(特殊支援課の事務室は閑散としている。誰かが生活している気配も、誰かが居た気配もない。そこはまるで、形だけ存在している事務所のようにあなたは思うだろう)
(数秒の後、突然扉が大きな音を立てて締まった。同時に電気が消え、窓のない事務室は暗闇に包まれる)
(あなたは、途方にくれただろうか。それとも話を聞きに来ただけなのに何故こんな仕打ちを受けなければならないのかと憤慨しただろうか。いずれにせよ、あなたがリアクションを取った時にはひとつのホログラムが暗闇で光を放った)
(形成された形はスーツ姿のモノクロ眼鏡をつけた老人だった。彫りの深い表情をしていて、白髪混じりの頭髪はオールバック、右手に杖を着き、両手に白い手袋を嵌めていた……)
謎の老人「要件は聞かなくてもわかる。この部屋を訪れるということは、防衛部、特殊支援課に興味があるということであろう。そして、このホログラムによる説明は株式会社SOUSAKUに在籍する社員全員の心音データを参照し、合致するものがなければ再生されず、防衛課に通報されるように仕向けられている」
謎の老人「お前は株式会社SOUSAKUの社員として認められた。故に説明をしてやろう。特殊支援課がどのような仕事をしているかを」
特殊支援課とは
結論から言えばスパイをしている課だ。
数多の世界に幾つも存在する検閲組織に対し一人で2つないし3つの検閲組織に潜入、都度情報を得てはこちらへと送る。ただそれだけだ。
スパイ・アクション映画のような派手な殺しも派手な働きもない。だが、その情報は防衛部全体に共有され此方の対策となり大きな力になる。
数人は受付として本社で勤務をしているが、ただぼうっと受付席に座っているわけではない。
来訪者出身世界の経歴を数秒で確認し、必要ならば拿捕する必要もある。他の支援部隊からの情報を管理し、纏めるのも受付嬢らの仕事だ。
無論、株式会社SOUSAKUに所属する以上創作部への参加は絶対だ。だが創作部に属していても自らを特殊支援課と兼課していることは話してはならない。
情報は流す相手に細心の注意を払うものなのだ……。
特殊支援課の構成員
殆どがとある世界出身の獣人少年少女らだ。MUのホログラム機能により全く別の姿となり、幾つもの世界を飛び回っている。
また、仕事の特殊性から所属員をここで明かすことはできない。
諸君が普通に話をしている隣の社員が、実は特殊支援課員だった……ということも、ありうるかもしれんな。