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ウルリッヒ・ケスラー Ulrich Kesler | |
Ulrihi kesrar | |
所属: | 銀河帝国 |
階級: | 提督 |
性別: | 男性 |
配偶者: | マリーカ・フォン・フォイエルバッハ |
搭乗艦: | フォルセティ |
声優: | 池田秀一 |
表・話・編・歴 |
ウルリッヒ・ケスラー(Ulrich Kesler)は、『銀河英雄伝説』の登場人物。
ローエングラム陣営の主要提督の一人。艦隊司令官としての手腕もさることながら、軍務官僚としての手腕も併せ持っていたため、艦隊司令官から帝都防衛司令官へと転属になる。後に帝国軍憲兵総監を兼任。獅子の泉の七元帥の一人。アニメ版での乗艦はフォルセティ。
副官はヴェルナー。主だった配下として、憲兵副総監のブレンターノ大将、キュンメル事件発生時の現場責任者であるパウマンやラフトなどがいる。また、(アニメ版オリジナルのクラインゲルト領撤退のエピソードでの)准将時代の部下にイェーナー、ニードリヒ、ゾンダークという士官が存在することが判明している。
時系列上の初登場は、ラインハルトとキルヒアイスが憲兵隊に出向していた時に発見した記録で、当時法務士官としての研修のため憲兵隊に配属されていたケスラーが不敬事件を担当した時の処理方法が二人の思考原理に適うものだった。その後、ラインハルトとリューネブルクがグリンメルスハウゼンの館で一触即発の状態になった時に止めたのがケスラーで、直接的な対面はこれが初めてである(その経緯から、ラインハルトのケスラーに対する第一印象は芳しくなかった)。その後、第六次イゼルローン攻防戦で何度か顔を合わせ、グリンメルスハウゼンとリューネブルクに関する問題の処理を通じて意気投合。軍首脳から疎まれ辺境に赴任する事になったケスラーに対し、後日に自分の陣営に登用する事を約束する。
ラインハルトの元帥府に登用された経緯は、原作小説、コミック、そしてアニメで異なっている。
アムリッツァ会戦、リップシュタット戦役ともにはさほど目立った功績は上げていないものの、それらに先立つ同盟軍の帝国領侵攻作戦に際して故郷・クラインゲルト撤退の指揮をとり、その功もあって、かつての約束どおりにラインハルトの元帥府入りを果たす(アニメ版)。リップシュタット戦役後、帝国の実権をほぼ手中に収めたラインハルトによって憲兵総監、帝都防衛司令官に任命されるや、その手腕を持って深刻な腐敗を見せていた憲兵隊に徹底した組織改革を施し、以降は帝国本土の対内部的な守りの要として数々の功績を上げる。
キュンメル事件ではトリューニヒトの密告によって事件の発生と地球教徒の暗躍を察知。彼を拘禁し、キュンメル邸に近隣の武装憲兵隊の責任者、パウマン准将を向かわせ、一方で帝国首都(当時)オーディンに根を下ろす地球教徒の支部を壊滅させることに成功する。
柊館炎上事件では視察のため帝国中心地区を離れていたため、地球教徒残党による陽動によって皇妃ヒルダ周辺の守備が薄まり、懐妊中のヒルダと大公妃アンネローゼの居する柊館への暗殺者の侵入を許してしまう。残留した部下から報告を聞いて、即座に各地の事件が陽動であり目的は柊館であることを見抜いた彼は、部下を柊館に急行させるとともに自らも銃を取って現地に赴き、際どいところで皇妃達の窮地を救う(なお、その過程で、後に彼の妻となるマリーカ・フォン・フォイエルバッハと知り合っている)。その後、逮捕した地球教徒から帝国における最後の活動拠点を聞き出し、武装憲兵10個中隊による凄惨な包囲殲滅戦によって、その活動拠点の完全な制圧に成功した。
新帝国暦3年7月26日、獅子の泉の七元帥の一角として仮皇宮を襲撃した地球教徒最後の残党を殲滅。ラインハルトの最期を看取る。
憲兵総監と帝都防衛司令官を兼務しているにも関わらず、その双方で非常に高い功績を上げ、後方においてラインハルトの戦いを支え続けた。特に、旧来腐敗の温床となってきた憲兵隊において、開明的、かつ辛辣な手腕によって徹底的に改革を施し、人事面でも軍部の人員を編入するなど巧妙な刷新を行い、その有能さを遺憾なく発揮している。ミッターマイヤーがオーベルシュタインの後任の軍務尚書候補としてメックリンガーと共に名を挙げるなど、同僚達からの信頼も厚い。ラインハルト陣営に迎えられるまでは、その有能さゆえに首脳から疎まれ、長年辺境勤務が続いていた。(なお、憲兵総監と帝都防衛司令官は共に激務で知られ、その二つは本来一人の人間が兼務できるような仕事でない事からも彼の優秀さはうかがい知れる。)
ただし本人は、艦隊を指揮して戦場を駆けることが望みであった。もっとも、宇宙空間での活躍の描写は作中でほぼ皆無であり、本人の志向と裏腹にその方面での才能が有るかどうかは不明である。ラインハルトがケスラーを重用したのも、彼の人徳と憲兵隊出向時の不敬事件への処理方法に感銘を覚えたことがきっかけであった事から、初めからケスラーを提督としてではなく、地上勤務に据えるつもりで招いたのだと思われる。いずれにせよ、ラインハルトの元帥府への招聘前は辺境勤務を嘆き、招聘後は帝都に留め置かれる状況に複雑な感情を持つ事となり、当人にとっては不本意な結果であった。
キュンメル事件では素早い対処で陰謀を食い止め地球教オーディン支部の壊滅につなげた。また、柊館(シュテッヒパルム・シュロス)炎上事件では、部下に的確な指揮を下す一方、単身で柊館に飛び込んで皇妃ヒルダとお腹の中の子(アレクサンデル・ジークフリード)、アンネローゼを救い、その際に一流の射撃手でもあることを示している。
PCゲーム(銀河英雄伝説IV)においては、憲兵隊を統率する立場を考慮されてか、ラインハルトやキルヒアイスに続く統率力の高さを誇っている。反面、艦隊戦の出番が少ないためか、攻撃力や防御力といった能力では他のラインハルト陣営の将帥に比べてやや低めに設定されている。ただし、それでもなお、絶対値としても、両国の将帥すべてと比較した場合の相対的な評価としても、平均より上に位置している。
作中で後年出版されたとされる「ケスラー元帥評伝」では、その容貌について、軍人よりも「有能な少壮の弁護士のようであった」と記されている。
ローエングラム陣営下で抜擢される以前はその才能を嫌われて辺境に左遷され、抜擢された後は重用されたものの地上勤務が続き、前述の通り「艦隊を指揮する」という希望がかなわなかった面では、いささか不運な境遇だった。そのため、宇宙を駆ける同僚達を羨望する心中をメックリンガーやワーレンに洩らした事があったが、それを日ごろの態度や行動には表していない。本来「提督」とは言えない立場にあるわけだが、同僚達は形式にこだわらずケスラーを「提督」と呼び、本人もそう呼ばれる事を喜んでいる。
前述のラインハルトが着目した不敬事件の処理方法に示される通り、その能力もさる事ながら、世の中の不条理に対して怒りと不満を持っており、その事を知ったラインハルトがケスラーとの面会を希望しているが、当時は既に辺境に転属していた為実現しなかった。後に直接対面し、その元帥府に登用されてからは最後までラインハルトの信頼が厚く、皇帝エルウィン・ヨーゼフ2世誘拐事件の際、宮廷警備責任者モルト中将と合わせて上官たるケスラーの処断をも進言したオーベルシュタインをラインハルトは一蹴している。ケスラーもこの時一連の事件がラインハルトの壮大な遠謀による事を察知するが、口外はしなかった。
ちなみに、私生活に関しては鉄壁の秘密保全を敷いており、彼に恨みを持つ旧来の憲兵たちが様々な手段を用いて彼の私生活を暴き、醜聞を摑もうとしたが何一つ明らかに出来ず、逆にケスラーにその暗躍をつきとめられて、懲罰、追放処分を受けるという一幕があった。
物語本編中は独身だったが、柊館炎上事件の際に出会った縁で、後にヒルダの侍女のマリーカ・フォン・フォイエルバッハと結婚した。マリーカとはおよそ20歳以上年齢差があったが、ケスラーをヒルダの命の恩人と感じたマリーカの方から積極的に接近したことと、ヒルダの後押し(デートの約束を取り持つ等)があった為、結婚に至った。
なお、アニメ版(OVA第13話)のみのエピソードとして、若い頃、後にクラインゲルト子爵家の息子の未亡人となるフィーアと恋仲であった事が描かれている。ただし軍務のため両者は別れる事となった。
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