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サウザーは、漫画『北斗の拳』に登場する架空の人物。
南斗六聖拳「将星」の男。己を最高権力者にせんとする野心に満ち、自ら神に無敵の肉体を与えられた「聖帝」と名乗り、覇権掌握のための領地拡大と聖帝十字陵の建立を押し進める。相手がどのような弱者であろうと、自身へ歯向かう者は容赦なく粛清する冷酷非情な思想の持ち主。サウザーの覇権に異を唱えて、抵抗勢力を組織して戦っていた「仁星」のシュウの抵抗勢力に対し、毒を混ぜた食料をわざと奪わせ、女子供も関係なく殺戮を狙うなど残忍な性格である。
しかしケンシロウとの闘いの中、暴虐の限りを尽くす現在の姿の裏に隠された悲劇的な過去が明らかになる。生来は純粋で愛情溢れる性格の人物であった(詳しくは来歴の項目を参照)。
「将星」は別名「帝王の星」と呼ばれる「独裁の星」。一〇八派ある南斗聖拳の最高峰および南斗六聖拳の主星(「極星」)として君臨し、サウザーはその「将星」の男のみが継承する、北斗神拳と同様に一子相伝である南斗鳳凰拳の伝承者である。
南斗鳳凰拳は、類稀なる拳法の才能が求められる上、師匠越えの儀式(師匠と勝負し殺害しなければならない)まで存在する条件の厳しい拳法であるため、屈強な精神力も必要とされる。しかしサウザーは純粋過ぎたがゆえに、敬愛する師を殺害したという事実を受け入れることが出来なかった。悲しみからくる苦痛で心を歪めたサウザーは愛や情けを捨て去り、富と力を欲し弱者を蹂躙する暴君へと変貌していく。
野望に燃える非情の敵役として描かれ、能面のような仮面を着用していた。
身長181cm、体重98kg、バスト140cm、ウエスト90cm、ヒップ102cm、首周り45cm。(データは週刊少年ジャンプ特別編集『北斗の拳 SPECIAL』の「拳聖烈伝」による)
体格の描写は、アニメ『北斗の拳 ラオウ外伝 天の覇王』においては、公式データより大きく描かれている。髪型は金髪(原作ではプラチナブロンド)のオールバックスタイル。
心臓の位置と秘孔の位置が通常と表裏逆という特異体質の持ち主であり、それを見破れない限り、正確な秘孔を突くことができず北斗神拳も通じない(医学に精通していたトキは気づいていた)。その謎と「南斗聖拳最強」と言わしめる強さのために、ラオウさえもサウザーとの戦いは避け[1]、ケンシロウも初戦では惨敗を喫した。なお、作中で北斗神拳伝承者となった後のケンシロウを完膚なきまでに打ち負かして勝利した人物は、シン、サウザー、カイオウの3人だけである。
とはいえサウザーの強さは半ばはその特異体質によるものであり、ラオウやサウザー自身も拳法の技量ではケンシロウの方が勝ると認めている。
南斗六聖拳分裂の引き金となった「妖星」のユダの裏切りをそそのかした黒幕であり、その野望と実力で広大な領地を獲た。「聖帝」を名乗り、抵抗できない子供たちを使役して、その野望と権力の集大成として巨大な十字型のピラミッド「聖帝十字陵」を築いていた。これはサウザーの師・オウガイ、そして彼自身の愛と情の墓でもあることが後に分かる。
サウザーが伝承する南斗鳳凰拳は、手刀による斬撃と突きを主体とした拳法であるが、手技の南斗聖拳だけではなく脚による南斗聖拳も備えている(極星十字拳)。その絶大な強さゆえに拳法における「構え」を持たない。サウザー曰く「構え」とは防御の型で下郎の使うものであり、帝王の拳である鳳凰拳にあるのは前進制圧のみ(対峙したケンシロウがサウザーの踏みこみの早さに驚くほどのスピードを持つ)。ただしその存在を脅かす者が現れた時のみ、帝王の名誉と威信を賭けて「構え」を取る(南斗鳳凰拳奥義・天翔十字鳳)。彼自身の拳の技量と「南斗六聖」の主星により「南斗最強」とされ、他の南斗聖拳では彼を倒すことは不可能とされている。
ケンシロウとの初対決では致命の秘孔「人中極」を突かれながらもその効果を受けず(正確にはサウザーの人中極に命中していなかったため)、驚愕するケンシロウを切り刻み圧勝する。ケンシロウを「聖帝十字陵」の人柱として獄に繋ぐが、ケンシロウはシバに救われ脱出する。
その後戦いを挑んだシュウを謀略を用いて戦わずして下し、「聖帝十字陵」の最後の石(聖碑)を積ませ、最後はその頂点に立った状態の彼を自ら投げた槍で貫いて殺害し、目の前で彼の壮絶な最期を見届けたケンシロウの底知れぬ怒りを誘う。
シュウをケンシロウの目の前で葬り去った後、人質にされていた子供の一人に片足を刺された際、その子供を手にかけずに“愛の無意味さ”を説きながら諭す。冷酷無比な性格で恐れられていたサウザーとしては意外な行動から、彼の悲劇的な過去が明らかになる。
サウザーは本来孤児であり、南斗鳳凰拳先代伝承者・オウガイに拾われ、鳳凰拳を伝承すべく厳しい修行の日々を送っていた。オウガイは厳しい人物であったが、決してサウザーに対する愛を忘れず、鳳凰拳の技を彼に授けてゆくと共に実の親のように優しく接し、幼少期のサウザーは彼を「お師さん」(アニメでは「先生」)と呼び慕っていた。そしてサウザーが15歳のと時、目隠しをして襲い掛かるある敵を倒せと命じられ、彼はその命に従って敵を切り裂いた。しかしその敵とは彼の師・オウガイ自身であり、「新たな伝承者に倒されるのも一子相伝の宿命」、「お前の瞳の中に極星の“南斗十字星”[2]を見ていた」と言い残し絶命した。
厳しくも優しい師であり、深い愛を受けた父とも慕う者を手にかけたことへの悲しみと苦しみに耐え切れなかったサウザーは、「こんなに苦しいのならば悲しいのならば愛などいらぬ」と慟哭し、一切の愛を否定した。その一件がサウザーにとって癒し難きトラウマとなり、それ以後、愛や情けを否定し蹂躙する非情の野心家へと変貌するきっかけを作った。ゆえに先述の意外な行動も彼本来の優しさ、情けがわずかに蘇った証となっている。
己の権力の象徴と見られていた「聖帝十字陵」に師・オウガイの亡骸を安置し、ラオウとトキも見守る中[3]、自らの体の秘密を見抜いたケンシロウに対し、虚心を捨て「構え」をとる。その体勢から放つ技はケンシロウの拳では捕らえきれず戦いを優勢に進めるも、闘気で秘孔を突く北斗神拳の奥義「天破活殺」を受け遂に秘孔の位置を暴露されたばかりか、両足の自由も奪われ形勢逆転を許す。自らの体を覆う神秘の鎧を剥され、翼ももがれたサウザーだったが、帝王としての意地を見せ自らを鼓舞して立ち上がり、最後の特攻を行うも、ケンシロウが放った苦痛を生まない「北斗有情猛翔破」で致命傷を負う。
死の間際、ケンシロウの言葉から、愛が生んだのは「苦しみ」や「悲しみ」だけでなく、「ぬくもり」でもあった事を思い出したサウザーの顔からは険しさがなくなり、涙を流しながらオウガイの亡骸に寄り添い、崩壊する十字陵と運命を共にした。ケンシロウは、誰よりも愛が深かったが故に歪んでしまったサウザーを「哀しい男よだれよりも愛深きゆえに」という言葉で見送った。
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