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テンプレート:子記事銀河英雄伝説の用語(ぎんがえいゆうでんせつのようご)では、田中芳樹の小説、およびそれを原作としたアニメ『銀河英雄伝説』に登場する、架空の用語について記述する。
原則としてオリジナルの用語を解説しているが、一般的に使用されている用語も、原作に記述された内容に関連して説明の必要ありと思われる者については項目を設けて解説している。原作/アニメ/コミック/ゲームなどで意味合いが異なる場合は、その都度解説を加えている。
テンプレート:ネタバレ
作品中における事件・出来事の用語について、歴史全体の時系列における関係にて、銀河帝国の成り立ちを基準にした上で記述する。なお、本編における個別の戦い・戦争名については銀河英雄伝説の戦役の項を参照の事。
または「13日間戦争」。西暦2039年に勃発した、北方連合国家(ノーザン・コンドミニアム)と三大陸合州国(ユナイテッド・ステーツ・オブ・ユーラブリカ)による全面核戦争。
90年紛争[]上記の13日(間)戦争の後、2129年の地球統一政府樹立まで続いた戦乱。これらにより地球人口は10億人前後まで激減した。
ラグラン・シティー事件[]または「ラグラン市事件」。西暦2690年5月14日、シリウス星系第6惑星ロンドリーナの主要都市ラグランシティーにおいて発生した、地球軍による略奪・虐殺事件。別名「染血の夜(ブラッド・ナイト)」。ラグラングループを生み出すきっかけとなった。
長征1万光年[]アーレ・ハイネセンら帝国を脱出した共和主義者達の、自由惑星同盟建国までの苦難の旅程の呼称。一般的には帝国暦164年に共和主義者がイオン・ファゼカス号でアルタイル星系を脱出し、同218年にバーラト星系を発見するまでの道程を示す。
共和主義者の流刑星だったアルタイル第7惑星は酷寒の星であり、氷河ならぬドライアイスの凍てついた大河がいたるところにあった。ハイネセン以下40万人の共和主義者たちはその一つを掘り抜いて居住区と機関部を設置、応急の宇宙船として脱出に成功した。帝国軍の追跡をかいくぐって他の惑星にたどり着いたハイネセンたちは、そこで本格的な恒星間宇宙船団を建造。未知の宇宙を半世紀にわたって航海し、幾多の苦難とハイネセン以下半数強の犠牲者を出しながら、ついに緑豊かなバーラト星系にたどり着いた。グエン・キム・ホア以下生き残った16万人余はこの年を宇宙暦527年とし、自由惑星同盟の成立を宣言した。
同盟市民の中には長征一万光年の参加者の子孫であることを誇りにするあまり、後に帝国から亡命してきた者とその子孫を見下すものもいる。具体的一例としてユリアン・ミンツの父方の祖母は、帝国からの亡命者の子孫であるユリアンの実母を「息子を奪った女」として嫌っており、ユリアン自身をも蔑んでいた。
帝国暦486年3月、ブラウンシュヴァイク公爵のパーティーで発生した爆弾テロ及びその後の討伐部隊の派遣までの総称。爆弾テロにはラインハルトも巻き込まれたが軽傷で済んだ。この時にメックリンガーと知り合っている(アニメ版ではシュトライト)。犯人のクロプシュトック侯爵は領地の惑星に逃亡、ブラウンシュヴァイクを長とした討伐部隊と交戦した。勝利したブラウンシュヴァイクの討伐部隊は、軍規を無視してクロプシュトック領で虐殺と略奪を繰り広げたが、それを見たオブザーバー(軍事顧問)役のミッターマイヤーがブラウンシュヴァイクの縁者を銃殺し、それがきっかけとなってミッターマイヤーとロイエンタールがラインハルトの陣営に加わる事になる。
なお、アニメ版では原作と時系列が異なり、487年の半ばとされている。収拾に関してもオーディンにあるクロプシュトック侯爵邸にフェルナーが率いる陸戦隊が駆けつけるが、門の中にあったルドルフ大帝の像を憚って砲撃できず、自邸に火を放ちクロプシュトック侯爵は最期を遂げるという展開に変更されている。
スタジアムの虐殺[]宇宙暦797年6月22日、ハイネセン・スタジアムで開催されていた無許可の政治集会に救国軍事会議からクリスチアン大佐(及び3,000人の武装兵)が乗り込み、ジェシカ・エドワーズを撲殺した。それがきっかけとなって暴動が発生し、武装兵が襲われながらビーム・ライフルを乱射。死者は市民20,000人、兵士1,500人にのぼった。この一件は救国軍事会議が人心を失うに至った大きな一因である。
ヴェスターラントの虐殺[]帝国暦488年8月、ブラウンシュヴァイク公の領地である惑星ヴェスターラントに対して核攻撃が加えられ、200万人の住民が虐殺された事件。攻撃は甥のシャイド男爵を民衆の叛乱によって殺されたブラウンシュヴァイク公爵が命じ、事前にそれを知ったラインハルトが、ブラウンシュヴァイク公の人望を失墜させるため利用すべしとするオーベルシュタインの進言で黙認した(原作小説では明確に黙認しているが、アニメではラインハルトが迷っている様子をみてオーベルシュタインが攻撃予定時刻を偽り、実行を手助けした形になっている)。これによってリップシュタット連合軍は民心を失い、相対的にラインハルトの支持が高まったが、この行為に苦言を呈したキルヒアイスが命を落とす遠因にもなった。また新帝国暦2年8月29日、ヴェスターラントで妻子を虐殺された男がラインハルトに暗殺を企てた事件が発生、未遂に終わったものの、犯人の糾弾にラインハルトは強い衝撃を受け、その夜罪悪感に囚われた彼を慰めようと訪れたヒルダと関係を持つに至った。
なおオーベルシュタインの発言によれば、もしヴェスターラントの虐殺を阻止したとすれば、リップシュタット戦役は最短でも3ヵ月は長引き、その期間における戦死者の数は最も少ない数字でも1000万人以上に達したと試算されている。
新帝国暦1年7月6日、皇帝となったラインハルトがヒルダの従弟であるハインリッヒ・フォン・キュンメル男爵の屋敷に行幸(ラインハルトの即位後初の行幸)した際に発生したテロ事件。キュンメルが地球教徒と手を組み、爆発物(地下に仕掛けたゼッフル粒子)による恫喝を加えたが失敗。病弱だったキュンメルは親衛隊長キスリングのタックルを受けその場で死亡。隠れていた地球教徒もラインハルト襲撃に失敗して次席副官のリュッケ中尉に射殺された。異変を察知した憲兵総監ケスラー上級大将の指揮の下、キュンメル邸はバウマン准将の憲兵隊に、オーディンの地球教支部はラフト准将の率いる憲兵隊によって即時制圧され、後日の御前会議では地球教本部の討伐がワーレンに命じられた。
これに先立つ帝国暦489年、第8次イゼルローン攻防戦の直前に、メックリンガーがヒルダの要請でキュンメル邸を訪れている。小動物を飼っていない事に対する疑問(原作及びアニメ)と、メックリンガーとヒルダの二人がラインハルトを賞賛した事に対して、キュンメルが自分の身体の不自由さを嘆くシーン(アニメ版のみ)があり、二人がこの事でキュンメルの人柄に疑問を感じている描写がなされている。
大親征[]皇帝となったラインハルト自身による同盟領への侵攻。第2次ラグナロック作戦及び回廊の戦いの総称。
ハイネセンの大火[]新帝国暦2年(宇宙暦800年)3月1日深夜、旧同盟首都ハイネセンポリスのあちこちで連続的に爆発と火災が発生した事件。翌日早朝には鎮火したが、1800万平方メートル以上が全焼し同盟の歴史的建造物の多くが灰燼に帰すとともに、死者・行方不明者は5,500名に達したがそのうちの約半数が地元地理に不案内な帝国軍人であった。
当初は同盟軍残党によるテロを目的とした放火説が疑われたが残党の組織的蜂起は起こらず、どさくさに紛れて発生した暴動はロイエンタールの製作した危機管理マニュアルもあって、全て初期の段階で鎮圧された。
後の調査で旧同盟軍が鉱山開発用に民間に払い下げたゼッフル粒子発生装置の誤作動が原因の事故であったことが判明したが、帝国軍が炎で旧弊を一掃しようとしたという流言が出るなど民心に動揺が走ったため、帝国憲兵副総監ブレンターノ大将は人心の安定を図るために憂国騎士団残党を本件の犯人に仕立て上げることにした。
憂国騎士団がスケープゴートに選ばれたのは、反帝国的傾向の強い過激派組織であった以外にも、資金や人員の面において地球教団との深いつながりがあることが憲兵隊の調査で判明したためである。
帝国憲兵隊は地元警察と合同で憂国騎士団と地球教団関係者の徹底的な弾圧と検挙に着手し、検挙対象とされた24,600名のうち5,200名は抵抗したために射殺され、1,000名が逃亡して行方をくらませたが、その他は全員逮捕された。
芸術の秋[]ラインハルトが芸術鑑賞に勤しんだ時の騒動。名称は「エンサイクロペディア銀河英雄伝説」が初出。元々、芸術活動などに興味を持たなかったラインハルトが、自分があまりにも無趣味な事を気にして(やや無理をして)芸術鑑賞を行ったのが新帝国暦2年9月だったのでこう呼ばれた(作中での季節の描写は、実際には有り得ない事を作者も承知の上で、演出上の都合で惑星内部どころか異なる惑星であっても全て統一されている)。もっとも、騒動の前にヒルダと一夜を共にして、求婚するも答えを保留されたので自分に整理をつける為に始めたのが真相のようである。しかし、ラインハルトと同じくらい芸術に疎い(メックリンガーを除く)提督達には大不評で、黒色槍騎兵艦隊幕僚とともにラインハルトの古典バレエ鑑賞に同行したビッテンフェルトは人目も憚らずに大欠伸を行い(アニメ版の描写)、詩の朗読会に出席するよう命じられたルッツは頭を抱え込み、ワーレンは自分の“当番”が来る前にオーディンに居るメックリンガーと交替する事を本気で考えるなど、戦々恐々な日々を送る事になる。ミッターマイヤーは、皇帝の嗜好に媚びる芸術家が出る事を恐れて批判的な見解を示したが、実は宇宙艦隊司令長官という立場上、芸術鑑賞への同行を命じられる事が無かったがための、第三者的評価であった。ラインハルトのお供として、「聴いてもわかるはずのない前衛音楽」を拝聴せねばならぬ羽目になったミュラーは思わず「いっそ戦争なり内乱なりの方がマシ」とぼやくが、この年(新帝国暦2年)の10月〜12月にかけてウルヴァシー事件に始まるロイエンタールの叛乱が起きており、一連の戦いの後、この時の言葉を思い出して憮然としたという。
グエン・キム・ホア広場事件[]または「9月1日事件」。新帝国暦2年(宇宙暦800年)9月1日、惑星ハイネセンのグエン・キム・ホア広場で開催された旧同盟の関係者による合同慰霊祭で起こった騒乱。当初は穏便な態度をとっていた市民が、警備を担当していた帝国軍に対して次第に険悪な様子を表し、14時6分に最初の投石が行われ、そこから暴動が広がった。市民4,840人が死亡、50,000人が重軽傷を負った。帝国軍兵士も118人が死亡した。なお、負傷・拘禁された者の中にシドニー・シトレ退役元帥がいた。
ウルヴァシー事件[]新帝国暦2年10月7日、ロイエンタールの要請で新領土の視察に訪れていたラインハルトが襲撃され、ロイエンタールの叛乱を誘発した事件。グリルパルツァーの捜査によって地球教徒の仕業だと判明したが、出世欲にかられたグリルパルツァーがこの調査結果を秘匿して裏切りを企み、叛乱を後押しするに至った。この事件でルッツがラインハルトの脱出を助けるため犠牲となった。
オーベルシュタインの草刈り[]新帝国暦3年3月21日から同月末まで、オーベルシュタインがハイネセンで旧同盟の要人約5,000人(ムライ、ホアン・ルイ、パエッタ、オリベイラなどを含む)を逮捕・収監した事件。これが他の提督との軋轢を生み、帝国軍内に対立が生じた。収監された要人達の反乱により多大な流血事件に発展した。しかし、この流血事件後直ちにラインハルトは旧同盟人民に対し、この件に対する謝罪を行ったため、旧同盟人民より賞賛を受け、ラインハルトに対する好感度は高まった。この好感度の高まりまでをも「オーベルシュタインの草刈り」に含まれた計算ではなかったかと囁かれた。
ラグプール事件[]新帝国暦3年4月16日深夜、「オーベルシュタインの草刈り」で旧同盟の要人が収監されていたラグプール刑務所で発生した暴動。鎮圧にあたった帝国軍の指揮系統の乱れと入手先不明の銃によって混乱が拡大し、その際、オリベイラやパエッタを含む多数の死者を出したが、ムライ及びロイエンタールに拘禁されていたシトレは負傷で済んだ。翌17日9時40分の鎮圧までに収監者の死者1,084名、重軽傷者3,109名、事件に不参加だった者317名、他は逃亡もしくは行方不明。帝国側は死者158名、重軽傷者907名の犠牲者を出した。
柊宮(シュテッヒパルム・シュロス)炎上事件[]新帝国暦3年5月14日に発生した、地球教の残党による仮皇宮襲撃事件。皇妃となっていたヒルダとラインハルトの姉アンネローゼが襲われた。ケスラーの活躍により襲撃犯は鎮圧されたが、妊娠していたヒルダが産気づいた様子をみせ、その夜男子を出産した。また、この事件の後、ヒルダの近侍を務めるマリーカがケスラーに接近し、2年後に結婚した。
ルビンスキーの火祭り[]新帝国暦3年6月13日20時、逮捕されたまま入院していたルビンスキーが生命維持装置を外す自殺の形で死亡し、デス・スイッチが作動してハイネセンポリスの各所が爆発・炎上した事件。旧同盟の最高評議会ビルの倒壊を初め、その後の3日間で市街の1/3が焼失した。死者と行方不明者は5,000人以上。被災者はその500倍。後日、逮捕されたドミニク・サン・ピエールの証言により、この事件がルビンスキーの仕業だと判明する。
作品中における法律・条約名について、時系列順に挙げる。
帝国暦9年、ルドルフ・フォン・ゴールデンバウムによって発布された法律。優生学的思想に基づき、知的能力や身体機能に異常がある者、或いは学習・労働意欲が希薄な者が遺伝的に劣悪であると定義した上で、その遺伝子の存続を抑制するというもの。特に去勢やロボトミー手術による安楽死など極端と言われる方法が実行された。
なお、後にルドルフの寵姫が先天性障害を持つ男児を出産したらしいが、母子のみならず寵姫の親族や出産に立ち会った医師までが死を賜り、真相は隠蔽されている。
この種の発想の致命的な欠陥として、その社会体制の意思決定をつかさどる者(政治家や貴族、財閥等)及びその親族や知人に、同法の提言者が唱えるところの「遺伝子の劣悪」が認められた場合、一般市民と同等の「処理」が行われず、逆に「その財力と権力によって過度に保護される可能性がある」という点が挙げられる。本作に於いてもパウル・フォン・オーベルシュタインを始め、ハインリッヒ・フォン・キュンメル、モーリッツ・フォン・ハーゼ、エリザベート・フォン・プラウンシュヴァイク、サビーネ・フォン・リッテンハイム(エリザベートとサビーネはアニメ版外伝のみの事例であり、具体的にどのような遺伝子劣悪があるのか不明)…など、「優秀な遺伝子」を有している筈の貴族に遺伝子の問題が存在し、この点が顕在化している。
同法は「晴眼帝」マクシミリアン・ヨーゼフ2世により有名無実化されており、オーベルシュタインは「それ以前であれば自分も抹殺されていただろう」と発言している。ただし、ハーゼは赤緑色盲が公になった時点で幼年学校を退学させられているし、エリザベートやサビーネも公表されればスキャンダルどころではなかった。
リップシュタット盟約[]または「リップシュタットの密約」とも称される。
ラインハルトとリヒテンラーデ公爵(帝国宰相)による枢軸体制に対抗する為、門閥貴族が結集した盟約。締結の正式な期日は判明していないが、帝国暦488年2月19日のイゼルローン要塞での捕虜交換式と貴族討伐の勅命が下った同年4月6日の間であると推定される。盟主はブラウンシュヴァイク公爵。副盟主はリッテンハイム侯爵。呼称の由来は、ブラウンシュヴァイクの別荘のあるリップシュタットの森で盟約を締結した事による。
この盟約に依って同年4月19日リップシュタット戦役が始まり(アルテナ星域会戦=ミッターマイヤー艦隊対シュターデン艦隊の戦い)、同年9月9日、占領されたガイエスブルク要塞内でラインハルト側による勝利の式典が行われている。
なお、彼ら自身は「正義派諸侯軍」と称し、対するラインハルトは公称として「賊軍」と呼び、原作中では「貴族連合軍」と記され、「リップシュタット連合軍」と呼ばれたことはない。
冬バラ園の勅令[]正式な名称は「新帝国暦2年2月20日の勅令」(新帝国暦2年=宇宙暦800年)。旧自由惑星同盟主星であった惑星ハイネセンにおいて銀河帝国皇帝ラインハルト・フォン・ローエングラムによりなされた勅令。通称は布告の場所が国立美術館敷地内の冬バラ園であった事に由来している。この勅令によって自由惑星同盟は政体として消滅し、273年の歴史に幕を下ろした。皮肉な事に、滅亡してから帝国において初めて自由惑星同盟が国家として承認された事になる。それまでは「辺境の叛徒」「自由惑星同盟を僭称する叛徒ども」と呼称され、国家として認められていなかった。ただし一旦は締結されたバーラトの和約で、自由惑星同盟の名称と主権の存続だけは帝国の同意によって保障されていた。
自由惑星同盟の憲法。レベロ政権はバーラトの和約により言論及び結社の自由を一部停止した。このことは原理派から激しい非難を浴びている。
惑星資源開発新法[]50年ほど前に施行された法律。利権政治家が私腹を肥やすのに利用したため評判は悪い。
トラバース法[]同盟で制定された法律。正式には「軍事子女福祉戦時特例法」。アニメでは「戦災孤児育英法」となっている。「トラバース」とは、法令の発案者の名前。
戦災遺児を軍人の家庭で養育する法律で、銀河帝国との戦闘状態から慢性的に生じる戦災遺児の救済と人的資源確保を目的として作られた。15歳までの養育期間中は政府から養育費が貸与される。期間終了後の進路選択は本人の自由だが、遺児が軍人或いは軍事関連の仕事に就けば養育費の返還が免除される。
この法律により、ユリアン・ミンツはヤン・ウェンリーの被保護者となった。なお、なぜ養育する被保護者を保護者の養子としないかについては記述が無い。
反和平活動防止法[]バーラトの和約第6条に基づきレベロ政権が成立させた帝国との友好を阻害する行動を禁ずる法律。ヤンを拘禁する口実に使われた。
宇宙暦799年 / 帝国暦490年5月25日、帝国と同盟の間で締結された和平条約。名称は、締結が行われた惑星ハイネセンがバーラト星系に属している事による。惑星ウルヴァシーを含むガンダルヴァ星系及び回廊周辺の2つの星系の割譲、年間1兆5千億帝国マルクの安全保障税の支払、戦艦及び空母の放棄など、実質的には同盟の降伏条約とされている。同年(新帝国暦1年)11月10日のラインハルトの再宣戦で実質的に破棄された。
作品中に登場する固有の名称・呼称について、五十音順に挙げる。
ゴールデンバウム王朝第14代皇帝アウグスト2世にちなむ拷問、処刑方法またはそれに使用される道具。ダイヤモンド製の微細な針を眼球に突き刺して眼底から脳を損傷させ、相手を狂死させる。
「処女神(アルテミス)の首飾り」とも記述される。自由惑星同盟の首都星ハイネセンの軌道上に配備された、12個の攻撃衛星からなる全自動防空システム。救国軍事会議によるクーデターを鎮圧するため、ハイネセンに迫ったヤン艦隊によって全て破壊された。アニメでは、カストロプ動乱においてフェザーン資本による同型が登場(道原かつみの漫画版では代わりに反射衛星砲が登場している)。
ヤンによれば性能は「物理的には障害にならない」程度らしい。実際原作の小説ではその威力が発揮される場面はなく、アニメのカストロプ動乱の設定で確認できるのみである(シュムーデ提督率いる討伐軍が全滅させられている)。
自由惑星同盟建国の功労者、グエン・キム・ホアが帝国に対する国防政策を問われて答えた言葉。同盟が帝国本土から遠く離れていること自体が、帝国軍の侵攻時の兵站や連絡、将兵の士気の維持を難しくさせる最大の防壁となるという意味。
なお、帝国側では同じことを、司法尚書ミュンツァーが「晴眼帝」マクシミリアン・ヨーゼフ2世に対し、「距離の暴虐」という言葉を用いて説いている。これに同意した「晴眼帝」は、在位中同盟への外征を一切行なわなかった。
宇宙暦745年(帝国暦436年)12月11日18時10分〜18時50分、第2次ティアマト会戦において、帝国軍がブルース・アッシュビー率いる同盟軍に蹂躙され多大な犠牲を強いられた事を指す。将官の戦死者は約60名で、帝国軍はこの40分で被った損失を回復するのに、その後10年を必要とした。
また、この大損害が、帝国にイゼルローン要塞を建造する決意を固めさせたといわれている。更に将官の大量戦死を補充すべく平民出身者の将官への門戸が広くなることとなった。
ローエングラム王朝で採用された帝国軍旗。真紅地に黄金の獅子を配している。当初はローエングラム元帥府の旗だったが、帝国軍旗となった際には金色の縁取りが施され、また獅子はグリフォンとなった(アニメ版)。
所属する全ての艦艇を黒一色で塗装した帝国軍の艦隊。旗艦は戦艦王虎(ケーニヒス・ティーゲル)、艦隊司令官は帝国軍の「呼吸する破壊衝動」と称されるフリッツ・ヨーゼフ・ビッテンフェルト。「宇宙最強」と評される攻勢にきわめて強い精鋭部隊で、ビッテンフェルトの猛将ぶりと合わせて驚異的な破壊力を誇る。所属兵・士官たちも司令官に感化された猪武者が多い。しかし守勢に弱く、反撃され致命的な損害をこうむることもあり、アムリッツァ会戦ではヤンを含む同盟軍の残存艦隊を取り逃がすきっかけとなった。とはいえ、この艦隊の攻撃を受け流し反撃に転じることが出来た艦隊は、ヤン艦隊を含めごく限られており、事実この艦隊が戦果を上回る損害を被ったケースはアムリッツァ会戦、及び回廊の戦いの緒戦でヤンと戦った2度だけである。
アニメ版では、この艦隊に所属する戦艦はすべて高速戦艦であり、機動力と打撃力に優れる様を視覚的にも確認できる。
回廊の戦いの終結後にファーレンハイト艦隊の残存部隊を編入し、彼らの通常戦艦も黒で塗装された。旧ファーレンハイト艦隊の将兵はビッテンフェルトに不満を持っており、また艦艇も高速戦艦ではなく標準戦艦のため連携に問題があり、これが第2次ランテマリオ会戦で黒色槍騎兵艦隊の崩壊の危機の原因となった。しかしビッテンフェルトの強引とも言える叱咤と旧ファーレンハイト艦隊の分艦隊司令官だったホフマイスターを初めとする彼らの意気込みで危機を乗り越えてしまった。
また、セガサターン版ゲームではビッテンフェルトの艦隊に巡航艦を加えれば黒に塗装された巡航艦を見ることが出来る。
当初、声優の野田圭一は艦隊名の読み方に戸惑ったという。
アニメ版外伝「千億の星、千億の光」では、ビッテンフェルトが艦長の戦艦が黒に塗装されている。このときビッテンフェルトは一度に二隻の敵艦を倒しラインハルトの目にとまっている。
ランテマリオ星域会戦において、ラインハルトが採った戦術の名称。移動能力の高い艦隊を縦列行進させて、敵に各個撃破を意図させ、いずれかの艦隊が敵と交戦を開始したら、他の艦隊が敵の左右から半包囲して攻撃するというものであり、敵に対して圧倒的に多い戦力を揃え、なおかつ連携を維持する事が実行の条件となる。
出典は中国の兵法書「孫子」の「常山の蛇」で、頭を打てば尾が襲い、尾を打てば頭が襲い、胴を打てば頭と尾が襲う蛇を指す。孫子は軍隊をこのように動かすのが戦上手の戦い方と説いている。
アスターテ会戦でほぼ全滅した第4・第6艦隊の残存部隊に新規の人員を加えて結成された艦隊。結成時の兵力は艦艇数約6,400隻、将兵約70万人(通常艦隊の約半分)。艦隊司令官はヤン・ウェンリー。その構成人員から「敗残兵と新兵の寄せ集め」と揶揄されていた。最初の任務はイゼルローン要塞の攻略。この任務が成功した後、同じくアスターテ会戦で損害を出していた第2艦隊と合流する形で一個艦隊に昇格。同盟軍の帝国領侵攻の後に、半数が脱出に成功した第10艦隊も合流して「イゼルローン駐留艦隊(ヤン艦隊)」となる。
クロプシュトック侯爵家の始祖アルブレヒトが内務尚書の時代に行った共和派の粛清・虐殺の総称。
別名「トゥールハンマー」、アニメ版では「トールハンマー」と呼称・発音されている。イゼルローン要塞の要塞主砲。出力9億4200万メガワットのビーム砲で、射程距離は拡散の度合いによって異なると思われるが、第六次イゼルローン攻防戦では6.4光秒が射程外と記述されている。アニメ版では、要塞外壁である流体金属をパラボラアンテナ状の鏡面に変化させ、そこから照射する構造になっている。
シリウス戦役の前後に存在していた、地球の旧体制を経済的に支えていた巨大企業群。この処遇を巡って存続を主張するタウンゼントと完全解体を主張するフランクールが対立した事が、ラグラン・グループ崩壊のきっかけとなった。
なお、同じ田中芳樹作の『創竜伝』にもフォー・シスターズと呼ばれる集団が登場する。
ラグラン・グループのフランクールが組織を確立して総司令官に就任した反地球戦線の実戦組織。ヴェガ星域会戦に於いて地球軍に勝利したのをキッカケとし、それ以降84回の戦闘全てに勝利した。
「門閥」とは「名門」と同義だが、本作に登場する門閥貴族は、ゴールデンバウム朝銀河帝国における貴族階級の中でも、さらに限られた支配層を指す。血縁或いは縁故による排他的な結束を特徴とし、帝国の政治や経済を支配し搾取する事を生業としているが、本人達は自分達の血統と隆盛が帝国の為になると本気で信じ込んでおり、それに反する存在に大きな嫌悪と憎悪を抱いている。爵位の有無、当主となれるかどうかがかなり重要性を持っていることが読み取ることができる。
同盟軍イゼルローン要塞駐留機動艦隊の通称であり、例外的にこの通称も公認された。その名の由来は、艦隊司令官がヤン・ウェンリーであったため。同盟軍の帝国領侵攻の後、半減した第10艦隊が第13艦隊に合流して誕生した。同盟建国以来、艦隊名称に個人名を冠することはなかったのだが、同盟軍の弱体化が進む中でヤンの名声を最大限に利用すること考えた軍上層部の思惑があったと考えられる。しかし、政治勢力からは軍閥化の疑いを持たれることとなる。
この艦隊には「バーラトの和約」後もヤンに付き従った人物が多く、その者たちは「ヤン・ファミリー」と呼ばれる。同盟から袂を分かった後は「ヤン・イレギュラーズ(不正規隊)」と称した。
同盟軍において、帝国からの亡命者の子弟で構成されている連隊の名称。元々は政治的な意味合いで結成されたものだが、同盟最強の白兵戦部隊であり、その戦闘能力は1個連隊で1個師団に匹敵すると言われる程。アニメ版に於いて帝国兵が連隊章などによって相手の正体を知ると目に見えて士気が落ちていた事からも実力の程を窺い知る事ができる。しかし、問題も多く、実際、戦闘中に敵と味方を取替え、帝国軍に寝返った者もいた。曰く「歴代連隊長12名のうち、4名は帝国軍との戦闘で死亡、2名は将官に昇進した後退役、あとの6名は同盟を裏切り帝国へ逆亡命した」(実際に第11代連隊長リューネブルクは帝国に逆亡命して登場している)。
第13艦隊編入時の指揮官は、第13代連隊長ワルター・フォン・シェーンコップ(当時大佐)。その後、リンツ(後の第14代連隊長)、ブルームハルトが連隊指揮官を務め(ブルームハルトは中佐のため連隊長代理)、ヤン艦隊の作戦成功に少なからず貢献した。ユリアン・ミンツは同連隊の準連隊員として、リンツから連隊章を授与されている。シヴァ星域の会戦では、元連隊長のシェーンコップをはじめ、多くの隊員が戦死し、生き延びた隊員全員が負傷した。
ローゼンリッターには連隊を象徴する「ドライロッド(三つの赤)」というものがある。しかし、それを広めた張本人(アニメ版ではリューネブルク)が帝国へ逆亡命をしたので、それを言うことを嫌っているものも特に上層部に多い(シェーンコップはこれを言うとお偉いさんがいやな顔をするのでよく言う)。
作品中の登場人物の中には、その業績などからつけられた異名・渾名を持つ者がいる。人物に関する詳細については、銀河英雄伝説の登場人物の項を参照。
項目の判別に伴い、同盟・帝国別に記載。
または「奇跡のヤン(ミラクル・ヤン)」。第6次イゼルローン要塞攻防戦まで「イゼルローン回廊は叛徒どもの血をもって舗装されたり」と豪語されていた。同盟軍は度重なる大敗北を重ねていたのである。第7次イゼルローン要塞攻防戦において、ヤン・ウェンリーが半個艦隊で、味方将兵を一兵たりとも損なうことなく難攻不落のイゼルローンを落とした時から、このように呼称される。
ペテン師[]イゼルローン要塞を陥落させた手法から呼ぶようになった。ラインハルトやロイエンタールなどの帝国軍諸将や、同盟側でもユリアン・ミンツなども(褒め言葉的に)ヤンの作戦を「ペテン」と評している。
エル・ファシルの英雄[]ヤン・ウェンリーを称える呼び名。宇宙暦788年、惑星エル・ファシルから300万人の民間人を脱出させた功績が名称の由来。その直前、星系守備の責任者であるアーサー・リンチ少将及び幕僚が、民間人を放棄して自分達だけ脱出を試み、さらに帝国軍に拿捕されるという失態を演じた。同盟軍首脳部はそこから世間の目を逸らす為、過度とも思える程ヤンの功績を宣伝した。その結果、アニメ外伝「螺旋迷宮」に登場する「週刊プリティー・ウーマン」ではヤンが結婚したい男性No.1に選出され、宇宙暦795年の第4次ティアマト会戦(を描いた劇場版アニメ第1作)に至るも、机一杯に置かれる程のファンレターが届いている。
むだ飯食いのヤン[]もしくは「ごくつぶしのヤン」。尉官時代のヤンに対する呼称。エル・ファシルで誰も予想しなかった功績を挙げ驚異的な昇進を遂げたものの、それ以前はその生来の怠け者気質からこう呼ばれていた。「非常勤参謀」とも言われる。
2秒スピーチのヤン[]ヤンのスピーチ嫌いをユリアンが評した言葉。イゼルローン要塞での新年パーティーの挨拶が「みなさん、楽しくやってください。」の一言で終わった事に由来する。このスピーチ嫌いは徹底しており、捕虜交換式の時の挨拶は可能な限り短縮され、エル・ファシル革命政府から民衆に紹介された時も「ヤン・ウェンリーです。よろしくお願いします。」の一言で済ましている。例外としては一時期、ユリアンとメルカッツがヤンの元を離れる際に行われた壮行会のスピーチであったが、これにおいても政治家のスピーチよりははるかに短かったとされる。
動くシャーウッドの森[]バーミリオン星域会戦の時にヤン・ウェンリーが組織した一隊。戦いが終結した直後、メルカッツを帝国に引き渡さない為及び後日の叛乱勢力の中枢を確保する為、という2つの理由からヤンが提案し、メルカッツが受諾した。艦艇数は60隻。同行者は副官のシュナイダー、カスパー・リンツ、オリビエ・ポプラン、カーテローゼ・フォン・クロイツェル(彼女は後に存在が判明)を含め11,800人。当初はダヤン・ハーンの補給基地に潜んでいた。
「ロビン・フッド」も参照
生きた航路図[]ヤン艦隊副司令官フィッシャー中将のこと。艦隊運用の名人芸から呼ばれる。苦いジョークとしてアッテンボローが彼の戦死の報を受け「死んだ航路図」と称した。
歩く小言[]ヤン艦隊参謀長ムライ中将のこと。意味はそのまま。
呼吸する軍事博物館[]ミッターマイヤーがアレクサンドル・ビュコックの軍歴を敬意を込めて揶揄したもの。ビュコックが一兵卒からの叩き上げで元帥まで上り詰めた事は帝国でも広く知られていたようだ。
パン屋の2代目[]ヤンとは「違った意味」で軍人らしくないとされる、チュン・ウー・チェンの渾名。見た目が軍人らしくなく、パン屋の親父風に見える事からついた。チュンが士官学校に赴任する際に下見に行ったら当番学生に出入りのパン屋に間違われた、というのがつけられた理由だが、学生の名前が不明で真実かどうかは定かではない。
じゃがいも士官[]同盟軍統合作戦本部長、ドーソン大将に対する渾名。「じゃがいも野郎」とも言われる。かつて第一艦隊の後方主任参謀を務めた際、ダストシュートを見て周り「じゃがいもが何十キロ捨ててあった」などと発表して兵士達をウンザリさせたことから呼ばれている。
地上の気球[]フェザーン高等弁務官事務所主席駐在武官、ヴィオラ大佐のこと。肥満しているものの質感に欠け、筋肉も贅肉も入っていないような体格から呼ばれる。ユリアンは「歩く飛行船」と評している。
ぼやきのユースフ[]ユースフ・トパロウルの項目を参照の事。
730年マフィア[]宇宙暦730年の同盟軍士官学校卒業生に優秀な人材が多く、その主席であったブルース・アッシュビーが自らの幕僚を同期生で固めたことから名づけられた。アッシュビーの他にアルフレッド・ローザス、ヴィットリオ・ディ・ベルティーニ、ファン・チューリン、フレデリック・ジャスパー(マーチ・ジャスパー)、ジョン・ドリンカー・コープ、ウォリス・ウォーリック(バロン・ウォーリック)の計7人。第2次ティアマト会戦にてアッシュビーが戦死したため、自然消滅となった。
7人のうち軍人として戦死したのはアッシュビーとベルティーニ、コープの3人だけであるが、残り4人も以後結局鳴かず飛ばずのまま、しかも天寿を全うすることができず(ジャスパーは事故死、ウォーリックとファンは病死、ローザスは半ば自殺)、幸福とは言えない死を迎えた。
マーチ・ジャスパー[]マーチは行進曲を意味する。「730年マフィア」の一人フレデリック・ジャスパーの異名。
勝つときは派手だが、負け方も派手で、しかも戦績がなぜか「勝ち・勝ち・負け」の三拍子を繰り返し続けたことに由来する。ジャスパー指揮下の将兵はほとんどが諦めの境地に達してこのマーチにのって戦っていたが、一部には真剣に「負け」の番が来る前に脱走を企てたり、遺書を書いたものもいるという。
第2次ティアマト会戦のときは「勝ち」の番であった。
バロン・ウォーリック[]バロンは男爵を意味する。「730年マフィア」の一人ウォリス・ウォーリックの異名。当たり前だが民主共和制・反専制政治を標榜する自由惑星同盟には貴族制度は存在しない為、単なる綽名であり、正式の爵位ではない。貴族的な態度と容姿からそのような綽名がつき、本人も気に入って正式な名前のように使っていた。一方で「しょせん男爵止まり。伯爵や公爵にはなれないし、なれなくて結構」という他人からの揶揄、本人による自嘲と諦念も込められている(ウォーリックは軍人としてはアッシュビーに及ばず、多芸ではあったが何をやっても一流にはなれず、退役後政界に転じても成功できなかった)。
ラインハルト・フォン・ローエングラムの後世の呼び名のひとつ。原作では「ラインハルト・デア・ルーヴェナルテイグ・カイザー」のルビが振られた。主な由来はローエングラム王朝で採用された帝国軍旗が真紅地に黄金の獅子を配した意匠である事と、ラインハルトの外見・功績が獅子を連想させるものであった事。
玉座の革命家[]ラインハルト・フォン・ローエングラムの後世の呼び名のひとつ。主な由来は、ゴールデンバウム王朝を受け継いで帝位に就きながら、採用した行政の運用方法等が革新派に通じるものであった事から。
金髪の孺子[]ラインハルト・フォン・ローエングラムの蔑称。読みは「きんぱつのこぞう」。主に門閥貴族や帝国軍高官など彼の政敵が使用。帝国以外この呼称を使うのはフェザーンの一部反ラインハルト派ぐらいであり、同盟では一切使用されることは無かった。ローエングラム王朝においてこの呼称を使用することは不敬罪にあたるとされる。なお、「こぞう」は普通は「小僧」の読みである。「孺子」とは中国古典などに見られる「幼児」を意味する言葉(転じて成人であっても幼児並みであると軽侮する言葉)で、日本語では通常「じゅし」と読む。「こぞう」の読みに「孺子」の漢字を充てるのは田中芳樹の創作である。
疾風ウォルフ[]ウォルフガング・ミッターマイヤーの異名。原作小説では「ウォルフ・デア・シュトルム」とルビが振られる。アムリッツァ会戦前哨戦(ビルロスト・ヤヴァンハール星域会戦)で敗走する同盟軍第9艦隊を追撃の末に追い越したことからこう呼ばれるようになった。
帝国軍の双璧[]ウォルフガング・ミッターマイヤーとオスカー・フォン・ロイエンタール。帝国軍において特に抜きん出た艦隊指揮能力を有した二提督。この双璧に匹敵する人物は、ロイエンタールの言によると、ラインハルト、キルヒアイス、ヤン、メルカッツの4人だけである。
帝国軍の呼吸する破壊衝動[]フリッツ・ヨーゼフ・ビッテンフェルトに付けられた渾名。「猛将」の名に相応しい圧倒的なまでの破壊力を持つ「黒色槍騎兵艦隊(シュワルツ・ランツェンレイター)」を率いる事から呼ばれ、各戦線で目覚しい戦果を挙げている。
ドライアイスの剣[]パウル・フォン・オーベルシュタインに対する渾名。冷徹すぎる性格から。同盟からは「帝国印・絶対零度のカミソリ」とも呼ばれた。
鉄の胃袋[]親衛隊副隊長ユルゲンス大佐の綽名。通常は大食漢につく綽名であるが、実はユルゲンスは小食である。親衛隊は任務からくるストレスによって、皆、胃痛に悩まされていたが、唯一ユルゲンス大佐のみが胃痛とは無縁だった事からこの名がついた。
沈黙提督[]銀河帝国の提督であるエルンスト・フォン・アイゼナッハの呼称。日常で殆ど言葉を発しないためこのように呼称された。OVAでは補給艦の艦長を務めていた少佐時代の彼が登場し、「沈黙艦長」と呼ばれていた。
鉄壁ミュラー[]ナイトハルト・ミュラーの異名。または「ミュラー・デア・アイゼルンウォンド」とも。バーミリオン星域会戦において旗艦リューベックを失い、乗艦をノイシュタット→オッフェンブルフ→ヘルテンと乗り換えてもなおラインハルトの危機を救うべく奮闘した事に由来する。この時の奮闘がラインハルトに認められ、ローエングラム王朝成立後、上級大将の中で首席の序列を受けるとともに、新王朝初の新造戦艦であるパーツィバルを下賜されることとなった。敵手である処のヤン・ウェンリーも、彼を「良将」と称えている。
芸術家提督[]銀河帝国の提督であるエルネスト・メックリンガーの呼称。艦隊指揮において秀でるのみでなく、芸術分野においても卓絶した異色の提督であるため、このように呼称された。ハインリッヒ・フォン・キュンメルはメックリンガーの多才さをレオナルド・ダ・ヴィンチ、曹操と並び賞している。
文人提督[]「芸術家提督」と同じくエルネスト・メックリンガーに対する呼称。
探検家提督[]銀河帝国の提督であるアルフレット・グリルパルツァーの呼称。提督としてだけではなく、探検家としても名を馳せたためこのように呼称された。
獅子の泉(ルーヴェン・ブルン)の七元帥[]ラインハルト亡き後のローエングラム王朝を支えた元帥たち。ミッターマイヤー首席元帥以下、ミュラー、ワーレン、メックリンガー、ビッテンフェルト、ケスラー、アイゼナッハの7人。ミッターマイヤーを除く6名は、ラインハルトの遺言により、摂政となったヒルダが元帥号を授与した。
理屈倒れのシュターデン[]帝国軍士官学校教官時代のシュターデンが、現実より理論を優先させる傾向にあった事から、当時学生だったミッターマイヤー達によって付けられたあだ名。ミッターマイヤーはアルテナ星域会戦でこれを実証する機会を得た。
チシャ夫人[]ベーネミュンデ侯爵夫人シュザンナにラインハルトが付けた渾名。当初は「ヘビ夫人」と呼んでいたが、彼女との対決をキルヒアイスが「明後日のフリカッセの前に、明日のチシャのサラダですか?」と例えた事に由来して「チシャ夫人」と呼ぶようになった。ラインハルトはチシャが苦手であり、キルヒアイスの台詞に「嫌な例えをするなぁ」と顔をしかめていた。
ミンチメーカー[]装甲擲弾兵総監オフレッサー上級大将に対する呼称。その獰猛ともいえる勇猛さから同盟軍からこう呼ばれ恐れられている。
白狐[]ヨッフェン・フォン・レムシャイドの異名。「フェザーンの黒狐」アドリアン・ルビンスキーに対してこう呼ばれる。
糾弾者ミュンツァー[]正確には「弾劾者ミュンツァー」。
弾劾者ミュンツァー[]マクシミリアン・ヨーゼフ2世の統治下で司法尚書を務めたミュンツァーの異名。ダゴン星域会戦の直後、帝国軍中将の時に、十年来不仲(理由は不明)であったインゴルシュタットが同会戦でヘルベルト大公の補佐を務め、敗北して責任を問われた。この時、被告と不仲なので被告に不利な証言を期待して被告弁護人に指名されたが、指名した側の意図に反して冤罪を主張。これによって上層部から忌避され辺境に追いやられ、事実上の流刑にされた。だが6年後、マクシミリアン・ヨーゼフ2世が即位すると、その慧眼を評価されて中央に呼び戻され、司法尚書に任じられた。
ひなたぼっこ提督[]リヒャルト・フォン・グリンメルスハウゼンに対するいわば蔑称。「居眠り子爵」とも呼ばれた。
痴愚帝[]ゴールデンバウム王朝第7代皇帝ジギスムント2世に対する呼称。放蕩と贅沢の限りを尽くし、金目当てで徴税権を売り飛ばす暴挙まで行なった。
なお、長征1万光年が始まったのは彼の治世のころ。
後宮の凡君、国政の名君[]ゴールデンバウム王朝第9代皇帝アウグスト1世に対する呼称。統治者としては有能だったが、私生活では別人のようにだらしなく、長い髪の女性を愛するあまり寝室に髪の毛を敷き詰めてその上を転げまわったり、病死した寵妃の髪を泣きながら食べたりした。
流血帝[]ゴールデンバウム王朝第14代皇帝アウグスト2世に対する呼称。シリアルキラー特有の凝ったやり方で、己の生母と兄弟たちを筆頭に大量虐殺を展開した。犠牲者の総数は600万人とも2億人とも言われている。
止血帝[]ゴールデンバウム王朝第15代皇帝エーリッヒ2世に対する呼称。「流血帝」アウグスト2世の暴政を打倒し、その悪弊を取り除いた事に由来する。
敗軍帝[]ゴールデンバウム王朝第20代皇帝フリードリヒ3世に対する呼称。彼の治世下で存在が明らかになった自由惑星同盟に対する討伐軍が、ダゴン星域会戦で大敗した事に由来する。
百日帝[]ゴールデンバウム王朝第22代皇帝グスタフ1世に対する呼称。生まれつき病弱で、即位後100日ほどで毒殺された事に由来する。
晴眼帝[]ゴールデンバウム王朝第23代皇帝マクシミリアン・ヨーゼフ2世に対する呼称。毒殺未遂の影響で失明するが、父フリードリヒ3世没後の混乱を建て直し、王朝中興の祖とたたえられる。
亡命帝[]ゴールデンバウム王朝第27代皇帝マンフレート2世に対する呼称。暗殺を恐れ幼年期を同盟で過ごしたことに由来する。同盟との平和共存を望むが利権を失うことを恐れたフェザーンの手で暗殺される。
強精帝[]ゴールデンバウム王朝第33代皇帝オトフリート4世に対する呼称。彼は1万人以上の愛人を抱えて624人の庶子をもうけ、多くの貴族たちに養子や政略結婚を押し付けては結納金を巻き上げて閉口させた。
フェザーン自治領5代目領主であるルビンスキーに対する呼称。対して「白狐」とはヨッフェン・フォン・レムシャイドの事である。
地球の支配体制を打倒したシリウス政府の立役者パルムグレン、タウンゼント、フランクール、チャオの4人をこう呼ぶ。4人全員がラグラン・シティー事件における地球軍の悪行の被害者であり、地球政府打倒を決意した契機となった事にちなむ。
しかし、地球政府を打倒した途端に、まとめ役だったパルムグレンが積年の無理がたたって病死、まとめ役を失ったタウンゼントとフランクールは内ゲバを始め、フランクールを粛清したタウンゼントは引退して音楽教師になっていたチャオまで「急死」させるが、何者かに暗殺されてしまう(チャオの甥フォンの仇討ち説あり)。
地球軍三提督[]経験と理論を兼ね備えた地球軍の3人の名提督、コリンズ、シャトルフ、ヴィネッティの3人のこと。ラグラングループのチャオ・ユイルンの策謀により共倒れさせられる。彼ら亡き後の地球軍は、もはや装備が立派なだけの烏合の衆でしかなく、フランクールの用兵によって83回にわたって連敗して滅亡した。
作品中に登場する組織、および政府機関・軍隊内の役職について、帝国・同盟別に固有的な物を挙げる。
西暦25世紀になって宇宙開拓が本格的に開始された事で、主としてその治安を維持する事を目的とした「宇宙省航路局航行安全部」が発足し、その後80年かけて「宇宙省保安局」→「宇宙警備隊」→「宇宙軍」となった。なお、本編における銀河帝国軍および自由惑星同盟軍にはこの名称は存在せず「軍」=「宇宙軍」という認識であるようだ(専用の惑星上の陸上戦力は存在せず、宇宙要塞や宇宙艦を接舷しての白兵戦闘を兼務している。原作小説においては、惑星カプチェランカの戦闘では「大気圏内戦闘機」が登場するがアニメ版では割愛されて、同じ場面に宇宙戦闘機であるワルキューレが登場している。海軍戦力は記述が存在しない)。
宇宙省[]西暦の頃の地球統一政府において、航路/資源/通信/管理/学術/探査など、宇宙に関するありとあらゆる問題を担当していた。西暦2360年、アントネル・ヤノーシュ博士を長とする宇宙省技術陣がワープを実用化させている。
国家革新同盟[]宇宙暦296年、政界に転じたルドルフ・フォン・ゴールデンバウムが若手の政治家達を集めて結成した政治グループ。
銀河帝国の軍務省の長官。軍事行政上の責任者。同盟では国防委員長がこれに相当すると考えられるが、帝国では元帥の階級を持つ軍人の職となっている(具体的記述は無いが、それ以外の者が就任した例は無い)。
国務尚書[]銀河帝国の尚書(大臣)のひとつ。帝国宰相を設置しない場合は主席閣僚。旧体制下ではフリードリヒ4世治下のリヒテンラーデ、ローエングラム王朝ではマリーンドルフ伯が務めている事で知られている。また、マリーンドルフ伯は後任としてミッターマイヤーを指名しているが、本編終了までに受諾したという記述は無い。
宰相[]銀河帝国における官吏の最高位。オトフリート三世が皇太子時代帝国軍三長官兼帝国宰相であった事から臣下が皇帝の先例に習う事を避け、以後国務尚書が帝国宰相代理となっていたが、物語本編中でリヒテンラーデがエルウィン・ヨーゼフ2世擁立時からリップシュタット戦役終了時に失脚するまで務め、その後はラインハルトが皇帝に即位するまで務めた。ローエングラム王朝になってからは本編終了まで宰相が置かれず、皇帝親政としてラインハルト自身が行政の最終的な決定を行った。
尚書[]銀河帝国における閣僚。作中でも一度「尚書=大臣」と解説がなされている。本来の尚書とは古代中国において行政を司る閣僚の名前であり、秘書の意味である。皇帝の権力が強い場合においては、閣僚は単なる政務秘書に過ぎないという訳である。英国においての大臣の古い呼び名、米国においての長官を表す「Secretary」と同様の概念である。
ゴールデンバウム王朝では国務・軍務・財務・内務・司法・学芸・宮内・典礼の各省に尚書が置かれた。ローエングラム王朝では典礼省を廃止し、民政・工部の両省が新設されたため、尚書は9人となっている。
新領土総督[]自由惑星同盟滅亡後の銀河帝国において、皇帝を代行して旧同盟領を支配する役目を負う。旧同盟領における行政権と軍権を持ち、皇帝に継ぐ権力を持つ。ただし初代総督のロイエンタールが叛乱を起こした後は設置されなかった。叛乱が収束直後はワーレンがハイネセンに駐留し、一時的に軍を指揮統率している。
統帥本部[]帝国の軍令(戦略)を司る機関。同盟の統合作戦本部に相当するが、政治体制が異なる為、厳密には細かな差異が存在する。ヘーシュリッヒ・エンチェンの同盟領単艦潜入の際に登場したベンドリング少佐はここから派遣されている。現実世界でいう所のナチスドイツ国防軍最高司令部のような存在。
統帥本部作戦課[]帝国の統帥本部に所属。いくつかのセクションに別れており、ヘーシュリッヒ・エンチェンの同盟領単艦潜入をラインハルトに命じたアーベントロート少将は3課に所属していた。
統帥本部総長[]帝国軍の職責。軍政の長たる軍務尚書に次ぐ重職とされる(旧日本軍における参謀総長(陸軍)、軍令部総長(海軍)に相当するが、これらの上司が天皇唯一人であって軍政の長たる陸軍大臣、海軍大臣とは対等な関係にあったのと異なることに注意)。皇帝の統帥権を代行し、国内軍総司令官として帝国軍実戦部隊を統括し「戦略」に関する意思決定権を有する。皇帝親征の際には主席幕僚として補佐。同盟軍では統合作戦本部長がほぼこれに相当する。ただしローエングラム王朝では皇帝親征が常態化し、主席幕僚としての職務が常態になってしまった。ゆえにローエングラム王朝の初代統帥本部総長であるオスカー・フォン・ロイエンタールなどは、回廊の戦いに際して「戦術」に関する機雷突破の方法を考案/上申するような役回りも行う状態であり(後の本人の台詞から、本来は「宇宙艦隊の平参謀」が行う仕事である事がわかる)、本来の統帥本部総長としての役割を行う必要も無かった様子である。そのため後に統帥本部総長は、ロイエンタールの新領土(ノイエ・ラント)総督就任に伴い皇帝が兼ねる事となる。
内国安全保障局[]ローエングラム王朝になって廃止された社会秩序維持局に代り設立された政治犯/思想犯の取り締まり機関。初代局長はハイドリッヒ・ラング。
幼年学校[]帝国軍隊傘下の教育機関。10歳で入学し、15歳で卒業/修了する。修了すると、通常は准尉の階級で任官する(ただしラインハルトの場合は特別扱いとして少尉の階級で任官した)。また、ラインハルトの従卒であるエミールや、ロイエンタールの従卒を務めた後ミッターマイヤーの被保護者となったハインリッヒ・ランベルツなどの様に、在学中に実技研修として将官級の軍人の従卒を務める事がある。
社会秩序維持局[]帝国暦10年、ゴールデンバウム王朝で設立された政治機関。主に政治犯や思想犯などを取り締まった。初代局長はエルンスト・ファルストロングで、死刑ゼロ、死刑以外の方法で殺害されたり廃人にされた者約40億人という記録が残っている。最後の局長はハイドリッヒ・ラング。
帝国軍三長官[]帝国軍の軍部の要職である軍務尚書(軍政を担当)、統帥本部総長(軍令を担当)、宇宙艦隊司令長官(宇宙艦隊の指揮/兵力の運用を担当)の三者を指す。ラインハルトはリップシュタット戦役に先立ち三長官職を兼任し「帝国軍最高司令官」を名乗っている。
現実世界の旧日本海軍で言えば、三長官に相当するのは海軍大臣・軍令部総長・連合艦隊司令長官の三者。
憲兵隊[]銀河帝国の憲兵隊。軍内部の規律と秩序の維持だけでなく、国事犯や大逆犯などの軍外部の重大犯罪の捜査や摘発も行っている。
ゴールデンバウム王朝末期には他の組織と同様に腐敗が深刻化していたが、ラインハルトが帝国宰相となった後に憲兵総監に抜擢されたウルリッヒ・ケスラーによって腐敗は一掃され、優秀な治安維持組織となった。ラインハルトが銀河帝国皇帝に即位して以降は、地球教徒を筆頭とする、謀略とテロによって新銀河帝国の法秩序と安寧を乱す「帝国内部の敵」との戦いに奔走した。
専制国家の治安維持機構の必然ゆえか、容疑者の人権より法秩序の維持と犯罪の摘発・全貌解明を優先する傾向があり、必要とあれば容疑者に対する拷問や自白剤の使用も辞さないが、本編中でこれらを使用されたのは地球教徒のみである。内国安全保障局と任務が重複している部分があるが、そのすみわけについては不明。
なお、憲兵隊を軍外部の治安維持と犯罪捜査に従事させることは、現実世界でも珍しくない(国家憲兵)。
親衛隊[]リップシュタット戦役後に新たに編成された、ラインハルト・フォン・ローエングラムの身辺警護を行う部隊で、本編中では一貫してギュンター・キスリング(旧帝国時代は大佐、新帝国成立後は准将)が親衛隊長を務めている。
アニメ版における親衛隊の制服は、旧帝国時代は一般将兵の軍服と変わりのないものであったが、新帝国成立後は一般将兵の軍服に比べて上着の裾が長い親衛隊専用の軍服(階級章や配色は一般将兵用軍服と同じ)とギャリソンキャップを着用している。
皇帝に即位して以降はそのまま新帝国の皇帝の警護を行う近衛部隊としての役割を担うようになった。常にラインハルトのそばにあり親征時は旗艦ブリュンヒルトに同乗する上に人員数はそれほど多くないので、アンネローゼや結婚後のヒルダら皇族の警護は、専ら憲兵隊が担当している。
自由惑星同盟における行政庁の呼び名。国務・国防・財政・法秩序・天然資源・人的資源・経済開発・地域社会開発・情報交通の各委員会がある。
委員長[]自由惑星同盟における行政庁の長の呼び名。国防委員長など。委員長は同時に最高評議会の評議員を兼務し、国務委員長は最高評議会の副議長を、情報通信委員長は政府スポークスマンをかねる。各委員長と国家元首たる最高評議会議長とは兼務が禁じられている(ただし議長代理として暫定的に兼務することは可能)。
エドワーズ委員会[]行政庁における「委員会」とは関係無い、民間団体である。ジェシカ・エドワーズの死後にその遺志を継ぐ人々によって設立された反戦運動団体であったが、憂国騎士団及び同盟政府の弾圧を受ける。
救国軍事会議[]宇宙暦797年4月13日に決起したクーデター組織の自称。議長はドワイト・グリーンヒル大将。広報はエベンス大佐。参加者は情報部長のブロンズ中将や第11艦隊司令官のルグランジュ中将など。ドーリア星域会戦で第11艦隊が壊滅し、「スタジアムの虐殺」で人心を失った挙句、8月にヤン艦隊にアルテミスの首飾りを破壊されて崩壊した。
後方勤務本部[]同盟軍の補給/補充を担当する機関。統合作戦本部近くのビルに存在する。
国防委員会[]同盟の軍政を司る機関で、帝国の軍務省に相当する。その長は「国防委員長」で、文民政治家(退役軍人を含む)のみがなれ、制服軍人はなれない(という具体的記述は作中には無いが、作中で委員長職にあったのは文民のみである。またウォリス・ウォーリックは退役後にこの地位に就いている)。下部に統合作戦本部・後方勤務本部・技術科学本部の3組織と防衛・査閲・経理・情報・人事・装備・教育・施設・衛生・通信・戦略の各部局がある。各部の部長は現役軍人であれば中将もしくは大将がその任に当たる。例えばドワイト・グリーンヒル大将はアムリッツア会戦の敗戦責任により国防委員会査閲部長に左遷させられた。また委員長の下には委員がおり、若手議員だった頃のトリューニヒトは、同時に国防委員であった為、制服軍人・議員双方から国防委員が選ばれていたことがわかる。
最高評議会[]自由惑星同盟の行政上の意思決定を司る機関。議長を頂点とし、副議長兼国務委員長、書記と8名の委員長の計11名が評議員を構成する。最高評議会議長は同盟の元首とされる。評議員は「○○委員長」と呼称されており、前述の国防委員会と国防委員長の関係から、その他の評議員・委員長も、省庁に相当する委員会の長であり、最高評議会は内閣に相当すると考えられる。意思決定は多数決によって行なわれており(銀河帝国侵攻の決定時)、その点はいわゆる内閣とはシステムが異なる。最高評議会ビルはハイネセンポリス内にあったが、新帝国暦3年6月に発生した「ルビンスキーの火祭り」で崩壊した。
最高評議会議長[]自由惑星同盟における元首。ラグナロック作戦における惑星ハイネセン侵攻時には、この時に議長の任にあるヨブ・トリューニヒトが「戦争終結の決定を下す責任と資格が自分にある」と発言している。(上述の通り、同盟軍の帝国領侵攻の決定は最高評議会の多数決によってなされており、どの事柄が多数決決定事項で、どれが議長の専決事項かは不明)。
首相[]銀河帝国正統政府における閣僚の最高位。日本語では「宰相」は近世以前の呼称で、「首相」は近世以後の呼称と区別されており、これを踏襲した場合、正統政府は立憲君主体制となる。ただし銀河帝国公用語ではどう表記・区別されているかは説明されていない(銀河帝国公用語の元となったと思われるドイツ語では、ドイツ帝国宰相・ヴァイマル共和政時代の首相はReichskanzler、ドイツ連邦共和国の首相である「連邦首相」はBundeskanzler、ドイツ民主共和国の首相である「閣僚評議会議長」はVorsitzende des Ministerratesである)。
または自由惑星同盟における、星系政府の長。外伝「ダゴン星域会戦記」に「バンプール星系首相:ヤングブラッド」が登場するが、当時の自由惑星同盟各星系に首相が存在するかどうか、本編開始後の自由惑星同盟にもこの役職が存在するかどうかは不明。
銀河連邦においては、国家元首と首相の双方が存在し、両者は不文律で兼任が禁止されていた。ただしこれを成文法にしなかった為、ルドルフ・フォン・ゴールデンバウムは兼任が可能となった。現実の民主国家においても、アメリカ大統領のような元首と政府の長の兼任は珍しく、権威と権力は分離されている例が多い。
シリウス戦役終結後のシリウス星系政府においては、ウィンスロー・ケネス・タウンゼントが首相に就任している。ただしその記述が登場するのはカーレ・パルムグレンの死後であるため、生前のパルムグレンの地位については不明。
専科学校[]同盟における兵卒養成学校。エコニア捕虜収容所のコステア所長は16歳で卒業して一兵卒として任官した。
また、ワルター・フォン・シェーンコップも同盟軍士官学校の校風を嫌って入校し、ここで陸戦要員としての教育を受け18歳で卒業すると、伍長として任官している。
統合作戦本部[]同盟の軍令を司る機関。帝国の統帥本部に相当するが、政治体制が異なる為、厳密には細かな差異が存在する。本部ビルは地上55階/地下80階。ハイネセン・ポリスの中心部から100km離れた軍事中枢地区にあったが、宇宙暦799年/帝国暦490年5月5日、ハイネセン政府に全面講和を要求したミッターマイヤーにより、「余興」として極低周波ミサイルで攻撃され、地上部分が完全破壊された。
統合作戦本部長[]同盟軍における軍部のトップ。ナンバー2は宇宙艦隊司令長官で、その次に統合作戦本部次長となる。同盟軍の最高司令官は最高評議会議長であり、その下で国防委員長が軍政を、統合作戦本部長が軍令を担当する。統合作戦本部長は、戦時における最高司令官代理の称号を有することとされている。現実世界における統合幕僚長(日本の自衛隊)や、アメリカ統合参謀本部議長(アメリカ軍)のような位置づけ。
憂国騎士団[]同盟に存在する国家主義者の集団であり、反国家的及び反戦的な言動を暴力によって弾圧している。その行動自体は非合法であるが、背後でトリューニヒトや同盟政府内の主戦論者とつながりがあるため、官憲に摘発される事はあまり無く(ヤンの家が襲撃された後、駆けつけた警官は憂国騎士団を擁護する発言を述べている。また、OVA版ではトリューニヒトの私兵集団である事が明確に描写されていた。救国軍事会議のクーデター以後はエドワーズ委員会の弾圧に非公式ながら警察が協力さえしている)。また、構成員に多数の地球教徒が入団しているなど地球教団とも資金や人員の面で深いつながりがあり、これが後に彼らの命取りとなる。
バーラトの和約以後の活動は記述されていなかったが、OVA第76話におけるナレーションで「憂国騎士団の残党」と呼ばれていたことから、ハイネセンの大火までに多くの団員が離脱したと思われる。回廊の戦い直前に発生したハイネセンの大火の際には、キュンメル事件を起こした地球教団との繋がりが問題視されたこともあってその犯人に仕立て上げられた挙句、帝国憲兵隊による容赦の無い弾圧に晒され関係者約24,600人の内1,000人が逃亡し5,200人が射殺され、残りが逮捕されている(アニメ版では、その際に拠点である建物の電光掲示板に「Kaiser Go Home」というスローガンを映してのアピールが行われている)。
物語内で憂国騎士団に殺害された人物としてジェームス・ソーンダイクが挙げられる。その直前ジェームス・ソーンダイク候補派の運動員も襲撃され負傷した(両者ともアニメ版のみ)。また殺害には至らなかったが、狙われた人物として、式典でトリューニヒトを非難したジェシカ・エドワーズ、彼女をかばったヤン・ウェンリー、査問会に呼び出しを受けたヤンを解放しようとしたフレデリカ・グリーンヒルなどがいる。
有害図書愛好会[]ヤンやアッテンボローが学生時代に士官学校で設立した地下組織。体制批判などが書かれ学校内で読むことが禁じられた「有害図書」の入手や隠匿、回し読みを行ったほか、風紀委員との抗争を繰り広げた。
詳細は軍隊における階級呼称一覧を参照
元帥帝国軍の階級の最上級。単に上級大将より1階級高いだけでなく、終身年金が付いたり反逆罪以外で処罰されないなど優遇されており、帝国内の権威は高い(例えば上級大将だった当時のブラウンシュヴァイク公は、門閥貴族筆頭でありながらも、エーレンベルク元帥に礼節上の譲歩をせざるを得なかった)。地位は元帥杖によって誇示され、軍服にマント(色は個人の希望に合わせられると思われる)と飾緒が付く(漫画版では上級大将からマントが付く)。一方同盟では大将より一階級高いだけで軍部最高幹部が大将である事もあって帝国ほど優遇はされていない。帝国同様に飾緒が付くが、ビュコックとヤンは付けなかった。現実の軍隊では、元帥の一階級上位に帝国(国家)元帥、大元帥(ナチスドイツのヘルマン・ゲーリング帝国元帥(国家元帥とも)、大日本帝国軍の大元帥たる天皇など)、あるいは元帥の一階級下に次帥が存在するなど、元帥の中に複数階級が存在する例もあるが、銀河帝国(ゴールデンバウム朝)・同盟にはそのような例はなく、元帥は一階級のみである。ローエングラム朝ではラインハルト崩御後にミッターマイヤーが「首席元帥」に任じられることになっているが、通常の元帥とは別の階級なのか一種の名誉称号なのかは不明。帝国軍の場合には帝国元帥という言葉も時折見られるが、いわゆる元帥と同じであり、単に「銀河帝国の元帥」という意味のようである。また銀河帝国軍には皇帝専用の軍服も存在し、皇帝である事がすなわち軍の最上位という扱いであり、皇帝のための階級が存在しないようである。将官帝国軍の将官クラスには元帥と大将の間に上級大将があり、以下中将、少将に常設の准将があり、将官が5階級。同盟軍は元帥の下は大将で、以下中将、少将、常設の准将と4階級。現実の軍隊では将官は4階級までが通例となっており、上級大将と准将は同時には存在しない。佐官帝国・同盟ともに大佐・中佐・少佐の3階級。ブリュンヒルト艦長ザイドリッツ准将を除けば、帝国同盟共に艦長・副長クラスを佐官が勤める。参謀や小部隊の司令クラスも佐官が多い。帝国軍・同盟軍共に1個艦隊を構成する艦艇の数が1万~1万5千隻と極端に多いためか、ダスティ・アッテンボローは少佐で駆逐艦艦長になった折「艦長はお飾り」とぼやくなど、作戦行動における艦長の権限が小さいことが窺える。同盟軍では65歳が定年であるが、この年齢で佐官であるのは、一兵卒からの叩き上げであるようだ。二階級特進[]帝国では戦死高級士官に二階級特進が適用された例はなく、大将で戦死したカール・グスタフ・ケンプは上級大将特進に留まった。一方生者ではジークフリード・キルヒアイスは大佐から少将、中将から上級大将に、パウル・フォン・オーベルシュタインは准将から中将に、中将から上級大将に2度2階級を一気に上がっている。
同盟では「生者に二階級特進は無い」という不文律が存在する一方、アムリッツア会戦で戦死した高級士官ウランフ、ボロディン両中将に元帥の二階級特進を与えており(アニメ版ではアップルトン中将やルフェーブル中将も戦死したが、原作では生死不明のためか特進に関しては言及されない)、生者の登用より死者の待遇に厚い軍隊であった。なお第二次ティアマト会戦で戦死したベルティーニ中将は、同じく戦死したアッシュビー大将(→元帥)を引き立たせるため、会戦直後に大将、6年後に元帥に叙されている。
幕僚総監[]ゴールデンバウム王朝の帝国ではクラーゼン元帥が就いていたが閑職・名誉職の類で、リップシュタット戦役に先立つ収監の際見向きもされなかった。ローエングラム王朝の帝国では初め設置されなかったが、ロイエンタールの異動と統帥本部総長の座をラインハルトが兼任した事から皇帝の軍令を補佐する実務的な役として設置。皇帝の親征時には主席幕僚を勤める。初代はシュタインメッツ上級大将で、戦死後はヒルダが中将待遇で就任。ヒルダが皇妃になると、メックリンガー上級大将が就任した。
同盟では統合作戦本部に位置し、クブルスリー統合作戦本部長がヤン・ウェンリー大将の新任務候補に挙げた事がある。ヤンは結局イゼルローン方面軍の司令官に決定した為、誰がこの職に就いたかは不明。
宇宙艦隊司令長官[]実戦部隊の中心である宇宙艦隊の全てを束ねる長。「戦術」面における意思決定権を有する。帝国軍と同盟軍双方に存在する。帝国では元帥、同盟では元帥ないし大将が就任する。遠征時には遠征軍総司令官を兼ね、旗艦に搭乗して陣頭指揮を取る。帝国では一時的に副司令長官が定められた。
帝国と同盟では若干職務に違いがあり、帝国では自らも一個艦隊を直卒するが、同盟には艦隊司令長官直卒の艦隊は存在しない(司令長官が一個艦隊の司令官職を兼務した例はある)。それでも同盟軍でも、一応宇宙艦隊司令部所属の宇宙戦闘艦は存在する(ただし数は不明)ようであり、ビュコックなどはそういった戦闘艦まで吐き出して力戦する事もあった。アッシュビーのように自ら前線での戦闘に参加するため、配下の艦隊司令官に一部の艦艇を司令部に差し出すように命令して顰蹙を買ったり、逆にロボスのように直接戦闘に参加せず後方で指揮をしようと試みて失敗することがあった。
艦隊司令官[]1個宇宙艦隊の長、戦闘艦艇1万~1万5千隻を指揮する。同盟では中将がその任にあたるが、帝国ではそれ以上の階級の場合もある。ナンバー2は艦隊副司令官で少将以上。幕僚の数の例として帝国グリンメルスハウゼン中将の艦隊は参謀長他少将が4名、ラインハルト以下准将が14名であった。なお自由惑星同盟滅亡後の銀河帝国では軍縮、あるいは組織改革が行われた様子で、戦闘艦艇1万〜1万5千隻を指揮する艦隊司令官は上級大将に限られ、大将以下は1万隻未満に削減されている様子である。
宇宙艦隊司令本部[]または「宇宙艦隊司令部」。宇宙艦隊司令長官をトップとして戦闘作戦の立案及び艦隊の運用等を行う機関、或いはその機関がある建物。帝国/同盟の双方に存在。同盟では、ヤンが査問会に出席している(させられている)時、ベイと会った後のフレデリカがマシュンゴを伴ってビュコックに面会に訪れている。帝国では、叛乱を起こしたロイエンタールからの通信文を読んだミッターマイヤーが、フェザーンに帰着後、その足で仮庁舎に赴いている。
士官学校[]帝国と同盟の両方に存在する軍隊の傘下教育機関。通常は15歳で一般過程の学業を修了した者が、16歳から20歳までの5年間に軍隊の士官になる為の教育を受ける。通常は卒業すると少尉の階級で任官する。同盟では軍人に準じた扱いであるため、授業料や寄宿舎の費用などは一切無料だが、任官しなかったり何らかの理由で中途退学した場合、それまでかかった費用を全て返還しなければならない(現実世界でも日本の防衛医科大学校のように同様の制度は見られる。帝国の場合は不明)。同盟側の士官学校校長経験者にシトレ元帥がいるが、校長時の階級は中将になっているので中将クラスが校長と思われる。高級指揮官・参謀を養成する、海軍大学校にあたる高等教育機関は登場しない。
弁務官[]または高等弁務官。本物語世界では、外交関係が存在する相手国家の領土に駐在し、外交/国家間の交渉を行う府の代表として存在する。ただし帝国/同盟/フェザーンでそれぞれ立場や権限が異なる(現実に存在する「高等弁務官」はいろいろな意味があり共通性は無い)。フェザーンは帝国内の自治領であり、帝国とは国交という概念が存在しない。また銀河帝国は全人類を統一する唯一の国家であるとしており、同盟を「自由惑星同盟を僭称する叛徒ども」として国家とは認めていないため、帝国の自治領であるフェザーンも同盟と国交を結べず、弁務官を使用していると思われる。
宇宙空間を航行する艦艇によって構成される艦隊。銀河英雄伝説世界においては、銀河帝国軍・自由惑星同盟ともに、国家の宇宙戦力の総体を宇宙艦隊と称し、宇宙艦隊司令長官に統括されている(「艦隊」については下記参照)。
原作当初は自由惑星同盟においては12個艦隊、ゴールデンバウム朝銀河帝国においては18個艦隊が定数とされており、帝国軍の艦隊は「○○艦隊」と指揮する提督の姓で呼ばれる。原作2巻以降の総艦隊数は不明である。
帝国・同盟共に宇宙艦隊司令長官の指揮に属さない艦隊・兵力が存在する。リップシュタット戦役の折、貴族連合軍は貴族の私兵と正規兵のうちラインハルトに従う事をよしとしない勢力併せて2560万人の兵力が存在し、途中リッテンハイム侯爵が率いた全体の三割に当たる艦艇が5万隻とあり、宇宙艦隊数個艦隊に匹敵する戦力が帝国領に存在していることになる。同盟もヤンが中尉時代にエル・ファシルの駐在部隊幕僚勤務になった折、リンチ少将は1,000隻前後の艦艇を率い、第8次イゼルローン攻防戦においてはヤンが軍中央の艦隊に所属していない治安・警備の艦隊5,500隻を臨時に率いるなど、各星系にそれなりの艦艇が存在していた。第一次ランテマリオ会戦に先立つ再編成では新造艦・解体寸前艦と併せた2万隻を集約し、第14・15艦隊として宇宙艦隊に組み込んでいる。
戦艦(旗艦級戦艦、標準型戦艦、高速戦艦)、宇宙母艦、巡航艦、駆逐艦などが存在する。詳細は銀河英雄伝説の登場艦船を参照。
集団戦における戦法のひとつ。通常は、特定の戦闘集団の中の一部が孤立している状態を狙って、より大きな兵力で集中的に攻撃し、殲滅或いは兵力の低下を企図するもの。これを有効に運用した場合、敵軍の総兵力が自軍より勝っていても勝利する事が可能となる。ただしこの為には、自軍の戦力を集中させそれを高速で移動する能力が、部隊と司令官の両方に必要であるとされている。これの典型例がアスターテ会戦におけるラインハルトの戦法であり、ラインハルトが指揮する艦隊2万隻が、総兵力4万隻でありながら3方に分散して各1万5千隻以下となった同盟軍を撃滅寸前まで追い込んだ事で、この戦法の有効性が実証されている。歴史上、ナポレオンのイタリア遠征などで使われた戦法である。日本では日露戦争にて、欧州と東洋に二分していたロシア海軍を日本海軍が各個に撃破した例がある。
いわゆる現代の辞書的な意味では「軍艦2隻以上の集団を指す」とされるが、『銀河英雄伝説』世界の艦隊は、銀河帝国・自由惑星同盟ともに1万隻から1万5000隻前後の宇宙戦闘艦の集団が(一個)艦隊と称される。数千隻単位の分艦隊を内包する。艦隊の司令官は中将以上の将官が充てられる。
自由惑星同盟の場合は大将以上の将官を艦隊司令に充てる事はまず無いが、例外もいくつか存在する。
編成当初の自由惑星同盟軍第13艦隊司令官ヤン・ウェンリーの階級は少将であったが、艦艇数も標準的な宇宙艦隊の約半数である6,400隻であったため「半個艦隊」と俗称された。
イゼルローン駐留艦隊(ヤン艦隊)の司令官に就任した際のヤンの階級は大将であったが、こちらはイゼルローン要塞司令官との兼任である。
銀河帝国では大将以上の将官の任命例も多いが、これは上級大将の階級が存在し同盟より将官の階級が多い事と、ラインハルトの遠征により将官の昇進が相次いだのが原因と思われる。自由惑星同盟滅亡後の帝国軍では軍縮ないし組織改革が行われた様子で、大将以下が率いる艦隊では、艦の数は1万隻未満に削減されている様子である(帝国軍対イゼルローン革命軍による回廊の戦い(第11次イゼルローン攻防戦)においては、ワーレン上級大将が15,600隻の艦を率いているのに対し、ヴァーゲンザイル大将が率いるのは8,500隻である)。
スパルタニアンは同盟の単座式戦闘艇。ワルキューレとの性能比は一長一短で総合的には五分五分とみられるため、勝負は搭乗者次第である。ワルキューレと比べると機体が大きく、火力に優れる反面、運動性で劣ると設定されている。また、そのサイズや火力から雷撃艇や宇宙ミサイル艇に似た性質を持つとされ、同盟軍ではこれらの艦艇の代わりに運用されている。武装については、原作1巻ではウラン238弾を発射する機銃、3巻では中性子ビーム砲、8巻では中性子ビーム機銃など、記述が一定していない。また、対艦攻撃専用の兵装があるような描写はなく、肉薄しての接近攻撃を行っている。
「せいちゅうけん」と読む。この時代の宇宙戦において現代(20世紀後半から21世紀前半)の現実世界に存在する軍事用語の「制空権」(ただしその性質上地上や海上のように長期に渡り安定した優位の確保が困難な為『航空優勢』と呼ばれることもある)に相当する概念。艦隊戦では彼我の交戦距離が極めて大きい為究極的には、スパルタニアンやワルキューレといった単座戦闘艇、戦闘機を大量発進させ肉薄戦を行わない限り確保は困難である。現実の戦争で偵察衛星、それを駆逐するキラー衛星、そのキラー衛星を「狩る」のが任務のハンターキラー衛星、ミサイル防衛といったカテゴリが急速に発達してきた為(作品制作当時も含め)作者の造語とも完全には言い切れない。
カール・ゼッフル博士によって発明された。アニメ版の作中の人物の台詞では、「気体爆薬のようなもの」とされる(逆に言えば、気体爆薬そのものではないという事。少なくとも気体爆薬であれば、真空中でも大気中でも同じように使用する事は不可能)。一定量以上の熱エネルギーを受けると爆発する性質を持つ。そのため、主に屋内戦で火器が使われることを抑止する目的で使用される。
シャフト技術大将及び帝国の技術陣は、このゼッフル粒子を誘引するナノマシンを混ぜ、そのナノマシンを誘導することにより、任意の場所に移動させる事に成功した。これは「指向性ゼッフル粒子」と呼ばれ、艦隊及び部隊の航跡/進路に拘束されず、自由に粒子を展開させる事が可能となった。原作小説/OVA版ともに、帝国での公式見解では「実戦での初使用はアムリッツァ星域会戦」とされているが、OVA版ではそれ以前に「カストロプ動乱」と「奪還者」で使用されている。
正確な発火温度は不明だが(そもそも「発火」という化学現象かどうかも不明)、OVA外伝「奪還者」で兵士の一人が「レーザーやビーム砲くらいの温度でないと発火しない」と発言している。なお、この場面で使用されたゼッフル粒子は、艦船のエンジン噴射では発火せず、同盟艦の爆発(核融合炉爆発と推定)で発火した(そもそも作中に登場する艦船の推進原理が不明なので、エンジンから噴射されたものが一定以上の熱を持っているかどうかも不明)。また、幾つかのエピソードに登場する白兵戦での武器同士の接触による火花程度では、引火したシーンは存在しない。
惑星上戦闘で用いられる戦闘車両。現実世界では装甲車は戦車とは区別される存在であるが、作中におけるそれは特に戦車とは区別されず、現実世界における戦車的な車両も含めて装甲車と呼ばれている。惑星カプチェランカの戦闘においてラインハルトとキルヒアイスが搭乗した「機動装甲車」は、動輪はキャタピラ、主砲として全周旋回砲塔に120mmレールガン1門装備(副砲として車体前面に汎用荷電粒子ビームキャノン装備)の、まさしく現実での戦車に相当するものであった。水素電池により電気駆動するのも特色である。敵側である自由惑星同盟の装甲車も同様。ある程度の兵員の輸送能力もある様子で、現実世界のメルカバ戦車に似たコンセプトである。
OVA版の描写では、惑星カプチェランカの戦闘においては、自由惑星同盟側の装甲車搭乗員は装甲服を着用しているが、帝国側の搭乗員は装甲服を着用しておらず、その理由は不明。少なくとも銀河帝国側の運用では、装甲車には必ずしも装甲擲弾兵が搭乗する訳ではなく、銀河帝国の装甲擲弾兵は近現代のドイツ軍の装甲擲弾兵とは意味合いが異なるようである。
また双方共に8輪式の装輪装甲車も装備しており、OVA本編では専らこちらが使用されていた。同盟軍の装輪装甲車はM113装甲兵員輸送車に類似した形状をしており、武装については不明。帝国軍の装輪装甲車は機関銃ないし機関砲を装備しており、陸戦隊だけでなく憲兵隊にも配備されている。
そうこうてきだんへい。帝国軍陸戦隊で重装甲服を着用した歩兵。小火器程度ではまずダメージを受けない。装甲擲弾兵と同盟軍陸戦隊が戦う場合、ゼッフル粒子によって火器が使えず、炭素クリスタルでできた戦斧を使った白兵戦になることが多い。自由惑星同盟においても、特に名称は存在しないが、同様に重装甲服を着用した歩兵は存在する。
装甲擲弾兵とは、元々は近世(フリードリッヒ大王らの時代)のプロイセン王国に存在した、鎧を着こんで爆弾を投げる怪力の大男を集めた部隊であった。銀河帝国においてはおそらくこのプロイセンの伝統を継承したネーミングと思われ、近世の鎧に変わる装甲服を着た歩兵という意味合いと思われる(近現代のドイツ陸軍・オーストリア陸軍でもこの名称を継承しており、米陸軍でいう機械化歩兵(装甲車両に搭乗する歩兵。旧日本陸軍では機動歩兵がこれに相当する)を装甲擲弾兵と称している。銀河帝国の装甲擲弾兵も装甲車両に搭乗する例はあるが、常時ではない)。
帝国軍の重装甲服のデザインは、加藤直之が新書版6巻の表紙イラスト用に書き下ろしたものを流用しており、骸骨と甲冑の折衷を思わせる禍々しくも精強なデザインである(ただし、実は6巻の表紙イラストは、同盟軍重装甲服を身に付けたシェーンコップだとの事)。重量は大人が片手で持ち運べるほどに軽いと思われる(外伝「奪還者」においてラインハルトとワーレンの重装甲服が入ったケースを1人の兵士が運んできている)。一方同盟軍の重装甲服は、OVA版第2期に登場。フルフェイスヘルメットにごく普通の装甲宇宙服という、帝国軍と比べると地味なデザインである。エルファシル独立政府以降、若干のデザインが変更された。ただし、どちらの重装甲服ともトマホークを簡単に貫通させており、また、OVA『千億の星、千億の光』で惑星上交戦のシーンでは帝国軍の射撃で同盟軍装甲擲弾兵に光線らしきものが貫通しており、真空かそれに近い状態で人体を守ることは可能だが、打撃系に対する防御能力は皆無に等しいように見受けられる(ブラスター銃は防いでいたので、トマホークおよび陸戦用大型銃の破壊力が凶悪すぎるとも考えられる)。
一人乗りの小型宇宙戦闘艇。同盟軍のスパルタニアンや帝国軍のワルキューレが該当する。艦隊決戦では接近戦の鍵を握るとされる。同盟軍においては対大型艦用と対戦闘艇用でそれぞれ専門の機種は存在せず、スパルタニアン一機種で双方の任務をこなしている。一方、帝国では戦闘艇ワルキューレの他に雷撃艇が存在する。
「トマホーク」と読む。装甲擲弾兵をはじめとする帝国/同盟双方の陸戦兵が使う武器のひとつで、刃の部分が「炭素クリスタル」という素材で出来ている。ゼッフル粒子を誘爆させる心配が無く、装甲擲弾兵などが着用している装甲服を(いとも簡単に)破砕して中の人間を殺傷出来る。なお、アニメ版では帝国軍が両刃式で同盟軍が片刃式。
長さ/重さは、帝国軍の片手持ち用標準サイズで85cm/6kg。ただしオフレッサー上級大将がレンテンベルク要塞で使用していた両手持ち用は150cm/9.5kg。
艦艇の一装備。プラスチック製の密閉式タンク内に水深30cmの濃塩水を入れたもの(アイソレーション・タンクのようなものか)で、タンク内で一時間浮かんでいると、心身のリフレッシュ効果が8時間の熟睡に匹敵するとされている。ただし艦艇でのみ使用され、民間で使用している描写が無い事、さらに回廊の戦い後など、戦闘後にタンク・ベッドではなく通常の睡眠を取っているシーンが多々存在することから、完全な睡眠の代替にはならないようである。
主に戦斧の刃の素材として用いられる物質。文字通りに解釈すれば炭素のクリスタル(結晶)とはダイヤモンドそのものであり、刃物状に形成した人工ダイヤモンドということになるが、作中では「ダイヤモンド並の硬度」と表現されている事から、ダイヤモンドとは別の物質であると思われる。現在の化学技術では、そのような大型の人工ダイヤモンドの製造は不可能である。そもそもダイヤモンドは、金槌で上から叩かれただけで粉々になるほど衝撃には脆い物質であり、強い衝撃がかかる打撃用武器の材質には不適格である。現実世界で「ダイヤモンド並の硬度」を持ち衝撃に耐える物質を探せば、立方晶窒化ホウ素が該当する。
一個艦隊より下位の宇宙戦闘艦の集団単位。数千隻の宇宙戦闘艦によって構成され、一個艦隊に内包される。分艦隊司令には准将以上の将官が充てられる。銀河英雄伝説世界の艦隊は1万隻以上の宇宙戦闘艦によって構成される大部隊であり、それゆえ艦隊戦力の一部を分散する事例もしばしば生じ、そのために分艦隊が必要とされる。
集団戦における戦法のひとつ。文字通り敵の周囲をぐるりと囲んで、敵を全て討ち果たす戦術である。史実においてはハンニバルがカンナエの戦いにおいて、数量的に劣勢であっても優勢な敵を包囲すれば、戦術的に優位に立てる事を実証している。作中ではダゴン星域会戦によって、圧倒的劣勢の同盟軍が帝国軍を包囲殲滅している。歴史上では包囲される側がまともに陣形を保てない事によって、あるいは包囲される側が完全に補給が断たれる事により、包囲する側が優位に立てるとされるが、銀河英雄伝説の世界においては、なぜ包囲する側はされる側より有利なのかの解説はなされていない。
なおこの戦術は、包囲する側が相互に連絡が取れる状態にあるのが大前提であり、連絡が絶たれた場合は包囲される側は内線の利によって有利になり、包囲する側は各個撃破の餌食となる。アスターテ会戦では同盟軍が帝国軍の2倍の戦力を持って包囲殲滅しようと戦力を分散したところ、ラインハルトによって各個撃破されている。
ヤンの場合は包囲殲滅と各個撃破をミックスして、敵を分断してその半数以上を包囲殲滅するという戦術を用いた事がある(ドーリア星域会戦・バーミリオン星域会戦)。
帝国の小型艦艇。駆逐艦と同程度の火力を持つがワープは不可能。同盟ではスパルタニアン自体がかなり大型でその代わりを務めるために存在しない。
ワルキューレは帝国の単座式戦闘艇。スパルタニアンとの性能比は一長一短で総合的には五分五分とみられるため、勝負は搭乗者次第である。スパルタニアンに比べると機体がやや小さく、小回りが利いて運動性が高いとされているが、その反面火力や装甲(即パイロットの生残性に直結する)では劣っているとされている。原作3巻では電磁砲(レール・キャノン)を装備していると描写されている。
略称は「SE」。作品中の基本的な暦。西暦2801年に銀河連邦が誕生した時、西暦を廃してこの年を宇宙暦1年とした。銀河帝国では帝国暦制定と共に廃止されたが、自由惑星同盟では建国時に復活している。
宇宙暦310年、ルドルフ・フォン・ゴールデンバウムが銀河帝国の樹立を宣言し、皇帝に即位した時に制定された暦。
帝国暦490年(宇宙暦799年)にローエングラム王朝が成立した時、帝国暦に代わって制定された暦。すなわちローエングラム王朝が成立した新帝国暦1年=帝国暦490年=宇宙暦799年=西暦3599年となる。
銀河連邦で使用されていた通貨単位。ラテン語。
銀河帝国で使われている通貨単位。旧帝国での公式通貨だったが、ローエングラム王朝成立後も引き続き使用された模様。なお、マルク(Mark)とはドイツで使われた旧公式通貨であり、本作品が執筆された時点でも使用されていた。現在ではユーロに変更されている。
帝国マルクが現在の地球の通貨に換算するとどの程度の価値かは特に説明されていないが、作品の中にいくつかの手がかりがある。例えばリップシュタット戦役終了間際のガイエスブルク要塞で、給料係が軍曹の階級の下士官に2,840帝国マルクを給料(月給と推定)として支払っている。
更には、司法省の下級官吏として奉職しているジークフリード・キルヒアイスの父親の年収が4万帝国マルク、という記述もある。
自由惑星同盟の通貨単位。なお、ディナール(dinar)とはバルカン半島、中近東、北アフリカなど、古代ローマ帝国の領域だった諸国で広く使われている貨幣単位である。湾岸協力会議(GCC)6カ国が、共通通貨として湾岸ディナールの採択を検討しているなど、現代においてドルに次いで広く使われている貨幣単位である(根源をたどると、ローマ帝国の銀貨ディナリウスに由来する)。
現在の地球の通貨に換算するとどの程度かは特に説明されていないが、作品の中にいくつかの手がかりがある。例えばイゼルローン要塞・イゼルローン駐留艦隊司令官を務めるヤン大将の給料が年間約15万ディナールである事が記述されている(査問会に向うレダIIの艦内でのゼノ艦長との会話)。また、捕虜収容所長を務めたコステア大佐が受け取るであろう退職金は約30万ディナールで、横領した金額は350〜360万ディナール。この金額が「小市民である少佐時代のヤンには想像しづらい金額」となっている。劇場版ではポプランたちがどちらが勝つか賭けをしているシーンでヤンが賭けた500ディナールという金額に一同が驚くシーンがある。
フェザーンで使われている通貨単位。銀河帝国での通貨単位であるマルクと同様の物かは不明。
現在の地球の通貨に換算するとどの程度かは特に説明されていないが、作品中にいくつかの手がかりがある。例えばユリアン・ミンツが表通りの衣料品店で購入したセーターの代金が90フェザーン・マルクである事が記述されている。
他の通貨との為替相場は特に記述されていないが、推定は可能。例えばユリアンが駐在武官としてフェザーンに赴く時、ヤンが餞別としてフェザーンの北極星銀行の預金カードを渡しているが、そこに入っている金額が、原作ではヤンの半年分の給料と説明されており、アニメ版では50万(フェザーン・マルクと推定)と表示されている。この時期のヤンの給料は半年で約7万5千ディナールであると推定可能である為、この数値を基に計算すると、1ディナール=6.66フェザーン・マルクという相場が算出される。
ルドルフが社会に導入しようと試みた新度量衡。自身の身長及び体重を新しい長さ、重さの単位にしようとしたが、当時の財務尚書であったクレーフェからコンピュータの測量基準からものさしの単位の変更・書換えにかかる膨大な経費予測の書類を提出された事により断念される。この事で地球産であるメートルとグラムの存在が消滅せずにすんだ。
なおこの件は、クレーフェが予測を水増しし、ルドルフの限度を知らぬ増長ぶりに一矢報いたのだといわれている。
銀河帝国内にて行われる調停方法の一つ。ただし、本来は争いは民事裁判で決着をつけるべきところなのだが、言いがかりをつけ、無理やり決闘を持ち込み、事態を解決させるのが大貴族の常套手段となっている。
決闘といっても相手を殺すまでやるのではなく、戦闘力がなくなった時点で決着がつく。相手を殺す、もしくは重傷を負わせた場合は勝っても醜い勝ち方として批判のそしりは免れない(もっとも、殺してしまった場合は罪に問われない)。また、代理人に決闘をさせるのが殆どであり(つまり、貴族自身が手を汚すことは無い)、決闘の代理人を職業としている人もいる。
決闘においては以下のルールが存在する。
以上のように、決闘はゲーム的、ショー的な要素が強い。また、観客はどちらが勝つか、賭けを行っている。
OVA版「決闘者」にて決闘の様子が描写されている。ラインハルトは決闘についてよく分かっていないまま、代理人になった。
原作小説の描写[]オスカー・フォン・ロイエンタールが、恋敵である3人の男から挑まれて行った。詳細は不明であるが、代理人は立てなかった様子である。名誉あるものとはみなされず私闘の類いであるとみなされ、双方ともに一階級降等処分となった。双方ともに帝国騎士だったから公平な処分になったのであり、一方が男爵以上の貴族で一方が平民だった場合は後者に厳罰が下されたであろうと言われる。これによりロイエンタールは1年後輩であるミッターマイヤーと階級が同じになり、以後二人は名コンビとなり、結果としてロイエンタールには好都合になった。
OVA版の決闘の作法は、現実のヨーロッパの決闘の作法をかなり参考にしているが、若干の差異もある。また、現代においてはほとんどの国において決闘は違法行為であり、日本も例外ではない。
詳細は決闘を参照
詳細は決闘罪ニ関スル件を参照
物語世界における公用語。小説およびアニメ上は(日本語版では)双方とも日本語でセリフを記述/発音しているが、物語内では銀河帝国と自由惑星同盟で違う言葉が公用語として用いられている。それが如何なる言語かは明確に記されていないが、帝国に関してはいくつかの単語について小説版ではドイツ語風のカタカナ表記でルビが振られ、或いは帝国に所属する人物及び帝国から亡命して来た人物や帝国領の星・帝国軍艦船などがドイツ風の名前を有していることから、ドイツ語を基本にした言語であると推定される。アニメにおいては本編で字幕の他僅かながら文字表記された帝国公用語が見られ(秘書であるヒルダが記した文章など)、帝国公用語はドイツ語を元にしているのはほぼ疑い無い。
これに対して同盟は、原作小説の描写からは、英語に相当するルビや発音が用いられている事(「ファイヤー(撃て)」など)から英語を基本にした言語であると推定される。アニメにおいては、同盟国歌の歌詞が英語になっているほか、作中で僅かながら文字表記された同盟公用語(ユリアンが見た歴史のビデオのテロップなど)が見られる。ただし固有名詞については、ヤン・ウェンリーや盤古(バン・グゥ)は中国語系、エドウィン・フィッシャーは英語系(ただし綴り違いによりドイツ語でも使用される姓名)、フョードル・パトリチェフやトリグラフはスラブ・ロシア語系、ヴィットリオ・ディ・ベルティーニはイタリア語系と幅広い。
なお、同じ田中芳樹のスペースオペラ作品である『タイタニア』では、英語を元に発音と表記を一致させた言語を公用語として用いていると描写されている。
帝国軍・同盟軍とも士官教育で敵国の言葉を教わっており、通訳なしで会話ができる(原作では、ワルター・フォン・シェーンコップが帝国軍人に対し同盟の言葉で発音したという描写がある。他にユリアンがラインハルトと帝国語で会話していたとする記述があるが、それら以外は深くは書かれていない)。
同盟においては、墓石に帝国語で銘を入れてもらうためには割増料金が必要。
フェザーンは帝国領ではあるが同時に同盟とも交易を持つため、少なくとも政治面及び交易商人は両国の公用語を使用可能である。また帝国本土とは異なり、ルビンスキー、ボリス・コーネフなどロシア語系の名前が多い。
物語中に登場する麻薬の一種で、化学合成によって製造される合成麻薬である。その中毒性は極めて強く、特に催奇性と催幻覚性が強いため社会問題にも発展。取締には帝国と同盟の刑事警察が秘密裏に協力した事もあるほどとされる。地球教はこの麻薬を用い信者を操っていた。
空間に投影された3次元映像を使って行うチェス。通常のチェスに「高さ」の概念が加わっているため、戦略/戦術がその分多岐に渡るとされている。
宇宙暦799年6月に制定された、ジークフリード・キルヒアイスの名を冠した勲章。作中で授章されたと明言されている者はファーレンハイト、シュタインメッツ、ミュラーの3名(ミュラー以外は戦死後の受章)。帝国軍人にとって最高の名誉とされる勲章であり、戦死者が受章した場合は葬儀費用及び墓碑の建造費は国庫から支出される。ただし墓碑に刻まれるのは姓名、階級、生没年月日のみである。なお、小説ではこの名が初めて出たときに「ジークフリード・キルヒアイス武勲賞」と誤記されている。
銀河帝国の貴族の階級を表し、上から大公、公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵、帝国騎士の順になる。「大公」は皇子のみに授与されているようである。銀河帝国はドイツ、プロイセンを模範としていると思われるが、本来のドイツ貴族には「侯爵」「子爵」が存在しない(子爵はフランスを起源とする貴族のみの爵位)。また辺境伯、宮中伯といったドイツに存在した爵位が銀河帝国には存在しない(ドイツでいう辺境伯が他国で言う侯爵とされており、銀河帝国の侯爵は実は辺境伯である可能性はある)。大公、公爵に相当するのは英語/独語表記では「Grand Duke/Grossherzog」「Prince/Fürst」「Duke/Herzog」であるが、英国ではprinceのほうがdukeより上位であり、ドイツではそれが逆になっており、和訳の際にも混乱が生じている(Fürstを侯爵と訳すといった例が見られる)。銀河帝国ではその点がどうなっているか(銀河帝国公用語の表記はどうなっているか)は不明である。一応、アニメ版の英語表記では、「大公」は「grand duke」とされている。一方で原作小説では、ラインハルトの息子は「アレク大公(プリンツ・アレク)」と表記されている(ただし銀河帝国語の元となったと思われるドイツ語では、皇子・王子を意味するPrinzは、爵位ではない。英語ではPrinceが王子に与えられる爵位になり、転じて王子を意味する語になったという経緯がある)。
ゴーデンバウム王朝では多くの功臣達が封ぜられたが、ローエングラム王朝、少なくともラインハルトの治世下では、叙爵者は皆無であった、開国最大の功臣であるミッターマイヤーにすら授与されず(この件に関してはミッターマイヤー自身受けるつもりがないことを彼一流のユーモアを交えて明言している)オーベルシュタイン、ロイエンタールといった爵位を保持している功臣が爵位を進められる事もなかった。
帝国騎士[]読み方は「ライヒスリッター」。帝国の貴族の中で、爵位を持たない下級貴族の代表的な身分。ラインハルトが「ローエングラム家」を継ぐ以前に名乗っていた「ミューゼル家」やロイエンタール家、ファーレンハイト家などがこれにあたる。
ロイエンタール家のように莫大な財をなす家もあるが、事業などの個人の才覚によるものであり、爵位にともなう経済的特権は存在しない。逆にアンネローゼを後宮に差し出す前のミューゼル家やファーレンハイト家のように、困窮している家もある。
フリードリヒ4世が、即位前に放蕩による借金に苦しんだ時は、以前であれば帝国騎士の称号と借金を引き換えにする方法もあったが、現在では帝国騎士の称号にそのような価値はなく不可能だという記述があり、時代ととも帝国騎士の称号の価値が下がっていたと思われる。
自由惑星同盟国歌。小説とアニメでは歌詞が異なる。アニメでの正式な曲名は「自由の旗、自由の民、レボリューション・オブ・ザ・ハート」。同盟国歌ではあるが、ヤン艦隊の、そして民主共和政体のイメージテーマとして、イゼルローン共和政府建国式典等、さまざまな場面で用いられた。
曲想は主として長調で構成され、高音域を多用した明るいメロディーで書かれており、ドヴォルザークやコープランドを彷彿とさせる庶民的、或いは非伝統的な雰囲気を持っている。「インターナショナル」のような革命歌・労働歌と似た雰囲気でもある。実際に作曲/編曲したのは風戸慎介。
アニメ(OVA版3話、86話などにおける合唱シーン)では、ファンが公開録音で吹き込んだ歌が用いられている。
国際問題及びそれに準ずる政治的問題の解決方法に戦争/武力制圧を優先する考え方。これを主張する人が「主戦論者」と呼ばれる。本作品の場合は、帝国と同盟が戦争状態にある事によって利益を得る事が出来る軍需産業と、それに後押しされた形で会戦/戦闘継続を主張する政治家/軍人を指す事が多いが、「戦いをたしなむ」と評されたラインハルトや一部軍人の様に、発想の段階でまず戦う事を考える人物も主戦論者と呼ばれる場合がある。また、広義において軍需産業の集合体とも言えるフェザーンが、帝国/同盟との勢力の均衡を取る為に戦争を必要としている事も、これに相当すると考える場合がある。
バスケットボールを進化させたと思われる球技。重力を0.15Gに制御したドームの中で行われる。少年時代のユリアン・ミンツがジュニア級で年間得点王の金メダルを獲得した。オリビエ・ポプランは、自称フライングボールの反則王。また、外伝では、ジークフリード・キルヒアイスが刺客に襲われて1対5でドームの中で戦うシーンがある。
「へんいせいげきしょうこうげんびょう」または「ヴァリアビリテートウ・フルミナント・コラーゲネ・クランクハイト」。皇帝ラインハルト・フォン・ローエングラムの死因となった病気の名前。膠原病とされているが、ラインハルトが発症した時点では原因不明の奇病であり、その名称もあくまで仮称とされている。症状は高熱、臓器の炎症及び出血、造血機能の低下、それに伴う貧血、痛み、体力の消耗、意識の混濁。後世「皇帝病(カイザーリッヒ・クランクハイト)」とも呼ばれた。
物語で何度か話題になっている、特定の産年表示を持つワイン。産地がどの星系のどの星なのかは不明。作中ではブラウンシュヴァイク公が服毒した際や、ラインハルトがヒルダと一夜を過ごす直前、即位式典におけるマリーンドルフ伯の発言、幕僚に地球討伐作戦の発案を促す時のワーレンの発言などに登場する。回廊の戦い直前におけるロイエンタールの発言から、446年ものは410年ものには及びもつかないが、友人であるミッターマイヤーをもてなす事は出来る程度のワインである事が伺える。シヴァ星域会戦に出陣するに際してラインハルトが諸提督に振舞ったワインは424年もの。なお、この産年表示は(旧)帝国暦のものであり、同盟内に流通するワインには宇宙暦で産年表示がされている。
帝国軍軍楽曲。新旧の別無く帝国の式典或いは何らかの儀式で演奏される。曲想は「長調」だが、同盟の曲に比べるとメロディーもリズムもやや重く、リヒャルト・ワーグナーを連想させる様な伝統や格式或いは壮麗さを有している。実際に作曲/編曲したのは風戸慎介。
惑星マスジットでヤンとパトリチェフとケーフェンヒラーが飲んだビールの銘柄。ケーフェンヒラーが「このあたりのローカル銘柄だろう」と言っていることから、少なくともエコニアまで流通していたものではないことが分かる。
既に人類の宇宙進出時代から、宗教の影響はかなり小さくなっている様子であり、特にキリスト教信仰については滅んでしまった事が作中でも述べられている。そのため自殺に対する罪悪感も無いようであり、帝国・同盟問わず敗将が自殺を行う例が多い。また銀河帝国では、自殺は死刑に処されるよりも名誉ある行為であるとみなされており、身分の高い者には死刑を科すのではなく自殺を命じる事が多い。
銀河帝国においては北欧神話が信仰の対象となっており、ブラウンシュヴァイクやミュラーなど、貴族/平民の別なくオーディンを信仰する発言を口にしている。また、作中でラインハルトを太陽神アポロンに例えたことがあるように、北欧神話以外のギリシア神話なども、ある程度は知られているようである。
また、地球教という新興宗教が、帝国・同盟・フェザーンを問わず、信者を増やしている様子である。
銀河帝国において広く信仰されている。しかしながら民衆レベルで信仰を集めている描写が特にないので、軍人・貴族の間のみの信仰である可能性もある。また、どこまで本気の信仰であるかも不明であり、深く日常生活に根ざしたものではなく、現代日本において見られるように行事的なレベルの宗教行為であるのかもしれない。
ヴァルハラ銀河帝国(新帝国を含む)の軍人たちが、死後の世界としてしばしば言及する。北欧神話に由来する。また、ゴールデンバウム朝の帝都である惑星オーディンはヴァルハラと名付けられた恒星の周囲を公転している。地球という惑星そのものを神としてあがめる新興宗教。それ以外の教義は不明。銀河帝国・フェザーンの信者においては、地球巡礼が神聖な義務になっている。開祖は不明だが、本来の目的は地球が人類の支配者たるべく地位を取り戻す事であり、教義はそのための方便に過ぎない。特にフェザーンは、国家そのものが地球教団によって建国されたという経緯があり、歴代のフェザーンの自治領主は本人の信仰の有無と無関係に地球教の支配下にあった。
自由惑星同盟にも信者はいるが、帝国領内にある地球への巡礼など当然不可能であり、聖地地球奪回のための銀河帝国との戦争への協力が、神聖な義務になっている。その割には同盟軍の将校・兵士に地球教の信者がいる様子は無く、代わりに憂国騎士団に信者が多数在籍しているようであり、彼らの「戦争への協力」がどんな形でなされているかの実態がうかがえる。
ハインリッヒ・フォン・キュンメル男爵によるラインハルト暗殺未遂事件以降、帝国軍内部において密かに信仰を維持し続けた地球教徒がさまざまなテロ事件(アウグスト・ザムエル・ワーレン暗殺未遂、ヤン・ウェンリー暗殺、ウルヴァシー事件など)を起こしている。
地球においては地球教団が政治をも支配し政教一致の体制が敷かれているが、これはゴールデンバウム王朝が地球を放置していた事によるものである。
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