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クリンゴン(Klingon)とは、ベータ宇宙域の惑星クロノスを母星とするヒューマノイドである。彼らはクリンゴン帝国を成立させ、銀河系の主要国家の一つとされている。クリンゴンは名誉を重んじ、戦うことを誇りとする伝統を重んじる種族である。非常に攻撃的なクリンゴン文化とその軍事力は他の種族からの恐怖と尊敬を得ていた。また、クリンゴンは相手の目を見るだけで相手の殺意を見抜くという本能的な能力を持っていると信じられていた。
皇帝カーレスのクローン
Klingon_cranial_ridges_dissolve.jpg頭蓋の隆起が解け始めたクリンゴン
参照:クリンゴンの歴史クリンゴン帝国は9世紀[1]に、忘れ得ぬ者カーレスによって成立された。カーレスは暴君モローを倒し、クリンゴンの統一を果たした。カーレスはクリンゴン社会において神格化され、クリンゴン文化の多くはカーレスの人生を再現する要素を含んでいた。(TNG: クリンゴン神カーレスの復活)
戦士の精神はカーレスの時代以来、クリンゴン社会において最も重要視されるものであったが、22世紀前半より精神よりも戦士階級自体が優遇される様になっていった。以前はクリンゴン社会は戦士とそれ以外の階級のバランスが保たれているとされていたが、時間が経つにつれて戦士階級が台頭し、後にクリンゴンは「戦士の種族」と呼ばれる様になった要因の一つでもあった。(ENT: 夢への旅立ち、反逆の法廷)
宇宙進出を果たしたクリンゴンは、宇宙には自分たちよりも劣る種族がいることを知った。クリンゴン帝国は資源が乏しかったため生き残るために周辺領域の征服を繰り返した。惑星連邦とは結果的に悲惨となったファースト・コンタクトをきっかけに大国家間の熾烈な闘争を繰り返す緊張関係が続いた。(TNG: ファースト・コンタクト)
2154年、クリンゴンは優生人類の遺伝子を入手し、自らを遺伝子改良で強化するためにそれらを用いようとした。被験者たちは強化された体力と知性を得たが、次第に神経経路が退行し始め、次第に苦痛の中で死に絶えた。その被験者の内の一人がレヴォディア風邪に感染したことにより、遺伝子強化されたこの風邪のウィルスが瞬く間に帝国全土に感染して行った。このウィルスに感染すると進行の第一段階としてクリンゴンの特徴的な額の隆起が溶け出し、人間の様な額に代わってしまうというものであった。蔓延したウィルスがクリンゴン帝国全土で猛威をふるう中、クリンゴンの科学者アンタークとデノビュラ人医師フロックスは、ウィルスの遺伝的影響を第一段階で止める療法を発見した。この療法により種の絶滅の危機は回避したが、このウィルスの蔓延によって額の変化だけではなく神経系にも影響を与え、屈強なクリンゴン精神は人間の様な臆病さを持つ人格へと僅かに変化してしまった。そのため、その後数世代は人間の様な姿になったクリンゴン人の遺伝子が世代交代されていき、23世紀までそれが続くことになった。(ENT: クリンゴンの苦境、優生クリンゴン) クリンゴンはこの事態を恥と見なし、部外者に真相を話すことを拒否した。クリンゴンは本件について秘密主義の政策を取り、額の変化に関して連邦の一般市民は全く真相を知らされていなかった。また、24世紀に至ってもその理由は伏せられており、クリンゴン人に理由を尋ねても「外部の者には明かさないことになっている」とだけ返事をされる。(ENT: クリンゴンの苦境、優生クリンゴン、DS9: 伝説の時空へ)
その後2256年までに額の隆起が戻った者がいることが確認されている。(DIS: バルカン式の挨拶) 2260年代にはまだ平らな額の者が多かったが、2270年代から2280年代にかけてほぼ完全に元の額に戻っていたとみられる。(宇宙大作戦、劇場版スタートレック、スタートレック3:ミスター・スポックを探せ)
2223年までには、連邦とクリンゴン帝国間の関係は緊迫状態にまで悪化していた。(スタートレック6:未知の世界、TNG: ファースト・コンタクト)
クリンゴンと連邦の長く続く緊張状態は、2245年のシャーマン惑星近くで発生したドナテュー5号星の戦いをきっかけに緊迫状態にまで発展した。その後、2267年には第一次連邦・クリンゴン戦争が勃発したが、開戦からたった4日でオルガニア人による介入によって終結を迎えた。(TOS: 新種クアドトリティケール、クリンゴン帝国の侵略) その後の数10年間は大規模な衝突こそないものの、局地的な小競り合いは度々続いていた。(スタートレック3:ミスター・スポックを探せ、スタートレック5:新たなる未知へ)
しかし、2293年にクリンゴンの資源衛星プラクシスが過剰採掘によって爆発したことにより状況は一変することとなった。民族存亡の危機に陥ったクリンゴンは、当時のクリンゴン最高評議会総裁であるゴルコンによって連邦との和平を行うことを決定し、途中様々な妨害に遭いつつもキトマー条約を調印し、長年に渡る両国間の争いに終止符が打たれたのであった。(スタートレック6:未知の世界)
その和平締結以来、いくつかの困難(第二次連邦・クリンゴン戦争など)があったが、連邦とクリンゴン帝国の強固な同盟関係は24世紀現在まで続いている。(DS9: 敗れざる者・後編)
Qo%27noS_burns.jpg内戦により戦火に包まれるクロノス
また、ロミュランとクリンゴンの関係も非常に不安定であった。非常に短期間だけ軍事同盟によって技術交流なども行われたが、23世紀以来ロミュラン帝国はクリンゴンにとって「血の敵」とみなされた。キトマーの大虐殺やクリンゴン内戦でのロミュランの干渉は両国間の関係をより一層悪化させたのであった。(TNG: 汚名~クリンゴン戦士として~、クリンゴン帝国の危機・後編)
ダニエルスによると、26世紀にはクリンゴンは惑星連邦に加盟をしている。(ENT: 爬虫類族の攻撃)
鏡像宇宙においてクリンゴンはカーデシア人と同盟を結んで24世紀にクリンゴン・カーデシア同盟を成立させていた。(DS9: 二人のキラ)
クリンゴン社会は非常に複雑な構造であり、22世紀中盤から23世紀後半にかけて名門と呼ばれる一族が最高評議会を牛耳る封建的な社会制度が確立されていった。
クリンゴン文化の衰退は、彼ら自身の行動で示される。22世紀中盤、彼らの一部は略奪を繰り返した。(ENT: 招かれざる訪問者) また、戦士階級が台頭し勝ちさえすればよいという風潮が生まれ、戦士としての高潔さや真の名誉が失われつつあった。(ENT: 反逆の法廷) 23世紀には軍事独裁政権がクリンゴンを支配し、無慈悲な侵略者として銀河系中に知られていた。(TOS: クリンゴン帝国の侵略) その後、23世紀後半から24世紀にかけて彼らは再び伝統的な名誉ある高潔な生き方に回帰していった。
クリンゴン社会において、男性は支配階級にあり基本的に女性は一部の例外を除き各種要職に就くことは許されていなかった。(TNG: クリンゴン帝国の危機・前編) 2293年、ゴルコン総裁が暗殺された後に、彼の娘であるアゼドバーが総裁職を引き継いだ。従来は女性が総裁になることは禁止されていたが、この措置はクリンゴンの歴史に残る例外であった。(スタートレック6:未知の世界) クリンゴン女性は伝統的に家族と家の管理を行う者とされていた。(DS9: 花嫁の試練) しかし、政治と遺産相続については女性に権利は認められていなかったが、男尊女卑社会という訳ではなく、女性は男性と同等に認められており、伝統的に役割分担が行われた社会であった。女性が最高評議会の議席を持つことは法で禁止されており、家に男性の後継者がいない場合は家は取り潰しとなり財産は没収された。それでもクリンゴン女性は男性と同等の能力と権力欲を持っていた。
クリンゴン社会において最も重要視されるのは出身家系と名誉であり、伝統は彼らの人生において必要不可欠であり最も重要な位置を占めている。万が一、罪を犯した場合にはその本人だけではなく、その子孫数世代に渡って不名誉を受け継がされた。クリンゴンにおいて最も不名誉なことは最高評議会により追放処分を受けることである。そのため、一族の名誉は非常に重要視される社会でもあった。(TNG: 新ワープ航法ソリトン・ウェーブ)
伝統において最も重要視されるのが人生の節目等で行われる各種儀式であった。儀式の中で最も注目されるのが継承の儀式である。継承の仲裁者によってその儀式は監督され、新たなクリンゴン最高評議会総裁が選ばれる極めて重要な儀式である。この儀式の前には以前の指導者の死を確認するためのソンチの儀式と呼ばれる儀式も行われる。(TNG: 勇者の名の下に) また、クリンゴンは成人が認められてから10年後に飛翔の儀式を行い、完全な大人として認められる。(TNG: イカルス伝説) また、ルスタイと呼ばれる儀式では血縁関係にない者を一族に加えることができる。(TNG: 悲しみの幻影、DS9: モーグの息子たち、我らクリンゴン、過去を越えた絆)
また、クリンゴンは領土侵犯を決して許さないことでも知られている。(ENT: 狙われた首)
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