はこのロミュランの動きを察知していた。連邦は第一級優先事項によってたとえ同盟国とは言えども内戦に干渉することは許されていなかった。そこで、ジャン=リュック・ピカード大佐はクリンゴンへの第三国の干渉…つまりロミュランの干渉を防ぐために艦隊を編成してクリンゴンとロミュランの国境を封鎖し、ロミュランからデュラス家へ送られる支援ルートを遮断した。援助が断たれたデュラス側は徐々に勢力を縮小し、ガウロン側は勢力を巻き返して内戦を鎮圧させることに成功したのであった。(TNG: クリンゴン帝国の危機・後編

皇帝の帰還[]

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クローンで復活したカーレス(2369年)

 2369年までに、ボレスの聖職者たちはケロンのナイフからカーレスのDNAを採取し、忘れ得ぬ者カーレスをクローンとして復活させた。彼の神経系にはあらかじめパクバトラ等の神聖な古文書に書かれている過去の出来事が埋め込まれていた。聖職者は当初、カーレスはスト・ヴォ・コーから帰還したと説明したが、実際にはクローンによってカーレスを復活させることによってクリンゴンの皇帝の地位を復職させ、強い帝国に立て直そうとしていたのであった。ガウロンは内戦が終わりまとまりつつあった帝国の秩序が再び乱れ内戦が勃発することを恐れたが、聖職者たちの計画を暴くことに成功し、カーレスとは認めなかった。しかし、ウォーフはクローンのカーレスは正真正銘の皇帝ではあるが、政治の実権ではなくクリンゴンの人々の精神的なリーダーとして帝位に就くことを提案し、ガウロンはそれを受け入れ再び内戦は避けられたのであった。(TNG: クリンゴン神カーレスの復活

繰り返される戦争[]

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クリンゴン艦隊の旗艦ネグヴァーは、2372年にディープ・スペース・9に対して攻撃を加えた。

 連邦とクリンゴンの同盟関係は、2370年代に危機を迎えた。連邦はガンマ宇宙域ドミニオンファースト・コンタクトした。しかし、敵対的な接触となりドミニオンの指導者である創設者達は、偉大なるつながりを脅かすとしてアルファ宇宙域の強国すべてを征服する計画を立て始めた。(DS9: ドミニオンの野望・後編) 2371年後半にはドミニオンはガウロンの信頼するアドバイザーであったマートク司令官を捕らえ可変種と入れ替えた。(DS9: 可変種の脅威 第二幕・後編敗れざる者・後編

 マートクと入れ替わった可変種はカーデシア連合で先頃発生した民間人による暴動の裏にはドミニオンがおり、この暴動がアルファ宇宙域へのドミニオンの侵入の前哨戦であるということをガウロンに納得させた。ガウロンはドミニオンによるアルファ宇宙域侵入を防ぐために2372年前半に大規模なカーデシア侵攻を開始した。カーレス皇帝は侵攻を非難したがガウロンは攻撃を強行したのであった。

 連邦評議会はガウロンによるカーデシア侵攻に対して異議を申し立てたが、ガウロンはそれを同盟国の裏切りと見なして一方的にキトマー条約の破棄を通告し、連邦とクリンゴンの同盟関係はここに終止符を打つこととなった。その後両国間は交戦状態へと陥り、次第に全面戦争へと発展していった。クリンゴン側はカーデシアの新しい指導者であるデタパ評議会のメンバーを捕らえる為に連邦の基地ディープ・スペース・9に対して攻撃を行った。DS9の司令官であるベンジャミン・シスコ大佐は連邦とクリンゴン、カーデシアとクリンゴンを争わせ互いに疲弊させることこそドミニオンの真の狙いであるとガウロンを説得した。ガウロンはシスコの説得に応じ、これ以上戦火を拡大させドミニオンに付け入る隙を与えないためカーデシア侵攻の中止を命じ、DS9への攻撃も中止させた。(DS9: クリンゴンの暴挙

 しかしながら、両国の平和が戻ったわけではなった。連邦はクリンゴンの同盟国として共に闘うことを拒否し、実際にクリンゴンの戦いに反対した。クリンゴンは連邦のこの行動を決して許すことはなく、また忘れなかった。一度は停戦したものの両国の緊張状態は続き、クリンゴンは政治工作において連邦及びカーデシアを貶めることに躍起になっていた。(DS9: モーグの息子たち裁かれるウォーフ

 2372年、ガウロンはマートクの提案を受け連邦に対して両国の国境沿いの領土を放棄するよう要求した。連邦評議会がその要求を拒否すると、帝国は連邦に対して大規模な侵攻を開始した。後に第二次連邦・クリンゴン戦争と呼ばれるこの戦いは短い期間ながらも凄惨さを極めた。開戦から数週間後、宇宙艦隊の秘密潜入チームがガウロン暗殺の為に潜入した際に、マートクが可変種であることが発覚した。可変種がガウロンを唆して連邦とクリンゴンを互いに戦わせようとするドミニオンの狙いに気付いたガウロンは戦争を中止させることを約束したのであった。(DS9: 可変種の脅威 第二幕・後編

ドミニオン戦争[]

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差し迫るドミニオンの脅威に対抗するため、クリンゴン総裁ガウロンは2373年中盤にキトマー条約に再調印し連邦と再び同盟を結んだ。

 2373年、突如カーデシア連合ドミニオンへ加わった。その後、カーデシア領内に駐留するクリンゴン軍はジェムハダーによる攻撃を受け退却を余儀なくされた。ドミニオンはアルファ宇宙域の大国カーデシア連合と同盟を結んだことによりアルファ宇宙域への橋頭保を得た。強大となったドミニオン勢との差し迫る戦争に対抗するため、ガウロン総裁はキトマー条約に再調印し連邦との同盟を継続することに同意した。更に、ドミニオンの収容所に捕らえられていた本物のマートクが救出され、ディープ・スペース・9に駐留することとなった。(DS9: 敗れざる者・後編

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2374年、DS9奪還作戦に援軍として参加したクリンゴン艦隊

 クリンゴン帝国と連邦は2373年後半に勃発したドミニオン戦争に連合軍として参戦した。戦争で最も重要な戦闘の多く(第二次ディープ・スペース・9の戦いトーロス3号星の戦いDS9奪還作戦)は両陣営が共同して戦った。(DS9:DS9撤退の日DS9: ディープ・スペース9奪還作戦・後編

 2374年に反ドミニオンの同盟軍に新たにロミュラン帝国が加わった。クリンゴンとロミュランは長年「血の敵」として憎しみ合っていたが、ドミニオンへ対抗すると言う目的の元に一時的にお互いへの不信感を脇へ追いやったのであった。(DS9:消された偽造作戦

 しかしながら、勝利の代償は非常に高くつくことになった。2375年後半、ブリーン連合が突如ドミニオン側として参戦した。ブリーンは未知のエネルギー抑制兵器を用いて連邦及びロミュラン軍を戦闘不能に陥らせた。唯一抑制兵器に対抗できたクリンゴン軍が連合軍すべてを防衛するという危機的な状況へと追い込まれ、ドミニオンとの兵力差は1対20という極めて不利な状況であった。しかしながら、奇襲戦法を多用して大規模攻撃を防ぐというマートクの提案はガウロンに拒絶され、ガウロンは逆に残存兵力を集中投入してカーデシア侵攻を行うべきだと強硬に主張した。(DS9: 嵐の予兆

ガウロンは表面上では連邦及びロミュランの支援なしでドミニオンに対して早々に勝利をおさめ、この戦争におけるアルファ宇宙域の救世主となることを目的としていた。しかし、彼の本当の意図は政治的な都合であった。ガウロンは兵士達から圧倒的な人気のあるマートク将軍が自分の総裁としての立場を危うくすると考えていた。そのため、ガウロンはDS9で自ら全クリンゴン軍の陣頭指揮を執り、勝利は不可能と思われる無謀な作戦の指揮官にマートクを任命し、マートクに失敗を重ねさせることによって彼の人気を失墜させようとしていたのであった。

 この意図に気付いたウォーフはガウロンに対して異議を申し立て決闘を申し出た。ガウロンはクリンゴン帝国の、またアルファ宇宙域全体の安全を脅かす存在として挑戦した。決闘でガウロンを打ち倒したウォーフは総裁の座を奪ったが、彼は自らその座をマートクに譲ったのであった。(DS9: 嵐に立つ者たち

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2375年、ドミニオンはベイジョー条約に調印し、ドミニオン戦争は終結を迎えた。

 その後帝国は2375年後半のカーデシアの戦いで連合軍と共にドミニオンに対して勝利を収めた。(DS9: 終わりなきはじまり

 セクション31はドミニオン戦争でクリンゴン帝国が受けた損失は多大であり、2385年頃まで戦前の水準までに回復しないであろうと見積もっていた。(DS9: 闇からの指令

別の時間軸[]

 別の時間軸において、2372年にベンジャミン・シスコが死亡したことによって、ベイジョーは連邦は自分たちを守ってくれないと判断しカーデシアと相互防衛協定を結んだ。それに対してクリンゴン帝国は激怒し、関係悪化を恐れた連邦はディープ・スペース・9をクリンゴンに譲渡した。しかし、2422年にジェイク・シスコが時間軸を修正したため、歴史は変わった。(DS9: 父と子

 によって見せられた反時間の未来では、クリンゴンは24世紀後半にロミュラン星間帝国を征服していた。(TNG: 永遠への旅

 ダニエルスは26世紀の未来で、クリンゴンは惑星連邦に加盟したと述べた。(ENT: 爬虫類族の攻撃

関連項目[]

付録[]

注釈[]

  1. 日本語吹き替えでは、「偉大なる男は権力を求めない。周りがそれを求めるのだ。」と訳された。
  2. クリンゴンがワープ技術を開発したのは、西暦の930年頃とされ、ヴァルカンが開発した約600年後とされている。(Star Trek: Star Charts
  3. 優生ウィルスの完全な治療法がいつ発見されたかどうかは不明である。しかし、TOSに登場したクリンゴン(カンやコロス、コール等)は当初はウィルスの影響を受けてか額が人間と同じであったが、その後通常のクリンゴンと同じ額の隆起が戻っているため、治療が行われたか外科手術が行われたのかもしれない。また、TOS時代のクリンゴンは軟弱な態度を取ることがあったが、これも人類の遺伝子の影響が出ていると考えることもできるいずれにせよTOS終了後から『劇場版スタートレック』の間にクリンゴンの外見が戻っているため、この期間に治療法が適用された可能性は高いかもしれない。。一方でTOSの10年前となるDIS: バルカン式の挨拶に登場したクリンゴンはいずれも外見・精神とも戻っていたが、このクリンゴンたちは早期にウイルスの影響が解消されたかあるいは影響を受けていない可能性がある。
  4. スタートレック6:未知の世界』および、『TNG: ファースト・コンタクト』と『TOS: 宇宙の怪!怒りを喰う!?』で消された時間軸より、連邦とクリンゴンのファースト・コンタクトは2220年代に行われ、その後すぐに2293年までに渡る冷戦状態に陥ったとされてきた。しかしながら、『スタートレック:エンタープライズ』では、2151年にクリンゴンとのファースト・コンタクトが行われた事に改定された。しかし、『TOS: 新種クアドトリティケール』でスポックシャーマン惑星周辺領域での両国の紛争はファースト・コンタクト直後から始まっていると述べている。改定によって2150年代以来、この領域では両国の政治情勢が緊迫していたことになる。
  5. 連邦とクリンゴンの同盟締結が具体的に何年だったのかは不明であるが、2327年以降で2365年より前であることはエピソード中の言及から明らかである。(TNG: 愚かなる欲望


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