Knol

ページ名:Knol

Knol (日本語表記は未公表)はGoogleが計画しているユーザー生成型ナレッジ・ベースプロジェクトである。

概要[]

この計画は2007年12月13日にGoogleの公式ブログにおいてGoogleの技術担当副社長ウディ・マンバーにより公表された。マンバーによれば、knolが対象とするトピックは、科学的概念から医療情報、地理歴史から娯楽、製品情報からハウツー記事[1]までと幅広い。またknolのページは「そのトピックについて初めて検索する人が読みたいと思うようなもの」となる[1]。"knol" という言葉は、"unit of knowledge"(知識のユニット、単位)という意味のGoogleによる造語[2]で、プロジェクト自体を指すと共に、このプロジェクトにおける個々の記事をも指す[1]。BBCによれば、knolはGoogleがウィキペディアに対抗するための企画であると多くの人から目されている[3]

Googleサイトでは、knolのスクリーンショット、「不眠症」のknolが一例として公開されている[4]knolのサイトは現在のところは非公開の招待制ベータ版であり[1]、Search Engine Land編集長Danny Sullivanによれば、この形式は今後変更されるかもしれないし、knolのサービスそのものが結局公開されないままに終わる可能性もあるという[5]

"knol"の日本語表記は未公表であるが、ニューズウィーク日本版は記事の中で「ノル」としている[6]

目次

形式[]

knolの記事はそれぞれ、一人の著者によって執筆される。他のユーザーは著者の許可がある場合のみ執筆が可能となる。[5][7][8] 読者は評価付けやコメントを行うことが出来る。同じトピックに関して、複数の著者がそれぞれ独自の記事を書くことが出来る。Googleは、誰が何を書いたかわかれば、コンテンツを利用する読者にとって大きな助けになるだろうとしている。[1] マンバーによれば、Googleは「knolが執筆者それぞれの意見と視点を含むものとなる」ことを希望しており、執筆者は自分のknolに広告を表示させるかどうかも自分で決められ、広告表示を許す場合にはその広告収益からかなりの利益分配を受け取ることも可能となる。Google以外の会社の広告を表示できるようになるかどうかはまだわからないものの、Sullivanによれば、マンバーは可能性がないわけではないと言ったとのことである。マンバーはまた、「Googleはどんな意味においても編集者としてかかわることは無く、特定のコンテンツを優遇することもないだろう。編集責任と管理権はすべてそれぞれの執筆者にゆだねられる」と書いている。

外部の反応[]

knolが2007年12月に発表されて以来、knolを企画したGoogleの動機や、運営者というよりむしろコンテンツの作り手としての立ち位置についてさまざまの憶測が流れた。 ガーディアン'のJack Schofieldは、「knolはメディア産業全般への攻撃を象徴している」[9]と説く。

knolは、ウィキペディアやスカラーペディア、About.comのような百科事典サイトのライバルとして描写される[10][8][11]と同時に、ウィキペディアへの補完物ともみなされてきた。[12][13][14] ウィキペディアを運営している非営利のウィキメディア財団は、「良質のフリー・コンテンツは多ければ多いほど良い」とGoogleのknolを歓迎した[15] 。ウィキペディアの記事が複数執筆者により「中立的な観点」という方針[16]で執筆されるのに対して、knolは著者の存在を強調することにより個人に焦点を当てることになり[8]、Everything2 and Helium.comの記事同様、knolは著者の個人的見解を含むことになる。[1][17]

knolの形式を見て、ウィキペディアよりむしろAbout.comに近いという人々もいる[11]。DailyTechのライター、Wolfgang Hanssonによれば、knolはそもそもGoogleがAbout.comの買収を検討した時に企画されたのかもしれないという。Hassonは、About.comの買収を良く知る複数のソースによれば、GoogleはAbout.comを買収しようと計画していたが、About.comの幹部はGoogleがAbout.comのモデルをウィキスタイルに変更する予定だと知ったという。これが実現していれば、およそ500人のAbout.comの「ガイド」はレイオフされることを意味した。[18]

Googleの検索結果が利害の対立がある時にも中立的であり続けられるかどうかについて議論している人々もいる。[19][20] Search Engine Landの編集者、Danny Sullivanによれば、「knolのページをサーチエンジンで見つけやすくするというGoogleのゴールは、不偏・無作為であるべきというGoogleの必要と対立する」という[20] 。Center for Digital Democracyのexecutive director、Jeff Chesterも同様の懸念を示す「結局の所、Googleのビジネスとその社会的目標との間には基本的な対立がある。今目にしているのは、Googleが広告モデルを採用しつつある所であり、そこでは、人々が自由にアクセスできるものに対して金銭が大きなインパクトを持つだろう」[21]

こういった懸念に対して、GoogleはYouTubeやBlogger、Google Groupですでに大量のコンテンツをホスティングしていて[19]、knolのケースもこれらと大差はない[14]という指摘もある。テクノロジー分野のコメンテイター、Nicholas Carrは、Googleはもっとも人気のあるknolページが検索結果の中で自然に上位に来て、ウィキペディアに対抗してGoogleの広告を表示する新たなコンテンツ領域を提供することを期待していると述べて、Googleが検索結果を操作するかもしれないという予測は却下した[22][23]

脚注[]

  1. 1.01.11.21.31.41.5 テンプレート:Cite web
  2. テンプレート:Cite web
  3. テンプレート:Cite web
  4. http://www.google.com/help/knol_screenshot.html 写真の女性はRachel Manber。ただしランク付けやレビューはサンプル。
  5. 5.05.1 テンプレート:Cite web
  6. 「ネット事典 打倒ウィキペディア グーグルの狙い」ニューズウィーク日本版新年合併号2008・1・2/9 13ページ
  7. テンプレート:Cite news
  8. 8.08.18.2 テンプレート:Cite web
  9. テンプレート:Cite news
  10. テンプレート:Cite web
  11. 11.011.1 テンプレート:Cite news
  12. テンプレート:Cite web
  13. テンプレート:Cite web
  14. 14.014.1 テンプレート:Cite web
  15. テンプレート:Cite news
  16. テンプレート:Cite web
  17. テンプレート:Cite web
  18. テンプレート:Cite news
  19. 19.019.1 テンプレート:Cite news
  20. 20.020.1 テンプレート:Cite news
  21. テンプレート:Cite web
  22. テンプレート:Cite web
  23. Scott Morrison, "Google Targets Wikipedia With New 'Knol' Pages", Wall Street Journal, December 14, 2007

外部リンク[]

Google公式ブログによる発表

  • Encouraging people to contribute knowledgePosted by Udi Manber, VP Engineering12/13/2007 (Google Codeページ)

外部の反応

  • ITmedia - Google版Wikipedia?知識共有ツール「knol」をテスト(2007年12月14日)
  • Duncan Riley (TechCrunch翻訳記事) - Knol―GoogleがWikipedia+Squidoo的なユーザー生成型知識コンテンツをテスト中 (2007年12月14日)
  • Duncan Riley (TechCrunch翻訳記事) - GoogleのKnolは「やりすぎ」か?(2007年12月15日)
  • 産経MSN (共同) - グーグル、ネット百科参入記名でウィキペディア対抗(2007年12月15日)
  • Scott GilbertsonWired News(WIRED VISION翻訳記事) - Googleの情報ハブ構想『Knol』:『Wikipedia』+専門家ブログ (2007年12月17日)
  • ウォールストリートジャーナルScott Morrison (ITmedia翻訳記事) - Google版Wikipediaは成功するか 2007年12月17日
  • Michael Arrington(TechCrunch翻訳) -Google Knolについての考察 (2007年12月18日)
  • 坂東慶太 - Gpedia?「対」で考えるのではなく知識の増量を歓迎しよう(2007年12月18日)
  • 吉田健一 ZDnet Japan - Googleの人中心のナレッジマネジメント「knol」 - Google版「All About」(2007年12月23日)
Smallwikipedialogo.pngこのページの内容は、ウィキペディアから取られています。オリジナルの記事は、Knolにあります。この記事の著作権者のリストは、ページの履歴を御覧ください。The Unofficial Google Wiki 日本語版と同じく、ウィキペディアのテキストは、GNU Free Documentation Licenseで提供されています。




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